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公開番号
2025010255
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-20
出願番号
2024189174,2021544077
出願日
2024-10-28,2020-09-07
発明の名称
低温で高い油脂分解能力を有する新規微生物
出願人
国立大学法人東海国立大学機構
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
1/20 20060101AFI20250109BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】エステル分解能のある新たな微生物を提供すること。
【解決手段】一つの局面において、本開示は、油脂分解能のある新たな微生物の組み合わせを提供する。一つの実施形態では、本開示の微生物は、ヤロウィア(Yarrowia)属の酵母を含む。一つの実施形態では、本開示の微生物は、ヤロウィア リポリティカ(Yarrowia lipolytica)を含む。一つの実施形態では、本開示は、ブルクホルデリア細菌とヤロウィア酵母との組み合わせを提供する。一つの実施形態では、本開示の微生物を含む油分解剤を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ブルクホルデリア細菌を含む、リパーゼを生産するヤロウィア酵母とリパーゼを生産するブルクホルデリア細菌との組み合わせで油脂または脂肪酸を処理するための組成物。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
ヤロウィア酵母を含む、リパーゼを生産するヤロウィア酵母とリパーゼを生産するブルクホルデリア細菌との組み合わせで油脂または脂肪酸を処理するための組成物。
【請求項3】
ブルクホルデリア細菌およびヤロウィア酵母の組み合わせを含む油脂または脂肪酸処理のための組み合わせ物であって、該ブルクホルデリア細菌および該ヤロウィア酵母の両方がリパーゼを生産する、組み合わせ物。
【請求項4】
前記ヤロウィア酵母はヤロウィア リポリティカ(Yarrowia lipolytica)を含む、請求項
1~3
のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項5】
前記ブルクホルデリア細菌はブルクホルデリア属細菌を含む、請求項
1~4
のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項6】
前記ブルクホルデリア細菌はブルクホルデリア アルボリス(Burkholderia arboris)、ブルクホルデリア アンビファリア(Burkholderia ambifaria)、またはブルクホルデリア セパシア コンプレックス(Burkholderia cepacia complex)を含む、請求項
1~5
のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項7】
前記ブルクホルデリア細菌およびヤロウィア酵母の組み合わせが、各々の単独培養の油脂または脂肪酸分解能の値から計算される油脂または脂肪酸分解能よりも高い油脂または脂肪酸分解能を有する、請求項
1~6
のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項8】
前記ブルクホルデリア細菌の細胞数:前記ヤロウィア酵母の細胞数が、1:20~20:1である、請求項
1~7
のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項9】
前記ブルクホルデリア細菌および前記ヤロウィア酵母の少なくとも1つが15℃において脂肪酸を分解する能力を有する、請求項
1~8
のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項10】
前記ブルクホルデリア細菌は、ブルクホルデリア属細菌KH-1株(受託番号NITE BP-02731で特定される菌株)、KH-1AL1株(受託番号NITE BP-02977で特定される菌株)、KH-1AL2株(受託番号NITE BP-02978で特定される菌株)もしくはKH-1AL3株(受託番号NITE BP-02979で特定される菌株)、またはその誘導株である、請求項
1~9
のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、エステル(例えば、油脂)および/または脂肪酸分解能力を有する微生物およびその使用に関する。より特定すると、トランス脂肪酸含有油脂などの従来分解が困難な油脂を分解するヤロウィア酵母(例えば、ヤロウィア リポリティカ)に関する。また、本開示は、ブルクホルデリア細菌の油分解能力を向上させるヤロウィア酵母に関する。さらに、本開示は、油分解能力を有する微生物の組み合わせおよびその使用に関する。より特定すると、組み合わせにおける少なくとも1種の微生物単独より改善された油分解能を有する微生物の組み合わせに関する。また、本開示は、微生物の組み合わせによるリパーゼの発現増強に関する。より特定すると、ブルクホルデリア細菌とヤロウィア酵母との組み合わせに関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
食品工場や油脂工場の排水には多量の油分が含まれる。この油分は、活性汚泥による処理能力の低下、沈降性の低下による固液分離不全、膜分離活性汚泥法(MBR)における膜のファウリング、嫌気消化におけるメタン発酵阻害など、様々な生物処理機能の低下を引き起こす。そのため、油分高含有排水の生物処理の前段として、例えば加圧浮上分離装置などにより油分を除去することが行われている。また、外食産業の厨房排水も油分を多く含むため、油分を除くためのグリーストラップが設置されている。加圧浮上分離装置もグリーストラップのどちらも、悪臭や害虫の発生源であること、分離した油の回収・運搬と産業廃棄物処理にかかるコスト、管理や清掃等にかかる労苦やコストなどの問題を抱えている。このような問題を解決する手段として、微生物による油分解技術が検討され、関連する微生物製剤も複数、市販されているが、設定可能な滞留時間内で望まれるレベルまで、油分濃度を微生物分解により下げるのは極めて困難である。そのため、現状では、加圧浮上分離装置や従来のグリーストラップが用いられていることがほとんどである。
【0003】
また、生ゴミの発酵処理においても、油分が多い場合は、発酵阻害や消滅型処理機における排水中への油の高含有などの問題がある。また、加圧浮上分離装置やグリーストラップにより分離回収した油性汚泥は産業廃棄物となるため、その処理には大きなコストがかかる。そこで、これらの油分を微生物で分解することが検討されているが、やはり上述の排水処理と同様に、微生物の分解能力に限界があるのが実情である。
【0004】
微生物による油分除去では、以上のように分解速度が問題になるが、特に冬場の低温による活性低下が、微生物の適用を困難にしている場合が多い。特に冬場の低温では、微生物による油脂の分解速度は極めて遅く、特定の微生物により排水処理や廃棄物処理を行うことは不可能であると考えられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
喜田義一ら、日立化成テクニカルレポート:46号:49-54頁(2006)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究した結果、ユニークなエステラーゼ活性を有する新規微生物であるヤロウィア(属)に属する微生物を見出した。この微生物は、トランス脂肪酸含有油脂および/またはトランス脂肪酸を分解・資化できる局面も見出された。この微生物は、低温で油脂および/または脂肪酸を分解・資化できる局面も見出された。この微生物は、短鎖から長鎖までの脂肪酸およびそれらを含むエステル・油脂などを幅広く分解・資化できる局面も見出された。また、本発明者らは、ブルクホルデリア細菌の油分解能力を向上させるヤロウィア酵母を見出した。さらに、本発明者らは、強力に油脂および脂肪酸を分解するブルクホルデリア細菌とヤロウィア酵母との組み合わせを見出した。本開示は、本開示の微生物の組み合わせの応用、例えば油処理等にも関する。本開示は、本開示の微生物の応用、油分解能力を有する新たな微生物の組み合わせおよびこの組み合わせを用いた油分解方法を提供する。
【0007】
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目A1)
トランス脂肪酸を分解する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A2)
トランス脂肪酸を資化する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A3)
トランス脂肪酸含有油脂を分解する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A4)
トランス脂肪酸含有油脂を資化する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A5)
15℃においてエステル(例えば、油脂)および/または脂肪酸を分解する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A6)
15℃においてエステル(例えば、油脂)および/または脂肪酸を資化する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A7)
前記資化または分解する能力が15℃において保持される、上記項目のいずれか一項に記載のヤロウィア酵母。
(項目A8)
短鎖~中鎖脂肪酸(C2~C12)含有エステルを分解する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A9)
短鎖~長鎖脂肪酸(C2以上)含有油脂を分解する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A10)
長鎖脂肪酸(C13以上)の4-ニトロフェニルエステルよりも短鎖~中鎖脂肪酸(C2~C12)の4-ニトロフェニルエステルに対して高い分解活性を有し、かつ、長鎖脂肪酸(C13以上)のトリグリセリドを分解する能力を有する、ヤロウィア酵母。
(項目A11)
上記項目Aにおいて特定される2つ以上の特徴を有する、上記項目のいずれか一項に記載のヤロウィア酵母。
(項目A12)
ヤロウィア リポリティカ(Yarrowia lipolytica)である、上記項目のいずれか一項に記載の酵母。
(項目A13)
受託番号NITE BP-02732で特定されるヤロウィア酵母KH-2株であるか、またはその誘導株であって該誘導株は、上記項目Aのいずれか一項または複数に記載のヤロウィア酵母の特徴を有する、上記項目のいずれか一項に記載のヤロウィア酵母。
(項目A14)
上記項目のいずれか一項に記載のヤロウィア酵母を含む、油分解剤。
(項目A15)
さらなる油処理成分を含む、上記項目のいずれか一項に記載の油分解剤。
(項目A16)
(a)トランス脂肪酸を分解するため、
(b)トランス脂肪酸含有油脂を分解するため、
(c)15℃においてエステル(例えば、油脂)および/または脂肪酸を分解するため、
(d)短鎖~中鎖脂肪酸(C2~C12)含有エステルを分解するため、および
(e)短鎖~長鎖脂肪酸(C2以上)含有油脂を分解するため
からなる群より選択される少なくとも1つのための、上記項目のいずれか一項に記載のヤロウィア酵母または上記項目のいずれか一項に記載の油分解剤を含む、組成物。
(項目A17)
上記項目のいずれか一項に記載のヤロウィア酵母もしくは上記項目のいずれか一項に記載の油分解剤と、または上記項目のいずれか一項に記載の組成物と、さらなる油処理成分とを備える、エステル(例えば、油脂)分解のためのキット。
(項目A18)
上記項目のいずれか一項に記載のヤロウィア酵母、または上記項目のいずれか一項に記載の油分解剤、上記項目のいずれか一項に記載の組成物を処理対象に作用させることを包含する、エステル(例えば、油脂)分解除去方法。
(項目A19)
前記処理対象はトランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目A20)
(a)トランス脂肪酸を分解するステップ、
(b)トランス脂肪酸含有油脂を分解するステップ、
(c)15℃においてエステル(例えば、油脂)および/または脂肪酸を分解するステップ、
(d)短鎖~中鎖脂肪酸(C2~C12)含有エステルを分解するステップ、および
(e)短鎖~長鎖脂肪酸(C2以上)含有油脂を分解するステップ、
【0008】
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の微生物もしくは微生物の組み合わせおよびこれを提供する組成物または組み合わせ物は、迅速な油脂および/または脂肪酸分解を達成し得るので、油による環境汚染の浄化、生ごみ処理、コンポスト化処理、排水処理などの廃棄物処理および堆肥化など広範な状況に適用可能であり、広範囲の油濃度に対応可能であり、また、トランス脂肪酸および同脂肪酸含有油脂を分解し得るという点で、特に食品工場などから出される排水等に代表される油含有対象の処理が可能となる。
【0010】
本開示は分解が難しい油、すなわち油種の問題も解決することができる。本開示の微生物およびこれを含む組成物は、油への水素化工程で生じるトランス脂肪酸とその含有油脂を分解し得るものであり、特にそのような脂肪酸含有油脂を多く含むマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの、従来微生物で処理できなかったものでも処理し得るという効果を奏する。特に本開示の微生物およびこれを含む組成物は、排水処理や廃棄物処理の主役微生物となる酵母(微生物)として実用レベルで利用可能な、トランス脂肪酸分解を達成する効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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