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公開番号
2024121436
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-06
出願番号
2023028550
出願日
2023-02-27
発明の名称
SiC半導体装置用基板、SiC接合基板、SiC多結晶基板およびSiC多結晶基板の製造方法
出願人
住友金属鉱山株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C30B
29/36 20060101AFI20240830BHJP(結晶成長)
要約
【課題】 SiC多結晶基板とSiC単結晶基板を接合した構造のSiC半導体装置用基板において、裏面研削加工後の基板の反り量を1.0mm以下に抑制することのできるSiC半導体装置用基板、SiC接合基板、SiC多結晶基板およびSiC多結晶基板の製造方法を提供する。
【解決手段】 順に、SiC多結晶からなる支持基板と、前記支持基板の表面に接合されたSiC単結晶基板と、前記SiC単結晶基板の表面に形成されたSiC単結晶エピタキシャル層と、前記SiC単結晶エピタキシャル層上に形成された半導体素子の構成要素と、が積層したSiC半導体装置用基板において、前記支持基板の前記SiC単結晶基板と接合していない面が研削面であり、前記研削面の反り量が1.0mm以下である、SiC半導体装置用基板。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
順に、SiC多結晶からなる支持基板と、
前記支持基板の表面に接合されたSiC単結晶基板と、
前記SiC単結晶基板の表面に形成されたSiC単結晶エピタキシャル層と、
前記SiC単結晶エピタキシャル層上に形成された半導体素子の構成要素と、が積層したSiC半導体装置用基板において、
前記支持基板の前記SiC単結晶基板と接合していない面が研削面であり、
前記研削面の反り量が1.0mm以下である、SiC半導体装置用基板。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
SiC多結晶からなる支持基板と、
前記支持基板の表面に接合されたSiC単結晶基板と、が積層したSiC接合基板において、
前記支持基板の前記SiC単結晶基板と接合していない面をバックグラインド処理することにより、前記支持基板の厚みを40~50%研削して研削面を形成した状態において、前記研削面の反り量が1.0mm以下である、SiC接合基板。
【請求項3】
SiC多結晶からなる支持基板と、
前記支持基板の表面に接合されたSiC単結晶基板と、が積層したSiC接合基板において、
前記支持基板の前記SiC単結晶基板と接合していない面をバックグラインド処理することにより、前記支持基板の厚みを40~44%研削して研削面を形成した状態において、前記研削面の反り量が1.0mm以下である、SiC接合基板。
【請求項4】
SiC多結晶からなる支持基板と、前記支持基板の表面に接合されたSiC単結晶基板と、が積層したSiC接合基板に前記支持基板として用いるSiC多結晶基板において、
前記支持基板の前記SiC単結晶基板と接合しない面をバックグラインド処理することにより、前記支持基板の厚みを40~50%研削して研削面を形成した状態において、前記研削面の反り量が1.0mm以下である、SiC多結晶基板。
【請求項5】
SiC多結晶からなる支持基板と、前記支持基板の表面に接合されたSiC単結晶基板と、が積層したSiC接合基板に前記支持基板として用いるSiC多結晶基板において、
前記支持基板の前記SiC単結晶基板と接合しない面をバックグラインド処理することにより、前記支持基板の厚みを40~44%研削して研削面を形成した状態において、前記研削面の反り量が1.0mm以下である、SiC多結晶基板。
【請求項6】
SiC多結晶からなる支持基板と、前記支持基板の表面に接合されたSiC単結晶基板と、が積層したSiC接合基板に前記支持基板として用いるSiC多結晶基板の製造方法において、
種基板にSiC多結晶膜を成膜する成膜工程と、
前記成膜工程後、前記種基板と前記SiC多結晶膜を分離する分離工程と、
前記分離工程後、前記SiC多結晶膜を1600℃以上2000℃未満に保持して熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程後、前記SiC多結晶膜を研削および研磨して前記支持基板に加工する研削・研磨工程と、を含む、SiC多結晶基板の製造方法。
【請求項7】
前記熱処理工程は、前記SiC多結晶膜を1700℃~1800℃の間に3時間以上保持する工程である、請求項6に記載のSiC多結晶基板の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素(以下、「SiC」とする場合がある)多結晶基板とその製造方法、およびSiC多結晶基板にSiC単結晶基板を接合して得られるSiC接合基板、並びにSiC接合基板にSiC単結晶エピタキシャル層と半導体回路を形成したSiC半導体装置用基板に関する。
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【背景技術】
【0002】
SiCは、2.2~3.3eVの広い禁制帯幅を有するワイドバンドギャップ半導体であり、その優れた物理的、化学的特性から、耐環境性半導体材料として研究開発がなされている。近年、SiCは、高耐圧・高出力電子デバイスや高周波電子デバイスなどのパワーデバイス、青色から紫外にかけての短波長光デバイス向けの材料として注目されており、研究開発が活発化している。ところが、SiCは、良質な大口径単結晶の製造が難しく、これまでSiCデバイスの実用化を妨げてきた。
【0003】
この問題点を解決するために、SiC単結晶基板を種結晶として用いて昇華再結晶を行う改良型のレーリー法が開発されてきた。この改良レーリー法を用いれば、SiC単結晶の結晶多形(4H-SiC、6H-SiC、15R-SiC等)や、キャリア型、及び不純物濃度を制御しながらSiC単結晶を成長できる。この技術により、結晶欠陥密度は大きく減少し、その基板上へショットキーバリアダイオード(SBD)や電界効果トランジスタ(MOSFET)の実用化が進められてきた。
【0004】
しかしながら、SiC単結晶基板を種結晶とする改良型のレーリー法では、結晶成長速度が遅いこと、およびSiC単結晶インゴットを主として切断及び研磨からなる工程を経てウエハ状に加工する際の加工費用が高いことに起因して、単結晶SiC基板の製造コストは高い。この製造コストの高さも、SiCデバイスの実用化を妨げてきた要因であり、半導体デバイス用途、とくに高耐圧・高出力電子素子用途のSiC基板を安価に提供できる技術の開発が強く望まれていた。
【0005】
そこで、デバイス形成層部のみ品質の良い単結晶SiCを用いて、それを支持基板(デバイス製造工程に耐えうる強度・耐熱性・清浄度を持つ材料:例えば、多結晶SiC)に、接合界面における酸化膜の形成を伴わない接合手法にて固定することにより、低コストな支持基板部と高品質な単結晶SiCを兼ね備えた半導体基板(以下、「SiC接合基板」とする場合がある)を製造する技術が提供されている(例えば、特許文献1を参照)。特に、多結晶SiCを支持基板とするSiC接合基板は、パワーデバイス応用時に単結晶SiCの特性を生かしつつ、製造コストの低コスト化が可能という点で、単結晶SiC基板を単独で使用する場合に対して優位性がある。単結晶SiC基板の普及とともに、より安価に作製できるSiC接合基板への注目が高まっている。
【0006】
その一方で、単結晶SiC基板を用いたデバイスの作製工程における基板の「反り」に関する問題も顕在化してきた。一般に、デバイスの作製工程上、基板の「反り」は非常に重要視されている。何故なら、反りの大きな基板は、デバイスの作製工程での自動搬送のエラー要因や加工テーブルに基板を保持することができない不具合が発生することがあるからである。また、基板の反りが大きいことで、加工テーブルに基板を保持することができたとしても、十分な平坦度を確保できずに、例えば、露光プロセス(リソグラフプロセス)において、基板面内の一部が焦点を外れ、明確なマスク像を形成しなくなるからである。この焦点ずれの現象は、回路が微細であるほどその影響が大きい。また、ダイシング、パッケージ組立工程における歩留まり低下の懸念材料にもなる。これに対し、例えば、特許文献2によれば、基板の表裏をCMPないしダイヤモンドポリッシュにより加工ダメージを除去した表面を有する単結晶SiC基板において、ラマン分光法とX線法によって得られる歪み、残留応力により説明される基板の反りの小さい単結晶SiC基板が提供されている。また、特許文献3によれば、X線法により測定した残留応力値により説明される反りの小さい多結晶SiC成形体が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2015-15401号公報
特開2015-59073号公報
特開2021-54666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
基板の反りは、通電方向が基板の厚み方向となる縦型パワーデバイスの作製工程における表面回路パターン実装後の薄層化加工、例えば裏面研削(BG:バックグラインド)加工時にも発生する。この薄層化加工の工程では、元の基板厚みの40~50%程度を除去する必要がある。例えば、直径6インチのSiC単結晶基板では、板厚350μmに対して研削による薄層化加工後の板厚が175~200μm程度となるため研削量が多く、一般的に加工能率の高い研削加工が採用されている。接合を行わないSiC単結晶基板を用いた半導体装置用基板では、基板の反りは、約1mm以下に抑えられており、上記の反りに起因する問題は生じていない。これに対し、SiC多結晶基板とSiC単結晶基板を接合したSiC接合基板の場合には、裏面研削後の反りは、1mmを超える状況であり、後工程において搬送エラーや加工テーブルに基板を保持することができない不具合等、反りに起因する問題が生じるおそれがあった。
【0009】
この裏面研削時の反りは、研削加工により基板の裏面に加工ダメージ層が発生し、基板の表裏の加工面の状態の差に起因してトワイマン効果が生じ、基板の大きな反りが発生する。一方、加工ダメージ層を伴わない化学機械研磨(Chemical Mechanical Polish:CMP)では、基板の大きな反りは発生し難いものの、研削加工に比べて研磨速度が1/100程度と非常に遅く、高コストとなる。そのため、基板の薄層化においては研磨による加工ではなく、裏面研削加工が必須である。
【0010】
よって、コストと製造効率の観点から、薄層化においては裏面研削加工のみを採用することを前提とし、裏面研削加工時に反りにくい基板を提供することができれば、所望の加工状態に仕上げられる研削加工のプロセスウィンドウが広くなり、デバイス製造工程における裏面研削加工設計の最適化が容易になると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)
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