TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025107741
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-22
出願番号2024001131
出願日2024-01-09
発明の名称カルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法
出願人株式会社白石中央研究所
代理人弁理士法人グローバル・アイピー東京
主分類C01F 11/18 20060101AFI20250714BHJP(無機化学)
要約【課題】制御された粒子径と制御された孔とを有する炭酸カルシウムを、簡単な工程で高い収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】カルサイト型炭酸カルシウム粒子とゼラチンと水とを混合、加熱撹拌し、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAを得る工程:界面活性剤を油に溶解させ撹拌し、溶液Bを得る工程:ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAと溶液Bとを混合撹拌し、エマルジョン乳状液Cを得る工程:エマルジョン乳状液Cに架橋剤を添加撹拌し、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を含む乳状液Dを得る工程:ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を含む乳状液Dを遠心分離してゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を得る工程:ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を焼成し、カルサイト型炭酸カルシウム顆粒を得る工程を含む、カルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【選択図】図1-A
特許請求の範囲【請求項1】
以下の工程:
カルサイト型炭酸カルシウム粒子と、ゼラチンと、水とを混合し、加熱撹拌し、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAを得る工程:
界面活性剤を、油に溶解させ、撹拌し、溶液Bを得る工程:
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAと溶液Bとを混合し、撹拌し、エマルジョン乳状液Cを得る工程:
エマルジョン乳状液Cに、架橋剤を添加し、撹拌し、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を含む乳状液Dを得る工程:
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を含む乳状液Dを遠心分離して、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を得る工程:および
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を焼成し、カルサイト型炭酸カルシウム顆粒を得る工程
を含む、カルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAにおいて、ゼラチンと、カルサイト型炭酸カルシウム粒子との質量比が、5:10-25:10の範囲である、請求項1に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【請求項3】
溶液Bにおいて、界面活性剤と、油との体積比が、1:100-5:100の範囲である、請求項2に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【請求項4】
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAと、溶液Bとの体積比が、1:10-10:10の範囲である、請求項2に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【請求項5】
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAと、溶液Bとの体積比が、1:10-10:10の範囲である、請求項3に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【請求項6】
ゼラチンと、架橋剤の質量比が、4:1-30:1の範囲となるように、エマルジョン乳状液Cに架橋剤を添加する、請求項2に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【請求項7】
ゼラチンと、架橋剤の質量比が、4:1-30:1の範囲となるように、エマルジョン乳状液Cに架橋剤を添加する、請求項3に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【請求項8】
ゼラチンと、架橋剤の質量比が、4:1-30:1の範囲となるように、エマルジョン乳状液Cに架橋剤を添加する、請求項4に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【請求項9】
ゼラチンと、架橋剤の質量比が、4:1-30:1の範囲となるように、エマルジョン乳状液Cに架橋剤を添加する、請求項5に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。
【請求項10】
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を、530℃以上650℃未満の温度で焼成する、請求項1~9のいずれか1項に記載のカルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、カルサイト型炭酸カルシウム顆粒の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
炭酸カルシウムは、ゴム、プラスチック、紙、シーラント、塗料・インキ等の補強充填剤、食品、飼料等のカルシウム強化剤、肥料等におけるアルカリ剤などとして広く用いられている。これらの用途に使用される炭酸カルシウムは、水酸化カルシウム水性懸濁液に炭酸ガスを吹き込んで炭酸化反応を行うことにより得られる軽質炭酸カルシウムと、良質な石灰石を機械的に粉砕・分級することにより得られる重質炭酸カルシウムとに大別される。
【0003】
炭酸カルシウムにはカルサイト、アラゴナイト、バテライトの3種類の結晶相があることが知られている。これらのうちカルサイトは最も安定な結晶相であり、たとえばバテライトは、経時的にカルサイトに転移していく。カルサイト型炭酸カルシウムは、一般的には菱面体や立方体の結晶であり、密な構造を有する。すなわち炭酸カルシウムを常法にて結晶成長させた高次構造の炭酸カルシウムは、殆どの場合、菱面体や立方体の形状を有する安定なカルサイトの結晶となる。このような菱面体あるいは立方体形状ではなく、たとえば球状あるいは孔の空いた多孔質の構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムが得られれば、工業的な利用価値が高い。そこでカルサイト型の結晶相を有し、かつ所望の粒径や形状を有する炭酸カルシウムを効率的に製造することが求められている。
【0004】
特許文献1には、炭酸ガス化合法により、水酸化カルシウム水性懸濁液に二酸化炭素ガスを導入して、微小粒子の凝集体を含まない、平均粒子径が11μm以上20μm以下の球状炭酸カルシウムを作製したことが開示されている。特許文献1の方法で得られる球状炭酸カルシウムは多孔質構造を有しておらず、また特殊な排気設備等が要求される等製造方法も相当複雑である。さらに特許文献1の方法は、未反応の炭酸ガスの処理が必要となり、安全性にやや難があると云える。
一方、特許文献2には、溶液法を用いて、塩化カルシウム水溶液と、炭酸ナトリウム水溶液と、グリシン水溶液とを反応させて、結晶子の大きさが3nm~30nmの球状の炭酸カルシウム微粒子を得る方法が開示されている。特許文献2の方法は、主にバテライト型炭酸カルシウムの生成を目的としており、特許文献2の方法で得られる微小粒子は、バテライト、カルサイトおよびアミノ酸の混合物である。
【0005】
特許文献3には、粒子径が0.1μm以下の合成炭酸カルシウムを出発原料とし、これに所望量の水と造粒助剤として酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムを添加して粒子径が10mm以下の球状の造粒体に造粒し、造立した後に炭酸化工程を行うことにより粒子径が10mm以下の合成炭酸カルシウム系球状多孔質造粒体を製造する方法が開示されている。特許文献3の方法は、炭酸カルシウム粉体の表面で炭酸化を起こさせ、完結させることが必要であり、これは常に難しい。特許文献3の方法では、反応後に造粒助剤が残留する場合があり、また反応の条件を注意深く制御したときにのみ目的物である合成炭酸カルシウム系球状多孔質造粒体が得られる。
特許文献4には、ポリビニルピロリドン(PVP)とポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(トゥイーン-80)によって形成される球状ミセルをテンプレートとして、この表面で塩化カルシウムと炭酸ナトリウムを反応させ炭酸カルシウムを得、80℃程度のオーブンで乾燥させて炭酸カルシウムの微小球を得る方法が開示されている。特許文献4の方法で得られる炭酸カルシウム微小球は、カルサイトとバテライトの混合物である。
【0006】
一方、より複雑な構造を有する炭酸カルシウム粒子として、球状中空体を製造する試みも行われている。特許文献5には、ガス気泡界面合成法を用い、炭酸ガスの気泡の界面においてカルシウムイオンと炭酸イオンとを反応させ、多孔質な殻にて構成される中空・球状炭酸カルシウム粒子を得たことが開示されている。また、非特許文献1には、現在最も一般的であるテンプレート法にて、ポリスチレンビーズの表面を炭酸水素カルシウムで過飽和されたミクロ乳濁液で覆い、高温焼成することによりアラゴナイト型炭酸カルシウムの多孔質中空体を作製したことが開示されている。
【0007】
特許文献5の方法は、ガス量の厳密なコントロールが必要であり、未反応のガスの安全性も問題であるほか、得られる炭酸カルシウムがバテライト型であり、水に対する安定性が低いことが課題である。非特許文献1の方法は、予めテンプレートを作成する必要があること、およびテンプレートの表面でのミクロ乳濁液のコーティングが起こりにくく、これが起こらない場合は、安定的に多孔質中空体を得るには至っていないという問題があった。さらに、非特許文献1の方法で得られる炭酸カルシウム球状中空体は、アラゴナイト型炭酸カルシウムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許4575293号公報
特開2013-60320号公報
特許3775569号公報
中国特許出願公開103232051号公報
特開2005-281034号公報
【非特許文献】
【0009】
Nature,1995年,377,320-323
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、カルサイト型炭酸カルシウムを原料として、制御された粒子径と、制御された孔とを有するカルサイト型炭酸カルシウム顆粒を、従来とは異なる比較的簡単な工程を経て、高い収率で製造する新規な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

株式会社白石中央研究所
階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体および階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法
19日前
株式会社白石中央研究所
階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体および、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法
19日前
個人
一酸化炭素の製造方法
1か月前
株式会社タクマ
固体炭素化設備
1か月前
東洋アルミニウム株式会社
水素発生材料
19日前
東洋アルミニウム株式会社
水素発生材料
19日前
三菱重工業株式会社
加熱装置
1か月前
株式会社トクヤマ
酸性次亜塩素酸水の製造方法
1か月前
株式会社信日康
2次元構造を有する酸化ケイ素
11日前
株式会社フクハラ
高純度窒素ガス生成システム
4日前
日揮触媒化成株式会社
珪酸液およびその製造方法
1か月前
デンカ株式会社
窒化ケイ素粉末
1か月前
デンカ株式会社
窒化ケイ素粉末
1か月前
住友化学株式会社
無機アルミニウム化合物粉末
1か月前
デンカ株式会社
アルミナ粉末、無機粉末および樹脂組成物
27日前
浅田化学工業株式会社
アルミナ水分散液の製造方法
1か月前
デンカ株式会社
アルミナ粉末、無機粉末および樹脂組成物
27日前
デンカ株式会社
アルミナ粉末、無機粉末および樹脂組成物
27日前
DOWAエコシステム株式会社
水酸化亜鉛の製造方法
4日前
JFEエンジニアリング株式会社
ドライアイス製造システム
1か月前
トヨタ自動車株式会社
光触媒を用いた水素ガス製造装置
1か月前
トヨタ自動車株式会社
光触媒を用いた水素ガス製造装置
1か月前
日本電気株式会社
繊維状カーボンナノホーン集合体の接着分離方法
1か月前
マイクロ波化学株式会社
水素の製造方法
25日前
株式会社豊田自動織機
多孔質クラスレートシリコンの製造方法
11日前
デンカ株式会社
窒化ホウ素粉末、及び樹脂成形体
1か月前
エヌ・イーケムキャット株式会社
ゼオライトの製造方法
1か月前
デンカ株式会社
窒化ホウ素粉末、及び樹脂成形体
1か月前
JX金属株式会社
低α線酸化ビスマス
4日前
日揮触媒化成株式会社
多孔質の三次粒子を含む粉体、及びその製造方法
1か月前
デンカ株式会社
無機粉末及びそれを用いた樹脂組成物
1か月前
日本特殊陶業株式会社
アンモニアの合成システム
1か月前
本田技研工業株式会社
金属シリコンの製造方法
20日前
信越化学工業株式会社
第四級アンモニウム修飾シリカ分散液の製造方法
4日前
パナソニックIPマネジメント株式会社
水素生成装置
11日前
清水建設株式会社
二酸化炭素固定化方法
12日前
続きを見る