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公開番号2025004816
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-16
出願番号2023104657
出願日2023-06-27
発明の名称電池保護用成形体および電池の保護方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08L 101/00 20060101AFI20250108BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】
本発明は、電池の熱暴走を抑制し、安全化を図るため、優れた圧縮クリープ性を有し、高温時に厚み方向に膨張することにより熱の伝搬を抑制できる電池保護用成形体を提供することを課題とする。
【解決手段】
熱可塑性樹脂組成物からなる電池保護用成形体であって、前記熱可塑性樹脂組成物が、ガラス転移点または融点のいずれか高い方が150℃以上300℃以下の熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、膨張剤(B)0.01重量部以上30重量部以下を配合してなる電池保護用成形体。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
熱可塑性樹脂組成物からなる電池保護用成形体であって、前記熱可塑性樹脂組成物が、ガラス転移点または融点のいずれか高い方が150℃以上300℃以下の熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、膨張剤(B)0.01重量部以上30重量部以下を配合してなる電池保護用成形体。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
380℃の高温環境下で5分加熱処理した時の厚み方向の膨張率が1.3以上である請求項1に記載の電池保護用成形体。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂(A)がポリブチレンテレフタレート樹脂であり、前記膨張剤(B)がエチレン、フルオロエチレン、スチレン、およびアクリルから選ばれる少なくとも1つの単量体に由来する構成単位を含む重合体からなる溶融張力付与剤(B1)である請求項1または2に記載の電池保護用成形体。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂(A)がポリブチレンテレフタレート樹脂であり、前記膨張剤(B)が脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、含窒素複素環化合物、シアン化合物、脂肪族アミド化合物、芳香族アミド化合物、尿素およびチオ尿素から選択される少なくともいずれかである窒素系発泡剤(B2)である請求項1または2に記載の電池保護用成形体。
【請求項5】
前記膨張剤(B)がポリテトラフルオロエチレンまたはその共重合体である請求項1または2に記載の電池保護用成形体。
【請求項6】
前記膨張剤(B)がポリメタクリル酸メチルまたはその共重合体である請求項1または2に記載の電池保護用成形体。
【請求項7】
前記膨張剤(B)がメラミンシアヌレートである請求項1または2に記載の電池保護用成形体。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂組成物が前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対してさらに熱安定剤(C)0.01~1重量部を配合してなる請求項1または2に記載の電池保護用成形体。
【請求項9】
請求項1または2に記載の電池保護用成形体を電池の周囲に配置し、200℃以上400℃以下の高温環境下において成形体の厚みが1.3~10倍に膨張することで熱の伝搬を抑制する、電池の保護方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電池保護用成形体に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池に代表される各種電池は、内部短絡等が原因により電池が熱暴走し、発火や発煙等の不具合を生じることがある。近年、自動車用電池や家庭用蓄電池などでは高性能化に伴いより複数のバッテリーを高密度に搭載させ、高容量化や高出力化させる傾向にあり、それに伴い電池への負荷が高まり、電池の熱暴走の危険性が高まっており、安全対策の重要性が増している。
【0003】
電池の熱暴走に対する安全対策の具体例として、所定の温度で発泡する発泡層を有する絶縁層が、電池の異常発熱時に厚みを増大することにより、接触している接続板が切り離され、該電池と外部機器との間で流れる電流を遮断するように設けられる電流遮断機(特許文献1)や、電池用の包装材料において樹脂と特定の吸熱剤を含有させ、吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量を所定値以上とし、吸熱することで熱暴走を抑制し、また、熱暴走が起こっても容器の表面温度が上昇しにくい包装材料(特許文献2)、異常が生じた電池から発生した熱による隣接した電池の劣化を抑制するために、樹脂の母材にフィラーを含有する樹脂材料により構成され、吸熱量に基づいてフィラーの含有率の下限を規定した樹脂材料からなる電池ホルダーを備えた電池モジュール(特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2000-197260号公報
特開2020-158159号公報
国際公開第2017/125985号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明にて提案されている電流遮断機では、遮断温度が100℃程度と低く、また圧縮クリープ性も低いため、高出力化した電池の安全対策としては信頼性が不足していた。
【0006】
また特許文献2に開示される発明にて提案されている包装材料は、電池の運搬用の部材であり、製品に直接組み込む保護部品としては、圧縮クリープ性が低く、熱伝搬防止性も不十分であるという課題があった。
【0007】
また特許文献3に開示された発明にて提案されている電池ホルダーでは、配合するフィラーにより樹脂材料の熱伝導率が上がってしまうため、熱伝搬防止性が不十分であり、また熱硬化樹脂を母材とし成形時に硬化処理が必要なため生産性が低いという課題があった。
【0008】
本発明は、電池の熱暴走を抑制するため、優れた圧縮クリープ性を有し、さらに高温時に膨張することで優れた熱伝搬防止性を発現する電池保護用成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記した課題を解決するために検討を重ねた結果、特定の熱可塑性樹脂に特定の膨張剤を配合した成形体を電池保護部品とし、特定の温度環境でその成形体の厚みを増加させることによって、上記した課題を解決できることを見出し、本発明に達した。すなわち本発明は、以下の構成を有する。
[1]熱可塑性樹脂組成物からなる電池保護用成形体であって、前記熱可塑性樹脂組成物が、ガラス転移点または融点のいずれか高い方が150℃以上300℃以下の熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、膨張剤(B)0.01重量部以上30重量部以下を配合してなる電池保護用成形体。
[2]380℃の高温環境下で5分加熱処理した時の厚み方向の膨張率が1.3以上である[1]に記載の電池保護用成形体。
[3]前記熱可塑性樹脂(A)がポリブチレンテレフタレート樹脂であり、前記膨張剤(B)がエチレン、フルオロエチレン、スチレン、およびアクリルから選ばれる少なくとも1つの単量体に由来する構成単位を含む重合体からなる溶融張力付与剤(B1)である[1]または[2]に記載の電池保護用成形体。
[4]前記熱可塑性樹脂(A)がポリブチレンテレフタレート樹脂であり、前記膨張剤(B)が脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、含窒素複素環化合物、シアン化合物、脂肪族アミド化合物、芳香族アミド化合物、尿素およびチオ尿素から選択される少なくともいずれかである窒素系発泡剤(B2)である[1]~[3]のいずれかに記載の電池保護用成形体。
[5]前記膨張剤(B)がポリテトラフルオロエチレンまたはその共重合体である[1]~[3]のいずれかに記載の電池保護用成形体。
[6]前記膨張剤(B)がポリメタクリル酸メチルまたはその共重合体である[1]~[3]のいずれかに記載の電池保護用成形体。
[7]前記膨張剤(B)がメラミンシアヌレートである[1]、[2]、または[4]のいずれかに記載の電池保護用成形体。
[8]前記熱可塑性樹脂組成物が熱可塑性樹脂(A)100重量部に対してさらに熱安定剤(C)0.01~1重量部を配合してなる[1]~[7]のいずれかに記載の電池保護用成形体。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の電池保護用成形体を電池の周囲に配置し、200℃以上400℃以下の高温環境下において成形体の厚みが1.3~10倍に膨張することで熱の伝搬を抑制する、電池の保護方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた圧縮クリープ性を有し、高温時に厚み方向に膨張することにより熱の伝搬を抑制できる電池保護用成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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