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公開番号2025027509
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-28
出願番号2023132287
出願日2023-08-15
発明の名称組成物
出願人AGC株式会社
代理人個人
主分類C08L 27/18 20060101AFI20250220BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】機械的特性、耐熱性に優れ、線膨張係数、誘電率及び誘電正接が低く、特に電気絶縁性を維持しつつ熱伝導性に優れ表面粗さが小さいシート等の成形物を形成でき、放熱材料として好適に使用できる、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む組成物を提供すること。
【解決手段】テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、窒化物である第1フィラーと、金属又はその酸化物である第2フィラーと、金属又はその酸化物である第3フィラーとを含み、前記第1フィラーの平均粒子径D1、前記第2フィラーの平均粒子径D2及び前記第3フィラーの平均粒子径D3が、D1>D2>D3の関係を満たし、かつ、前記D3に対する前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径の比が2以下である、組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、窒化物である第1フィラーと、金属又はその酸化物である第2フィラーと、金属又はその酸化物である第3フィラーとを含み、前記第1フィラーの平均粒子径D1、前記第2フィラーの平均粒子径D2及び前記第3フィラーの平均粒子径D3が、D1>D2>D3の関係を満たし、かつ、前記D3に対する前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径の比が2以下である、組成物。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記平均粒子径D3に対する前記平均粒子径D2が2超である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、熱溶融性であり、酸素含有極性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が、0.1~6μmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1フィラーが、鱗片状の窒化ホウ素の一次粒子の凝集体であって、かかる凝集体の前記平均粒子径D1が25~75μmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2フィラーが酸化アルミニウムであり、前記平均粒子径D2が10~40μmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記第3フィラーが酸化アルミニウムであり、前記平均粒子径D3が10μm未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2フィラー及び前記第3フィラーが、いずれも球状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子、前記第1フィラー、前記第2フィラー及び前記第3フィラーの総量に対して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が10~30体積%であり、前記第1フィラーの含有量が5~30体積%であり、前記第2フィラーの含有量が50~80体積%であり、前記第3フィラーの含有量が5~30体積%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
さらに液状分散媒を含む、請求項1に記載の組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーと、所定の複数のフィラーとを含む組成物に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
コンピューターチップ(CPU)、ビデオグラフィックスアレイ、サーバー、ゲーム機、スマートフォン、LEDボード等の電子部品や、電気自動車及び送電システムのインバーターやコンバーター等で使用されるパワー半導体を含む半導体モジュール等から発生する大量の熱を放散するために、放熱材料として熱界面材料(Thermal Interface Material;以下、「TIM」とも記す。)が用いられる。TIMは、典型的には、過剰な熱を電子部品から熱拡散部に伝達し、次いで熱を放熱板に伝達する役割を有する。
従来、TIMとして、非常に薄い層に広がり、隣接する表面間の緊密な接触を提供できる観点から、パラフィンワックス等の相変化材料、グリース状材料、エラストマーテープが用いられるが、耐熱性(熱安定性)に劣り、性能が低下しやすいという問題がある。
樹脂材料の熱伝導性を向上させてTIMに適用可能な放熱材料を得るべく、樹脂に各種の熱伝導性フィラーを配合する検討がなされている。特許文献1には、樹脂バインダーと、粒径の異なる2種の無機粒子とを含有し、各々の無機粒子が、全体厚みの一方の表面から厚み方向の所定領域に所定量存在する放熱シートが提案されている。特許文献2には、樹脂に、所定粒径の鱗片状窒化ホウ素及び3種類の粒径の異なる熱伝導性フィラーを所定量配合した熱伝導性樹脂組成物が提案されている。特許文献3には、体積頻度粒度分布において15~25μmの領域に極大ピークを示し、かつ体積頻度の累積値95%となる粒径が40~55μmである無機フィラーの所定量と、バインダー樹脂とを含む絶縁樹脂シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2019/065146号
特開2022-026651号公報
特開2023-033211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、かかる熱伝導性材料や放熱材料の樹脂成分としてのテトラフルオロエチレン系ポリマーは、機械的特性、耐熱性、電気特性(線膨張係数、誘電率、誘電正接等)に優れる反面、表面張力が低く他の成分との親和性が低いため、熱伝導性成分の凝集を誘引し、成形物の熱伝導性を低下させやすいばかりか、成形物の表面を粗くしやすい。
【0005】
本発明者らは、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、窒化物フィラーと、所定の金属又はその酸化物である複数のフィラーとを含有し、各フィラーの平均粒子径及びテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径の比が所定の関係を満たす組成物は分散性に優れており、その成形物は機械的特性、耐熱性に優れ、線膨張係数、誘電率及び誘電正接が低く、特に電気絶縁性を維持しつつ熱伝導性に優れ、さらに表面粗さを小さくできることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、かかる組成物、及び該組成物を含有する放熱材料の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の態様を有する。
〔1〕 テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、窒化物である第1フィラーと、金属又はその酸化物である第2フィラーと、金属又はその酸化物である第3フィラーとを含み、前記第1フィラーの平均粒子径D1、前記第2フィラーの平均粒子径D2及び前記第3フィラーの平均粒子径D3が、D1>D2>D3の関係を満たし、かつ、前記D3に対する前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径の比が2以下である、組成物。
〔2〕 前記平均粒子径D3に対する前記平均粒子径D2が2超である、〔1〕の組成物。
〔3〕 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、熱溶融性であり、酸素含有極性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、〔1〕又は〔2〕の組成物。
〔4〕 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が、0.1~6μmである、〔1〕~〔3〕のいずれかの組成物。
〔5〕 前記第1フィラーが、鱗片状の窒化ホウ素の一次粒子の凝集体であって、かかる凝集体の前記平均粒子径D1が25~75μmである、〔1〕~〔4〕のいずれかの組成物。
〔6〕 前記第2フィラーが酸化アルミニウムであり、前記平均粒子径D2が10~40μmである、〔1〕~〔5〕のいずれかの組成物。
〔7〕 前記第3フィラーが酸化アルミニウムであり、前記平均粒子径D3が10μm未満である、〔1〕~〔6〕のいずれかの組成物。
〔8〕 前記第2フィラー及び前記第3フィラーが、いずれも球状である、〔1〕~〔7〕のいずれかの組成物。
〔9〕 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子、前記第1フィラー、前記第2フィラー及び前記第3フィラーの総量に対して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が10~30体積%であり、前記第1フィラーの含有量が5~30体積%であり、前記第2フィラーの含有量が50~80体積%であり、前記第3フィラーの含有量が5~30体積%である、〔1〕~〔8〕のいずれかの組成物。
〔10〕 さらに液状分散媒を含む、〔1〕~〔9〕のいずれかの組成物。
〔11〕 〔1〕~〔10〕のいずれかの組成物を含有する、放熱材料。
〔12〕 〔1〕~〔10〕のいずれかの組成物を押出すか、又は基材の表面に配置して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーと、前記第1フィラーと、前記第2フィラーと、前記第3フィラーとを含む成形物を得る、成形物の製造方法。
〔13〕 テトラフルオロエチレン系ポリマーと、窒化物である第1フィラーと、金属又はその酸化物である第2フィラーと、金属又はその酸化物である第3フィラーとを含み、前記第1フィラーの平均粒子径D1、前記第2フィラーの平均粒子径D2及び前記第3フィラーD3の平均粒子径が、D1>D2>D3の関係を満たす、成形物。
〔14〕 厚さが100μm以上である、〔13〕の成形物。
〔15〕 表面粗さRzが、25μm以下である、〔13〕又は〔14〕の成形物。
〔16〕 熱伝導率が5W/m・K以上である、〔13〕~〔14〕のいずれかの成形物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、テトラフルオロエチレン系ポリマーと所定のフィラーとを含み、分散性に優れた組成物が提供される。かかる組成物からは、機械的特性、耐熱性に優れ、線膨張係数、誘電率及び誘電正接が低く、特に電気絶縁性を維持しつつ熱伝導性に優れ表面粗さが小さいシート等の成形物を形成でき、放熱材料として好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の用語は、以下の意味を有する。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、粒子又はフィラーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子又はフィラーの集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
粒子又はフィラーのD50は、粒子又はフィラーを水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
【0009】
本発明の組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)の粒子(以下、「F粒子」とも記す。)と、窒化物である第1フィラー(以下、「第1フィラー」とも記す。)と、金属又はその酸化物である第2フィラー(以下、「第2フィラー」とも記す。)と、金属又はその酸化物である第3フィラー(以下、「第3フィラー」とも記す。)とを含み、前記第1フィラーの平均粒子径D1、前記第2フィラーの平均粒子径D2及び前記第3フィラーの平均粒子径D3が、D1>D2>D3の関係を満たし、かつ、前記D3に対する前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径の比が2以下である。
【0010】
本組成物は分散性に優れており、Fポリマーと、それぞれのフィラーとの物性を高度に具備し、機械的特性、耐熱性に優れ、線膨張係数、誘電率及び誘電正接が低く、特に電気絶縁性を維持しつつ熱伝導性に優れ、さらに表面粗さが小さいシート等の成形物を形成しやすい。その理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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