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公開番号
2025044580
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-02
出願番号
2023152242
出願日
2023-09-20
発明の名称
二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム、積層体、回路基板、二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの製造方法、および積層体の製造方法
出願人
APC株式会社
,
東レ株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C08J
7/00 20060101AFI20250326BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】誘電特性に優れる樹脂フィルムと平滑な銅箔を、接着剤を用いずとも強い密着力となるように貼り合わせ、伝送損失が小さい積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも一方の表面を、飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析したときに得られる負二次イオンのうち、質量mと電荷数zの比率m/zがそれぞれ79.96、96.96、155.99であるフラグメントのピーク強度の合計値Fpと、前記比率m/zがそれぞれ139.98、216.00であるフラグメントのピーク強度の合計値Fsとの比率Fp/Fsが1.0以上10.0以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。また、これを用いた積層体および回路基板、ならびにこれらの製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも一方の表面を、飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析したときに得られる負二次イオンのうち、質量mと電荷数zの比率m/zがそれぞれ79.96、96.96、155.99であるフラグメントのピーク強度の合計値Fpと、前記比率m/zがそれぞれ139.98、216.00であるフラグメントのピーク強度の合計値Fsとの比率Fp/Fsが1.0以上10.0以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
続きを表示(約 980 文字)
【請求項2】
少なくとも一方の表面を、X線光電子分光法(XPS)で分析したときに得られる酸素と炭素の原子数比率O/Cが0.1以上0.3以下である、請求項1に記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
【請求項3】
少なくとも一方の表面の十点平均粗さRzJISが0.05μm以上3.0μm以下である、請求項1または2に記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
【請求項4】
融点が260℃以上である、請求項1または2に記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
【請求項5】
10GHzの周波数における比誘電率が3.2以下である、請求項1または2に記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
【請求項6】
二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に金属箔を接合した積層体であって、前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムから剥離した金属箔の前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムに接していた面(α面)を飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析したときに付着樹脂と金属の界面で得られる負二次金属イオンのうち、質量mと電荷数zの比率m/zがそれぞれ79.96、96.96、155.99であるフラグメントのピーク強度の合計値Fpと、前記比率m/zがそれぞれ139.98、216.00であるフラグメントのピーク強度の合計値Fsの比率Fp/Fsが1.0以上10.0以下であることを特徴とする積層体。
【請求項7】
前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムと前記金属箔が4N/cm以上の密着力で密着している、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの融点が260℃以上である、請求項6または7に記載の積層体。
【請求項9】
前記金属箔の主成分が銅である、請求項6または7に記載の積層体。
【請求項10】
前記金属箔の表面の十点平均粗さRzJISが0.05μm以上2.0μm以下である、請求項6または7に記載の積層体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板用途、回路材料用途等に好適に用いることができる二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム、積層体、回路基板、二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの製造方法、および積層体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
通信技術、情報処理技術の発達に伴って、情報通信分野で扱われる電気信号は、高速化・大容量化している。通信の高速化・大容量化を達成するために電気信号は高周波化が進行しているが、高周波の電気信号は伝送損失が大きくなりやすいため、高周波に対応した回路基板が求められている。伝送損失は誘電体損失と導体損失に分離でき、それぞれの損失低減が必要となる。
【0003】
誘電体損失は、通信する周波数に比例し、高周波になるほどその影響を受けやすいため、高周波通信では特に重要な要素となる。誘電体損失は、基板の誘電体層に起因するもので、誘電体層の比誘電率と誘電正接が小さい方が小さくなる。そこで、高周波対応の基板に適する材料として、比誘電率と誘電正接が小さい樹脂が注目されており、液晶ポリマーを主成分とするベースフィルムに、平均比誘電率と平均誘電正接の小さい接着剤を使用して銅箔を貼り合わせたプリント配線板用原板が開示されている(特許文献1)。さらに、接着剤を用いずに銅箔をフィルムに直接熱圧した配線基板や積層体(特許文献2、3)も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-110193号公報
特開2006-179609号公報
特開2020-199707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、誘電体損失を小さく抑えるために、比誘電率や誘電正接が小さい液晶ポリマーを使用している。接着剤についても比誘電率、平均誘電正接を小さく抑えているが、接着剤の硬化具合によって誘電特性が悪化したり、吸湿によって特性が変化したりする課題があった。また、接着剤の面内厚みムラや、接着剤積層によって発生する層間応力差に起因する変形等で、安定したインピーダンスを得られないなど、安定した特性を得るには十分ではない。
【0006】
特許文献2では、接着剤のない積層体を実現しているものの、ポリマー層と金属箔との密着力を確保するため、ポリマー層や金属箔の表面を粗面化している。高周波通信では、電気信号は導体の表面に集中する表皮効果の影響が大きいため、粗面化した導体では実質的な伝送経路長が長くなり、導体損失が大きくなる問題があった。
【0007】
特許文献3では、接着剤を使用せずに平滑な面で密着力を確保する積層体を開示しているが、密着性が十分ではなく、線路となる細線をエッチングで加工するには剥離しやすく、細い線路の加工が困難であったり、歩留まりが悪くなったりする問題がある。
【0008】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、誘電特性に優れる樹脂フィルムと平滑な銅箔を、接着剤を用いずとも強い密着力となるように貼り合わせ、伝送損失が小さい積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい態様は以下の通りである。
(1)少なくとも一方の表面を、飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析したときに得られる負二次イオンのうち、質量mと電荷数zの比率m/zがそれぞれ79.96、96.96、155.99であるフラグメントのピーク強度の合計値Fpと、前記比率m/zがそれぞれ139.98、216.00であるフラグメントのピーク強度の合計値Fsとの比率Fp/Fsが1.0以上10.0以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
(2)少なくとも一方の表面を、X線光電子分光法(XPS)で分析したときに得られる酸素と炭素の原子数比率O/Cが0.1以上0.3以下である、(1)に記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
(3)少なくとも一方の表面の十点平均粗さRzJISが0.05μm以上3.0μm以下である、(1)または(2)に記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
(4)融点が260℃以上である、(1)から(3)のいずれかに記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
(5)10GHzの周波数における比誘電率が3.2以下である、(1)から(4)のいずれかに記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルム。
(6)二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に金属箔を接合した積層体であって、前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムから剥離した金属箔の前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムに接していた面(α面)を飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析したときに付着樹脂と金属の界面で得られる負二次金属イオンのうち、質量mと電荷数zの比率m/zがそれぞれ79.96、96.96、155.99であるフラグメントのピーク強度の合計値Fpと、前記比率m/zがそれぞれ139.98、216.00であるフラグメントのピーク強度の合計値Fsの比率Fp/Fsが1.0以上10.0以下であることを特徴とする積層体。
(7)前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムと前記金属箔が4N/cm以上の密着力で密着している、(6)に記載の積層体。
(8)前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの融点が260℃以上である、(6)または(7)に記載の積層体。
(9)前記金属箔の主成分が銅である、(6)から(8)のいずれかに記載の積層体。
(10)前記金属箔の表面の十点平均粗さRzJISが0.05μm以上2.0μm以下である、(6)から(9)のいずれかに記載の積層体。
(11)前記積層体を線路長10cm、インピーダンス50Ωのマイクロストリップラインに加工して測定した高周波回路特性において、6GHzの周波数におけるインサーションロスが2dB未満である、(6)から(10)のいずれかに記載の積層体。
(12)(6)から(11)のいずれかに記載の積層体を用いてなる回路基板。
(13)少なくとも一方の表面を、飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析したときに得られる負二次イオンのうち、質量mと電荷数zの比率m/zがそれぞれ79.96、96.96、155.99であるフラグメントのピーク強度の合計値Fpと、前記比率m/zがそれぞれ139.98、216.00であるフラグメントのピーク強度の合計値Fsの比率Fp/Fsが1.0以上10.0以下である二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの製造方法であって、二軸延伸されたポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムに含酸素ガス雰囲気下で真空プラズマ処理を施すプラズマ処理工程を含むことを特徴とする二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの製造方法。
(14)二軸延伸されたポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムに含酸素ガス雰囲気下で真空プラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、
前記真空プラズマ処理した二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの表面と金属箔を重ね合わせて加熱および加圧して接合する接合工程とを含む積層体の製造方法であって、
前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムから剥離した金属箔の前記二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムに接していた面(α面)を飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析したときに付着樹脂と金属の界面で得られる負二次金属イオンのうち、質量mと電荷数zの比率m/zがそれぞれ79.96、96.96、155.99であるフラグメントのピーク強度の合計値Fpと、前記比率m/zがそれぞれ139.98、216.00であるフラグメントのピーク強度の合計値Fsの比率Fp/Fsが1.0以上10.0以下であることを特徴とする積層体の製造方法。
(15)二軸延伸されたポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムに含酸素ガス雰囲気下で真空プラズマ処理を施すプラズマ処理工程と、
前記真空プラズマ処理した二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂フィルムの表面と金属箔を重ね合わせて加熱および加圧して接合する工程とを含む積層体の製造方法であって、
前記積層体を線路長10cm、インピーダンス50Ωのマイクロストリップラインに加工して測定した高周波回路特性において、6GHzの周波数におけるインサーションロスが2dB未満であることを特徴とする積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、平滑な金属箔とフィルムの直接接合で強い密着力を実現した積層体を得ることができ、損失が小さく特性に優れた回路基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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