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公開番号2024154852
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-31
出願番号2023069006
出願日2023-04-20
発明の名称燃料電池システム
出願人株式会社アイシン
代理人弁理士法人アイテック国際特許事務所
主分類H01M 8/04225 20160101AFI20241024BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】燃料電池や改質部に炭素を析出することなく、起動処理を適切に行なう。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池からのオフガスを燃焼させる燃焼部と、燃焼部と熱伝達可能に配置された改質部と、燃焼部と熱伝達可能で且つ改質部よりも燃焼部から離れた位置に配置された蒸発部と、システムの起動が要求されたとき、起動処理を開始し、起動処理の実行中において、燃料電池温度センサにより検出される温度が水蒸気の供給がなければ燃料電池に炭素が析出する温度として設定された第1閾値以上であり且つ蒸発部温度センサにより検出される温度が蒸発部で水蒸気を生成可能な温度として設定された第2閾値未満である場合には、起動処理を一時停止して燃焼部の予熱で蒸発部を昇温させた後、起動処理を再開する制御部と、を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池を含む燃料電池システムであって、
前記燃料電池からのオフガスを燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部と熱伝達可能に配置され、水蒸気を用いて炭化水素系の原燃料ガスを前記燃料ガスに改質する改質部と、
前記燃焼部と熱伝達可能で且つ前記改質部よりも前記燃焼部から離れた位置に配置され、改質水を蒸発させて前記水蒸気を生成する蒸発部と、
断熱性を有し、前記燃料電池と前記改質部と前記蒸発部と前記燃焼部とを収容するケースと、
前記改質部に前記原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給装置と、
前記蒸発部に前記改質水を供給する改質水供給装置と、
前記燃料電池に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、
前記ケース内に設けられ、前記燃料電池の温度を検出する燃料電池温度センサと、
前記ケース内に設けられ、前記蒸発部の温度を検出する蒸発部温度センサと、
システムの起動が要求されたとき、前記原燃料ガスと前記酸化剤ガスとを供給して前記燃焼部で燃焼させる起動処理を開始するように前記原燃料ガス供給装置と前記酸化剤ガス供給装置とを制御し、前記起動処理の実行中において、前記燃料電池温度センサにより検出される温度が水蒸気の供給がなければ前記燃料電池に炭素が析出する温度として設定された第1閾値以上であり且つ前記蒸発部温度センサにより検出される温度が前記蒸発部で水蒸気を生成可能な温度として設定された第2閾値未満である場合には、少なくとも前記原燃料ガスの供給を停止することにより前記起動処理を一時停止して前記燃焼部の予熱で前記蒸発部を昇温させた後、前記起動処理を再開するように前記原燃料ガス供給装置と前記酸化剤ガス供給装置とを制御する制御部と、
を備える燃料電池システム。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池温度センサは、前記燃料電池の温度を代用する温度を検出し、
前記制御部は、前記起動処理を開始するときに前記燃料電池温度センサにより検出される温度に基づいて前記第1閾値を変更する、
燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池温度センサは、前記燃料電池の温度を代用する温度を検出し、
前記制御部は、前記起動処理の実行中において前記燃料電池温度センサにより検出される温度が所定温度以上である場合に、前記改質水の供給を開始するように前記改質水供給装置を制御するものであり、
前記起動処理を開始するときに前記燃料電池温度センサにより検出される温度に基づいて前記所定温度または前記改質水の供給流量を変更する、
燃料電池システム。
【請求項4】
燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池を含む燃料電池システムであって、
前記燃料電池からのオフガスを燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部と熱伝達可能に配置され、水蒸気を用いて炭化水素系の原燃料ガスを前記燃料ガスに改質する改質部と、
前記燃焼部と熱伝達可能で且つ前記改質部よりも前記燃焼部から離れた位置に配置され、改質水を蒸発させて前記水蒸気を生成する蒸発部と、
断熱性を有し、前記燃料電池と前記改質部と前記蒸発部と前記燃焼部とを収容するケースと、
前記改質部に前記原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給装置と、
前記蒸発部に前記改質水を供給する改質水供給装置と、
前記燃料電池に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、
前記ケース内に設けられ、前記改質部の温度を検出する改質部温度センサと、
前記ケース内に設けられ、前記蒸発部の温度を検出する蒸発部温度センサと、
システムの起動が要求されたとき、前記原燃料ガスと前記酸化剤ガスとを供給して前記燃焼部で燃焼させる起動処理を開始するように前記原燃料ガス供給装置と前記酸化剤ガス供給装置とを制御し、前記起動処理の実行中において、前記改質部温度センサにより検出される温度が水蒸気の供給がなければ前記改質部に炭素が析出する温度として設定された第1閾値以上であり且つ前記蒸発部温度センサにより検出される温度が前記蒸発部で水蒸気を生成可能な温度として設定された第2閾値未満である場合には、少なくとも前記原燃料ガスの供給を停止することにより前記起動処理を一時停止して前記燃焼部の予熱で前記蒸発部を昇温させた後、前記起動処理を再開するように前記原燃料ガス供給装置と前記酸化剤ガス供給装置とを制御する制御部と、
を備える燃料電池システム。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料電池システムであって、
前記改質部温度センサは、前記改質部の温度を代用する温度を検出し、
前記制御部は、前記起動処理を開始するときに前記改質部温度センサにより検出される温度に基づいて前記第1閾値を変更する、
燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記蒸発部温度センサは、前記蒸発部の温度を代用する温度を検出し、
前記制御部は、前記起動処理を開始するときに前記蒸発部温度センサにより検出される温度に基づいて前記第2閾値を変更する、
燃料電池システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書は、燃料電池システムについて開示する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料電池システムとしては、起動制御において、改質器の温度が部分酸化改質反応開始温度(T1)未満の場合に燃料ガスによる燃焼熱によって改質器を加熱する制御を実行し、改質器の温度がT1以上で水蒸気改質反応可能温度(T2)未満の場合に部分酸化改質反応(POX)工程を実行し、改質器の温度がT2以上の場合にオートサーマル改質反応(ATR)工程を実行し、水蒸気改質反応(SR)工程へ移行するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、起動制御を開始するときにおける改質器の温度がT2以上である場合には、ATR工程から起動制御を開始することなく、改質器の温度がT2未満に低下するまで改質器を空気により強制冷却した後に、POX工程を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2010-220432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した燃料電池システムでは、POX工程やATR工程を実行するための専用の空気ポンプや空気流量計を必要とするため、コスト増を招いてしまう。水蒸気改質反応のみにより燃料改質を行なう燃料電池システムでは、燃料電池スタックや改質器の温度が、水蒸気の供給がなければ炭素が析出する炭素析出温度以上となるときに、蒸発部に改質水を供給して水蒸気を生成させつつ起動処理を行なう。しかし、蒸発器の配置によっては、蒸発器の温度が水蒸気を生成可能な蒸気生成可能温度に達する前に、燃料電池スタックや改質器の温度が炭素析出温度に達する場合が生じる。
【0005】
本開示の燃料電池システムは、燃料電池や改質部に炭素を析出させることなく、起動処理を適切に行なうことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の燃料電池システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の第1の燃料電池システムは、
燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池を含む燃料電池システムであって、
前記燃料電池からのオフガスを燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部と熱伝達可能に配置され、水蒸気を用いて炭化水素系の原燃料ガスを前記燃料ガスに改質する改質部と、
前記燃焼部と熱伝達可能で且つ前記改質部よりも前記燃焼部から離れた位置に配置され、改質水を蒸発させて前記水蒸気を生成する蒸発部と、
断熱性を有し、前記燃料電池と前記改質部と前記蒸発部と前記燃焼部とを収容するケースと、
前記改質部に前記原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給装置と、
前記蒸発部に前記改質水を供給する改質水供給装置と、
前記燃料電池に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、
前記ケース内に設けられ、前記燃料電池の温度を検出する燃料電池温度センサと、
前記ケース内に設けられ、前記蒸発部の温度を検出する蒸発部温度センサと、
システムの起動が要求されたとき、前記原燃料ガスと前記酸化剤ガスとを供給して前記燃焼部で燃焼させる起動処理を開始するように前記原燃料ガス供給装置と前記酸化剤ガス供給装置とを制御し、前記起動処理の実行中において、前記燃料電池温度センサにより検出される温度が水蒸気の供給がなければ前記燃料電池に炭素が析出する温度として設定された第1閾値以上であり且つ前記蒸発部温度センサにより検出される温度が前記蒸発部で水蒸気を生成可能な温度として設定された第2閾値未満である場合には、少なくとも前記原燃料ガスの供給を停止することにより前記起動処理を一時停止して前記燃焼部の予熱で前記蒸発部を昇温させた後、前記起動処理を再開するように前記原燃料ガス供給装置と前記酸化剤ガス供給装置とを制御する制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示の第1の燃料電池システムでは、起動処理の実行中において、燃料電池温度センサにより検出される温度が第1閾値以上であり且つ蒸発部温度センサにより検出される温度が第2閾値未満である場合には、少なくとも原燃料ガスの供給を停止することで、燃料電池に炭素が析出するのを防止する。そして、燃焼部の予熱で蒸発部を昇温させた後、起動処理を再開することで、蒸発部の温度を第2閾値以上として改質水の投入により起動処理を継続させることができる。この結果、燃料電池に炭素を析出することなく、起動処理を適切に行なうことができる。
【0009】
本開示の第2の燃料電池システムは、
燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池を含む燃料電池システムであって、
前記燃料電池からのオフガスを燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部と熱伝達可能に配置され、水蒸気を用いて炭化水素系の原燃料ガスを前記燃料ガスに改質する改質部と、
前記燃焼部と熱伝達可能で且つ前記改質部よりも前記燃焼部から離れた位置に配置され、改質水を蒸発させて前記水蒸気を生成する蒸発部と、
断熱性を有し、前記燃料電池と前記改質部と前記蒸発部と前記燃焼部とを収容するケースと、
前記改質部に前記原燃料ガスを供給する原燃料ガス供給装置と、
前記蒸発部に前記改質水を供給する改質水供給装置と、
前記燃料電池に前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給装置と、
前記ケース内に設けられ、前記改質部の温度を検出する改質部温度センサと、
前記ケース内に設けられ、前記蒸発部の温度を検出する蒸発部温度センサと、
システムの起動が要求されたとき、前記原燃料ガスと前記酸化剤ガスとを供給して前記燃焼部で燃焼させる起動処理を開始するように前記原燃料ガス供給装置と前記酸化剤ガス供給装置とを制御し、前記起動処理の実行中において、前記改質部温度センサにより検出される温度が水蒸気の供給がなければ前記改質部に炭素が析出する温度として設定された第1閾値以上であり且つ前記蒸発部温度センサにより検出される温度が前記蒸発部で水蒸気を生成可能な温度として設定された第2閾値未満である場合には、少なくとも前記原燃料ガスの供給を停止することにより前記起動処理を一時停止して前記燃焼部の予熱で前記蒸発部を昇温させた後、前記起動処理を再開するように前記原燃料ガス供給装置と前記酸化剤ガス供給装置とを制御する制御部と、
を備えることを要旨とする。
【0010】
この本開示の第2の燃料電池システムでは、起動処理の実行中において、改質部温度センサにより検出される温度が第1閾値以上であり且つ蒸発部温度センサにより検出される温度が第2閾値未満である場合には、少なくとも原燃料ガスの供給を停止することで、改質部に炭素が析出するのを防止する。そして、燃焼部の予熱で蒸発部を昇温させた後、起動処理を再開することで、蒸発部の温度を第2閾値以上として改質水の投入により起動処理を継続させることができる。この結果、改質部に炭素を析出することなく、起動処理を適切に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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