TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024135530
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-04
出願番号2023046261
出願日2023-03-23
発明の名称積層ポリエステルフィルム、車両用ディスプレイ、車両用電子部品
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B32B 27/36 20060101AFI20240927BHJP(積層体)
要約【課題】 本発明は、対象物との初期密着性に優れ、且つ湿熱雰囲気下においても密着性と透明性を維持することができる積層ポリエステルフィルムを提供することをその課題とする。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最表層に、樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、前記樹脂層Xの表面自由エネルギーが35.0mN/m~55.0mN/mであり、温度85℃、湿度85%の環境下で500時間の湿熱処理を施した後の前記樹脂層Xの表面自由エネルギーにおける極性力と水素結合力の合計値の変化量が0.0mN/m~3.0mN/mであることを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最表層に、樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、
前記樹脂層Xの表面自由エネルギーが35.0mN/m~55.0mN/mであり、
温度85℃、湿度85%の環境下で500時間の湿熱処理を施した後の前記樹脂層Xの表面自由エネルギーにおける極性力と水素結合力の合計値の変化量が0.0mN/m~3.0mN/mであることを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
原子間力顕微鏡(AFM)で測定した1μm四方の前記樹脂着層Xの弾性率ばらつき像におけるドメイン面積が500nm

以下である、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記樹脂層Xがポリエステル樹脂を含む、請求項1または2に積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記樹脂層Xが、以下の特徴1~3を全て満たす塗料組成物より形成される、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
特徴1:バインダー樹脂、メラミン化合物、カルボジイミド化合物をすべて含む。
特徴2:塗料組成物におけるバインダー樹脂の含有量を100質量部としたときに、メラミン化合物の含有量Aが10質量部以下であり、カルボジイミド化合物の含有量Bが5質量部~30質量部である。
特徴3:A/Bが0.50以下である。
【請求項5】
前記樹脂層Xが、以下の特徴4及び5をともに満たす塗料組成物より形成される、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
特徴4:バインダー樹脂を含む。
特徴5:塗料組成物に含まれるバインダー樹脂の10質量%以上が、水酸基と多官能アクリロイル基を有する樹脂である。
【請求項6】
前記樹脂層Xの厚みが50nm以下である、請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項7】
車両用ディスプレイに使用される、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項8】
車両用電子部品に使用される、請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項9】
請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルムを使用した、車両用ディスプレイ。
【請求項10】
請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルムを使用した、車両用電子部品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水系塗材の塗布均一性および密着性に優れた積層ポリエステルフィルム、それを用いた車両用ディスプレイ、車両用電子部品に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂フィルム、中でもポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料、フラットディスプレイ等における反射防止フィルムや拡散シート、プリズムシート等の光学フィルム、透明タッチパネルなど幅広く使用されている。しかしながら、これらの用途に好適に用いるために、ポリエステルフィルムに他の材料を塗布積層して所望の機能を有する層を形成させる場合、使用される材料によっては接着性が悪くなる欠点がある。
【0003】
そこで、ポリエステルフィルムの表面に接着性を付与する方法の一つとして、ポリエステルフィルムの表面に各種樹脂を塗布し、接着機能を持つ塗布層(以下、易接着層ということがある。)を設ける方法が知られている。具体例としては、例えば、ポリウレタン樹脂や親水性官能基を導入したアクリル樹脂やポリエステル樹脂からなる塗剤により、ポリエステルフィルムの表面に易接着層を設けることで接着性の向上を図る手法が知られている(特許文献1、2)。
【0004】
また、近年、液晶パネルを搭載する自動車が増加している。このような自動車に搭載されている液晶パネルは高温下や高湿下に長時間さらされることが多いため、液晶パネル構成する易接着フィルムにも、耐湿熱性及び高温耐久性が求められてきている。
【0005】
湿熱雰囲気に曝された易接着フィルムは、フィルム内部から表面に異物が析出することにより、以下に示すような問題が生じる。例えば、析出物が光を散乱してフィルム透明性を阻害する、粘着剤やハードコートとの積層に用いている場合に析出物が界面に堆積して密着性が低下する、偏光素子を含む偏光板を貼合した保護フィルムとして用いている場合に析出物が偏光子樹脂に浸透して偏光特性の低下や色抜けなどの特性劣化を生じる、等である。このような問題を解決する手法として、架橋剤量を低減して耐熱水性や高温高湿下での密着性を向上させた易接着フィルムが知られている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2009-214531号公報
特開2011-140140号公報
特許第5042161号公報
特開2014-65887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3、4に開示されている方法では、湿熱試験後の透明性と密着性をともに満足する性能を具備する易接着フィルムは得られないのが現状である。本発明者らが、湿熱試験後に透明性と密着性が低下する原因を検証したところ、湿熱雰囲気下で発生する表面析出物は、易接着層に含まれる反応性化合物の残渣物であることが判明し、反応性化合物量を低減化すれば、これらの問題点が改善することが判明した。一方、本発明者らの検討においては、反応性化合物は易接着層の強度や対象物との初期密着性に強く関連しており、単に反応性化合物量を低減するだけでは十分な密着性を得られないことも明らかとなった。
【0008】
そこで、本発明は上記の欠点を解消し、対象物との初期密着性に優れ、且つ湿熱雰囲気下においても密着性と透明性を維持することができる積層ポリエステルフィルムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の積層ポリエステルフィルムは次の構成からなる。すなわち、本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最表層に、樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、前記樹脂層Xの表面自由エネルギーが35.0mN/m~55.0mN/mであり、温度85℃、湿度85%の環境下で500時間の湿熱処理を施した後の前記樹脂層Xの表面自由エネルギーにおける極性力と水素結合力の合計値の変化量が0.0mN/m~3.0mN/mであることを特徴とする、積層ポリエステルフィルムである。
【0010】
また、本発明の積層ポリエステルフィルムは以下の態様とすることもでき、本発明の積層ポリエステルフィルムを用いて車両用ディスプレイや車両用電子部品を得ることもできる。
(1) ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最表層に、樹脂層Xを有する積層ポリエステルフィルムであって、前記樹脂層Xの表面自由エネルギーが35.0mN/m~55.0mN/mであり、温度85℃、湿度85%の環境下で500時間の湿熱処理を施した後の前記樹脂層Xの表面自由エネルギーにおける極性力と水素結合力の合計値の変化量が0.0mN/m~3.0mN/mであることを特徴とする、積層ポリエステルフィルム。
(2) 原子間力顕微鏡(AFM)で測定した1μm四方の前記樹脂着層Xの弾性率ばらつき像におけるドメイン面積が500nm

以下である、(1)に記載の積層ポリエステルフィルム。
(3) 前記樹脂層Xがポリエステル樹脂を含む、(1)または(2)に積層ポリエステルフィルム。
(4) 前記樹脂層Xが、以下の特徴1~3を全て満たす塗料組成物より形成される、(1)~(3)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
特徴1:バインダー樹脂、メラミン化合物、カルボジイミド化合物をすべて含む。
特徴2:塗料組成物におけるバインダー樹脂の含有量を100質量部としたときに、メラミン化合物の含有量Aが10質量部以下であり、カルボジイミド化合物の含有量Bが5質量部~30質量部である。
特徴3:A/Bが0.50以下である。
(5) 前記樹脂層Xが、以下の特徴4及び5をともに満たす塗料組成物より形成される、(1)~(4)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
特徴4:バインダー樹脂を含む。
特徴5:塗料組成物に含まれるバインダー樹脂の10質量%以上が、水酸基と多官能アクリロイル基を有する樹脂である。
(6) 前記樹脂層Xの厚みが50nm以下である、(1)~(5)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(7) 車両用ディスプレイに使用される、(1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
(8) 車両用電子部品に使用される、(1)~(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
(9) (1)~(7)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムを使用した、車両用ディスプレイ。
(10) (1)~(6)、(8)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムを使用した、車両用電子部品。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

東レ株式会社
織編物及び衣服
5日前
東レ株式会社
異型断面アクリル繊維の製造方法
2日前
東レ株式会社
発泡樹脂廃棄物の圧縮減容処理方法
2日前
東レ株式会社
成型用フィルム及びそれを用いた成型体
2日前
東レ株式会社
回転電機保護リングおよびその製造方法並びに回転電機
2日前
東レ株式会社
セラミックス球形体およびセラミックス球形体の製造方法
2日前
東レ株式会社
積層ポリエステルフィルム、車両用ディスプレイ、車両用電子部品
2日前
東レ株式会社
人工皮革およびその製造方法ならびに積層体、乗物用内装材、衣類、雑貨
2日前
東レ株式会社
ポリマー微粒子、その製造方法、組成物、光学部材、光源ユニット、ディスプレイ、照明装置およびインク
2日前
ダウ シリコーンズ コーポレーション
ヒドロシリル化硬化阻害剤及びその使用
4日前
東レ株式会社
高分子電解質材料、それを用いた高分子電解質成型体、触媒層付電解質膜、膜電極接合体、固体高分子燃料電池および水電解式水素発生装置
2日前
東レ株式会社
積層体
3か月前
東レ株式会社
積層体
3か月前
東レ株式会社
積層体
4か月前
東レ株式会社
積層体
3か月前
東レ株式会社
積層体
6日前
東レ株式会社
フィルム
16日前
東レ株式会社
多層成形品
4か月前
東レ株式会社
積層フィルム
4か月前
個人
生地
6か月前
アイカ工業株式会社
化粧板
1か月前
東レ株式会社
積層フィルム
6か月前
アイカ工業株式会社
化粧板
2日前
東洋紡株式会社
離型フィルム
5か月前
東ソー株式会社
多層フィルム
8か月前
三菱ケミカル株式会社
積層体
6か月前
三菱ケミカル株式会社
積層体
5か月前
東洋紡株式会社
離型フィルム
5か月前
三菱ケミカル株式会社
積層体
7か月前
三菱ケミカル株式会社
積層体
7か月前
セーレン株式会社
導電性編物
5か月前
ダイニック株式会社
ターポリン
2か月前
三菱製紙株式会社
離型フィルム
4か月前
日本バイリーン株式会社
表面材
3か月前
三洋化成工業株式会社
複層硬化膜
4か月前
株式会社カネカ
ポリイミド積層体
4か月前
続きを見る