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公開番号2025013671
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2024197712,2021059478
出願日2024-11-12,2021-03-31
発明の名称シリンダヘッドガスケット
出願人日本ガスケット株式会社
代理人個人
主分類F02F 11/00 20060101AFI20250117BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】 燃焼ガスが水孔に浸入するのを抑制して、オーバーヒートを抑制可能なシリンダヘッドガスケットを提供する。
【解決手段】 第1ガスケット基板5と第2ガスケット基板6の表裏両面にはゴムコーティング12、13が施されているが、ボルト孔8と水孔9の間の位置においては、あえてゴムコーティング12、13を剥離させたK字形の剥離部12A、13Aが設けられている。また、中間板7には上記剥離部12A、13Aと対応する位置に同様のK字形の切り欠き部が形成される。
シリンダヘッドガスケット1がシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に装着された状態において、燃焼ガスGがフルビード5B(6B)を越えて、その外方側まで漏れた場合には、上記剥離部12A、13Aと相手材との隙間15及び上記切り欠き部を介して燃焼ガスGがシリンダヘッドガスケット1の外方縁1Bから外部へ排出される。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
表面または裏面の少なくともいずれか一方にコーティングが施された少なくとも1枚のガスケット基板と、該ガスケット基板の所定位置に穿設された複数の燃焼室孔、水孔及びボルト孔を備え、さらに、上記ガスケット基板には、上記各燃焼室孔を囲繞してビードが形成されたシリンダヘッドガスケットにおいて、
上記ガスケット基板に形成したコーティングに対し、上記水孔とボルト孔の間の位置であって、かつ、上記ビードの隣接外方位置からシリンダヘッドガスケットの外方縁まで到達するように、当該コーティングを剥離させた剥離部を形成してあり、
上記剥離部は、上記ビードの隣接外方位置となる円弧部と、上記水孔とボルト孔との間に位置し、上記円弧部からシリンダヘッドガスケットの外方縁まで伸びる排出部とからなり、
上方側に位置する第1ガスケット基板と、下方側に位置する第2ガスケット基板と、上記第1ガスケット基板と第2ガスケット基板の間に設けられた中間板とを備えて、上記両ガスケット基板と中間板を積層して構成されており、
上記第1ガスケット基板及び第2ガスケット基板の燃焼室孔、水孔及びボルト孔に対応するように上記中間板の所定位置に穿設された複数の燃焼室孔、水孔及びボルト孔を備えており、
上記第1ガスケット基板及び第2ガスケット基板の表裏両面にコーティングが形成されており、第1ガスケット基板及び第2ガスケット基板の表裏両面に上記剥離部を形成してあり、
上記剥離部は、上記円弧部と二股状の排出部とによって略K字形に形成されており、上記中間板には、上記剥離部と重合する位置に該剥離部の形状に合わせた略K字形の切り欠き部が形成されており、該切り欠き部は、上記ビードの隣接外方位置となる円弧部と、上記水孔とボルト孔との間に位置して、上記円弧部からシリンダヘッドガスケットの外方縁まで伸びる二股状の排出部とから構成されており、上記剥離部及び中間板の切り欠き部における上記排出部が水孔とボルト孔の間に位置することを特徴とするシリンダヘッドガスケット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はシリンダヘッドガスケットに関し、より詳しくは、燃焼ガスが水孔に浸入するのを抑制可能なシリンダヘッドガスケットに関する。
続きを表示(約 4,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、複数のガスケット基板を積層して構成されて、ガスケット基板の所要位置に複数の燃焼室孔、水孔及びボルト孔が形成されるとともに、各ガスケット基板の表裏両面にゴムコーティングが施されたシリンダヘッドガスケットは知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
実開平4-71865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図8(a)、図8(b)は上記従来のシリンダヘッドガスケット1の要部とその断面を簡略化して示したものである。この従来のシリンダヘッドガスケット1は、複数のガスケット基板5、6とそれらの間に配置した中間板7を積層して構成されており、所要位置に複数の燃焼室孔1A(5A~7A)が形成されるとともに、燃焼室孔5A、6Aを囲繞してガスケット基板5、6にはフルビード5B、6Bが形成されている。また、所要位置に複数のボルト孔8と水孔9が形成されており、個別の水孔9を囲繞して両ガスケット基板5、6には、ハーフビード5C、6Cが形成されている。さらに、両ガスケット基板5、6の表裏両面には、ゴムコーティング12、13が施されている。
この従来のシリンダガスケット1においては、水孔9よりも外方側の位置においてボルト孔8に取り付けたボルトによってシリンダブロックとシリンダヘッドとの間でシリンダヘッドガスケット1が強く締め付けられる。そのため、燃焼室孔1A(5A、6A)を囲繞するフルビード5B、6Bを越えて、その外方へ燃焼ガスGが漏れた場合には、その燃焼ガスGは上下のガスケット基板5、6の間及びそれらの相手材の間からシリンダヘッドガスケット1の外方へ逃げにくくなっている。そのために、フルビード5B、6Bを越えて、そこから外方へ漏れた燃焼ガスGが水孔9に浸入してエンジンがオーバーヒートを起こす恐れがあった。
また、図面は省略するが、図8(a)のような個別の水孔をハーフビード5C(6C)で囲繞するのではなく、複数の水孔を全て外方側から無端状に囲繞するハーフビードを設けた構成の従来のシリンダヘッドガスケットにおいては、前述したように燃焼ガスGがフルビード5B(6B)を越えて、その外方へ漏れた場合には、水孔9に燃焼ガスGが浸入しやすいためにオーバーヒートが生じやすいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、表面または裏面の少なくともいずれか一方にコーティングが施された少なくとも1枚のガスケット基板と、該ガスケット基板の所定位置に穿設された複数の燃焼室孔、水孔及びボルト孔を備え、さらに、上記ガスケット基板には、上記各燃焼室孔を囲繞してビードが形成されたシリンダヘッドガスケットにおいて、
上記ガスケット基板に形成したコーティングに対し、上記水孔とボルト孔の間の位置であって、かつ、上記ビードの隣接外方位置からシリンダヘッドガスケットの外方縁まで到達するように、当該コーティングを剥離させた剥離部を形成してあり、
上記剥離部は、上記ビードの隣接外方位置となる円弧部と、上記水孔とボルト孔との間に位置し、上記円弧部からシリンダヘッドガスケットの外方縁まで伸びる排出部とからなり、
上方側に位置する第1ガスケット基板と、下方側に位置する第2ガスケット基板と、上記第1ガスケット基板と第2ガスケット基板の間に設けられた中間板とを備えて、上記両ガスケット基板と中間板を積層して構成されており、
上記第1ガスケット基板及び第2ガスケット基板の燃焼室孔、水孔及びボルト孔に対応するように上記中間板の所定位置に穿設された複数の燃焼室孔、水孔及びボルト孔を備えており、
上記第1ガスケット基板及び第2ガスケット基板の表裏両面にコーティングが形成されており、第1ガスケット基板及び第2ガスケット基板の表裏両面に上記剥離部を形成してあり、
上記剥離部は、上記円弧部と二股状の排出部とによって略K字形に形成されており、上記中間板には、上記剥離部と重合する位置に該剥離部の形状に合わせた略K字形の切り欠き部が形成されており、該切り欠き部は、上記ビードの隣接外方位置となる円弧部と、上記水孔とボルト孔との間に位置して、上記円弧部からシリンダヘッドガスケットの外方縁まで伸びる二股状の排出部とから構成されており、上記剥離部及び中間板の切り欠き部における上記排出部が水孔とボルト孔の間に位置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、上記剥離部を形成するとともに上記中間板に切り欠き部を形成しているので、上記剥離部とその相手材との間にわずかな隙間が維持されることになり、ビードを越えてその外方まで燃焼ガスが漏れた場合には、該隙間および中間板の上記切り欠き部からシリンダヘッドの外方へ排出される。したがって、燃焼ガスが水孔に浸入するのを抑制して、燃焼ガスが水孔に浸入することによるオーバーヒートを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の一実施例を示す平面図。
図1の要部の拡大図。
図2のIII-III線に沿う断面図。
本発明の第2実施例を示す要部の平面図。
図4のV-V線に沿う簡略な断面図。
本発明の第3実施例を示す要部の平面図。
図6のVII-VII線に沿う簡略な断面図。
図8(a)は従来のシリンダヘッドガスケットの要部を簡略化した平面図、図8(b)は図8(a)のb-b線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図3において1はシリンダヘッドガスケットであり、このシリンダヘッドガスケット1は、シリンダヘッド2とシリンダブロック3との間に挟持されて、それらの間のシールを維持するようになっている。
シリンダヘッドガスケット1は、上方側に位置してシリンダヘッド2の接合面2Aに当接する第1ガスケット基板5と、下方側に位置してシリンダブロック3の接合面3Aに当接する第2ガスケット基板6と、これら両ガスケット基板5、6の間に配置された中間板7とを備えており、それらを積層して構成されている。シリンダヘッドガスケット1を構成する上記両ガスケット基板5、6と中間板7は、積層状態において所要箇所を一体に連結されている。
第1ガスケット基板5、第2ガスケット基板6及び中間板7は、長方形の同一形状に形成されており、一体となったそれらにはシリンダブロック3側の複数のシリンダボアの位置に合わせて複数の燃焼室孔1A(5A~7A)が穿設されている。これら4箇所の燃焼室孔1A(5A~7A)の内径は、シリンダボアの内径と略同一に設定されている。
また、両ガスケット基板5、6及び中間板7の所要位置には、締結ボルトを挿通するための8箇所のボルト孔8と、冷却水を流通させるための16箇所の水孔9が穿設されるとともに、締結ボルトを挿入する際のメインとなる10箇所のボルト孔10が穿設されている。
燃焼室孔1Aは、シリンダヘッドガスケット1の長手方向にわたって等間隔で順次隣接させて形成されており、4箇所の燃焼室孔1Aの中心を結ぶ仮想の直線に対して各燃焼室1Aの中心と直交する仮想の直線L上であって、各燃焼室1Aを挟んだ両側の位置にボルト孔8が形成されている。
また、上記各仮想の直線Lを挟んで、かつボルト孔8よりも内方側(燃焼室1A側)となる位置に各一対の水孔9が形成されている。
短手方向の一側(図1の上方側)のボルト孔8は、シリンダヘッドガスケット1の長手方向の一直線上に位置しており、短手方向の他側(図1の下方側)のボルト孔8も長手方向の一直線上に位置している。これと同様に、短手方向の一側及び他側の水孔9は、長手方向の一直線上に位置にしている。
また、メインとなるボルト孔10は、各燃焼室孔1Aを囲繞するように各燃焼室孔1Aの円周方向に沿った4箇所の位置に形成されており、全体としてメインとなる10個のボルト孔10が形成されている。
水孔9は、シリンダヘッドガスケット1(両ガスケット基板5、6と中間板7)の外方縁1Bよりも外方へ膨出させた張り出し部1Cに形成されている。各一対の水孔9は、ボルト孔8よりも内方側(燃焼室孔1A側)に位置している。なお、上記張り出し部1Cはあえて設けなくても良い。
【0009】
上記両ガスケット基板5、6は、同じ厚さ(例えば0.2mm程度)のSUS301やSUS304から製造されており、中間板7は厚さ0.08mm程度のSUS301やSUS304から製造されている。両ガスケット基板5、6及び中間板7は、それぞれシリンダヘッド2及びシリンダブロック3の接合面2A、3Aと一致する形状となっており、全域にわたって同じ板厚となっている。
両ガスケット基板5、6には、各燃焼室孔1A(5A、6A)を無端状に囲繞するフルビード5B、6Bが形成されている。これに対して、中間板7は全域が平坦に形成されている。
第1ガスケット基板5のフルビード5Bはシリンダブロック3に向けて下方へ膨出させてあり、他方、第2ガスケット基板6のフルビード6Bはシリンダヘッド2に向けて上方に膨出させて形成されている。つまり、中間板7を挟んで上下のフルビード5B、6Bが対称位置となり、かつ図1の平面図で見たときにそれらは重合する位置に形成されている。
完成後のシリンダヘッドガスケット1がシリンダブロック3とシリンダヘッド2との間に挟持された際には、第1ガスケット基板5のフルビード5Bが中間板7の表面に密着し、第2ガスケット基板6のフルビード6Bは中間板7の裏面に密着するようになっている。
【0010】
両ガスケット基板5、6における水孔9の位置には、各水孔9を無端状に囲繞するハーフビード5C、6Cが形成されており、メインとなる各ボルト孔10の位置には、各々を無端状に囲繞するハーフビード5D、6Dが形成されている。
第1ガスケット基板5のハーフビード5C、5Dは、その内方縁が外方縁よりも中間板7A側へ退没した断面形状となっており、他方、第2ガスケット基板6のハーフビード6C、6Dは、その内方縁が外方縁よりも中間板7A側へ立ち上がった断面形状となっている。なお、上記フルビード5B(6B)及びハーフビード5C(6C)、5D(6D)の構成は従来公知である。
また、中間板7の裏面には、その燃焼室孔7Aを囲繞して、環状のシム板11が溶接されている。シム板11の厚さは、中間板7の厚さと同じかそれよりも薄くなっている。
さらに、上記両ガスケット基板5、6の表面(上面)及び裏面(下面)は、フッ素、ニトリル系等のゴムからなるゴムコーティング12、13によって被覆されている。ゴムコーティング12、13の厚さは、0.007~0.030mm程度になっている。
このように、両ガスケット基板5、6の表裏両面はゴムコーティング12、13で被覆されているので、両ガスケット基板5、6とそれらの上下位置となる相手材との密着性とシール性を向上させることが可能となっている。
(【0011】以降は省略されています)

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