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公開番号2024157421
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-07
出願番号2023071782
出願日2023-04-25
発明の名称多分岐型のフェノール樹脂およびその製造方法
出願人学校法人 関西大学
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類C08G 8/04 20060101AFI20241030BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】耐熱性により優れ、かつ、一般的な有機溶媒に溶解し、成膜性に優れるフェノール樹脂を提供すること。
【解決手段】以下の化学式(1)で表される繰り返し単位を備える、多分岐型のフェノール樹脂。
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(R1は、水素、水酸基またはアルコキシ基であり、R2およびR3は、それぞれ、水素、アルキル基、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基または水酸基であり、R4は、芳香族基である。)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
以下の化学式(1)で表される繰り返し単位を備える、多分岐型のフェノール樹脂。
JPEG
2024157421000021.jpg
36
138
(化学式(1)中、R

は、水素、水酸基(OH)およびアルコキシ基からなる群から選択され、R

はそれぞれ、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。


は、水素、アルキル基、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基および水酸基(OH)からなる群から選択され、R

はそれぞれ、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。


は、水素、アルキル基、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基および水酸基(OH)からなる群から選択され、R

はそれぞれ、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
但し、化学式(1)中、あるベンゼン環におけるR

が水素である場合、同一のベンゼン環におけるR

は水酸基(OH)またはアルコキシ基であり、同一のベンゼン環におけるR

は、アルキル基、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。
化学式(1)中、R

は、芳香族基である。
但し、R

の1つのベンゼン環にフェノール類に由来する2つの部位が結合している場合、前記1つのベンゼン環のオルト位またはパラ位にて、前記フェノール類に由来する2つの部位が結合している。)
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
数平均分子量(Mn)が、1000以上、7000以下である、請求項1に記載の多分岐型のフェノール樹脂。
【請求項3】
重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布の値が、1.00以上、10.00以下である、請求項1に記載の多分岐型のフェノール樹脂。
【請求項4】
熱分解温度(T

5wt%
)が、220℃以上、360℃以下である、請求項1に記載の多分岐型のフェノール樹脂。
(ここで、熱分解温度(T

5wt%
)は、前記多分岐型のフェノール樹脂を昇温させた場合の重量減少が、加熱前の前記多分岐型のフェノール樹脂の重量に対して5重量%に到達する際の前記多分岐型のフェノール樹脂の温度を意味する。)
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の多分岐型のフェノール樹脂を製造する方法であって、
以下の化学式(2)で表されるフェノール類と、以下の化学式(3)で表されるジアルデヒド化合物とを、前記フェノール類のモル数と、前記ジアルデヒド化合物のモル数との比率を、前記ジアルデヒド化合物のモル数を1としたとき、a:1(aは0.1以上10以下の実数)として、溶媒中、酸触媒の存在下で、反応温度:80℃以上、および反応時間:3時間以上の条件下で、付加縮合反応させる工程を含む、多分岐型のフェノール樹脂を製造する方法。
JPEG
2024157421000022.jpg
26
137
H-C(=O)-R

-C(=O)-H・・・(3)
(化学式(2)中、R

は、水素、水酸基(OH)およびアルコキシ基からなる群から選択され、R

はそれぞれ、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。


は、水素、アルキル基、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基および水酸基(OH)からなる群から選択され、R

はそれぞれ、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。


は、水素、アルキル基、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基および水酸基(OH)からなる群から選択され、R

はそれぞれ、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
但し、化学式(2)中、R

が水素である場合、R

は水酸基(OH)またはアルコキシ基であり、R

は、アルキル基、アセチル基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。
化学式(3)中、R

は、芳香族基である。
但し、R

の1つのベンゼン環に2つのアルデヒド基(C(=O)-H)が結合している場合、前記1つのベンゼン環のオルト位またはパラ位にて、前記2つのアルデヒド基が結合している。)
【請求項6】
前記付加縮合反応させる工程において、前記フェノール類のモル数と、前記ジアルデヒド化合物のモル数との比率について、前記aが3以上5以下の実数である、請求項5に記載の多分岐型のフェノール樹脂を製造する方法。
【請求項7】
前記付加縮合反応させる工程において、前記反応温度が100℃以上である、請求項5に記載の多分岐型のフェノール樹脂を製造する方法。
【請求項8】
前記付加縮合反応させる工程において、前記反応時間が、24時間以上である、請求項5に記載の多分岐型のフェノール樹脂を製造する方法。
【請求項9】
前記付加縮合反応させる工程において、前記酸触媒が、塩酸、リン酸、硫酸、パラ‐トルエンスルホン酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸およびトリフルオロメタンスルホン酸からなる群から1種以上選択される、請求項5に記載の多分岐型のフェノール樹脂を製造する方法。
【請求項10】
前記付加縮合反応させる工程において、前記溶媒が、エタノール、クロロメタン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、および1-プロパノールからなる群から1種以上選択される、請求項5に記載の多分岐型のフェノール樹脂を製造する方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、多分岐型のフェノール樹脂およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
世界初の工業的に合成される人工高分子として、1911年に、フェノールとアルデヒド化合物から合成される、ベークライトと呼称される1種のフェノール樹脂が開発された。それ以来、フェノール類とアルデヒド化合物とを原料とする種々のフェノール樹脂の開発が進められている。前記フェノール樹脂は、耐熱性および難燃性等の種々の優れた特性を備えている。
【0003】
前記ベークライトの製造時には、フェノールとアルデヒド化合物との反応において、副生成物として、Calixareneと呼称される環状化合物が生成する。前記Calixareneは、2つの異性体を持ち、前記反応が進行することに伴い、分子内の共有結合が解離と再結合とを繰り返しながら、前記2つの異性体のうち、より熱的に安定な異性体に収束していく。その結果、前記Calixareneとして、より熱的に安定な異性体が選択的に製造される。
【0004】
前述の共有結合のような、解離と再結合とを繰り返す共有結合の化学は「動的共有結合化学(DCC)」と呼称される。前記DCCを利用することにより、より熱的に安定な化合物(熱力学的主生成物)を、選択的に高い収率で製造することができることが知られている。
【0005】
本発明者らは、近年、前記DCCを利用して、フェノール類と特定のジアルデヒド化合物とを、特定の条件の下、付加縮合反応させ、大環状化合物であるフェノール樹脂を選択的に製造できることを見出している(非特許文献1~5を参照)。前記大環状化合物は、3次元架橋構造を備える一般的なフェノール樹脂とは異なる構造を備える新規なフェノール樹脂である。具体的には、非特許文献1および5には、Noriaと呼称される前記大環状化合物が記載され、非特許文献2~5には、Triple-ringed[14]areneと呼称される前記大環状化合物が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Angew.Chem.Int.Ed.2006,45, P7948-7952
Macromolecules 2008,41, P2030-2036
Chemistry Letters Vol.38,No.12(2009), P1198-1199
Chem. Lett. 2012, 41, P699-701
Chem. Lett. 2021, 50, P825-831
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の種々のフェノール樹脂は、前記大環状化合物を含めて、耐熱性および難燃性等の優れた特性を備える一方で、一般的な有機溶媒には不溶である。そのため、前記フェノール樹脂には、膜を形成することが困難であり、成膜性に劣るという問題が存在する。また、最近は、より優れた耐熱性および難燃性を備える樹脂に対する需要が高まっている。しかしながら、前述の種々のフェノール樹脂は、耐熱性および難燃性に改善の余地があった。
【0008】
本発明の一態様は、前記問題点を解決するための発明であり、より優れた耐熱性および難燃性を備え、かつ、一般的な有機溶媒に可溶であり、成膜性に優れるフェノール樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者らは、特定のフェノール類と特定のジアルデヒド化合物とを原料として、両者を、特定の条件の下で付加縮合反応させた。本発明者らは、これによって、一般的な有機溶媒に可溶な、多分岐型のフェノール樹脂を、前記DCCを利用して選択的に製造できることを見出し、本発明に想到した。
【0010】
すなわち、本発明の一態様は、以下の化学式(1)で表される繰り返し単位を備える、多分岐型のフェノール樹脂である。
(【0011】以降は省略されています)

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