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公開番号2025017343
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-05
出願番号2024116689
出願日2024-07-22
発明の名称複合体及びその製造方法
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人個人,個人
主分類B32B 21/04 20060101AFI20250129BHJP(積層体)
要約【課題】アルミニウムを含む基部と、木片(小片化された木質素材)又は板状木質素材を含む中間層と、意匠層とを備え、上記基部と中間層との接着性に優れ、多層体としての構造安定性に優れた複合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、アルミニウムを含む基部(2)及び意匠層(6)が中間層(4)を介して接合された一体化物からなる複合体(1)であって、中間層(4)は、樹脂を含浸した木片の集合体又は樹脂を含浸した木板からなり、中間層の側の基部の表面は、複数のオーバーハング部を備えることを特徴とする。樹脂は、木片又は木板の細胞壁の中にも含まれることが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アルミニウムを含む基部及び意匠層が中間層を介して接合された一体化物からなる複合体であって、
前記中間層は、樹脂を含浸した木片の集合体又は樹脂を含浸した木板からなり、前記中間層の側の前記基部の表面は、複数のオーバーハング部を備えることを特徴とする複合体。
続きを表示(約 980 文字)【請求項2】
前記樹脂が、前記木片又は前記木板の細胞壁の中にも含まれる請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記樹脂が、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、スチレン系樹脂及びウレタン樹脂から選ばれた少なくとも1種に由来する請求項1に記載の複合体。
【請求項4】
前記中間層の厚さが0.1~20mmである請求項1に記載の複合体。
【請求項5】
前記意匠層が木材の薄肉体を含む請求項1に記載の複合体。
【請求項6】
前記オーバーハング部は、金属アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する物品の表面を、酸処理、放電加工処理、ショットブラスト処理又は電解エッチング処理に供して形成されたものである請求項1に記載の複合体。
【請求項7】
請求項1に記載の複合体を製造する方法であって、
金属アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する基材を、酸処理、放電加工処理、ショットブラスト処理又は電解エッチング処理に供して、前記基材の表面に複数のオーバーハング部を形成させ、アルミニウム含有粗化基材を作製する工程と、
熱可塑性樹脂の前駆体及び熱硬化性樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む樹脂成分が木材に含浸されてなる樹脂成分含浸木材を破砕して、樹脂成分含有木材破砕物を作製する工程と、
前記アルミニウム含有粗化基材の前記オーバーハング部を有する面に、前記樹脂成分含有木材破砕物を載置して、第1積載物を作製する工程と、
前記第1積載物における樹脂成分含有木材破砕物層の上に意匠材を載置して、第2積載物を作製する工程と、
前記第2積載物を加熱プレスに供する工程と、
を備えることを特徴とする複合体の製造方法。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂がウレタン樹脂である請求項7に記載の複合体製造方法。
【請求項9】
前記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、フェノール樹脂及びユリア樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む請求項7に記載の複合体製造方法。
【請求項10】
前記樹脂成分含有木材破砕物の長径が0.05~10mmである請求項7に記載の複合体製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウムを含む基部及び意匠層との接着性に優れた中間層を備える複合体及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
持続的な利用が可能な木材に対して、その原木、廃材又はリサイクル材を、粉末、繊維、チップ等とした後、樹脂又はその前駆体とともに、金型のキャビティに収容し、加熱条件下、圧縮成形を行って、木質感を有する木質成形体を製造する技術が知られている。そして、このような木質成形体を、必要により、金属等からなる基材と一体化させてなる複合体が、車両の内装材、家具等の什器、床材、壁材等の建材等に応用されている。
【0003】
木質感を有する複合体又はその製造方法として、以下の技術が知られている。
特許文献1には、金属基板の一方の面に木材小片を分散させてなる繊維補強合成樹脂層が設けられ、該繊維補強合成樹脂層上に不飽和ポリエステル樹脂からなる塗膜が設けられ、金属基板の他方の面には、繊維強化合成樹脂層が設けられてなる木質化粧板が開示されている。また、この特許文献1には、未硬化合成樹脂を含浸した繊維基材上に金属基板を置き、この金属基板上に未硬化合成樹脂を含浸した補強繊維基材に木材小片を分散させた複合基材を置いて加熱加圧して、樹脂を硬化させ一体化物を得た後、この一体化物の複合基材上に不飽和ポリエステル樹脂塗料を塗布する木質化粧板の製法が開示されている。
特許文献2には、柔軟性の高い合成樹脂を、木材に減圧叉は減圧加圧により含浸注入後、含浸された樹脂が未硬化の状態で接着剤を用いず、裏打ち材に重ね合わせ、熱を加えながら曲面加工及び打ち抜き加工を行い、木材に含浸された合成樹脂を反応硬化させるのと同時に、木材中より流れ出した樹脂により裏打ち材と接着させて複合材を製造する方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、木質系材料と、表面に凹部および/または凸部を有する非木質系材料とが接合、一体化した接合部材であって、木質系材料は、木質繊維細胞の相互の位置関係が変化した状態で非木質系材料の凹部の内部または凸部の周囲に入り込んで、充填されていることを特徴とする接合部材が開示されている。
また、特許文献4には、2~4mmの範囲の厚さを備え難燃薬剤を含有する第1の木質材料と、無機物基材又は第2の木質材料と、該第1の木質材料と該無機物基材又は該第2の木質材料との間に介在する接着剤層とを備え、該難燃薬剤はヒドロキシ基を備える第1の化合物を含有し、該接着剤層はヒドロキシ基を備える第2の化合物又は水性材料を含有する接着剤からなることを特徴とする不燃性木質複合材料が開示されている。また、この特許文献4には、2~4mmの範囲の厚さを備え難燃薬剤を含有する第1の木質材料と、無機物基材又は第2の木質材料とを、接着剤を用いて貼り合わせる不燃性木質複合材料の製造方法であって、該難燃薬剤はヒドロキシ基を備える第1の化合物を含有し、該接着剤はヒドロキシ基を備える第2の化合物又は水性材料を含有し、硬化することにより接着剤層を形成して不燃性木質複合材料を製造する方法が開示されている。
【0005】
ところで、特許文献5には、金属製基材の表面に有機高分子物質等を接着させる場合の接着性改良のため、基材を表面改質(酸化膜形成又は表面積拡大)することが提案されている。具体的には、金属の表面に皮膜形成を伴う化学エッチング処理を行う第一の工程と、該第一の工程により金属の表面に形成された皮膜を化学的に除去する処理を行う第二の工程とからなることを特徴とする金属の表面処理方法が開示されている。尚、特許文献1の実施例1においても、金属基板であるアルミニウム板に、予め、表面処理(リン酸クロム皮膜形成処理)してから、木質化粧板の製造が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平3-239543号公報
特開平10-113906号公報
特開2021-88059号公報
特開2022-7386号公報
特開平11-293476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、アルミニウムを含む基部と、木質素材を含む中間層と、意匠層とを備え、上記基部と中間層との接着性、及び、上記意匠層と中間層との接着性に優れ、多層体としての構造安定性に優れた複合体及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、オーバーハング部を有するアルミニウム含有粗化基材の上に、樹脂を含浸した木片(小片化された木質素材)の集合体又は樹脂を含浸した木板を載置し、更に、その上に意匠材を載置して得られた積載物を加熱プレスすることにより、アルミニウムを含む基部と、上記の、樹脂を含浸した木片(小片化された木質素材)の集合体又は樹脂を含浸した木板に由来する中間層と、意匠層とを備え、基部と中間層との接着性、及び、意匠層と中間層との接着性に優れ、多層体としての構造安定性に優れた複合体が得られることを見い出した。
【0009】
本発明は、以下に示される。
(1)アルミニウムを含む基部及び意匠層が中間層を介して接合された一体化物からなる複合体であって、
上記中間層は、樹脂を含浸した木片の集合体又は樹脂を含浸した木板からなり、上記中間層の側の上記基部の表面は、複数のオーバーハング部を備えることを特徴とする複合体。
(2)上記樹脂が、上記木片又は上記木板の細胞壁の中にも含まれる上記(1)に記載の複合体。
(3)上記樹脂が、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、スチレン系樹脂及びウレタン樹脂から選ばれた少なくとも1種に由来する上記(1)に記載の複合体。
(4)上記中間層の厚さが0.1~20mmである上記(1)に記載の複合体。
(5)上記意匠層が木材の薄肉体を含む上記(1)に記載の複合体。
(6)上記オーバーハング部は、金属アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する物品の表面を、酸処理、放電加工処理、ショットブラスト処理又は電解エッチング処理に供して形成されたものである上記(1)に記載の複合体。
(7)上記(1)に記載の複合体を製造する方法であって、
金属アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する基材を、酸処理、放電加工処理、ショットブラスト処理又は電解エッチング処理に供して、上記基材の表面に複数のオーバーハング部を形成させ、アルミニウム含有粗化基材を作製する工程と、
熱可塑性樹脂の前駆体及び熱硬化性樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む樹脂成分が木材に含浸されてなる樹脂成分含浸木材を破砕して、樹脂成分含有木材破砕物を作製する工程と、
上記アルミニウム含有粗化基材の上記オーバーハング部を有する面に、上記樹脂成分含有木材破砕物を載置して、第1積載物を作製する工程と、
上記第1積載物における樹脂成分含有木材破砕物層の上に意匠材を載置して、第2積載物を作製する工程と、
上記第2積載物を加熱プレスに供する工程と、
を備えることを特徴とする複合体製造方法。
(8)上記熱可塑性樹脂がウレタン樹脂である上記(7)に記載の複合体製造方法。
(9)上記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂及びウレタン樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む上記(7)に記載の複合体製造方法。
(10)上記樹脂成分含有木材破砕物の長径が0.05~10mmである上記(7)に記載の複合体製造方法。
(11)上記(1)に記載の複合体を製造する方法であって、
金属アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する基材を、酸処理、放電加工処理、ショットブラスト処理又は電解エッチング処理に供して、上記基材の表面に複数のオーバーハング部を形成させ、アルミニウム含有粗化基材を作製する工程と、
熱可塑性樹脂の前駆体及び熱硬化性樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む樹脂成分が木板に含浸されてなる樹脂成分含浸木板を作製する工程と、
上記アルミニウム含有粗化基材の上記オーバーハング部を有する面に、上記樹脂成分含浸木板を載置して、第3積載物を作製する工程と、
上記第3積載物における上記樹脂成分含浸木板の上に意匠材を載置して、第4積載物を作製する工程と、
上記第4積載物を加熱プレスに供する工程と、
を備えることを特徴とする複合体の製造方法。
(12)上記熱可塑性樹脂がウレタン樹脂である上記(11)に記載の複合体製造方法。
(13)上記熱硬化性樹脂が、メラミン樹脂、フェノール樹脂及びユリア樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む上記(11)に記載の複合体製造方法。
(14)上記樹脂成分含浸木板の厚さが0.01~20mmである上記(11)に記載の複合体製造方法。
(15)上記意匠材が木材の薄肉体を含む上記(7)又は(11)に記載の複合体製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合体によれば、アルミニウムを含む基部と中間層との接着性、及び、意匠層と中間層との接着性に優れるので、多層体としての構造安定性に優れる。意匠層が木材に由来するものである場合には、木目等が鮮明な複合体とすることができる。基部が支持体となり得るので、意匠層に基づき外観性に優れた建材・建築部材、家具・調度品、車両部材、家電部品、日用品等として、好適に用いることができる。
本発明の複合体の製造方法によれば、上記効果を奏する複合体を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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