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公開番号
2024176754
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-19
出願番号
2023095535
出願日
2023-06-09
発明の名称
ポリプロピレン多層シート
出願人
サンアロマー株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
B32B
27/32 20060101AFI20241212BHJP(積層体)
要約
【課題】高剛性、イージーピール性を備えるPP多層シートを提供する。
【解決手段】0.1~5mm厚のPP多層シートであって、二軸延伸PP層F(融点TmF)と二軸延伸PP層N(融点TmN)とが、交互に積層されている交互層を備え、TmF≧TmNであり、層FはPP系樹脂(A)と、無機充填材(B)とを含む樹脂組成物から形成され、(B)/[(A)+(B)](=X)が0超~60重量%であり、層NはPP系樹脂(a)と任意に(B)とを含む樹脂組成物から形成され、(B)/[(a)+(B)]が0~2重量%であり、以下を満たす:層Fのうち少なくとも1層は、(B)が粒状無機充填材であり、(I)Xが3以上15重量%未満である層FEである、または(II)Xが15~35重量%である層FEであり、多層シートの表面から層FEまでの最短距離をr、多層シートの総厚さをRとするとき、r/R≧5%である、多層シート。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
厚さ0.1~5mmのポリプロピレン多層シートであって、
融点TmFを有する二軸延伸ポリプロピレン層Fと、融点TmNを有する二軸延伸ポリプロピレン層Nとが、交互に積層されている交互層を備え、
TmF≧TmNであり、
前記層Fは成分(A)であるポリプロピレン系樹脂と、成分(B)である無機充填材とを含む樹脂組成物から形成され、成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が0超~60重量%であり、
前記層Nは成分(a)であるポリプロピレン系樹脂と、前記成分(B)とを含む樹脂組成物から形成され、成分(B)/[成分(a)+成分(B)]の重量比が0~2重量%であり、
以下のいずれかの要件を満たす:
(I)前記層Fのうち少なくとも1層は、前記成分(B)が粒状無機充填材であり、成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が3重量%以上15重量%未満である層FEである、
(II)前記層Fのうち少なくとも1層は、前記成分(B)が粒状無機充填材であり、成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が15~35重量%である層FEであり、厚さ方向における前記多層シートの表面から前記層FEと他の層との界面までの最短距離をr、前記多層シートの総厚さをRとするとき、r/R≧5%である、
ポリプロピレン多層シート。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記成分(A)は、成分(A1)および任意成分(A2)からなるポリプロピレン系樹脂であり、
前記成分(A1)はC2~C10-αオレフィン(ただしC3-αオレフィンを除く)から選択されるコモノマー由来単位を0~10重量%含むプロピレン(共)重合体100~50重量%、
成分(A2)はエチレン由来単位を10重量%を超え90重量%以下含むエチレン-α-オレフィン共重合体0~50重量%であり、
成分(A)のMFR(230℃、荷重2.16kg)が1~20g/10分である、
請求項1に記載のポリプロピレン多層シート。
【請求項3】
前記交互層の上にトップ層をさらに備える、請求項1または2に記載のポリプロピレン多層シート。
【請求項4】
前記粒状無機充填材が炭酸カルシウムである、請求項1または2に記載のポリプロピレン多層シート。
【請求項5】
前記(I)において、30%≧r/R≧0.6%である、あるいは
前記(II)において、30%≧r/R≧5%である、
請求項1または2に記載のポリプロピレン多層シート。
【請求項6】
前記層FEが10~1000μmの厚さを有する、請求項1または2に記載のポリプロピレン多層シート。
【請求項7】
請求項1または2に記載のポリプロピレン多層シートの製造方法であって、
融点TmFを有する層Fと、
融点TmNを有する層Nとが、層F同士が隣接しないように積層された前駆体を調製する工程1と、
前記前駆体の最外層に加熱体を接触させて前記シートの層間を加熱融着する工程2を備え、
TmF≧TmNである、
製造方法。
【請求項8】
前記層Fのうち最も外側に存在する層Fの融点をTmF
out
とするとき、前記加熱体の温度Tが以下の条件を満たす、
TmF
out
-T≧4(℃)
(ただし、融点はDSCを用いて、30℃から230℃まで昇温速度10℃/分の条件で測定して得られる)
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程2の後に、トップ層を設ける工程をさらに備える、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載のポリプロピレン多層シートを成形してなる成形体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はポリプロピレン多層シートに関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンの延伸フィルムは、高い耐熱性に加え、優れた透明性および機械的特性が要求される分野に使用されており、この特性をさらに高める技術が種々検討されている。例えば特許文献1は、分子量分布等を特定の範囲とし、かつコモノマーおよび結晶核剤の含有量を特定の範囲とするポリプロピレン組成物から剛性、透明性、耐熱性、均一延伸性、低温衝撃性、および易熱成形性のバランスに極めて優れたシートを得たことを開示する。また特許文献2は、高分子配向融液の状態で冷却して結晶化させることによって、結晶サイズがナノメートルオーダーであり、高分子鎖が高度の配向した高分子ナノ配向結晶体を主成分として含む高分子ナノ配向結晶体材料からなるシートを開示する。
【0003】
これらのシートは薄いため用途が限定されており、その厚さを増大できれば別の用途への拡大が期待される。この点に関し、特許文献3は、融点の異なるポリプロピレンの二軸延伸フィルムを交互に積層して、高い耐熱性に加え、優れた透明性および機械的特性を有する厚さが0.5~5mmである多層シートを製造することを開示する。
【0004】
ところで、意匠性向上のため、多層シートを含め、プラスチックには塗装や加飾フィルムを貼付することが一般に行われている。しかしながら、当該プラスチック成形体をリサイクルする際には、塗膜およびフィルムを除去する必要がある。例えば、特許文献4には、表面に塗装膜が形成されている樹脂成形体を切断し、金属製の球体および水とともにこれらを混合撹拌して塗膜を剥離する方法が提案されている。また、特許文献5には、高圧噴流水等を用いてプラスチック成形体から塗装膜を強制的に剥離する方法が提案されている。また、特許文献6には、フィラー充填層と他層との界面剥離を利用したイージーピール性を備える積層フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2018-095698号公報
特開2012-096526号公報
国際公開第2020/075755号
特開2007-237590号公報
特開平5-269743号公報
特開2008-87181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載の多層シートは優れた剛性を有するが、発明者らは、当該多層シートの剛性をより高めることができればポリプロピレンの用途をさらに拡大できるとの着想を得た。さらに、特許文献4に記載の方法では、成形体を切断し、水と金属体を混合撹拌することから樹脂と塗膜との分離や、金属粒子の除去が困難であった。特許文献5でも高圧流体を用いることから、分離と収集が困難であった。イージーピール性は、特許文献6のように界面剥離を利用する場合と、層自体の材料破壊を利用する場合がある。特許文献6のような界面剥離では安定した剥離強度が得られず、成形体の塗膜や加飾面が使用時にはがれ、使用できなくなることがあった。材料破壊の方が、安定した剥離強度を発現できるので使用者の満足度が高い。従来、材料破壊を生じるイージーピール層として、海島構造を有するポリマーで構成されたイージーピール層が知られている。かかる事情を鑑み、本発明は、高い剛性を有し、かつイージーピール性を備えるポリプロピレン多層シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、ポリプロピレン系樹脂と、粒状無機充填材とを含む延伸シート等によって前記課題が解決できることを見出した。すなわち前記課題は以下の本発明によって解決される。
態様1
厚さ0.1~5mmのポリプロピレン多層シートであって、
融点TmFを有する二軸延伸ポリプロピレン層Fと、融点TmNを有する二軸延伸ポリプロピレン層Nとが、交互に積層されている交互層を備え、
TmF≧TmNであり、
前記層Fは成分(A)であるポリプロピレン系樹脂と、成分(B)である無機充填材とを含む樹脂組成物から形成され、成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が0超~60重量%であり、
前記層Nは成分(a)であるポリプロピレン系樹脂と、前記成分(B)とを含む樹脂組成物から形成され、成分(B)/[成分(a)+成分(B)]の重量比が0~2重量%であり、
以下のいずれかの要件を満たす:
(I)前記層Fのうち少なくとも1層は、前記成分(B)が粒状無機充填材であり、成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が3重量%以上15重量%未満である層FEである、
(II)前記層Fのうち少なくとも1層は、前記成分(B)が粒状無機充填材であり、成分(B)/[成分(A)+成分(B)]の重量比が15~35重量%である層FEであり、厚さ方向における前記多層シートの表面から前記層FEと他の層との界面までの最短距離をr、前記多層シートの総厚さをRとするとき、r/R≧5%である、
ポリプロピレン多層シート。
態様2
前記成分(A)は、成分(A1)および任意成分(A2)からなるポリプロピレン系樹脂であり、
前記成分(A1)はC2~C10-αオレフィン(ただしC3-αオレフィンを除く)から選択されるコモノマー由来単位を0~10重量%含むプロピレン(共)重合体100~50重量%、
成分(A2)はエチレン由来単位を10重量%を超え90重量%以下含むエチレン-α-オレフィン共重合体0~50重量%であり、
成分(A)のMFR(230℃、荷重2.16kg)が1~20g/10分である、
態様1に記載のポリプロピレン多層シート。
態様3
前記交互層の上にトップ層をさらに備える、態様1または2に記載のポリプロピレン多層シート。
態様4
前記粒状無機充填材が炭酸カルシウムである、態様1~3のいずれかに記載のポリプロピレン多層シート。
態様5
前記(I)において、30%≧r/R≧0.6%である、あるいは
前記(II)において、30%≧r/R≧5%である、
態様1~4のいずれかに記載のポリプロピレン多層シート。
態様6
前記層FEが10~1000μmの厚さを有する、態様1~5のいずれかに記載のポリプロピレン多層シート。
態様7
態様1~6のいずれかに記載のポリプロピレン多層シートの製造方法であって、
融点TmFを有する層Fと、
融点TmNを有する層Nとが、層F同士が隣接しないように積層された前駆体を調製する工程1と、
前記前駆体の最外層に加熱体を接触させて前記シートの層間を加熱融着する工程2を備え、
TmF≧TmNである、
製造方法。
態様8
前記層Fのうち最も外側に存在する層Fの融点をTmF
out
とするとき、前記加熱体の温度Tが以下の条件を満たす、
TmF
out
-T≧4(℃)
(ただし、融点はDSCを用いて、30℃から230℃まで昇温速度10℃/分の条件で測定して得られる)
態様7に記載の製造方法。
態様9
前記工程2の後に、トップ層を設ける工程をさらに備える、態様7または8に記載の製造方法。
態様10
態様1~6のいずれかに記載のポリプロピレン多層シートを成形してなる成形体。
態様11
自動車用部品である、態様10に記載の成形体。
態様12
態様7~9のいずれかに記載の方法で製造されたポリプロピレン多層シート。
態様13
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、高い剛性を有し、かつイージーピール性を備えるポリプロピレン多層シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
イージーピール層を有する多層シートの剥離状況を示す概念図である。
ポリプロピレン多層シートの概要を説明する図である。
ポリプロピレン多層シートの製造方法の一態様を説明する図である。
ポリプロピレン多層シートの製造方法の別態様を説明する図である。
実施例で得た多層シートの剥離状況を示す顕微鏡写真である。
実施例で得た多層シートの剥離状況を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示において「X~Y」はその端値、すなわちXおよびYを含む。シートとフィルムは同義で使用されるが、特に、厚さが150μm以上の膜状部材をシートと、厚さが150μm未満の膜状部材をフィルムという場合がある。また、シートとフィルムを総称して「シート状部材」という場合がある。
(【0011】以降は省略されています)
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