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公開番号2024143173
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023055705
出願日2023-03-30
発明の名称ベーカリー食品用小麦粉
出願人日清製粉株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類A23L 7/10 20160101AFI20241003BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】ベーカリー食品用小麦粉として有用な高アミロース小麦粉の提供。
【解決手段】コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上であり、RVAピーク粘度が150~229mPa・sである、ベーカリー食品用小麦粉。該RVAピーク粘度は下記手順にて測定されたピーク粘度である:小麦粉3g(水分14質量%)を水25mLに懸濁し、得られた懸濁液をラピッドビスコアナライザーにより粘度測定する(ここで該粘度測定では、該懸濁液の品温を、はじめに50℃で1分間保持し、その後12℃/分で140℃に昇温させ、140℃で2.5分間維持し、次いで12℃/分で50℃まで降温させ、50℃で14.2分間保持する)。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ベーカリー食品用小麦粉であって、
コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上であり、
RVAピーク粘度が150~229mPa・sであり、
該RVAピーク粘度が、下記手順にて測定されたピーク粘度である:
小麦粉3g(水分14質量%)を水25mLに懸濁し、得られた懸濁液をラピッドビスコアナライザーにより粘度測定する(ここで該粘度測定では、該懸濁液の品温を、はじめに50℃で1分間保持し、その後12℃/分で140℃に昇温させ、140℃で2.5分間維持し、次いで12℃/分で50℃まで降温させ、50℃で14.2分間保持する)、
ベーカリー食品用小麦粉。
続きを表示(約 220 文字)【請求項2】
SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、請求項1記載のベーカリー食品用小麦粉。
【請求項3】
請求項1又は2記載のベーカリー食品用小麦粉を穀粉類及び澱粉類の合計質量中に10質量%以上含有する、ベーカリー食品用穀粉組成物。
【請求項4】
請求項1又は2記載のベーカリー食品用小麦粉を、穀粉類及び澱粉類の合計質量中に10質量%以上含有する原料粉を用いる、ベーカリー食品の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー食品用小麦粉に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
穀物に含まれる澱粉にはアミロースとアミロペクチンが含まれる。アミロースは、消化酵素による消化性が悪く、そのため、ヒトの消化酵素で消化されない難消化性成分、すなわち食物繊維として機能し得、難消化性澱粉に分類される。近年、澱粉合成に関連する酵素に変異を有することでアミロース含有量を増加させた高アミロース小麦が開発されている(非特許文献1、2)。特許文献1~4には、澱粉分枝酵素SBEIIaの遺伝子の点変異を有し、SBEIIaの活性が低下しており、穀粒に含まれる澱粉のアミロース含有量が高い高アミロース小麦が開示されている。しかし一方で、アミロースは食品がパサついたり硬くなったりする原因でもある。例えば、前述の非特許文献2には、高アミロース小麦から製造したパンが、通常の小麦を使用したものと比べて膨らみが悪く品質に劣っていたこと、一方で、高アミロース小麦粉の配合によりパスタのようなテクスチャーの中華麺が得られたことが記載されている。そのため、ベーカリー食品や麺類では、食品の食感をソフトで口当たりのよいものにしたい場合、アミロース含有量の低い穀粉が利用されることがある。
【0003】
特許文献5には、生地を40~150kgf/cm
2
の圧力で押出製麺する生パスタ類の製造方法において、該生地の原料粉に、RVAピーク粘度が3000~5000mPa・S、ブレークダウンが1500~4000mPa・S、セットバックが1000~2500mPa・Sである普通小麦粉を配合することが記載されている。非特許文献3には、高アミロース小麦粉のRVA(140℃まで昇温)によるピーク粘度が約235~407cP、ブレークダウンが約170.5~323cP、セットバックが約533~639.5cPであったことが記載されており、こうした高アミロース小麦粉のRVAピーク粘度及びブレークダウンは、同じ条件で測定した普通小麦粉のRVAピーク粘度及びブレークダウンと比べてかなり低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2007-504803号公報
特表2008-526690号公報
特表2015-504301号公報
特表2019-527054号公報
特開2017-035061号公報
【非特許文献】
【0005】
J Jpn Assoc Dietary Fiber Res, 2003, 7(1):20-25
Trends in Food Science and Technology, 2006, 17:448-456
Carbohydrate Polymers, 2020, 245:116557
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高アミロース小麦粉は有望な食物繊維素材の1つである。本発明は、ベーカリー食品用小麦粉として有用な高アミロース小麦粉に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的実施形態として、以下を提供する。
〔1〕ベーカリー食品用小麦粉であって、
コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上であり、
RVAピーク粘度が150~229mPa・sであり、
該RVAピーク粘度が、下記手順にて測定されたピーク粘度である:
小麦粉3g(水分14質量%)を水25mLに懸濁し、得られた懸濁液をラピッドビスコアナライザーにより粘度測定する(ここで該粘度測定では、該懸濁液の品温を、はじめに50℃で1分間保持し、その後12℃/分で140℃に昇温させ、140℃で2.5分間維持し、次いで12℃/分で50℃まで降温させ、50℃で14.2分間保持する)、
ベーカリー食品用小麦粉。
〔2〕SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、〔1〕記載のベーカリー食品用小麦粉。
〔3〕〔1〕又は〔2〕記載のベーカリー食品用小麦粉を穀粉類及び澱粉類の合計質量中に10質量%以上含有する、ベーカリー食品用穀粉組成物。
〔4〕〔1〕又は〔2〕記載のベーカリー食品用小麦粉を、穀粉類及び澱粉類の合計質量中に10質量%以上含有する原料粉を用いる、ベーカリー食品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明で提供される高アミロース小麦粉を用いて製造したベーカリー食品は、軽さのある良好な食感を有する。当該高アミロース小麦粉は、ベーカリー食品用小麦粉として好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、高アミロース小麦粉とは、アミロース含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上、さらに好ましくは47質量%以上の小麦粉をいう。小麦粉のアミロース含有量とは、該小麦粉に含まれる総澱粉中のアミロース含有量をいう。本明細書における小麦粉のアミロース含有量は、コンカナバリンA(ConA)法により分析された値として定義され、例えば、該小麦粉をMegazyme社のアミロース/アミロペクチン分析キット(AMYLOSE/AMYLOPECTIN ASSAY KIT)で分析することで測定することができる。従来一般的なアミロース含有量の分析方法としては、(1) アミロースのヨウ素に対する結合能の高さを利用した方法(ヨウ素親和力測定法;例えば電流滴定法、比色定量法、AACC61-03法など)、(2) アミロペクチンとConAが特異的に結合することを利用した方法(ConA法)が知られている。しかし(1)を利用した方法ではアミロース量がより高く算出される傾向がある。例えば、非特許文献1~2に記載されるSGP-1遺伝子の機能欠失型変異(null変異)を有する高アミロース小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では37質量%程度であるが、ConA法では31質量%程度である。なお、従来一般的な小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では32質量%未満、ConA法では28質量%未満である。
【0010】
高アミロース小麦粉の原料小麦の例としては、澱粉分枝酵素SBEIIaの活性が低い改変小麦が挙げられる。そのような改変小麦の例としては、特許文献1~4に記載される、SBEIIaの遺伝子の変異を有し、SBEIIaの活性が低下している高アミロース小麦が挙げられる。より具体的な例としては、穀粒中のSBEIIaタンパク質の量又は活性が野生型小麦穀粒中の量又は活性の2%よりも低い高アミロース小麦、1つ以上、例えば1つ又は2つのSBEIIa遺伝子のnull変異を有する高アミロース小麦、などが挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)

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