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公開番号2024128274
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-24
出願番号2023037166
出願日2023-03-10
発明の名称難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品
出願人帝人株式会社
代理人個人
主分類C08L 69/00 20060101AFI20240913BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】耐薬品性(特に医療用消毒剤に対する耐薬品性)、成形安定性、流動性および難燃性に優れる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】(A)粘度平均分子量が20,000~27,000であるポリカーボネート樹脂(A成分)50~80重量部および(B)固有粘度が0.8~1.4dl/gであるポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)50~20重量部の合計100重量部に対し、(C)臭素化ポリカーボネート系難燃剤(C成分)5~15重量部、(D)五酸化アンチモン(D成分)1~5重量部、(E)衝撃改質剤(E成分)5~15重量部および(F)エステル交換反応防止剤(F成分)0.01~0.5重量部を含有することを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)粘度平均分子量が20,000~27,000であるポリカーボネート樹脂(A成分)50~80重量部および(B)固有粘度が0.8~1.4dl/gであるポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)50~20重量部の合計100重量部に対し、(C)臭素化ポリカーボネート系難燃剤(C成分)5~15重量部、(D)五酸化アンチモン(D成分)1~5重量部、(E)衝撃改質剤(E成分)5~15重量部および(F)エステル交換反応防止剤(F成分)0.01~0.5重量部を含有することを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
続きを表示(約 320 文字)【請求項2】
F成分がホスフェート化合物であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物よりなる成形品。
【請求項4】
医療機器用外装材である請求項3に記載の成形品。
【請求項5】
ASTM D543に準拠し、次亜塩素酸ナトリウム、第四級アンモニウム塩、イソプロパノール、過酸化水素、エタノールおよびオルトフタルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む医療用消毒剤と168時間接触させた後に、表面にクラックが発生しないことを特徴とする請求項4に記載の成形品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は耐薬品性(特に医療用消毒剤に対する耐薬品性)、成形安定性、流動性および難燃性に優れる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、優れた機械特性、熱的性質および自己消化性を有しているため、機械部品、自動車部品、電気・電子部品および事務機器部品などの多くの用途に用いられている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は溶融粘度が高く射出成型時の流動性が低いため、成形時の残留応力が生じ易いことが欠点である。また、ポリカーボネート樹脂は非晶性樹脂であるため、アルコールや薬品などに接触した際にクラックが生じやすく、侵食性の強い消毒剤を多用する医療機器用外装材への適用が困難であった。上記の課題を解決するために、ポリカーボネート樹脂にポリエステル樹脂を溶融混合する方法が試みられている。ポリカーボネート樹脂にポリエステル樹脂を溶融混合する手法として、例えば、ポリカーボネート樹脂にポリエチレンテレフタレート樹脂、相溶化剤およびオレフィン系エラストマーを配合する方法が開示されている(特許文献1)。しかしながら、医療用消毒剤に対する耐薬品性は十分ではなかった。さらに、難燃剤が添加されていないため、高度な難燃性が要求される医療機器用外装材には適用困難であった。
【0003】
そのため近年では、高度な耐薬品性および難燃性を達成するために、ポリカーボネート樹脂にポリブチレンテレフタレート樹脂および難燃剤を溶融混合する方法が試みられている。ポリカーボネート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂のポリマーアロイ系難燃処方としては、ハロゲン系難燃剤および三酸化アンチモンの組み合わせを配合することが一般的である。しかしながら、難燃助剤として用いる三酸化アンチモンの触媒作用により、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂のエステル交換反応が促進され、射出成型時の成形安定性および耐薬品性が低下するという問題があった。かかる問題を解決するために、ポリカーボネート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂のポリマーアロイ系難燃処方として、エステル交換反応防止剤を配合する方法(特許文献2)や、三酸化アンチモンよりも触媒作用の低い五酸化アンチモンを配合する方法が試みられている(特許文献3および4)。しかしながら、いずれの文献においても、エステル交換反応を十分に抑制できておらず、成形安定性および医療用消毒剤に対する耐薬品性は十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-138675号公報
特開2011-132313公報
特開2014-1374号公報
特開2021-178921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、本発明の目的は、耐薬品性(特に医療用消毒剤に対する耐薬品性)、成形安定性、流動性および難燃性に優れる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂に、ポリブチレンテレフタレート樹脂、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、五酸化アンチモン、衝撃改質剤およびエステル交換反応防止剤を添加することにより、耐薬品性(特に医療用消毒剤に対する耐薬品性)、成形安定性、流動性および難燃性に優れる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、上記課題は、下記1~5項により達成される。
【0007】
1.(A)粘度平均分子量が20,000~27,000であるポリカーボネート樹脂(A成分)50~80重量部および(B)固有粘度が0.8~1.4dl/gであるポリブチレンテレフタレート樹脂(B成分)50~20重量部の合計100重量部に対し、(C)臭素化ポリカーボネート系難燃剤(C成分)5~15重量部、(D)五酸化アンチモン(D成分)1~5重量部、(E)衝撃改質剤(E成分)5~15重量部および(F)エステル交換反応防止剤(F成分)0.01~0.5重量部を含有することを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
2.F成分がホスフェート化合物であることを特徴とする前項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
3.前項1または2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物よりなる成形品。
4.医療機器用外装材である前項3に記載の成形品。
5.ASTM D543に準拠し、次亜塩素酸ナトリウム、第四級アンモニウム塩、イソプロパノール、過酸化水素、エタノールおよびオルトフタルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む医療用消毒剤と168時間接触させた後に、表面にクラックが発生しないことを特徴とする前項4に記載の成形品。
【0008】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0009】
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明において使用されるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
【0010】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’-ビフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’-(p-フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’-(m-フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましく、汎用されている。
(【0011】以降は省略されています)

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