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公開番号2025025730
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-21
出願番号2023130810
出願日2023-08-10
発明の名称船舶推進システムおよびその制御方法、船舶
出願人ヤマハ発動機株式会社
代理人個人,個人
主分類B63H 25/42 20060101AFI20250214BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約【課題】平行移動の性能を高める。
【解決手段】コントローラ70は、平行移動の実施中に、目標方向および必要推進力に基づいて決定した作用点F0に合力FSを作用させるよう船外機4L、4Rを制御すると共に、合力FSによる回頭成分および目標方向に垂直な方向の成分を相殺するためのモータ推進力TFを作用させるようトローリングモータ5を制御する。コントローラ70は、平行移動の実施中に、必要推進力が増加するのに応じて、作用点F0の位置を後方に移動させるかまたは合力FSを増加させる。コントローラ70は、作用点F0が後方限界位置に達し且つ、後進担当推進機の推進力が上限推進力に達した場合は、前進担当推進機の推進力を増加させる。
【選択図】図8
特許請求の範囲【請求項1】
船体における船尾に配置され、転舵可能な複数の第1推進機と、
前記船体における前記船尾よりも前の所定位置に配置された転舵可能な第2推進機と、
平行移動の指示が取得された場合または平行移動を実施すると判定された場合に、目標方向と必要推進力とを取得する取得部と、
平行移動の実施中に、取得された前記目標方向および前記必要推進力に基づいて、前記複数の第1推進機の各々が前記船体に作用させる推進力の合力の作用点を決定し、決定した作用点に対し、前記必要推進力に応じた前記目標方向への合力を作用させるよう前記複数の第1推進機を制御すると共に、前記合力による前記船体に対する回頭成分および前記目標方向に垂直な方向の成分を相殺するための推進力を前記所定位置に対して作用させるよう前記第2推進機を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、平行移動の実施中に、前記必要推進力が増加するのに応じて、前記作用点の位置を後方に移動させるかまたは前記複数の第1推進機の各々の推進力を増加させ、
前記制御部は、平行移動の実施中に、前記作用点の位置が、決定可能な後方の限界位置に達し、且つ、前記複数の第1推進機のうち後進方向の成分の推進力を作用させている推進機の推進力が、発生可能な上限推進力に達した場合は、前記複数の第1推進機のうち前進方向の成分の推進力を作用させている推進機の推進力を増加させる、船舶推進システム。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記制御部は、平行移動の開始後、前記必要推進力が増加するのに応じて、前記作用点の位置を後方に移動させ、前記作用点の位置が前記限界位置に達した後に前記複数の第1推進機の各々の推進力を増加させる、請求項1に記載の船舶推進システム。
【請求項3】
前記制御部は、平行移動の開始後、前記必要推進力が増加するのに応じて前記複数の第1推進機の各々の推進力を増加させた後、前記後進方向の成分の推進力を作用させている推進機の推進力が前記上限推進力に達した後に、前記作用点の位置を後方に移動させる、請求項1に記載の船舶推進システム。
【請求項4】
前記制御部は、平行移動の開始後の経過時間に応じて前記作用点の位置を後方に移動させる、請求項1に記載の船舶推進システム。
【請求項5】
前記制御部は、平行移動の実施中に、回頭の指示が取得された場合または回頭を実施すると判定された場合、前記目標方向への平行移動を維持しつつ、必要な回頭成分を付加するように、前記複数の第1推進機および前記第2推進機を制御する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の船舶推進システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記目標方向および前記必要推進力が変化せず且つ、前記指示に応じた回頭方向が、左右方向のうち前記目標方向が有する成分の方向と同じ場合、前記作用点を前記船体の回頭中心に近づけ且つ、前記目標方向への平行移動を維持しつつ必要な回頭成分を付加するように、前記第2推進機を制御する、請求項5に記載の船舶推進システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記目標方向および前記必要推進力が変化せず且つ、前記指示に応じた回頭方向が、左右方向のうち前記目標方向が有する成分の方向と逆の場合、前記作用点に対する合力をそのまま維持し、且つ、前記目標方向への平行移動を維持しつつ必要な回頭成分を付加するように、前記第2推進機を制御する、請求項5に記載の船舶推進システム。
【請求項8】
前記所定位置は、船首である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の船舶推進システム。
【請求項9】
前記第2推進機は、トローリングモータである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の船舶推進システム。
【請求項10】
船体と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の船舶推進システムと、を含む、船舶。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進システムおよびその制御方法、船舶に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、船尾に配置された船外機等の推進機とは別に、船尾より前に配置された推進機を備える船舶推進システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の船舶は、船尾に2つの推進機(船外機)を備えると共に、船首にバウスラスタを備え、横移動などの平行移動を実現できる。例えば、横移動時には、2つの船外機のうち1つは後進方向の成分を含む推進力を船体に与え、もう1つは前進方向の成分を含む推進力を船体に与えることで、それらの合力を、重心より後方の作用点に作用させる。そしてバウスラスタにより、回頭を抑制したり促進したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-168921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、船尾の推進機が発生可能な推進力には実質的な上限がある。例えば、特に後進方向の成分を含む推進力を発揮する推進機の場合、キャビテーションが発生しない範囲に回転数を抑える必要がある。一方、バウスラスタは転舵機能を有さないため、前後方向の成分を発生させることができない。
【0006】
そのため、横移動時には、2つの推進機の合力に前後方向の成分が含まれないように制御する必要がある。従って、結果として、前進方向の成分を含む推進力を発揮する推進機の最大出力が、後進方向の成分を含む推進力を発揮する推進機の最大出力によって制約されてしまう。
【0007】
このように、横方向への推進力が一定以内に抑えられてしまうことから、横移動の性能に制約が生じる。このようなことは、真横に移動する場合に限られず、回頭を伴わずに斜めに移動する平行移動の際にも当てはまる。
【0008】
本発明は、平行移動の性能を高めることができる船舶推進システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一態様による船舶推進システムは、船体における船尾に配置され、転舵可能な複数の第1推進機と、前記船体における前記船尾よりも前の所定位置に配置された転舵可能な第2推進機と、平行移動の指示が取得された場合または平行移動を実施すると判定された場合に、目標方向と必要推進力とを取得する取得部と、平行移動の実施中に、取得された前記目標方向および前記必要推進力に基づいて、前記複数の第1推進機の各々が前記船体に作用させる推進力の合力の作用点を決定し、決定した作用点に対し、前記必要推進力に応じた前記目標方向への合力を作用させるよう前記複数の第1推進機を制御すると共に、前記合力による前記船体に対する回頭成分および前記目標方向に垂直な方向の成分を相殺するための推進力を前記所定位置に対して作用させるよう前記第2推進機を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、平行移動の実施中に、前記必要推進力が増加するのに応じて、前記作用点の位置を後方に移動させるかまたは前記複数の第1推進機の各々の推進力を増加させ、前記制御部は、平行移動の実施中に、前記作用点の位置が、決定可能な後方の限界位置に達し、且つ、前記複数の第1推進機のうち後進方向の成分の推進力を作用させている推進機の推進力が、発生可能な上限推進力に達した場合は、前記複数の第1推進機のうち前進方向の成分の推進力を作用させている推進機の推進力を増加させる。
【0010】
この構成によれば、平行移動の指示が取得された場合または平行移動を実施すると判定された場合に、目標方向と必要推進力とが取得され、平行移動の実施中に、取得された目標方向および必要推進力に基づいて、複数の第1推進機の各々が船体に作用させる推進力の合力の作用点が決定され、決定した作用点に対し、必要推進力に応じた目標方向への合力を作用させるよう複数の第1推進機が制御されると共に、合力による船体に対する回頭成分および目標方向に垂直な方向の成分を相殺するための推進力が所定位置に対して作用するよう第2推進機が制御される。平行移動の実施中に、必要推進力が増加するのに応じて、作用点の位置が後方に移動されるかまたは複数の第1推進機の各々の推進力が増加され、平行移動の実施中に、作用点の位置が、決定可能な後方の限界位置に達し、且つ、複数の第1推進機のうち後進方向の成分の推進力を作用させている推進機の推進力が、発生可能な上限推進力に達した場合は、複数の第1推進機のうち前進方向の成分の推進力を作用させている推進機の推進力が増加される。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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