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公開番号2024123940
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2023031784
出願日2023-03-02
発明の名称ウイルスベクターの製造方法
出願人国立大学法人京都大学
代理人個人,個人
主分類C12N 15/64 20060101AFI20240905BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本開示の目的は、培養細胞を用いるウイルスベクターの製造において、ウイルスベクターの生産量を高めることである。
【解決手段】ウイルスベクターの製造方法であって、ウイルスベクターのウイルス粒子の産生に必要な核酸およびウイルスベクターにより送達しようとする核酸を含む細胞を、プロテインキナーゼC(PKC)を活性化する条件下で培養することを含み、ウイルス粒子の産生に必要な核酸が、SP1、CEBP、AP1、NF-κBおよびYY1から選択される少なくとも1つの転写因子の結合部位を含むプロモーターに作動可能に連結している、方法を提供する。
【選択図】図33
特許請求の範囲【請求項1】
ウイルスベクターの製造方法であって、ウイルスベクターのウイルス粒子の産生に必要な核酸およびウイルスベクターにより送達しようとする核酸を含む細胞を、プロテインキナーゼC(PKC)を活性化する条件下で培養することを含み、
ウイルス粒子の産生に必要な核酸が、SP1、CEBP、AP1、NF-κBおよびYY1から選択される少なくとも1つの転写因子の結合部位を含むプロモーターに作動可能に連結している、方法。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ウイルスベクターがレトロウイルスベクターである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ウイルスベクターにより送達しようとする核酸が、SP1、CEBP、AP1、NF-κBおよびYY1から選択される少なくとも1つの転写因子の結合部位を含むプロモーターに作動可能に連結している、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
PKC活性化剤の存在下で前記細胞を培養することによりPKCを活性化する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
PKC活性化剤が、式(I):
TIFF
2024123940000012.tif
60
62
{式中、


は、H、ハロゲン、-OH、C
1-6
アルキル、C
2-6
アルケニル、C
2-6
アルキニル、C
1-6
アルコキシ、C
6-14
アリールまたは-OC(O)R

であり、ここで、C
1-6
アルキル、C
2-6
アルケニル、C
2-6
アルキニル、C
1-6
アルコキシまたはアリールは、同一または異なる、1個~3個のハロゲンにより置換されていてもよく、


は、C
6-12
アルキル、C
6-12
アルケニル、C
6-12
アルキニルまたはC
6-12
アルコキシであり、ここで、C
6-12
アルキル、C
6-12
アルケニル、C
6-12
アルキニルまたはC
6-12
アルコキシは、同一または異なる、1個~3個のハロゲンにより置換されていてもよく、


は、C
1-6
アルキル、C
2-6
アルケニル、C
2-6
アルキニル、アミノまたはC
6-14
アリールであり、ここでC
1-6
アルキル、C
2-6
アルケニル、C
2-6
アルキニルまたはC
6-14
アリールは、同一または異なる、1個~3個のハロゲンにより置換されていてもよい}、
式(II):
TIFF
2024123940000013.tif
55
55
{式中、


は、H、ハロゲン、-OH、C
1-18
アルキル、C
2-18
アルケニル、C
2-18
アルキニル、C
1-18
アルコキシまたは-OC(O)R

であり、ここで、C
1-18
アルキル、C
2-18
アルケニル、C
2-18
アルキニルまたはC
1-18
アルコキシは、同一または異なる、1個~3個のハロゲンにより置換されていてもよく、


は、C
1-6
【請求項7】
PKC活性化剤が、
TIFF
2024123940000015.tif
130
164
TPA、プロストラチン、(-)-インドラクタムV、ホルボール12,13-ジブチラート、インゲノール3-アンゲラートおよび(2S,5S)-(E,E)-8-(5-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,4-ペンタジエノイルアミノ)ベンゾラクタムから選択される化合物またはそのエステル、塩もしくは溶媒和物である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
PKC活性化剤が、化合物Xおよび化合物#1~#7から選択される化合物またはそのエステル、塩もしくは溶媒和物である、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ウイルス粒子の産生に必要な核酸が、Pro領域またはRING領域を含むペプチドをコードする核酸と連結されている、請求項5~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
活性化型PKCを前記細胞に発現させることによりPKCを活性化する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ウイルスベクターの製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
遺伝子治療は近年成長が期待されている分野である。遺伝子治療では、目的の遺伝子を細胞に送達するために、各種のベクターが使用される。ウイルスベクターはその1種であり、目的に応じてレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなどが選択される。
【0003】
ウイルスベクターは、抗体などの生物製剤(バイオ医薬品)と同様に、培養細胞を用いて製造される。通常、ウイルス粒子の産生に必要な核酸と、目的の遺伝子の核酸を培養細胞に発現させることにより、目的の遺伝子を含むウイルスベクターを産生させ、培養培地に放出されたウイルスベクターを回収する。従って、ウイルスベクターの生産量は、細胞のタンパク質生産能、培養容積および培養時間に依存する。細胞のタンパク質生産能を高めることができれば、製造コストを抑制しながらウイルスベクターの生産量を増加させられると期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、ウイルスベクターの生産量を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、PKCを活性化することにより、CMVプロモーターなどのプロモーターの転写活性を高められること、および、PKCを活性化する新たな方法を見出し、それにより培養細胞におけるウイルスベクターの生産量を高められることを明らかにした。
【0006】
従って、ある態様では、本開示は、ウイルスベクターの製造方法であって、ウイルスベクターのウイルス粒子の産生に必要な核酸およびウイルスベクターにより送達しようとする核酸を含む細胞を、PKCを活性化する条件下で培養することを含み、
ウイルス粒子の産生に必要な核酸が、SP1、CEBP、AP1、NF-κBおよびYY1から選択される少なくとも1つの転写因子の結合部位を含むプロモーターに作動可能に連結している、方法を提供する。
【0007】
ある態様では、本開示は、PKC活性化剤または活性化型PKCをコードする核酸と、ウイルスベクターのウイルス粒子の産生に必要な核酸とを含む、ウイルスベクターを製造するためのキットであって、
ウイルス粒子の産生に必要な核酸が、SP1、CEBP、AP1、NF-κBおよびYY1から選択される少なくとも1つの転写因子の結合部位を含むプロモーターに作動可能に連結しているものである、キットを提供する。
【0008】
ある態様では、本開示は、PKC活性化剤または活性化型PKCをコードする核酸を含む、ウイルスベクターの産生を増強するための組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、ウイルスベクターの生産量を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
pRL-CMV(Renilla Luciferase)を恒常的に発現するHEK293A細胞における、化合物Xまたは化合物#1~#7のいずれかの存在下、PKC阻害剤の存在下または非存在下でのルシフェラーゼ活性を示す。
pRL-CMV(Renilla Luciferase)を恒常的に発現するHEK293A細胞における、化合物Xの存在下または非存在下でのルシフェラーゼ活性の変化を示す。
pRL-CMV(Renilla Luciferase)を恒常的に発現するHEK293A細胞における、化合物XまたはPKC活性化剤#1~#4のいずれかの存在下、PKC阻害剤の存在下または非存在下でのルシフェラーゼ活性を示す。
pRL-CMV(Renilla Luciferase)を恒常的に発現するHEK293A細胞における、化合物XまたはPKC活性化剤#5~#6のいずれかの存在下、PKC阻害剤の存在下または非存在下でのルシフェラーゼ活性を示す。
pRL-CAGまたはpRL-EF1をトランスフェクションしたHEK293A細胞における、化合物Xまたは化合物#1~#5のいずれかの存在下、PKC阻害剤の存在下または非存在下でのルシフェラーゼ活性を示す。
(【0011】以降は省略されています)

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