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公開番号2024142875
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023055254
出願日2023-03-30
発明の名称硫酸コバルトの製造方法
出願人大平洋金属株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C01G 51/10 20060101AFI20241003BHJP(無機化学)
要約【課題】本発明は、高いコバルト歩留まりを維持しつつ、コストが低減された、粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを得ることができる、硫酸コバルトの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】不純物元素として鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムからなる群のうち一種以上を含む粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを製造する方法において、水相と有機相の体積比及び流量比を調整した連続処理に基づいて、前記水相と前記有機相とのエマルション相を形成させ、pH調整剤として水酸化ナトリウム水溶液を使用する溶媒抽出工程を含むことを特徴とする硫酸コバルトの製造方法を採用する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
不純物元素として鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケルおよびマグネシウムからなる群のうち一種以上を含む粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを製造する方法において、
水相と有機相との体積比及び流量比を調整した連続処理に基づいて、前記水相と前記有機相とのエマルション相を形成させ、pH調整剤として水酸化ナトリウム水溶液を使用する溶媒抽出工程を含むことを特徴とする硫酸コバルトの製造方法。
続きを表示(約 360 文字)【請求項2】
前記エマルション相は、機械撹拌翼を用いて形成させることを特徴とする請求項1に記載の硫酸コバルトの製造方法。
【請求項3】
前記溶媒抽出工程は、脱Mn工程、脱Ni工程、脱Mg工程の順に実施することを特徴とする請求項1に記載の硫酸コバルトの製造方法。
【請求項4】
前記溶媒抽出工程は、脱Mn工程、脱Ni工程、脱Mg工程の順に実施することを特徴とする請求項2に記載の硫酸コバルトの製造方法。
【請求項5】
前記pH調整剤として、アンモニア水を用いないことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の硫酸コバルトの製造方法。
【請求項6】
前記pH調整剤として、アンモニア水を用いないことを特徴とする請求項4に記載の硫酸コバルトの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを製造する方法に関する。より具体的には、本発明は、マンガンおよびコバルトを含有する硫酸溶液からマンガンを分離して、リチウムイオン二次電池用の原料などに利用することができる、マンガン濃度の低い高純度硫酸コバルト水溶液を得る方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
硫酸コバルトは、リチウムイオン電池の正極材料の原料として重要である。硫酸コバルトをリチウムイオン電池の正極材料のための原料として用いる場合、必要な性能を確保するために、不純物をできるだけ分離して高純度にする必要がある。
【0003】
粗水酸化コバルトは、コバルトの他に、鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウム等の不純物を含んでいる。粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを得るにあたり、高いコバルト歩留まりを維持したまま、コストを低減することが求められる。
【0004】
例えば、特許文献1には、粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを得るにあたり、高いコバルト歩留まりを達成する方法が開示されている。また、特許文献1では、ミキサーセトラーを利用した溶媒抽出を実施し、pH調整剤にアンモニア水を使用している。pH調整剤にアンモニア水を使用すると、アンモニア回収を伴う排液処理を実施する必要があった。アンモニア水とアンモニア回収設備にかかるコストは高く、コスト低減を阻害していた。
【0005】
本発明者らは、粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを得るにあたり、ミキサーセトラーを利用した溶媒抽出を実施しており、pH調整剤をアンモニア水から水酸化ナトリウム水溶液へ変更することによるコスト低減を試みた。しかし、ミキサーセトラーを利用した溶媒抽出において、pH調整剤に水酸化ナトリウム水溶液を用いると、水酸化物の沈殿が発生することから、目的元素の抽出率の向上に改善の余地があることを本発明者らは知見した。また、ミキサーセトラーを利用した溶媒抽出の一部工程において、水酸化物の沈殿が多く発生することから、その沈殿を抑制することで分相性の向上に改善の余地があることを本発明者らは知見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2022-104563号公報
特開2022-164276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述の背景に基づきなされたものであり、高いコバルト歩留まりを維持しつつ、コストが低減された、粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを得ることができる、硫酸コバルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
有機相の抽出剤濃度を下げることで水酸化物の沈殿を抑制できることが推測され、有機相の抽出剤濃度を下げた分を有機相と水相との流量比を高めることで目的元素の抽出率を維持しようと本発明者らは試みた。しかし、期待される水酸化物の沈殿抑制および分相性向上の効果は得られなかった。また、有機相と水相との比率を高めると混合槽のサイズが大きくなるため、溶媒抽出の設備費用の上昇が懸念された。このように、ミキサーセトラーを利用した溶媒抽出は、コスト低減に向けて多くの問題を抱えていた。
【0009】
本発明者らは、溶媒抽出に関する上記問題を解消するために、以下に示す理由から、従来技術であるミキサーセトラーに代えてエマルションフローを適用した。エマルションフローは、従来のミキサーセトラーと比べ、10倍の生産性の向上が期待できる革新的な溶媒抽出技術である。例えば、特許文献2には、エマルションフローを利用した溶媒抽出と溶媒抽出装置が開示されている。エマルションフローを利用した溶媒抽出装置(エマルションフロー装置)は、液滴噴出ノズルもしくは機械撹拌翼を備え、重液相(多くの場合、水相)と軽液相(多くの場合、有機相)の乳濁混合相(エマルション相)を形成することで高効率に抽出できる。
【0010】
溶媒抽出にエマルションフローを適用すれば、上記問題が解消し、pH調整剤をアンモニア水から水酸化ナトリウム水溶液へ変更することができ、また溶媒抽出装置を小型化することができ、結果としてコスト低減を実現できる可能性がある。よって、後述するように、溶媒抽出の工程では、エマルションフローを用いているが、本発明の範囲はこの限りではない。
(【0011】以降は省略されています)

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