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公開番号2025003255
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2023150765,2023102934
出願日2023-09-19,2023-06-23
発明の名称結合材として高炉スラグ微粉末を含む水硬化性硬化体の製造方法
出願人三和石産株式会社,鹿島建設株式会社
代理人個人,個人
主分類C04B 28/00 20060101AFI20241226BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】高炉スラグ微粉末を主たる結合材とし、CO2削減の効果が高く十分に高い強度が得られ、ブリーディング量が小さい水硬化性硬化体の製造方法を提供する。
【解決手段】以下の(A)~(C)の条件に従って高炉スラグ微粉末を第1の質量割合MR1stで、コンクリートスラッジ微粉末を第2の質量割合MR2ndで、ポルトランドセメントを第3の質量割合MR3rdとする結合材から水硬化性硬化体を得る。
(A)MR1stは、40%≦MR1st≦70%(B)MR2ndは、コンクリートスラッジ微粉末の比表面積が8000cm2/g以下のときは、10%≦MR2nd≦40%、かつMR2nd≦100%-MR1st、かつMR2nd≦MR1st、コンクリートスラッジ微粉末の比表面積が8000cm2/gより大きく10000cm2/g以下のときは、5%≦MR2nd≦30%(C)MR3rdは、MR3rd=100%-MR1st-MR2nd
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
高炉スラグ微粉末
とコンクリートスラッジ微粉末と必要に応じて配合
する
ポルトランドセメント
のみからなる
結合材と、骨材と、必要に応じて添加
する
混和剤と、混練水とから混練
する
水硬化性硬化体
の製造方法
であって、
前記コンクリートスラッジ微粉末は、残コンクリートまたは戻りコンクリートからなる未使用コンクリートに水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、
該スラリーから砂利、砂を分離・除去してスラッジ水を得る分離工程と、
湿式サイクロンにより前記スラッジ水から微砂分を分離・除去して濃縮スラッジ水を得る微砂分除去工程と、
該濃縮スラッジ水を脱水してスラッジケーキを得る脱水工程と、
該スラッジケーキを回転ドラムに入れて熱風を供給し破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程と、から製造
し、
前記結合材は、前記
高炉スラグ微粉末を
第1の質量割合MR1stで、前記コンクリートスラッジ微粉末

第2の質量割合MR2ndで、ポルトランドセメント

第3の質量割合MR3rdで
配合し、
(A)前記第1の質量割合MR1st

次式の範囲から選定
し、
40% ≦ MR1st ≦ 70%
(B)前記第2の質量割合MR2nd
を、
前記コンクリートスラッジ微粉末の比表面積が8000cm
2
/g以下のときは次式を満たすように選定
し、
10% ≦ MR2nd ≦ 40% かつ
MR2nd ≦ 100% - MR1st かつ
MR2nd ≦ MR1st
前記コンクリートスラッジ微粉末の比表面積が8000cm
2
/gより大きく10000cm
2
/g以下のときは次式の範囲から選定
し、
5% ≦ MR2nd ≦ 30%
(C)前記第3の質量割合MR3rd

、次式
MR3rd = 100% - MR1st - MR2nd
で決定
するようにし、
結合材として前記高炉スラグ微粉末を前記第1の質量割合MR1stとし、かつポルトランドセメントの質量割合を100% - MR1stとして配合して混練して基準配合の水硬化性硬化体を得るようにした場合、
前記水硬化性硬化体の材齢28日圧縮強度が前記基準配合の水硬化性硬化体の材齢28日圧縮強度の90%以上になっており、
かつ、前記水硬化性硬化体の硬化過程で生じるブリーディング量が前記基準配合の水硬化性硬化体の硬化過程で生じるブリーディング量の0.5倍以下であって0.3 cm
3
/cm
2
以下になっている、
水硬化性硬化体
の製造方法

続きを表示(約 260 文字)【請求項2】
前記結合材に対する前記混練水の割合である水結合材比

、60%以下
にする
、請求項1に記載の水硬化性硬化体
の製造方法

【請求項3】
前記第1の質量割合MR1stと前記第2の質量割合MR2ndと前記第3の質量割合MR3rd

、次式
MR1st + MR2nd > MR3rd
を満たすように選定
する
、請求項1または2に記載の水硬化性硬化体
の製造方法


発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、
高炉スラグ微粉末
を主たる結合材とする水硬化性硬化体
の製造方法
に関するものである。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、産業界において温室効果ガスの削減目標が設定され、建設業界においてもCO
2
の削減が急務になっている。コンクリートの原料であるポルトランドセメントは、製造時に多量のCO
2
を排出するので、必然的にコンクリートも多量のCO
2
を排出する製造物と見なされている。これに対して、結合材の一部に高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等の産業副産物を結合材に使用し製造したコンクリートは、CO
2
の排出量が少ない、いわゆる低炭素型コンクリートとして知られている。結合材に高炉スラグ微粉末を含む高炉セメントは、産業副産物とポルトランドセメントの混合比率によってA種、B種、C種が規定され、用途に応じて使い分けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6084431号公報
【0004】
特許文献1には、産業副産物の他に、残コンクリート、戻りコンクリート等の未使用コンクリートから回収したセメント分を含む粉末であるコンクリートスラッジ微粉末を結合材として使用する水硬化性硬化体が提案されている。コンクリートスラッジ微粉末は、次のようにして製造されている。すなわち、未使用コンクリートに水を加えてスラリーにし、このスラリーから砂利、砂を除去し、さらに湿式サイクロンによって微砂分を除去してスラッジ水を得る。次いで、スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得、この脱水ケーキを回転ドラムに入れて高温の空気を供給しながら破砕と乾燥とを同時に実施するようにする。破砕と乾燥とを同時に実施するので水和反応の進行を抑制して、未水和セメントの割合が多い粉末、つまりコンクリートスラッジ微粉末が得られる。特許文献1に記載の水硬化性硬化体は、コンクリートスラッジ微粉末を産業副産物より多量に配合するようにして、CO
2
の排出量を抑制している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
産業副産物を結合材として使用する高炉セメントからなる水硬化性硬化体は、高い強度を備えているし、CO
2
の排出量を抑制したコンクリートであり優れている。特に高炉セメントC種は産業副産物の使用の割合が高くCO
2
の排出量の抑制効果が高い。しかしながら、高炉セメントからなる水硬化性硬化体には解決すべき課題もある。具体的には打設時における水の浸み出し量、すなわちブリーディング量が大きいという課題である。産業副産物の割合が高いほどブリーディング量が大きくなる傾向がある。日本建築学会ではブリーディング量の上限を0.3cm
3
/ cm
2
と定めているが、コンクリートと鉄筋の付着強度の低下の原因になるので、できるだけブリーディング量を小さくしたい。
【0006】
特許文献1に記載の水硬化性硬化体は、ブリーディング量については不明であるが、必要な強度を確保しつつ、中性化に対する耐久性を確保することができる水硬化性硬化体になっている。未水和のセメント分を多く含み中性化抵抗性を有しているコンクリートスラッジ微粉末をできるだけ多く配合するように構成され、産業副産物の配合の割合はコンクリートスラッジ微粉末より小さくなっている。特許文献1に記載の水硬化性硬化体はこのように強度や中性化抵抗性の点ですぐれているが、若干の懸念も見受けられる。具体的には、特に高い強度が要求される用途に対して利用が可能か否か不明な点である。特許文献1に記載の水硬化性硬化体も得られる強度は設計基準強度である21 N/mm
2
または24N/mm
2
より大きい。つまり、一般的な用途であれば問題なく使用することができる。しかしながらポルトランドセメントに比して未水和セメント分の割合が少ないコンクリートスラッジ微粉末を産業副産物より多量に使用しているので、特に高い強度が要求される場合、利用がためらわれる。
【0007】
本発明は、
高炉スラグ微粉末
を主たる結合材として使用してCO
2
削減の効果が高く、十分に高い強度が得られる水硬化性硬化体でありながら、ブリーディング量が小さい水硬化性硬化体
の製造方法
を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
高炉スラグ微粉末
とコンクリートスラッジ微粉末と必要に応じて配合
する
ポルトランドセメントとを含む結合材と、骨材と、必要に応じて添加
する
混和剤と、混練水とから混練
する
水硬化性硬化体
の製造方法
として構成する。コンクリートスラッジ微粉末は残コンクリートまたは戻りコンクリートからなる未使用コンクリートに水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、該スラリーから砂利、砂を分離・除去してスラッジ水を得る分離工程と、湿式サイクロンによりスラッジ水から微砂分を分離・除去して濃縮スラッジ水を得る微砂分除去工程と、該濃縮スラッジ水を脱水してスラッジケーキを得る脱水工程と、該スラッジケーキを回転ドラムに入れて熱風を供給し破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程と、から製造する。本発明における結合材は、産業副産物が第1の質量割合MR1stで、コンクリートスラッジ微粉末が第2の質量割合MR2ndで、ポルトランドセメントが第3の質量割合MR3rdで構成される。第1の質量割合MR1stは次式の範囲から選定
する

40% ≦ MR1st ≦ 70%
第2の質量割合MR2ndは、コンクリートスラッジ微粉末の比表面積が8000cm
2
/g以下のときは次式を満たすように選定


10% ≦ MR2nd ≦ 40% かつ
MR2nd ≦ 100% - MR1st かつ
MR2nd ≦ MR1st
コンクリートスラッジ微粉末の比表面積が8000cm
2
/gより大きく10000cm
2
/g以下のときは次式の範囲から選定
する

5% ≦ MR2nd ≦ 30%
そして第3の質量割合MR3rdは、次式で決定
する

MR3rd = 100% - MR1st - MR2nd
そして、結合材として高炉スラグ微粉末を第1の質量割合MR1stとし、かつポルトランドセメントの質量割合を100% - MR1stとして配合して混練して基準配合の水硬化性硬化体を得るようにした場合、水硬化性硬化体の材齢28日圧縮強度が基準配合の水硬化性硬化体の材齢28日圧縮強度の90%以上になっており、かつ、水硬化性硬化体の硬化過程で生じるブリーディング量が基準配合の水硬化性硬化体の硬化過程で生じるブリーディング量の0.5倍以下であって0.3 cm
3
/cm
2
以下になっているように構成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る水硬化性硬化体
の製造方法
は、CO
2
削減の効果が高く、高い強度が得られ、ブリーディング量
が小さい水硬化性硬化体を得ることができる

【図面の簡単な説明】
【0010】
本実施の形態に係るコンクリートスラッジ微粉末の製造方法を示すフローチャートである。
本実施の形態に係る水硬化性硬化体についての結合材の質量割合の範囲を示しており、比表面積が8000cm
2
/g以下のコンクリートスラッジ微粉末を使用するときの高炉スラグ微粉末の質量割合とコンクリートスラッジ微粉末の質量割合の範囲を示すグラフである。
本実施の形態に係る水硬化性硬化体についての結合材の質量割合の範囲を示しており、比表面積が8000cm
2
/gより大きく10000cm
2
/g以下のコンクリートスラッジ微粉末を使用するときの高炉スラグ微粉末の質量割合とコンクリートスラッジ微粉末の質量割合の範囲を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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