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公開番号
2024152767
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-25
出願番号
2024130084,2022079675
出願日
2024-08-06,2015-10-30
発明の名称
ラミニンによる角膜の新規治療
出願人
京都府公立大学法人
,
学校法人同志社
,
千寿製薬株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
A61K
38/39 20060101AFI20241018BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】角膜の治療技術を提供すること。
【解決手段】より詳細には、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、角膜内皮疾患の状態の治療または予防剤であって、角膜内皮細胞がともに投与されることをさらに特徴とする技術を提供することによって上記課題が解決された。詳細には、本発明はラミニン511(α5β1γ1)、ラミニン521(α5β2γ1)あるいはこれらのフラグメントを含みうる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
発明の効果に記載の発明
。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミニンを用いた新規治療に関する。より詳細には、ラミニンを用いた眼科治療に関し、さらに詳細には角膜内皮の治療および予防に関する。
続きを表示(約 8,300 文字)
【背景技術】
【0002】
ヒトの角膜内皮細胞は、出生時には1平方ミリメートル当たり約3000個の密度で存在しているが、一度障害を受けると再生する能力を持たない。このように、角膜内皮細胞は、培養が困難であるとされており、移植技術において培養、増殖が困難な現在の状況のため、角膜内皮の処置、手術が事実上不可能となっている。日本での角膜提供は不足しており、角膜移植の待機患者約2600人に対し、年間に国内で行われている角膜移植件数は1700件程度である。
【0003】
ラミニンとの眼科との関係では特許文献1および2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2004-500012号公報
特表2003-532647号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定のラミニンが、眼科の治療、特に角膜内皮の治療に有用であることを見出したことによって、本発明を完成した。したがって、本発明は、代表的に、以下を提供する。
(1)ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、角膜内皮疾患、障害または状態の治療または予防剤。
(2)前記ラミニンは、RGD配列を含む、項目1に記載の治療または予防剤。
(3)前記ラミニンは、α5鎖および/またはγ1鎖を含む、項目1または2に記載の治療または予防剤。
(4)前記ラミニンは、ラミニン511(α5β1γ1)およびラミニン521(α5β2γ1)を含む、項目1~3のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(5)前記フラグメントは、角膜内皮細胞の細胞接着能を有する、項目1~4のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(6)前記因子は、ラミニン511、ラミニン521またはラミニン511-E8フラグメントである、項目1~5のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(7)前記角膜内皮は霊長類のものである、項目1~6のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(8)前記角膜内皮疾患、障害または状態は、フックス角膜内皮ジストロフィ、角膜内皮炎、外傷、ならびに眼科手術の障害および状態からなる群より選択される、項目1~7のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(9)前記角膜内皮疾患、障害または状態は、羞明、霧視、視力障害、眼痛、流涙、充血、疼痛、水疱性角膜症、眼の不快感、コントラスト低下、グレア、角膜実質の浮腫、水疱性角膜症、および角膜混濁からなる群より選択される、項目1~8のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(10)前記角膜内皮は、角膜内皮層、デスメ膜、またはその両方を含む、項目1~9のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(11)前記角膜内皮は、デスメ膜が剥離した状態である、項目1~10のいずれか一項
に記載の治療または予防剤。
(12)さらに、角膜内皮細胞を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の治療または
予防剤。
(13)さらに、ROCK阻害剤を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の治療また
は予防剤。
(14)さらに、角膜内皮細胞およびROCK阻害剤を含む、項目1~11のいずれか一
項に記載の治療または予防剤。
(15)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)-(+)-トランス-(4-ピリジル)-4-(1-アミノエチル)-シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)、およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目13または14に記載の治療または予防剤。
(16)前記因子は、眼内に注入され眼内の組織と接触されることを特徴とする、項目1~15のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(17)前記因子は、約21nM以上で存在する、項目1~16のいずれか一項に記載の
治療または予防剤。
(18)さらに角膜内皮細胞が投与されることを特徴とする、項目1~17のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(19)前記因子は、角膜内皮細胞と混合されて提供され、さらに、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が眼内に注入され眼内の組織と接触されることを特徴とする、項目1~18のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(20)さらに、ROCK阻害剤を含む、項目1~19のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(21)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)-(+)-トランス-(4-ピリジル)-4-(1-アミノエチル)-シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)、およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目1~20のいずれか一項に記載の治療または予防剤。
(22)角膜内皮細胞と混合される前記因子は、約2.1nM以上であり、注入される前記因子は約21nM以上である、項目1~21のいずれか一項に記載の治療または予防剤
。
(23)角膜内皮疾患、障害または状態の治療または予防のために使用するための、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子。
(24)項目2~22のいずれか一項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、
項目23に記載の因子。
(25)角膜内皮疾患、障害または状態の治療または予防するための方法であって、該方法は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の有効量を該治療または予防を必要とする被験体に投与する工程を包含する、方法。
(26)項目2~11のいずれか一項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、
項目25に記載の方法。
(27)さらに、角膜内皮細胞を前記被験体に投与する工程を含む、項目26または26に記載の方法。
(28)さらに、ROCK阻害剤を前記被験体に投与する工程を含む、項目25~27のいずれか1項に記載の方法。
(29)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)-(+)-トランス-(4-ピリジル)-4-(1-アミノエチル)-シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)、およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目28に記載の方法。
(30)さらに、角膜内皮細胞およびROCK阻害剤を前記被験体に投与する工程を含む、項目25~29のいずれか一項に記載の方法。
(31)前記因子は前記被験体の眼内に注入され、眼内の組織と接触されることを特徴とする、項目25~30のいずれか一項に記載の方法。
(32)前記因子は、約21nM以上で存在する、項目25~31のいずれか一項に記載の方法。
(33)角膜内皮細胞を前記因子とは別に投与する工程をさらに包含する、項目25~32のいずれか一項に記載の方法。
(34)前記因子は、角膜内皮細胞と混合されて提供され、さらに、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が眼内に注入され眼内の組織と接触されることを特徴とする、項目25~33のいずれか一項に記載の方法。
(35)ROCK阻害剤を前記因子とは別に投与する工程をさらに包含する、項目25~34のいずれか一項に記載の方法。
(36)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)-(+)-トランス-(4-ピリジル)-4-(1-アミノエチル)-シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)、およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目25~35のいずれか一項
に記載の方法。
(37)角膜内皮細胞と混合される前記因子は、約2.1nM以上であり、注入される前記因子は約21nM以上である、項目25~32のいずれか一項に記載の方法。
(38)ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の、角膜内皮疾患、障害または状態の治療または予防のための医薬の製造における使用。
(39)項目2~22のいずれか一項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、
項目38に記載の使用。
【0006】
本発明において、上述した1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解することにより、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、眼科、特に角膜内皮細胞(特に、ヒト角膜内皮細胞)の新規治療を可能にした。特に、水疱性角膜症をほぼ完治させるまでの状態にもたらされることができており、また、好ましい実施形態では、デスメ膜を治癒させているところ、このような効果は、従来技術では達成できなかった格別の効果である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、ラミニン511-E8フラグメントを用いたウサギ水疱性角膜症モデルにおける培養角膜内皮移植後の前眼部写真である。左からControl:コントロールとしてウサギの角膜内皮細胞を機械的に掻爬したもの、RCEC:作製したモデルに培養したウサギ角膜内皮細胞を前房内に注入してうつむき姿勢を3時間取らせたもの、RCEC+E8:作製したモデルに培養したウサギ角膜内皮細胞を、ラミニン511-E8フラグメントを濃度2.1nMに調整したDMEMととともに前房内に注入してうつむき姿勢を3時間取らせたものの前眼部写真を示す。上段は1週間後であり、下段は2週間後の写真を示す。
図2は、ラミニン511-E8フラグメントを用いたウサギ水疱性角膜症モデルにおける培養角膜移植後の角膜厚の変化である。縦軸は超音波パキメーターパキメーターにより測定した角膜厚(μm)を示す。横軸は処置後の日数である。標準誤差をバーで示している。
図3は、ラミニン511-E8フラグメントを用いた培養角膜内皮移植後の組織学的検討結果を示す。左から抗Na
+
/K
+
-ATPase抗体、抗ZO-1抗体、抗N-カドヘリン抗体およびファロイジン(Phalloidin)での染色を示す。
図4は、ラミニンとROCK阻害剤を併用したウサギ水疱性角膜症モデルにおける培養角膜内皮移植の検討結果を示す。ウサギの角膜内皮を機械的に剥離して水疱性角膜症モデルを作製した。培養したウサギ角膜内皮細胞を前房内にROCK阻害剤であるY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体と、細胞とラミニン511-E8(2.1nM)とY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体において24時間後の注入した細胞の基質への接着を比較した。(左)にPhalloidinおよびDAPIでの染色写真を示す。上段はラミニン511-E8なしかつY-27632(+)(100μM)、下段はラミニン511-E8ありかつY-27632(+)(100μM)での結果を示す。Phalloidin染色により細胞とラミニン511-E8(2.1nM)とY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体においてより多くの細胞が接着していることが示された。(右)に細胞密度のデータのグラフを示す。このグラフでは、縦軸は細胞密度(個/mm
2
)を示す。また接着した細胞密度は有意に細胞とラミニン511-E8(2.1nM)とY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体において高い値であった(右)。
図5は、ウサギ水疱性角膜症モデルにおける培養角膜内皮移植後の前眼部写真である。左からデスメ膜剥離を行わず角膜内皮細胞を剥離しY-27632(+)(100μM)とともに培養角膜内皮細胞を注入した個体、デスメ膜剥離を行わず角膜内皮細胞を剥離しラミニン511-E8(2.1nM)とY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体、デスメ膜剥離を行った水疱性角膜症モデルにY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体、デスメ膜剥離を行った水疱性角膜症モデルにラミニン511-E8(2.1nM)とY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体の前眼部写真を示す。上段は、Day3を示し、下段はDay7を示す。
図6は、図5で示した4群の培養角膜内皮移植後の角膜厚(μm)を示す。横軸は処置後の日数である。実線はデスメ膜剥離なしを示し、破線はデスメ膜剥離有を示す。黒丸はいずれもラミニン511-E8ありを示し、白丸はラミニン511-E8なしを示す。デスメ膜を剥離した方が、剥離しない場合に比べて角膜厚の菲薄化が遅延した。
図7は、図5で示した4群の培養角膜内皮移植後の眼圧(mmHg)を示す。横軸は処置後の日数である。実線はデスメ膜剥離なしを示し、破線はデスメ膜剥離有を示す。黒丸はいずれもラミニン511-E8ありを示し、白丸はラミニン511-E8なしを示す。細胞移植による合併症として考えられる眼圧上昇はすべての群で認められなかった。
図8は、図6で示した4群の培養角膜内皮移植から14日後の組織学的検討を示す。左から抗Na
+
/K
+
-ATPase抗体、抗ZO-1抗体、抗N-カドヘリン抗体およびPhalloidinでの染色を示す。上段からデスメ膜剥離を行わず角膜内皮細胞を剥離しY-27632(+)(100μM)とともに培養角膜内皮細胞を注入した個体、デスメ膜剥離を行わず角膜内皮細胞を剥離しラミニン511-E8(2.1nM)とY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体、デスメ膜剥離を行った水疱性角膜症モデルにY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体、およびデスメ膜剥離を行った水疱性角膜症モデルにラミニン511-E8(2.1nM)とY-27632(+)(100μM)とともに注入した個体の染色像を示す。
図9は、ラミニン511-E8を併用したサル水疱性角膜症モデルにおける培養角膜内皮移植後の前眼部写真を示す。カニクイザルの角膜内皮細胞を機械的に掻爬したモデルに培養したカニクイザル角膜内皮細胞を前房内に注入してうつむき姿勢を3時間取らせた。左上はDay1、右上はDay3、左下はDay7、右下はDay14を示す。
図10は、サル水疱性角膜症モデルにおいてデスメ膜剥離を行い、ラミニン511-E8を併用して培養角膜内皮細胞を移植した後の前眼部写真を示す。カニクイザルの角膜内皮細胞を機械的に掻爬したモデルにおいて、デスメ膜を剥離した後に、培養したカニクイザル角膜内皮細胞を前房内に注入してうつむき姿勢を3時間取らせた。左上はDay1、右上はDay3、左下はDay7、右下はDay14を示す。
図11は、ラミニン511-E8を併用したサル水疱性角膜症モデルにおける培養角膜内皮移植後の角膜厚を示す。デスメ膜剥離を行った個体と行わなかった個体の角膜厚(μm)を示す。横軸は処置後の日数である。横軸は移植後の日数を示し、縦軸は角膜厚(μm)を示す。実践はデスメ膜剥離がない例を示し、破線は、デスメ膜剥離を行った個体を示す。黒丸および三角は個体の相違を示す。デスメ膜剥離を行った例では、2個体ともに角膜厚の菲薄化を認めなかった。
図12は、サル水疱性角膜症モデルにおいてデスメ膜剥離を行い、前房内にラミニン511 E8フラグメントを21nMの濃度で注入し1時間おくことで生体内でデスメ膜の剥離により露出した角膜実質をコーティングした。その後、ラミニン511-E8ラミニン511-E8を併用して培養角膜内皮細胞を移植した後の前眼部写真を示す。左上はDay 1、右上はDay 3、左下はDay 7、右下はDay14を示す。
図13は、インテグリンの角膜内皮細胞の細胞接着への影響を示す。ラミニン511-E8フラグメントを最終濃度2.1nMとなるように添加して角膜内細胞を播種した。その際、左端から順にマウスIgG、抗インテグリンα
3
抗体、抗インテグリンα
6
抗体、抗インテグリンα
2
抗体、抗インテグリンβ
1
抗体、抗インテグリンα
3
β
1
抗体、抗インテグリンα
6
β
1
抗体を添加して播種した場合の24時間後の接着細胞数(マウスIgGに対する割合を示す)を示す。なお、右端はコントロールとしてラミニン511-E8フラグメントを添加せずにマウスIgGのみを添加して播種したものを示す。
図14は、細胞接着関連タンパク質の活性化はインテグリンを介していることを示す。左端はコントロールとしてラミニン511-E8フラグメント非添加の群、左から2番目以降はラミニン511-E8フラグメントを最終濃度2.1nMとなるように添加した群を用意した。左から2番目以降は順に、マウスIgG、抗インテグリンα
3
抗体、抗インテグリンα
6
抗体、抗インテグリンα
2
抗体、抗インテグリンβ
1
抗体、抗インテグリンα
3
β
1
抗体、抗インテグリンα
6
β
1
抗体を添加して播種した場合のウェスタンブロットの結果を示す。上段からp-FAK、FAK、p-パキシリン、バックグラウンドのGAPDHを示す。各バンドの数値はバンドの強度を数値化して左端のラミニン511-E8無しを1としたときの相対値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。従って、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0010】
(定義)
本明細書において「角膜内皮細胞」とは当該分野で用いられる通常の意味で用いられる。角膜とは、眼を構成する層状の組織の一つであり、透明であり、最も外界に近い部分に位置する。角膜は、ヒトでは外側(体表面)から順に5層でできているとされ、外側から角膜上皮、ボーマン膜、固有層、デスメ膜(角膜内皮基底膜)、および角膜内皮で構成される。特に、特定しない限り、上皮および内皮以外の部分は「角膜実質」とまとめて称することがあり、本明細書でもそのように称する。本明細書において「HCEC」(human
corneal endothelial cells)とは、ヒト角膜内皮細胞の略称であり、ウサギのもの
は「RCEC」、サルのものは「MCEC」とも略称する。本発明で使用される角膜内皮
細胞は、天然に存在する細胞のほか、幹細胞から分化した細胞、例えばiPS等からの誘導分化細胞を用いることができることが理解される。
(【0011】以降は省略されています)
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