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公開番号2024166370
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-28
出願番号2024161236,2021519490
出願日2024-09-18,2020-05-14
発明の名称PACAPの安定化ペプチド
出願人千寿製薬株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C07K 14/47 20060101AFI20241121BHJP(有機化学)
要約【課題】安定性を高めたPACAPペプチドの提供を目的とする。
【解決手段】PACAPの配列中の3位及び8位のアスパラギン酸を、テトラゾール置換アスパラギン酸(Tz)、テトラゾール置換グルタミン酸(egTz)、テトラゾール置換ホモグルタミン酸(nvTz)、スルホキシ置換アスパラギン酸(cya)、及びオキサジアゾロン置換アスパラギン酸(5Oxa)からなる群から選ばれる少なくとも1のアミノ酸に置換することにより、安定性が有意に亢進することを見いだしたことに基づき、本発明に至った。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
H-X
1
-D-G-X
2
-F-X
3
-D-X
4
-Y-X
5
-R-Y-R-K-X
6
-X
7
-A-V-K-K-Y-L-A-A-V-L (配列番号3)
{式中、

1
は、中性アミノ酸であり、

2
は、中性アミノ酸であり、

3
は、中性アミノ酸であり、

4
は、アラニン、セリン、Ai又はCnであり、

5
は、アラニン、セリン、Ai又はCnであり、

6
は、グルタミン又はアラニンであり

7
は、非極性アミノ酸である}
で表される配列の3位及び8位において、アスパラギン酸がそれぞれ独立に、テトラゾール置換アスパラギン酸(Tz)、テトラゾール置換グルタミン酸(egTz)、テトラゾール置換ホモグルタミン酸(nvTz)、スルホキシ置換アスパラギン酸(cya)、及びオキサジアゾロン置換アスパラギン酸(5Oxa)からなる群から選ばれる残基に置換される配列、又はその改変配列からなるペプチドであって、前記ペプチドがPAC1R、VPAC1Rへの結合性を有し、前記改変配列が、配列番号3の配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失又は付加された配列である、前記ペプチド。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
PACAPの生理活性を有する安定化ペプチド、当該ペプチドを含む神経保護剤、血管内皮機能改善剤、角膜神経突起形成促進剤、涙液分泌促進剤、ドライアイ治療剤、角膜上皮又は角膜内皮障害治療剤、神経栄養性角膜炎治療剤、抗炎症剤、又は医薬組成物に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
神経細胞は、中枢神経系と末梢神経系に大別される神経系を構成する細胞である。神経細胞は、脳卒中、脳梗塞などの脳血管障害などの外的要因や、異常タンパク質の蓄積、酸化ストレス、炎症などの内的要因などにより障害を受けやすい一方で、その再生能が低いことから、ひとたび障害が生じると、その患者のQOLを著しく低下させる要因となる。中枢神経系の神経変性および脱落を伴う神経変性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症などの神経変性疾患の他に、緑内障、視神経症などの視神経の変性疾患や、神経性難聴などの感覚神経変性疾患が挙げられる。
【0003】
神経科学の発展により、各種の神経保護因子が発見されてきており、神経障害の予防又は治療薬としての開発が期待される。神経変性を引き起こすフリーラジカルや興奮性アミノ酸を減少させる薬剤や、神経細胞を保護及び/又は修復することができる薬剤(例えば神経栄養因子や免疫抑制剤などのイムノフィリンリガンドなど)が神経保護作用を有することが見いだされている。一方で、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、CD44やヒト脳カルボキシペプチダーゼB(HBCPB)などの生体内タンパク質が、神経保護作用を有することが見いだされてきている(特許文献1及び2)。
【0004】
下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)は、ヒツジ視床下部抽出物から発見された神経ペプチドである。PACAPは、下垂体前葉細胞においてcAMP形成を刺激する活性を有しうる。PACAPとしては、38個のアミノ酸残基からなるPACAP38と、27個のアミノ酸残基からなるPACAP27が存在しており、両者とも同等の作用を有する(非特許文献1及び2)。PACAPは、血管作動性腸ポリペプチド(VIP)/セクレチン/グルカゴンスーパーファミリーに属しており、ヒトPACAP27の配列は、血管作動性腸ポリペプチド(VIP)と68%の同一性を有する。PACAPとVIPは、PAC1受容体(PAC1R)、VPAC1受容体(VPAC1R)及びVPAC2受容体(VPAC2R)に結合するが、これらの受容体に対する親和性の点で異なっている。PAC1Rは、PACAPに対して高い選択性を持って結合する。PAC1RのPACAPに対する親和性は、PAC1RのVIPに対する親和性と比較して1000倍以上高い。一方で、VPAC1R及びVPAC2Rは共に、PACAPとVIPに対して同程度の親和性を有する。PACAPは、多様な生理作用を有しており、神経保護物質、免疫抑制因子、血管拡張因子、外分泌線分泌促進因子(特許文献3)、神経突起形成促進因子(特許文献4)としての生理作用を有することが知られている。
【0005】
PACAPの有する多様な生理活性を利用して、医薬品の開発が行われてきている。しかしながら、PACAPのようなペプチドは、水溶液中において不安定であることが多く、またプロテアーゼ耐性を欠如することに起因して半減期が短いといった問題が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2014-510101号公報
特開2012-232952号公報
特開2009-269818号公報
WO2005/102375号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
S. Bourgault (2009) Current Medicinal Chemistry 16, 4462-4480
Louise Dickson (2009) Pharmacology & Therapeutics, 12, 294-316
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水溶液中で安定性の高いPACAPの安定化ペプチド、当該ペプチドを含む神経保護剤、神経突起形成促進剤、涙腺分泌促進剤、ドライアイ治療又は予防用医薬組成物、角膜上皮又は角膜内皮障害治療又は予防用医薬組成物、神経障害治療又は予防用医薬組成物、又は神経栄養性角膜炎治療又は予防用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが、PACAPの水溶液中での安定性を高めるために鋭意研究を行った結果、PACAPペプチド中に存在する、3位及び8位のアスパラギン酸を、それぞれ独立に、テトラゾール置換アスパラギン酸(Tz)、テトラゾール置換グルタミン酸(egTz)、テトラゾール置換ホモグルタミン酸(nvTz)、スルホキシ置換アスパラギン酸(cya)、及びオキサジアゾロン置換アスパラギン酸(5Oxa)からなる群から選ばれる残基に置換することで、水溶液中での安定性を大幅に高めることができることを見いだし、本発明に至った。
【0010】
そこで、本発明は以下のものに関する:
[1] H-X
1
-D-G-X
2
-F-X
3
-D-X
4
-Y-X
5
-R-Y-R-K-X
6
-X
7
-A-V-K-K-Y-L-A-A-V-L(配列番号3)
{式中、

1
は、中性アミノ酸であり、

2
は、中性アミノ酸であり、

3
は、中性アミノ酸であり、

4
は、アラニン、セリン、Ai又はCnであり、

5
は、アラニン、セリン、Ai又はCnであり、

6
は、グルタミン又はアラニンであり

7
は、非極性アミノ酸である}
で表される配列の3位及び8位において、アスパラギン酸がそれぞれ独立に、テトラゾール置換アスパラギン酸(Tz)、テトラゾール置換グルタミン酸(egTz)、テトラゾール置換ホモグルタミン酸(nvTz)、スルホキシ置換アスパラギン酸(cya)、及びオキサジアゾロン置換アスパラギン酸(5Oxa)からなる群から選ばれる残基に置換される配列、又はその改変配列からなるペプチドであって、前記ペプチドがPAC1R、VPAC1Rへの結合性を有し、前記改変配列が、配列番号3の配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失又は付加された配列である、前記ペプチド。
[2] X
1
が、セリン又はアラニンである、項目1に記載のペプチド。
[3] X
2
が、イソロイシン又はアラニンである、項目1又は2に記載のペプチド。
[4] X
3
が、アラニン又はスレオニンである、項目1~3のいずれか一項に記載のペプチド。
[5] X
7
は、メチオニン、ロイシン、ノルロイシン、又はアラニンである、項目1~4のいずれか一項に記載のペプチド。
[6] 3位及び8位のアミノ酸が、それぞれテトラゾール置換アスパラギン酸(Tz)、テトラゾール置換グルタミン酸(egTz)、又はテトラゾール置換ホモグルタミン酸(nvTz)である場合、これらのアミノ酸がL体、D体又はラセミ体である、項目1~5のいずれか一項に記載のペプチド。
[7] 前記ペプチドにおいて、N末端が保護基により修飾されている、項目1~6のいずれか一項に記載のペプチド。
[8] 前記保護基が、アシル基である、項目7に記載のペプチド。
[9] 前記ペプチドにおいて、C末端が保護基により修飾されている、項目1~8のいずれか一項に記載のペプチド。
[10] 前記保護基が、アミド基、又はエステル基である、項目9に記載のペプチド。
[11] 前記改変配列が、C末端において前記配列から1~3個のアミノ酸が欠失された配列である、項目1~10のいずれか一項に記載のペプチド。
[12] 前記改変配列が、N末端において前記配列から1~3個のアミノ酸が付加された配列である、項目1~10のいずれか一項に記載のペプチド。
[13] 前記改変配列が、以下の:
GKRYKQRVKNK(配列番号43);
GKRYKQRVKN(配列番号44);
GKRYKQRVK(配列番号45);
GKRYKQRV(配列番号46);
GKRYKQR(配列番号47);
GKRYKQ(配列番号48);
GKRYK(配列番号49);
GKRY(配列番号50)
GKR;
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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