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公開番号
2025020154
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-12
出願番号
2024180515,2023030980
出願日
2024-10-16,2018-07-31
発明の名称
抗CD19/CD20免疫療法によりがんを処置するための組成物および方法
出願人
レンティジェン・テクノロジー・インコーポレイテッド
,
LENTIGEN TECHNOLOGY, INC.
代理人
弁理士法人深見特許事務所
主分類
C12N
15/62 20060101AFI20250204BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】特異的かつ有効な抗腫瘍効果を示し得る手法を使用する、B-ALLならびに他のCD19および/またはCD20発現B細胞悪性腫瘍の処置のための新規の組成物および方法を提供する。
【解決手段】CD19/CD20またはCD20/CD19抗原結合性ドメインを含有するキメラ抗原受容体が開示される。キメラ抗原受容体に関する核酸、組換え発現ベクター、宿主細胞、抗原結合性断片、および医薬組成物も開示される。対象においてがんを処置または予防する方法、およびキメラ抗原受容体T細胞を作製する方法も開示される。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
CD19/CD20抗原結合性ドメインを含む少なくとも1つの細胞外抗原結合性ドメイン、少なくとも1つの膜貫通ドメイン、および少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含むCD19/CD20タンデムキメラ抗原受容体(CAR)をコードする、単離された核酸分子であって、前記CD19/CD20タンデムキメラ抗原受容体(CAR)が配列番号1または3を含むヌクレオチド配列によりコードされる、単離された核酸分子。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
コードされる前記少なくとも1つのCD19/CD20抗原結合性ドメインが、CD19/CD20に結合する抗体の少なくとも1つの単鎖可変断片を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項3】
コードされる前記少なくとも1つのCD19/CD20抗原結合性ドメインが、CD19/CD20に結合する抗体の少なくとも1つの重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項4】
コードされる前記少なくとも1つのCD19/CD20抗原結合性ドメイン、前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはその両方が、リンカーまたはスペーサードメインによって膜貫通ドメインに接続されている、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項5】
コードされる前記リンカーまたはスペーサードメインが、CD8またはCD28の細胞外ドメインに由来し、膜貫通ドメイン連結されている、請求項4に記載の単離された核酸分子。
【請求項6】
コードされる前記細胞外CD19/CD20抗原結合性ドメインに、リーダーペプチドをコードするリーダーヌクレオチド配列が先行する、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項7】
前記リーダーヌクレオチド配列が、配列番号12のリーダーアミノ酸配列をコードする配列番号11を含むヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載の単離された核酸分子。
【請求項8】
前記膜貫通ドメインが、T細胞受容体のアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、CD8、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD19/CD20、CD37、CD64、CD80、CD83、CD86、CD134、CD137、CD154、およびTNFRSF19、またはそれらの任意の組合せを含むタンパク質の膜貫通ドメインを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項9】
前記CD19/CD20タンデムキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列が、配列番号1もしくは3を含むヌクレオチド配列、またはそれに対して85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有する配列によりコードされる、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項10】
コードされる前記少なくとも1つの細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ細胞内ドメインをさらに含む、請求項1に記載の単離された核酸分子。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年7月31日出願の米国仮特許出願第62/539,483号に対する優先権の利益を主張する。
続きを表示(約 5,100 文字)
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された、その全体にわたって参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2018年7月31日に作成された前記ASCIIコピーはSequence_Listing.txtと名付けられ、64キロバイトのサイズである。
【0003】
本開示の分野
本出願は、がんの分野、特に、CD19/CD20抗原結合性ドメイン、およびこのようなCD19/CD20抗原結合性ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
がんは、ヒトの健康に対する最も致命的な脅威の1つである。米国だけで、がんは毎年ほぼ130万人の新たな患者が罹患し、心血管疾患に次いで2番目に多い死因であり、死亡数の約4分の1を占めている。固形腫瘍が、これらの死亡のほとんどの原因である。ある特定のがんの医学的処置においては顕著な進歩があったものの、全てのがんについての5年全生存率は過去20年間で約10%しか改善しなかった。がんまたは悪性腫瘍は、制御されずに迅速に転移および成長するため、処置は非常に困難である。
【0005】
CD19は、85~95kDaの膜貫通細胞表面糖タンパク質受容体である。CD19は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのタンパク質のメンバーであり、2つの細胞外Ig様ドメイン、膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインを含有する(Tedder TF、Isaacs,CM、1989年、J Immunol 143巻:712~171頁)。CD19は、B細胞受容体シグナル伝達を修飾し、抗原についてのB細胞受容体の誘発閾値を低下させ(Carter,RHおよびFearon,DT、1992年、Science、256巻:105~107頁)、CD81およびCD21と協調して、この本質的なB細胞シグナル伝達複合体を調節する(Bradbury,LE、Kansas GS、Levy S、Evans RL、Tedder TF、1992年、J Immunol、149巻:2841~50頁)。B細胞発生中、CD19は、抗原受容体とは独立にプロB、プレ-プレB細胞、プレB、初期B細胞段階においてシグナル伝達することができ、Srcファミリータンパク質チロシンキナーゼと会合し、チロシンリン酸化され、細胞内カルシウム動員およびイノシトールリン脂質シグナル伝達の両方を誘導する(Uckun FM、Burkhardt AL、Jarvis L、Jun X、Stealy B、Dibirdik I、Myers DE、Tuel-Ahlgren L、Bolen JB、1983年、J Biol Chem 268巻:21172~84頁)。B細胞悪性腫瘍の処置に関連する重要な点は、CD19が、IgH遺伝子再配置の段階における初期B細胞前駆体、成熟B細胞に限定され、しかし造血幹細胞または成熟血漿細胞上では発現されないように厳しく調節された様式で正常B細胞上で発現されことである(Anderson,KC、Bates,MP、Slaughenho
ut BL、Pinkus GS、Schlossman SF、Nadler LM、1984年、Blood 63巻:1424~1433頁)。
【0006】
CD20(LEU-16、MS4A1とも呼ばれる)は、プロB相から成熟B細胞相までB細胞の表面上に発現され、B細胞発達および分化において役割を果たす膜貫通4Aファミリータンパク質である。CD20抗原は、様々な血液腫瘍上でも発現され、様々なモノクローナル抗CD20抗体は、CD20陽性悪性腫瘍の処置に何年にもわたり適用されている(Lim、Sean H.ら「Anti-CD20 Monoclonal Antibodies:Historical and Future Perspectives.」Haematologica 95.1巻(2010年):135~143頁.PMC.Web.2017年7月31日で概略される)。抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ(Rituxan(登録商標))は、B細胞リンパ腫、例えば、濾胞性リンパ腫(FL)およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ならびに慢性リンパ性白血病(CLL)の処置において広く使用されている(Rituxan処方情報)。
【0007】
B系統白血病およびリンパ腫のための伝統的な処置手法は、化学療法、放射線療法、および幹細胞移植に関連し得る(ワールドワイドウェブmayclinic.orgを参照)。これらの処置に関連する高い毒性、および再発、二次的悪性腫瘍またはGVHDなどの合併症リスクが、より良好な治療用代替物の探求を促す。成人および小児(プレB-ALL)両方のB細胞悪性腫瘍においてCD19が発現することから、抗体およびキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞ベースの療法の両方のためにこの標的を利用することとなった(Kochenderfer JN、Wilson WH、Janik JE、Dudley ME、Stetler-Stevenson M、Feldman SA、Maric I、Raffeld M、Nathan DA、Lanier BJ、Morgan RA、Rosenberg SA、2010年、Blood 116巻:4099~102頁;Lee DW、Kochenderfer JN、Stetler-Stevenson M、Cui YK、Delbrook C、Feldman SA、Orentas R、Sabatino M、Shah NN、Steinberg SM、Stroncek D、Tschernia N、Yuan C、Zhang H、Zhang L、Rosenberg SA、Wayne AS、Mackall CL、2015年、Lancet 385巻:517~28頁)。さらに、リンパ腫(DLBCL、FL)および白血病(CLL)におけるCD20抗原の存在のために、CD20抗原は、効率的な腫瘍排除のためおよび腫瘍抗原エスケープの予防のための魅力的なさらなる標的である。
【0008】
B系統白血病のためのケアの現在の標準は、高用量の化学療法または高線量の放射線による寛解導入処置からなる場合があり、その後地固めが続き、必要に応じて幹細胞移植およびさらなる化学療法の過程を特徴とし得る(ワールドワイドウェブcancer.govを参照)。これらの処置に関連する高い毒性、および再発、二次的悪性腫瘍またはGVHDなどの合併症リスクが、より良好な治療用代替物の探求を促す。成人および小児(プレB-ALL)両方のB細胞悪性腫瘍におけるCD19の発現から、抗体およびキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞ベースの療法の両方のためにこの標的を利用することとなった(Kochenderfer JN、Wilson WH、Janik JE、Dudley ME、Stetler-Stevenson M、Feldman SA、Maric I、Raffeld M、Nathan DA、Lanier BJ、Morgan RA、Rosenberg SA、2010年、Blood 116巻:4099~102頁;Lee DW、Kochenderfer JN、Stetler-Stevenson M、Cui YK、Delbrook C、Feldman SA、Orentas R、Sabatino M、Shah NN、Steinberg SM、
Stroncek D、Tschernia N、Yuan C、Zhang H、Zhang L、Rosenberg SA、Wayne AS、Mackall CL、2015年、Lancet 385巻:517~28頁)。
【0009】
抗CD19または抗CD20結合性モチーフをT細胞結合性モチーフに連結する二重特異性抗体を含む、B細胞白血病およびリンパ腫を処置するためのいくつかの新規の手法が開発されている(即ち、フィラデルフィア染色体陰性再発性または難治性B細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病(ALL)の処置に適応となるブリナツモマブ、Blincyto(登録商標))。今日までに、CAR構築物において使用されているCD19またはCD20についての結合性部分の多くは、マウス抗体に由来するドメインを利用する。NovartisおよびKite Pharmaceuticalsにより開発されたものを含む、いくつかのこれらの製品は、現在、承認を検討されている。2017年4月に、Novartisは、CTL019(チサゲンレクロイセル)が、2以上の前療法に失敗した難治性または再発性(r/r)DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)を有する成人患者の処置のためのFDA画期的治療薬指定を受け、この指定をr/r B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)の処置に追加したことを発表した。これらの適応症は、それぞれ、フェーズII JULIET研究(NCT02445248)およびELIANA研究(NCT02435849)に基づいた。JULIET試験は、3カ月で45%の奏効率(ORR)を示し、37%の完全奏効(CR)および8%の部分奏効(PR)を有した。ELIANA研究において、製品を注入された患者の82%が、CRまたは回復不完全を伴うCRを達成し、6カ月での無再発生存率は60%であった。Kite PharmaceuticalsからのCAR-T製品(KTE-C19、アキシカブタゲンシロロイセル)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、形質転換型濾胞性リンパ腫(TFL)、および縦隔原発B細胞性リンパ腫(PMBCL)のための画期的治療薬指定を承認された。r/r ALLにおけるKTE-C19のKite ZUMA-3フェーズII試験において、73%のCRが報告された(2カ月以上で)。CAR-T療法の抗体が利用されるかどうかにかかわらず、これらの療法により救済されない顕著な数の患者がまだ存在しており、治療的手法の改善についてかなりの余地がある。
【0010】
キメラ抗原受容体(CAR)は、3つの本質的な単位を含むハイブリッド分子である:(1)細胞外抗原結合性モチーフ、(2)連結/膜貫通モチーフ、および(3)細胞内T細胞シグナル伝達モチーフ(Long AH、Haso WM、Orentas RJ.Lessons learned from a highly-active CD2-specific chimeric antigen receptor.Oncoimmunology.2013年;2巻(4号):e23621頁)。CARの抗原結合性モチーフは一般に、免疫グロブリン(Ig)分子の最小の結合性ドメインである単鎖断片可変(ScFv)を基にして作られる。代替の抗原結合性モチーフとして、例えば、受容体リガンド(即ち、IL-13は、腫瘍が発現するIL-13受容体に結合するように操作されている)、インタクトな免疫受容体、ライブラリー由来ペプチド、および自然免疫系エフェクター分子(例えば、NKG2D)も操作されている。CAR発現のための代替の細胞標的(例えば、NKまたはガンマ-デルタT細胞)も開発中である(Brown CEら Clin Cancer Res.2012年;18巻(8号):2199~209頁;Lehner Mら PLoS One.2012年;7巻(2号):e31210頁)。CARベクターを形質導入するための最も活性なT細胞集団を定義すること、最適な培養および増殖の技術を決定すること、ならびにCARタンパク質構造自体の分子的詳細を定義することに関して、いまだにかなりのかける労力を要している。
(【0011】以降は省略されています)
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