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公開番号2025010499
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-21
出願番号2024100435
出願日2024-06-21
発明の名称肌性状の評価方法
出願人株式会社 資生堂
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12Q 1/06 20060101AFI20250110BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】小じわの形成の予測を可能にする目元の肌性状を評価する方法を提供すること、さらにかかる評価方法に関わる機構に基づき、小じわの形成を予防し、肌理を整える化粧品の開発を目的とする。
【解決手段】弾性線維形成補助因子としてADAMTSL6を見出し、ADAMTSL6を指標とすることで、目元の肌性状を評価することが可能になる。また、ADAMTSL6を指標とした目元の肌性状改善剤のスクリーニング方法を提供し、併せて新規の肌性状改善剤を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量を指標とした、肌性状の評価方法。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記評価に、将来の小じわ形成が予測される、請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
ADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量を指標とした、肌性状改善剤のスクリーニング方法。
【請求項4】
候補成分を添加された培地で線維芽細胞を培養する工程、
候補成分添加培地で培養された培養物において、ADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量を測定する工程、及び
測定された遺伝子発現量を対照と比較して、ADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量が亢進された場合に、添加された候補成分を目元の肌性状改善剤として決定する工程、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対照が、候補成分未添加培地で培養された線維芽細胞培養物におけるADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量から決定された閾値である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記目元の肌性状改善剤が、ADAMTSL6発現促進剤、フィブリリン1線維形成促進剤、オキシタラン線維形成促進剤、小じわ改善剤、小じわ予防剤、及び肌理改善剤からなる群から選ばれる少なくとも1の剤として使用できる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ツバキ種子エキス、大豆エキス、リュウガン種子エキス、シストセイラタマリシホリアエキス、及びモモ種子エキスからなる群から選ばれる少なくとも1のエキスを含む、ADAMTSL6遺伝子の発現促進剤。
【請求項8】
請求項7に記載のADAMTSL6遺伝子の発現促進剤を含む、ミクロフィブリル形成促進剤。
【請求項9】
請求項7に記載のADAMTSL6遺伝子の発現促進剤を含む、オキシタラン線維およびエラウニン線維の形成促進剤。
【請求項10】
請求項7に記載のADAMTSL6遺伝子の発現促進剤を含む、目元の肌性状改善剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性線維形成を促進するADAMTSL6を指標とした肌性状の評価方法、並びにADAMTSL6を指標とした肌性状の改善剤のスクリーニング方法に関する。さらにかかるスクリーニング方法により選択された成分の利用にも関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
目元に形成される小じわは、ちりめんじわともよばれることがあり、皮膚の浅い層に形成されるしわである。小じわの原因として、水分保持機能の低下が挙げられ、乾燥、紫外線や加齢により、小じわの形成が促進される。また、小じわと肌理とは密接な関連があり(非特許文献1)、肌理が粗くなり、皮溝が深くなることにより小じわは形成する。皮膚表面の皮溝と皮丘により構成される網目状の模様を皮紋とよび、皮紋が細かく一様であると整った肌理とされる。肌理が整った角層では、水分保持機能が高くかつ柔らかく、小じわの発生が抑えられる。一方で、肌理が粗く大きくなり、そして皮溝が深くなることで小じわが形成される。肌理の形成には、真皮層における弾性線維がかかわっていることが示されている(特許文献1:特開2012-117827号公報)。特に表皮表面に対して垂直方向に存在する弾性線維は、表皮を裏打ちし、肌理の形成に直接かかわっていると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012-117827号公報
【非特許文献】
【0004】
Skin Research and Technology 2015; 21: 184-191
JBC Vol.285, No. 7 pp.4870-4882
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、小じわの形成の予測を可能にする肌性状を評価する方法を提供すること、さらにかかる評価方法に関わる機構に基づき、小じわの形成を予防し、肌理を整える化粧品の開発を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、真皮において肌性状に関わる因子の解明を試みるにあたり、加齢に伴いその存在量が顕著に変化する因子に着目し、弾性線維の形成にかかわる因子を探索したところ、オキシタラン線維やエラウニン線維と強く共局在するADAMTSL6という因子を見出した。本発明者らの更なる研究により、ADAMTSL6が、皮膚における弾性線維の形成にかかわることが示され、弾性線維形成補助因子としてADAMTSL6を見出した。そこで、本発明は、以下に関する:
[1] ADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量を指標とした、肌性状の評価方法。
[2] 前記評価に、将来の小じわ形成が予測される、項目1に記載の評価方法。
[3] ADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量を指標とした、肌性状改善剤のスクリーニング方法。
[4] 候補成分を添加された培地で線維芽細胞を培養する工程、
候補成分添加培地で培養された培養物において、ADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量を測定する工程、及び
測定された遺伝子発現量を対照と比較して、ADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量が亢進された場合に、添加された候補成分を肌性状改善剤として決定する工程、
を含む、項目3に記載の方法。
[5] 対照が、候補成分未添加培地で培養された線維芽細胞培養物におけるADAMTSL6の遺伝子発現量又はタンパク質量から決定された閾値である、項目4に記載の方法。
[6] 前記肌性状改善剤が、ADAMTSL6発現促進剤、フィブリリン1線維形成促進剤、オキシタラン線維形成促進剤、小じわ改善剤、小じわ予防剤、及び肌理改善剤からなる群から選ばれる少なくとも1の剤として使用できる、項目4又は5に記載の方法。
[7] ツバキ種子エキス、大豆エキス、リュウガン種子エキス、シストセイラタマリシホリアエキス、及びモモ種子エキスからなる群から選ばれる少なくとも1のエキスを含む、ADAMTSL6遺伝子の発現促進剤。
[8] 項目7に記載のADAMTSL6遺伝子の発現促進剤を含む、ミクロフィブリル形成促進剤。
[9] 項目7に記載のADAMTSL6遺伝子の発現促進剤を含む、オキシタラン線維の形成促進剤。
[10] 項目7に記載のADAMTSL6遺伝子の発現促進剤を含む、肌性状改善剤。
[11] ツバキ種子エキス、大豆エキス、リュウガン種子エキス、シストセイラタマリシホリアエキス、及びモモ種子エキスからなる群から選ばれる少なくとも1のエキスを含む、ミクロフィブリル形成促進剤。
【発明の効果】
【0007】
ADAMTSL6を指標とすることで、肌性状を評価することが可能になる。また、ADAMTSL6を指標とすることで、肌性状改善剤のスクリーニングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、加齢によるADAMTSL6タンパク質量の変化を示す蛍光顕微鏡写真である。非露光部である臀部(A)と、露光部である目元(B)における皮膚試料が用いられた。
図2は、ADAMTSL6と、フィブリリン1との局在、及びADAMTSL6とエラスチンの局在を示す蛍光顕微鏡写真である。
図3は、ADAMTSL6をノックアウトされた真皮線維芽細胞における、ADAMTSL6及びフィブリリン1の局在を示す蛍光顕微鏡写真である。
図4は、真皮線維芽細胞にツバキ種子エキス(A)、大豆エキス(B)、(C)リュウガン種子エキス、(D)シストセイラタマリシホリアエキス、(E)モモ種子エキスを添加した場合の、ATAMTSL6(THSD4)の遺伝子発現量の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ADAMTSL6を指標とした、肌性状の評価方法に関する。また、本発明は、ADAMTSL6を指標とした肌性状改善剤のスクリーニング方法にも関する。さらに、本発明は、かかるスクリーニング方法によりスクリーニングされた成分の利用にも関する。
【0010】
本発明により評価される肌性状は、小じわが生じる領域における肌性状であり、特に顔面などの露光部における肌性状である。小じわが生じる領域として、特に目元、例えば下瞼及び上瞼が挙げられ、これらの領域における肌性状が評価される。肌性状としては、ハリや肌理が挙げられ、又はハリと肌理が一体となった性状であってもよい。ハリは皮膚の弾力性及び水分保持機能が維持された状態を指し、ハリがある状態では小じわの形成が抑制される。また、肌理は表皮に現れる皮溝と皮丘により構成される構造であり、光の散乱をもたらし、透明感等に寄与する。目元の皮膚は薄く、目元のハリが失われて、乾燥すると小じわが生じる。小じわは、主に目元の表皮において生じるしわであり、目じりなどの深い真皮性のしわとはその形成機序が異なる。小じわは、皮溝と皮丘により構成される皮紋が粗くなり、皮溝が深くなることで形成されうる。皮溝と皮丘は、真皮層において基底膜に対し垂直方向に走る弾性線維が裏打ちすることで形成されており、基底膜に対し垂直方向に走る弾性線維が減少すると、目元のハリが失われ、小じわの発生につながる。目元のハリは、キュートメーターやダーマトルクメーターなどで測定することもでき、また肌理については、マイクロスコープを用いて測定することもできる。本発明により、弾性線維の形成を促進する因子であるADAMTSL6を指標とすることで皮膚組織の内部の観点から肌性状の評価が可能になる。これにより、将来の小じわ形成について予測が可能になる。
(【0011】以降は省略されています)

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