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公開番号2025099174
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2023215619
出願日2023-12-21
発明の名称無機酸化物中空粒子
出願人太平洋セメント株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C01B 33/26 20060101AFI20250626BHJP(無機化学)
要約【課題】誘電特性のみならず、耐水性にも優れる無機酸化物中空粒子を提供すること。
【解決手段】外殻の内部に空洞を有する無気孔の無機酸化物中空粒子であって、
0.5~13質量%のジルコニアと、2質量%以上の第2族元素酸化物と、10質量%以上の第13族元素酸化物と、70質量%以下の酸化ケイ素とを含む無機酸化物により構成されている、無機酸化物中空粒子。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
外殻の内部に空洞を有する無気孔の無機酸化物中空粒子であって、
0.5~13質量%のジルコニアと、2質量%以上の第2族元素酸化物と、10質量%以上の第13族元素酸化物と、70質量%以下の酸化ケイ素とを含む無機酸化物により構成されている、
無機酸化物中空粒子。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
下記の試験方法1により測定される電気伝導率が5mS/m以下である、請求項1記載の無機酸化物中空粒子。
〔試験方法1〕
蒸留水と無機酸化物中空粒子とを質量比(液体:固体)33:1の割合でビーカーに入れ、1分間混合した後、ビーカー内の液体の電気伝導率を電気伝導率計で測定する。
【請求項3】
下記の試験方法2により測定される電気伝導率と、前記試験方法1により測定される電気伝導率に基づいて、下記式(1)により算出される電気伝導率の差(Δσ)が3mS/m以下である、請求項2記載の無機酸化物中空粒子。
〔試験方法2〕
試験方法1において電気伝導率を測定した、蒸留水と無機酸化物中空粒子を入れたビーカーを加熱し、沸騰してから5分間煮沸する。次いで、ビーカー内の液体の温度が25℃になるまで放置して冷却する。冷却後、ビーカー内の液体の電気伝導率を電気伝導率計で測定する。
電気伝導率の差(Δσ)=X-Y (1)
〔式(1)中、Xは試験方法2により測定される電気伝導率を示し、Yは試験方法1により測定される電気伝導率を示す。〕

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、無機酸化物中空粒子に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、5Gや6G等の高速通信規格の普及に伴い、高周波帯用デバイスに用いられる材料には、比誘電率及び誘電正接が低いなど誘電特性に優れた材料が求められている。無機酸化物中空粒子は、優れた誘電特性を有することから、電子材料分野におけるフィラー材として需要が増加している。
【0003】
このようなフィラー材として、例えば、外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した空間を備え、10質量%以上40質量%以下のホウ素酸化物と、5質量%以下のナトリウム酸化物と、1質量%以上50質量%以下のカルシウム酸化物と、14質量%以上20質量%未満のアルミニウム酸化物とを含む無機酸化物により構成されている、無機酸化物中空粒子が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2022-153073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した無機酸化物中空粒子は、優れた誘電特性を有することから、電子材料分野で求められるフィラー材として有用である。しかし、本発明者らは、当該無機酸化物中空粒子を含む樹脂成型物を作製し、浸水試験を行ったところ、誘電特性が不十分となる場合があることを見出した。
したがって、本発明の課題は、誘電特性のみならず、耐水性にも優れる無機酸化物中空粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した無機酸化物中空粒子は外殻に開口のない無気孔であるため、浸水試験で空洞内部に水が浸入することは通常考え難いが、電気伝導率が上昇したことから、空洞内部への水の侵入が推測された。その要因について、本発明者らは詳細に分析したところ、場合によって、粒子表面のイオン成分が溶出し孔が生じて空洞内部に水が浸入することがあるとの知見を得た。そこで、本発明者らは、無機酸化物中空粒子の化学組成について詳細に検討を進めたところ、無機酸化物中空粒子を構成する無機酸化物として特定元素の酸化物を一定量含有させることで、優れた誘電特性を維持しつつ、耐水性に優れた無機酸化物中空粒子が得られることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、次の〔1〕~〔3〕を提供するものである。
〔1〕 外殻の内部に空洞を有する無気孔の無機酸化物中空粒子であって、
0.5~13質量%のジルコニアと、2質量%以上の第2族元素酸化物と、10質量%以上の第13族元素酸化物と、70質量%以下の酸化ケイ素とを含む無機酸化物により構成されている、無機酸化物中空粒子。
〔2〕 下記の試験方法1により測定される電気伝導率が5mS/m以下である、前記〔1〕記載の無機酸化物中空粒子。
〔試験方法1〕
蒸留水と無機酸化物中空粒子とを質量比(液体:固体)33:1の割合でビーカーに入れ、1分間混合した後、ビーカー内の液体の電気伝導率を電気伝導率計で測定する。
〔3〕 下記の試験方法2により測定される電気伝導率と、前記試験方法1により測定される電気伝導率に基づいて、下記式(1)により算出される電気伝導率の差(Δσ)が3mS/m以下である、前記〔2〕記載の無機酸化物中空粒子。
〔試験方法2〕
試験方法1において電気伝導率を測定した、蒸留水と無機酸化物中空粒子を入れたビーカーを加熱し、沸騰してから5分間煮沸する。次いで、ビーカー内の液体の温度が25℃になるまで放置して冷却する。冷却後、ビーカー内の液体の電気伝導率を電気伝導率計で測定する。
電気伝導率の差(Δσ)=X-Y (1)
〔式(1)中、Xは試験方法2により測定される電気伝導率を示し、Yは試験方法1により測定される電気伝導率を示す。〕
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誘電特性のみならず、耐水性にも優れる無機酸化物中空粒子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において「中空粒子」とは、内部に空洞を有する粒子をいい、空洞は外殻に覆われている。
本発明の無機酸化物中空粒子は、外殻に覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した空間を有し、この独立した空間がそれぞれ隔壁によって隔てられた互いに連通しない気泡(以下、「独立気泡」ともいう。)によって形成されていてもよい。このような独立気泡を有することにより、粒子強度をより一層高めることができる。ここで、本明細書において「外殻」とは、粒子の最も表面側に位置する壁であって、粒子内部の1つの独立気泡のみ接する壁をいい、「隔壁」とは、粒子内の隣接する独立気泡を互いに区画する壁をいう。なお、外殻は無機酸化物により構成され、複数の独立気泡を有する場合には外部及び隔壁が無機酸化物により構成される。
また、本発明の無機酸化物中空粒子は、外殻に開口のない無気孔であるため、独立気泡は完全に閉じられている。このような独立気泡を有し、かつ無気孔であることにより、誘電特性に優れるだけでなく、優れた断熱性、遮熱性を発現することができる。なお、外殻が無気孔であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)像や、水に浮かぶことにより確認できる。したがって、本発明の無機酸化物中空粒子は、粒子表面から内部へ延びる複数の細孔を有する多孔質粒子とは異なる。
【0010】
本発明の無機酸化物中空粒子は、外殻がジルコニア(ZrO

)と、第2族元素酸化物と、第13族元素酸化物と、酸化ケイ素とを含む無機酸化物により構成されている。ここで、本明細書において「第2族元素酸化物」とは、周期表において第2族に属する元素の酸化物をいい、他の族に属する元素の酸化物についても同様の意味に解するものとする。なお、本発明の無機酸化物中空粒子は、ジルコニアを必須とするが、ジルコニウムと同じく第4族元素であるチタンの酸化物(TiO

)を含有させたとしても、耐水性が不十分となることを本発明者らは確認した。
(【0011】以降は省略されています)

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