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公開番号2025036005
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-14
出願番号2024005960
出願日2024-01-18
発明の名称ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形品
出願人帝人株式会社
代理人個人
主分類C08L 81/02 20060101AFI20250306BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】押出性、薄肉成形性および電磁波シールド特性に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)60~99.9重量部および(B)ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(B成分)0.1~40重量部からなる成分100重量部に対し、(C)金属被覆炭素繊維(C成分)5~50重量部を含む樹脂組成物であって、走査電子顕微鏡で観察したときにA成分の樹脂Aがマトリックスを形成し、C成分の金属被覆炭素繊維Cの周囲をB成分の樹脂Bが覆う構造となることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)60~99.9重量部および(B)ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(B成分)0.1~40重量部からなる成分100重量部に対し、(C)金属被覆炭素繊維(C成分)5~50重量部を含む樹脂組成物であって、走査電子顕微鏡で観察したときにA成分の樹脂Aがマトリックスを形成し、C成分の金属被覆炭素繊維Cの周囲をB成分の樹脂Bが覆う構造となることを特徴とする樹脂組成物。
続きを表示(約 440 文字)【請求項2】
A成分が末端に非極性官能基を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
A成分が末端にフェニル基を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂である請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
B成分が脂肪族ポリアミドである請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
B成分がポリアミド6である請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
B成分がポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂および液晶ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
C成分がニッケル被覆炭素繊維である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂および金属被覆炭素繊維よりなる樹脂組成物であって、押出性、薄肉成形性および電磁波シールド性に優れる樹脂組成物に関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
Wi-FiおよびBlueToothなど多くの機器が無線で通信するようになり、電子機器や電化製品で満ち溢れているオフィスおよび家庭には、電磁波が飛び交っている。今後は遠隔操作が必要なロボットおよびドローンの普及により、必要な電磁波は受け入れて不要な電磁波はシールドするという電磁両立性(EMC対策)がますます重要になってくると考えられる。電磁シールドを必要とする電子装置はデジタル技術を応用した製品であり、例えばコンピュータ、電子ゲーム、TVゲーム、電子キャッシュレジスタ、スイッチング電源、デジタル時計、デジタル腕時計、電卓、ワードプロセッサなど広範囲のものを含んでおり、これらの製品から発生する電磁波は200MHz~1GHzの周波数帯のものである。
【0003】
近年、電子機器の小型軽量化に伴う回路の高集積化および高密度化に伴い、電子機器が電磁波によって誤作動を引き起こすことが問題となっている。その為、電子機器の筐体には、外部からの電磁波をシールドするためおよび外部への電磁波の漏洩を防止するために電磁波シールド効果を付与することが求められている。電磁波シールド効果を得る為には、電子機器筐体に導電性が必要であり、一般的に導電性が高いほど良好な電磁波シールド性を有する。従来、このような筐体には金属が使用されていたが、加工性、軽量化の観点からポリアリーレンスルフィド樹脂などのプラスチックを使用する試みがなされている。しかし、一般的にプラスチックは金属のような導電性を有していないので、電磁妨害波および電磁波ノイズ対策のために導電性の付与が必要となる。プラスチックに電磁波シールド性を付与する方法として、メッキなどの導電性表面処理並びに金属粉、金属繊維、炭素繊維および金属被覆炭素繊維等を含有させる方法が代表的な方法として開示されている。
【0004】
特許文献1には炭素繊維表面におけるESCA法で測定されるO1S/C1Sを特定範囲に調整して得られた炭素繊維を使用したニッケル金属被覆炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、ポリアリーレンスルフィド樹脂に対して有用な方法ではなく、電磁波シールド性も十分とは言えない。また、特許文献2にはポリアリーレンスルフィド樹脂、変性ポリオレフィン組成物および繊維状充填剤からなる樹脂組成物が開示されているが、薄肉成形性について何ら記載されておらず、電磁波シールド性も十分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第4674066号公報
特開2022-114252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、押出性、薄肉成形性および電磁波シールド特性に優れる樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成として鋭意研究を重ねた結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂並びにポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂に金属被覆炭素繊維を配合し、特定の構造となることで、押出性、薄肉成形性および電磁波シールド特性に優れる樹脂組成物が得られることを見出し、上記課題を解決するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1.(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)60~99.9重量部および(B)ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(B成分)0.1~40重量部からなる成分100重量部に対し、(C)金属被覆炭素繊維(C成分)5~50重量部を含む樹脂組成物であって、走査電子顕微鏡で観察したときにA成分の樹脂Aがマトリックスを形成し、C成分の金属被覆炭素繊維Cの周囲をB成分の樹脂Bが覆う構造となることを特徴とする樹脂組成物。
2.A成分が末端に非極性官能基を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂である前項1に記載の樹脂組成物。
3.A成分が末端にフェニル基を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂である前項2に記載の樹脂組成物。
4.B成分が脂肪族ポリアミドである前項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
5.B成分がポリアミド6である前項4に記載の樹脂組成物。
6.B成分がポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂および液晶ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である前項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
7.C成分がニッケル被覆炭素繊維である前項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
8.前項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の樹脂組成物は押出性、薄肉成形性および電磁波シールド特性に優れるため、本発明の樹脂組成物より得られる成形品は電気・電子機器部品および自動車部品等の電磁波シールド性が必要とされるパーツに有用であり、その奏する工業的効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1の樹脂組成物におけるモルフォロジーの観察図である。
実施例11の樹脂組成物におけるモルフォロジーの観察図である。
比較例1の樹脂組成物におけるモルフォロジーの観察図である。
比較例5の樹脂組成物におけるモルフォロジーの観察図である。
比較例8の樹脂組成物におけるモルフォロジーの観察図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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