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公開番号2025000579
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-07
出願番号2024095538
出願日2024-06-13
発明の名称繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物、成形品、および繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08L 101/00 20060101AFI20241224BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】繊維強化熱可塑性樹脂組成物のリサイクル時に強化繊維の折損を見かけ上再生して優れた機械特性を発現すると共に、成形性に優れた繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物を得ること。
【解決手段】
熱可塑性樹脂40~90重量%および強化繊維10~60重量%を配合してなる繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂が、工程端材および/または製品として使用後に回収された成形品に由来する熱可塑性樹脂を含有し、強化繊維が、扁平率が2.0未満である強化繊維Brと、扁平率が2.0以上である異形断面強化繊維Bfとを含有し、重量比Br/Bfが、0.2以上20.0以下であることを特徴とする繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)熱可塑性樹脂40~90重量%および(B)強化繊維10~60重量%を配合してなる繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物であって、(A)熱可塑性樹脂が、熱可塑性樹脂および強化繊維を配合してなる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の工程端材、ならびに該繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を製品として使用後に回収された成形品から選択される少なくともいずれかに由来する熱可塑性樹脂を含有し、(B)強化繊維が、扁平率が2.0未満である強化繊維Br(以下、強化繊維Brということがある)および扁平率が2.0以上である異形断面強化繊維Bf(以下、異形断面強化繊維Bfということがある)を含有し、繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物中に含まれる強化繊維Brと異形断面強化繊維Bfの重量比Br/Bfが、0.2以上20.0以下であることを特徴とする繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記(B)強化繊維の重量平均繊維長(Lw)と数平均繊維長(Ln)の比(Lw/Ln)が1.30以上、3.00以下であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)強化繊維の重量比Br/Bfが、5.0超、20.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)強化繊維が、ガラス繊維および炭素繊維から選択される少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、および液晶ポリエステルから選択される少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1または2記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1または2記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
【請求項7】
前記成形品の(B)強化繊維の重量平均繊維長(Lw)と数平均繊維長(Ln)の比(Lw/Ln)が1.30以上、3.00以下であることを特徴とする請求項6に記載の成形品。
【請求項8】
熱可塑性樹脂および強化繊維を配合してなる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の工程端材、ならびに該繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を製品として使用後に回収された成形品から選択される少なくともいずれかを破砕し、(X)成形品破砕物を得て、該(X)成形品破砕物、(Y)(X)成形品破砕物と実質的に同じ熱可塑性樹脂(以下、(Y)実質的に同じ熱可塑性樹脂ということがある)、および(Z)扁平率が2.0以上である異形断面強化繊維Bf(以下、(Z)異形断面強化繊維Bfということがある)を、混合することを特徴とする繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
(Y)実質的に同じ熱可塑性樹脂および(Z)異形断面強化繊維Bfを溶融混練し、(YZ)異形断面繊維強化熱可塑性樹脂組成物を得て、次いで該(YZ)異形断面繊維強化熱可塑性樹脂組成物および(X)成形品破砕物を混合することを特徴とする請求項8に記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記(X)成形品破砕物が、工程端材および/または製品として使用後に回収された成形品を破砕した後、さらに押出機で溶融混練して得られた成形品破砕物ペレットであることを特徴とする請求項8または9に記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックの再生利用に関するものであり、再生利用されていない繊維強化熱可塑性樹脂組成物と比較して機械特性の低下が極めて小さく、成形性に優れる繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、熱可塑性樹脂のリサイクル要求が高まっている。
【0003】
熱可塑性樹脂は、ガラス繊維や炭素繊維に代表される強化繊維を配合して繊維強化樹脂組成物として用いられるが、繊維強化樹脂組成物は成形および再生の工程で強化繊維が破損するため、再生利用した樹脂組成物(以下、再生材とする)は再生利用されていない樹脂組成物(以下、未使用材とする)に比べ機械特性が低下する課題があり、未使用材に再生材を10~20%程度混合してリサイクルすることが一般的であった。
【0004】
これらの問題に対し、繊維強化樹脂組成物の再生材の強度向上手法として、リサイクル樹脂組成物の成形において発生する回収成形物の粉砕品をペレット化せずに、原料樹脂および樹脂用添加剤とを含む混合物とし、溶融混練したリサイクル樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、特定の重量平均分子量の熱可塑性樹脂や、長繊維強化熱可塑性樹脂組成物を混合することで、リサイクル樹脂組成物の強度を向上する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2001-26719号公報
国際公開第2023/2903号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された製造方法は、回収成形物の熱履歴を減らす手法であり、リサイクル樹脂組成物のガラス繊維が更に折損することは抑制できるが、既にガラス繊維が折損して機械特性が低下したものを再生する技術とは言いがたい。また、特許文献2は異形断面強化繊維による特性回復効果に関する記載はない。本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物のリサイクル時に強化繊維の折損を見かけ上再生して優れた機械特性を発現すると共に、成形性に優れる繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂および強化繊維を配合してなるリサイクル材に、特定の異形断面強化繊維を混合することで、上記課題が解消されることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
1.(A)熱可塑性樹脂40~90重量%および(B)強化繊維10~60重量%を配合してなる繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物であって、(A)熱可塑性樹脂が、熱可塑性樹脂および強化繊維を配合してなる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の工程端材、ならびに該繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を製品として使用後に回収された成形品から選択される少なくともいずれかに由来する熱可塑性樹脂を含有し、(B)強化繊維が、扁平率が2.0未満である強化繊維Br(以下、強化繊維Brということがある)および扁平率が2.0以上である異形断面強化繊維Bf(以下、異形断面強化繊維Bfということがある)を含有し、繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物中に含まれる強化繊維Brと異形断面強化繊維Bfの重量比Br/Bfが、0.2以上20.0以下であることを特徴とする繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物、
2.前記(B)強化繊維の重量平均繊維長(Lw)と数平均繊維長(Ln)の比(Lw/Ln)が1.30以上、3.00以下であることを特徴とする1項に記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物、
3.前記(B)強化繊維の重量比Br/Bfが、5.0超、20.0以下であることを特徴とする1または2項に記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物、
4.前記(B)強化繊維が、ガラス繊維および炭素繊維から選択される少なくともいずれかであることを特徴とする1~3項のいずれかに記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物、
5.前記(A)熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、および液晶ポリエステルから選択される少なくともいずれかを含むことを特徴とする1~4項のいずれかに記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物、
6.1~5項のいずれかに記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物からなる成形品、
7.前記成形品の(B)強化繊維の重量平均繊維長(Lw)と数平均繊維長(Ln)の比(Lw/Ln)が1.30以上、3.00以下であることを特徴とする6項に記載の成形品、
8.熱可塑性樹脂および強化繊維を配合してなる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の工程端材、ならびに該繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を製品として使用後に回収された成形品から選択される少なくともいずれかを破砕し、(X)成形品破砕物を得て、該(X)成形品破砕物、(Y)(X)成形品破砕物と実質的に同じ熱可塑性樹脂(以下、(Y)実質的に同じ熱可塑性樹脂ということがある)、および(Z)扁平率が2.0以上である異形断面強化繊維Bf(以下、(Z)異形断面強化繊維Bfということがある)を、混合することを特徴とする繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
9.(Y)実質的に同じ熱可塑性樹脂および(Z)異形断面強化繊維Bfを溶融混練し、(YZ)異形断面繊維強化熱可塑性樹脂組成物を得て、次いで該(YZ)異形断面繊維強化熱可塑性樹脂組成物および(X)成形品破砕物を混合することを特徴とする8項に記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
10.前記(X)成形品破砕物が、工程端材および/または製品として使用後に回収された成形品を破砕した後、さらに押出機で溶融混練して得られた成形品破砕物ペレットであることを特徴とする8または9項に記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
11.前記(X)成形品破砕物を構成する強化繊維および/または(Z)異形断面強化繊維Bfが、ガラス繊維および炭素繊維から選択される少なくともいずれかであることを特徴とする8~10項のいずれかに記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
12.前記熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、および液晶ポリエステルから選択される少なくともいずれかを含むことを特徴とする8~11項のいずれかに記載の繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法により得られる繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物は、リサイクル後であっても、未使用材を使用した場合と同等の機械的強度、成形加工性を保持しつつ、射出成形用途などの広範な分野での利用が可能となる。これらの特性を有する繊維強化再生熱可塑性樹脂組成物は、サーキュラーエコノミーの実現に貢献する材料となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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