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公開番号
2025009124
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-20
出願番号
2023111901
出願日
2023-07-07
発明の名称
メタ型全芳香族ポリアミド繊維及びその製造方法
出願人
帝人株式会社
代理人
個人
主分類
D01F
6/60 20060101AFI20250110BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約
【課題】耐熱性、難燃性、機械物性などの優れた性質を持ったメタアラミド繊維において、低残留溶剤かつ破断強度が高く、高伸度であり、染色性が良好な易染色性であることから防護衣料用途に好適に用いることができるメタアラミド繊維を提供することにある。
【解決手段】JIS-L-1015に規定される破断強度が4.0cN/dtex以上、破断強度と破断伸度との積の平方根で示されるタフネス値が15.0以上の繊維であり、繊維中に残留する溶媒量が0.1質量%以下で、特定の方法で測定した繊維の染着率が90%以上の繊維であるメタ型全芳香族ポリアミド繊維を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
JIS-L-1015に規定される破断強度が4.0cN/dtex以上の繊維であり、該繊維の破断強度と破断伸度との積の平方根で示されるタフネス値が15.0以上であり、該繊維中に残留する溶媒量が0.1質量%以下であって、下記方法により測定した染着率が90%以上の繊維であることを特徴とするメタ型全芳香族ポリアミド繊維。
(染着率)
カチオン染料(日本化薬社製、商品名:Kayacryl Blue GSL-ED(B-54))6%owf、酢酸0.3mL/L、硝酸ナトリウム20g/L、キャリヤー剤としてベンジルアルコール70g/L、分散剤として染色助剤(明成化学工業社製、商品名:ディスパーTL)0.5g/Lを含む染色液を用意する。
引き続き、測定対象の繊維と当該染色液の浴比を1:40として、120℃下60分間の染色処理を実施する。染色処理後、ハイドロサルファイト2.0g/L、アミラジンD(第一工業製薬社製、商品名:アミラジンD)2.0g/L、水酸化ナトリウム1.0g/Lの割合で含有する処理液を用いて、浴比1:20で80℃下20分間の還元洗浄を実施し、水洗後に乾燥することにより染色繊維を得る。
測定対象の繊維を染色した染色残液に、この染色残液と同容積のジクロロメタンを加え、残染料を抽出する。引き続き、抽出液について、波長670nm、540nm、530nmの吸光度をそれぞれ測定し、あらかじめ染料濃度が既知のジクロロメタン溶液から作成した上記3波長の検量線から抽出液の染料濃度をそれぞれ求め、上記3波長における濃度の平均値を抽出液の染料濃度(C)とする。
染色前の染料濃度(Co)を用いて、以下の式にて得られる値を染着率(U)とする。
染着率(U)=[(Co-C)/Co]×100
続きを表示(約 420 文字)
【請求項2】
繊維を水洗する工程を有する溶液紡糸において、水洗工程中の水温差が40℃以上であることを特徴とする請求項1記載のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
【請求項3】
少なくとも2段階の水洗工程を有し、後段の水温が前段の水温よりも40℃以上高い、請求項2記載のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
【請求項4】
連続する2段階の水洗工程において、後段の水温が直前の前段の水温よりも40℃以上高い、請求項3記載のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
【請求項5】
該繊維が、重量平均分子量が20万~60万のメタ型全芳香族ポリアミドを用い、1.0~10.0質量%の無機塩を含むアミド系極性溶媒溶液を紡出した後凝固させる湿式紡糸法により得られたものであり、繊維を水洗する工程(水洗工程)を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載のメタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性、難燃性、機械物性などの優れた性質を持ったメタアラミド繊維において、低残留溶剤かつ破断強度が高く、高伸度であり、染色性が良好な易染色性であるメタ型全芳香族ポリアミド繊維及びその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
従来より、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ジハライドとから製造される全芳香族ポリアミドが耐熱性および難燃性に優れていることは周知であり、かかる全芳香族ポリアミドのうち、ポリメタフェニレンイソフタルアミドで代表されるメタ型全芳香族ポリアミド(以下メタアラミド、メタ型芳香族ポリアミドと称する場合がある。)の繊維は、耐熱・難燃性繊維として特に有用なものである。これらの特性を発揮して、例えば防護衣等の防災安全衣料用途やフィルター、電子部品等の産業用途に用いられている。
【0003】
そして、近年では社会の高度化により、上記各用途においても、軽量化、高強力化のニーズが高まってきており、紡績糸としては繊維の破断強度が4.0cN/dtexを超える高強力メタアラミド繊維からなるものが、好適に用いられている。
【0004】
さらに、上記の各用途においては、さらなる加工性や耐疲労性向上に対する要求が高まって来ており、それを満足させるためには、繊維の破断強度を確保しつつ伸度を向上させる、即ち、高タフネス化させることが必要となって来ている。
【0005】
特に、衣料用途において繊維の伸度は重要な要素の一つであり、高伸度繊維からなる衣料は、柔軟性が発揮され、風合いや快適性の向上に繋がる。そのため、破断強度を満足しつつ、高伸度を有するメタアラミド繊維が得られれば、その工業的価値は極めて高い。
【0006】
また、メタアラミドはアミド系極性溶媒に可溶であり、該重合体溶液から乾式紡糸、湿式紡糸、半乾半湿式紡糸などの方法により繊維となし得ることもよく知られているが、一方で、アミド系極性溶媒は繊維中に残留すると高温雰囲気下における繊維の着色や黄変などが発生するだけでなく、衣料用途として用いる場合は人体への悪影響が懸念される。このことから残留溶媒が少ない繊維を得る紡糸方法の開発はメタアラミド繊維の製造において重要なものとなる。
【0007】
ここで、従来公知の乾式紡糸(例えば、特許文献1)は、紡糸口金より紡出された繊維状のポリマー溶液において、形成された繊維状物の表面付近から溶媒が揮発・乾燥するため、繊維表面に緻密で強固なスキン層を生じる。このため、引き続き、繊維状物に対して水洗などにより洗浄を行っても、残留溶媒を十分に除去することは困難であった。
【0008】
一方、湿式紡糸においては、スキン層の形成を抑制し、繊維内部に微細なボイド構造を形成させることで残留溶媒を効果的に洗浄することが可能な方法が開発されている。例えば、
(a)実質的に塩類を含まないメタアラミド重合体溶液をアミド系極性溶媒と水からなる凝固浴中に吐出し凝固させて繊維状物(糸条体)とし、続いて、アミド系極性溶媒と水からなる可塑延伸浴中にて延伸した後に水洗、熱処理する方法(特許文献2、3、4など)、
(b)メタアラミドと塩類を含むアミド系極性溶媒からなる重合体溶液をアミド系極性溶媒と水からなり、塩類を実質的に含まない凝固浴中に吐出して多孔質の線状体として凝固せしめ、続いてアミド系極性溶媒の水性溶液からなる可塑延伸浴中にて延伸し、これを水洗後熱処理する方法(特許文献5)、
(c)アミド系極性溶媒中で溶液重合し、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどで中和して生成した塩化カルシウムと水とを含むメタアラミド重合体溶液を、実質的に無機塩を含まずアミド系極性溶媒の濃度が45~60質量%の水性凝固浴中に紡出させて繊維状物に成形する方法(特許文献6、7)
などが例示される。
【0009】
これら紡糸方法により製造されたメタアラミド繊維は凝固浴としてアミド系極性溶媒と水の混合溶媒を使用し、凝固過程において糸状からの溶剤の系外への拡散と凝固液成分の糸状への侵入のバランスを厳密に調整することで非常に微細なボイド構造を形成させ、スキン構造の形成を抑制している。これにより、水洗、乾燥、熱処理を経た繊維中の残留溶媒量はいずれも0.1質量%以下であり、また上記各用途に使用する上で必要最低限の強度を有していることが報告されている。
【0010】
しかし、このようなアミド系極性溶媒と水の混合溶媒を使用した凝固方式は、非常に厳密な温度、凝固液組成、ポリマーの分子量条件の設定が必要である上、凝固糸が多孔構造になることから破断強度が非常に弱く、延伸による高強度化には特殊な環境下での取扱いが必要となる。
(【0011】以降は省略されています)
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