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公開番号2024180466
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-26
出願番号2024177087,2021549297
出願日2024-10-09,2021-08-05
発明の名称透明導電性フィルム
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類B32B 9/00 20060101AFI20241219BHJP(積層体)
要約【課題】タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性、ペン重加圧耐久性、高精細性に優れた透明導電性フィルムを提供する。
【解決手段】インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶粒径が10~100nmであり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶化度が20~80%であり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が、酸化スズを0.5~10質量%含み、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の厚みが、10~30nmであり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の三次元表面粗さSRaをXとした場合、Xが1~100nmであり、さらに透明プラスチックフィルム基材上の透明導電膜側とは反対面の三次元表面粗さSRaをYとした場合、(X3+Y3)1/3が、140nm以下である透明導電性フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶粒径が10~100nmであり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶化度が20~80%であり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が、酸化スズを0.5~10質量%含み、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の厚みが、10~30nmであり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の三次元表面粗さSRaをXとした場合、Xが1~100nmであり、さらに透明プラスチックフィルム基材上の透明導電膜側とは反対面の三次元表面粗さSRaをYとした場合、(X

+Y


1/3
が、140nm以下である透明導電性フィルム。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
透明導電膜の表面において付着性試験(JIS K5600-5-6:1999)を実施しても透明導電膜が剥離せず、 透明導電性フィルムのインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜側において耐屈曲性試験(JIS K5600-5-1:1999)をし、10倍のルーペで屈曲部を観察した時に割れや剥れが起こるマンドレル直径が20mmより小さい請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項3】
透明導電性フィルムの厚みが100~250μmである請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム
【請求項4】
インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜と透明プラスチックフィルム基材の間に硬化型樹脂層を有する請求項1~3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、透明プラスチックフィルム基材上に結晶性のインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜を積層した透明導電性フィルム、特に、抵抗膜式タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性、ペン重加圧耐久性、高精細性に優れる透明導電性フィルムに関するものである。
続きを表示(約 4,800 文字)【背景技術】
【0002】
透明プラスチック基材上に、透明でかつ抵抗の小さい薄膜を積層した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のようなフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極等として、電気・電子分野の用途に広く使用されている。
【0003】
抵抗膜式タッチパネルは、ガラスやプラスチックの基板に透明導電性薄膜をコーティングした固定電極と、プラスチックフィルムに透明導電性薄膜をコーティングした可動電極(=フィルム電極)を組み合わせたものであり、表示体の上側に重ね合わせて使用されている。指やペンでフィルム電極を押して、固定電極とフィルム電極の透明導性薄膜同士を接触させることが、タッチパネルの位置認識のための入力となる。指と比較して、ペンはタッチパネルにかかる力が強くなることが多い。タッチパネルにペンで入力し続けると、フィルム電極側の透明導電性薄膜にクラック、剥離、摩耗等の破壊が生じることがある。また、タッチパネルをペンで激しく叩いたり、非常に強い力でペン入力するなど、通常使用想定以上の強い力をタッチパネルに加えると、透明導電性薄膜にクラック、剥離等の破壊が生じることがある。これらの問題を解決するために、優れたペン摺動耐久性と優れたペン重加圧耐久性を両立する透明導電性フィルムが要望されている。さらに、タッチパネルの映像について高精細であることも求められている。
【0004】
ペン摺動耐久性を向上させる手段として、フィルム電極側の透明導電性薄膜を結晶性にする方法がある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来の透明導電性フィルムは、インジウム-スズ複合酸化物の結晶性を制御することでペン摺動耐久性に優れた透明導電性フィルムを実現している。しかし、従来の透明導電性フィルムは、後述のペン重加圧耐久性試験を実施すると、不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004-071171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、タッチパネルに用いた際のペン摺動耐久性に優れるとともにペン重加圧耐久性にも優れ、さらに高精細な映像を提供可能とする透明導電性フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決することができた本発明の透明導電性フィルムとは、以下の構成よりなる。
1. 透明プラスチックフィルム基材上の一方の面にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、以下のペン摺動耐久性試験による透明導電フィルムの透明導電膜のON抵抗が10kΩ以下であり、さらに以下のペン重加圧試験による透明導電フィルムの透明導電膜の表面抵抗値の増加率が1.5以下であり、さらにクシ幅0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmでの透明導電性フィルムの透過像鮮明度の総和が250%以上500%未満である透明導電性フィルム。
(ペン摺動耐久性試験方法)
本発明に係る透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜を用いる。前記2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して配置し、厚みが170μmの両面テープでフィルム側のパネル板とガラス側のパネル板を貼り付けて、タッチパネルを作製する。次にポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、18万往復の直線摺動試験をタッチパネルに行う。この試験において、本発明に係る透明導電性フィルム面に対してペンの荷重を印加する。
この時の摺動距離は30mm、摺動速度は180mm/秒とする。この摺動耐久性試験後に、ペン荷重0.8Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定する。
(ペン重加圧試験方法)
50mm×50mmにカットした、本発明に係る透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜を用いる。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して配置し、厚みが120μmとなるように調整した両面テープでフィルム側のパネル板とガラス側のパネル板を貼り付けて、タッチパネルを作製した。両面テープの端から2.0mmの位置をポリアセタール製のペン(先端の形状0.8mmR)で35Nの荷重をかけ、両面テープと平行に10回(往復5回)の直線摺動を実施する。この試験において、本発明に係る透明導電性フィルム面に対してペンの荷重を印加する。このときの摺動距離は30mm、摺動速度は20mm/秒とする。エポキシビーズがない位置で摺動を行う。摺動後に、透明導電性フィルムを取り外して、摺動部の任意の5か所の表面抵抗(4端子法)を測定し、平均値を出す。表面抵抗を測定するときは、摺動部と垂直になる方向に4端子を並べ、2端子目と3端子目の間に摺動部が来るようにする。摺動部の表面抵抗値の平均値を未摺動部の表面抵抗値(4端子法で測定)で除して、表面抵抗値の増加率を算出する。
2. インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶粒径が10~100nmであり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の結晶化度が20~80%であり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が、酸化スズを0.5~10質量%含み、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の厚みが、10~30nmであり、インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜の三次元表面粗さSRaをXとした場合、Xが1~100nmであり、さらに透明プラスチックフィルム基材上の透明導電膜側とは反対面の三次元表面粗さSRaをYとした場合、(X

+Y


1/3
が、140nm以下である上記第1に記載の透明導電性フィルム。
3. 透明導電膜の表面において付着性試験(JIS K5600-5-6:1999)を実施しても透明導電膜が剥離せず、 透明導電性フィルムのインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜側において耐屈曲性試験(JIS K5600-5-1:1999)をし、10倍のルーペで屈曲部を観察した時に割れや剥れが起こるマンドレル直径が20mmより小さい上記第1又は第2に記載の透明導電性フィルム。
4. 透明導電性フィルムの厚みが100~250μmである上記第1~第3のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
5. インジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜と透明プラスチックフィルム基材の間に硬化型樹脂層を有する上記第1~第4のいずれかに記載の透明導電性フィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れたペン摺動耐久性および優れたペン重加圧耐久性を併せ持ち、さらに高精細な映像を提供可能とする透明導電性フィルムの提供が可能となる。得られた透明導電性フィルムは、抵抗膜式タッチパネル等の用途に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明における結晶粒の最長部の一例(その1)を示す模式図である。
本発明における結晶粒の最長部の他の一例(その2)を示す模式図である。
本発明における結晶粒の最長部の他の一例(その3)を示す模式図である。
本発明における結晶粒の最長部の他の一例(その4)を示す模式図である。
本発明において好適に使用されるスパッタリング装置の一例のセンターロールの位置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の透明導電性フィルムは、透明プラスチックフィルム基材上の一方の面にインジウム-スズ複合酸化物の透明導電膜が積層された透明導電性フィルムであって、以下のペン摺動耐久性試験による透明導電フィルムの透明導電膜のON抵抗が10kΩ以下であり、さらに以下のペン重加圧試験による透明導電フィルムの透明導電膜の表面抵抗値の増加率が1.5以下であり、さらにクシ幅0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mm、2.0mmでの透明導電性フィルムの透過像鮮明度の総和が250%以上500%未満であることが好ましい。
(ペン摺動耐久性試験)
本発明に係る透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して配置し、厚みが170μmの両面テープでフィルム側のパネル板とガラス側のパネル板を貼り付けて、タッチパネルを作製した。次にポリアセタール製のペン(先端の形状:0.8mmR)に2.5Nの荷重をかけ、18万往復の直線摺動試験をタッチパネルに行った。この試験において、本発明に係る透明導電性フィルム面に対してペンの荷重を印加する。この時の摺動距離は30mm、摺動速度は180mm/秒とした。この摺動耐久性試験後に、ペン荷重0.8Nで摺動部を押さえた際の、ON抵抗(可動電極(フィルム電極)と固定電極とが接触した時の抵抗値)を測定した。
(ペン重加圧試験)
本発明に係る透明導電性フィルムを50mm×50mmにカットした透明導電性フィルムを一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上にスパッタリング法で厚みが20nmのインジウム-スズ複合酸化物薄膜(酸化スズ含有量:10質量%)からなる透明導電性薄膜を用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して配置し、厚みが120μmとなるように調整した両面テープでフィルム側のパネル板とガラス側のパネル板を貼り付けて、タッチパネルを作製した。両面テープの端から2.0mmの位置をポリアセタール製のペン(先端の形状0.8mmR)で35Nの荷重をかけ、両面テープと平行に10回(往復5回)の直線摺動を実施する。この試験において、本発明に係る透明導電性フィルム面に対してペンの荷重を印加する。このときの摺動距離は30mm、摺動速度は20mm/秒である。ただし、エポキシビーズがない位置で摺動を行う。摺動後に、透明導電性フィルムを取り外して、摺動部の任意の5か所の表面抵抗(4端子法)を測定し、平均値を出す。表面抵抗を測定するときは、摺動部と垂直になる方向に4端子を並べ、2端子目と3端子目の間に摺動部が来るようにする。摺動部の表面抵抗値の平均値を未摺動部の表面抵抗値(4端子法で測定)で除して、表面抵抗値の増加率を算出する。
(【0011】以降は省略されています)

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