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公開番号
2024159408
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023146003
出願日
2023-09-08
発明の名称
分散粉とその製造方法、熱線遮蔽樹脂成形体、並びに、熱線遮蔽積層体
出願人
住友金属鉱山株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C01G
41/00 20060101AFI20241031BHJP(無機化学)
要約
【課題】優れた耐候性を有し、かつ可視光域に高い透過性能を有し、優れた熱線遮蔽機能を発揮する熱線遮蔽樹脂成形体並びに熱線遮蔽積層体を提供すると共に、それらを製造するための分散粉を提供する。
【解決手段】一般式MxWOyで示され、かつ六方晶の結晶構造を有し、結晶子径が15nm以上80nm以下であり、アクリル系の分散剤で表面修飾された複合タングステン酸化物微粒子を含み、前記複合タングステン酸化物微粒子に対する前記分散剤の重量比が0.3≦(分散剤の重量/複合タングステン酸化物微粒子の重量)<3.0の範囲である分散粉、当該分散粉を用いて製造された熱線遮蔽樹脂成形体並びに熱線遮蔽積層体を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
一般式MxWOy(但し、M元素は、周期律における1族、2族、13族の元素から選択される1種以上の元素、0.1≦x≦1.0、2.0≦y<4.0)で示され、かつ六方晶の結晶構造を有し、結晶子径が15nm以上80nm以下であり、アクリル系の分散剤で表面修飾された複合タングステン酸化物微粒子を含み、
前記複合タングステン酸化物微粒子に対する前記分散剤の重量比が0.3≦(分散剤の重量/複合タングステン酸化物微粒子の重量)<3.0の範囲である、ことを特徴とする分散粉。
続きを表示(約 720 文字)
【請求項2】
前記アクリル系の分散剤は、官能基として酸性官能基を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の分散粉。
【請求項3】
前記複合タングステン酸化物微粒子に含まれるM元素が、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される少なくとも1種類以上である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の分散粉。
【請求項4】
有機溶剤へ、一般式MxWOy(但し、M元素は、周期律における1族、2族、13族の元素から選択される1種以上の元素、0.1≦x≦1.0、2.0≦y<4.0)で示され、かつ六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子と、アクリル系の分散剤とを添加した後、粉砕・分散処理を行って、前記複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が15nm以上80nm以下である分散液を製造し、
前記分散液より前記有機溶剤を除去して、前記複合タングステン酸化物微粒子に対する前記分散剤の重量比が、0.3≦(分散剤の重量/複合タングステン酸化物微粒子の重量)<3.0の範囲である分散粉を製造する、ことを特徴とする分散粉の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の分散粉を熱可塑性樹脂成形材料により希釈・混練し、かつ、所定の形状に成形することによって得られる、ことを特徴とする熱線遮蔽樹脂成形体。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂成形材料が、ポリカーボネート系樹脂またはアクリル樹脂である、ことを特徴とする請求項5に記載の熱線遮蔽樹脂成形体。
【請求項7】
請求項5に記載の熱線遮蔽樹脂成形体が、他の成形体と積層されている、ことを特徴とする熱線遮蔽積層体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐候性を有する熱線遮蔽樹脂成形体、等の製造に適用出来る分散粉とその製造方法、当該分散粉が適用された高耐候性を有する熱線遮蔽樹脂成形体、並びに、高耐候性を有する熱線遮蔽積層体に関するものである。
続きを表示(約 2,000 文字)
【背景技術】
【0002】
各種建築物や車両の窓、ドア等のいわゆる開口部分から入射する太陽光線には、可視光線の他に紫外線や赤外線が含まれている。この太陽光線に含まれている赤外線のうち波長800~2500nmの近赤外線は熱線と呼ばれ、開口部分から進入することにより室内の温度を上昇させる原因になる。これを解消するため、近年、各種建築物や車両の窓材等の分野では、可視光線を十分に取り入れながら熱線を遮蔽し、明るさを維持しつつ室内の温度上昇を抑制する熱線遮蔽基材の需要が急増しており、熱線遮蔽基材に関する特許が多く提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1~3には、透明樹脂フィルムへ金属、金属酸化物を蒸着してなる熱線反射フィルムを、ガラス、アクリル板、ポリカーボネート板等の透明基材に接着した熱線遮蔽板が提案されている。しかし、これらの熱線遮蔽板は、熱線反射フィルム自体が非常に高価で、かつ接着工程等の煩雑な工程を要するため高コストとなる欠点を有する。また、透明基材と熱線反射フィルムの接着性が良くないので、経時変化によりフィルムの剥離が生じるといった欠点も有している。さらに、透明基材表面へ金属あるいは金属酸化物を直接蒸着してなる熱線遮蔽板も数多く提案されている。しかし、これらの熱線遮蔽板の製造に際しては、高真空や精度の高い雰囲気制御を要す装置が必要となるため、量産性が悪く、汎用性に乏しいという問題を有している。
【0004】
この他、例えば、特許文献4、5には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性透明樹脂に、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物に代表される有機近赤外線吸収剤を練り込んだ熱線遮蔽板およびフィルムが提案されている。しかし、これらの熱線遮蔽板およびフィルムにおいては、十分に熱線を遮蔽するために多量の近赤外線吸収剤を配合しなければならないが、近赤外線吸収剤の多量の配合により、可視光線透過能が低下してしまうという課題が残る。また、近赤外線吸収剤として有機化合物を使用しているため、直射日光に常時さらされる建築物や車両の窓材等へ適用する場合には耐侯性に難があり、必ずしも適当であるとは言えない。
【0005】
このような技術的背景の下、本出願人は自由電子を多量に保有する6ホウ化物に着目し、特許文献6~8として、6ホウ化物を熱線遮蔽成分として有機溶剤に分散させると共に各種バインダーを添加して構成された熱線遮蔽膜形成用塗布液、およびこの塗布液を各種透明基材に塗布後、硬化して得られる熱線遮蔽膜等を開示している。
【0006】
しかしながら、これら発明においては、熱線遮蔽成分としての6ホウ化物微粒子が有機溶剤に分散された形態を前提として構成されている。この為、熱線遮蔽膜形成用塗布液は消防法上の危険物として取り扱われ、熱線遮蔽膜形成用塗布液の輸送時において様々な制限を受けて輸送コストが割高となる課題があった。
【0007】
また、熱線遮蔽成分としての6ホウ化物微粒子が有機溶剤に分散された分散液を長期間保管したとき、6ホウ化物微粒子のブラウン運動により微粒子同士の凝集が起こり易く、沈殿物が生じてしまう場合もあった。
【0008】
更に、透明樹脂材料に6ホウ化物微粒子を練り込んで成形する際、6ホウ化物微粒子が有機溶剤に分散された状態であるため、この有機溶剤を除去しつつ均一に6ホウ化物微粒子を透明樹脂材料に練り込む必要があった。この為、使用する装置や工程が複雑になって必ずしも最適な方法とは言えない課題があった。
【0009】
そして、本出願人は、熱可塑性樹脂と、タングステン酸化物微粒子および/または六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、熱分解温度が230℃以上の高耐熱性分散剤とを含み、10≧[高耐熱性分散剤の重量/(タングステン酸化物微粒子および/または複合タングステン酸化物微粒子の重量)]≧0.5の範囲である高耐熱性マスターバッチを特許文献9として開示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開昭61-277437号公報
特開平10-146919号公報
特開2001-179887号公報
特開平6-256541号公報
特開平6-264050号公報
特開平11-181336号公報
特開2000-96034号公報
特開2000-169765号公報
特開2008-024902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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