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公開番号
2025171663
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-11-20
出願番号
2024077237
出願日
2024-05-10
発明の名称
階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体および、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法
出願人
株式会社白石中央研究所
代理人
弁理士法人グローバル・アイピー東京
主分類
C01B
25/32 20060101AFI20251113BHJP(無機化学)
要約
【課題】新規な階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体を提供することを目的とする。さらに本発明は、新規な階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体を製造する新規な方法を提供することを目的とする。
【解決手段】炭酸カルシウム緻密粒子の集合体からなるペレット3の表面に、アパタイト層2と、筒状、針状または柱状の細長構造を有するアパタイト1から構成される層と、を有する、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体、及び当該階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
【選択図】図1-A
特許請求の範囲
【請求項1】
炭酸カルシウム緻密粒子の集合体からなるペレットの表面に、アパタイト層と、筒状、針状または柱状の細長構造を有するアパタイトから構成される層と、を有する、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体。
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
炭酸カルシウム緻密粒子の直径が、10-200μmであり、アパタイト層の厚さが0.1-30μmの範囲であり、細長構造を有するアパタイトの断面直径が0.1-5.0μmの範囲であり、細長構造を有するアパタイトの長さが0.1-30μmの範囲である、請求項1に記載の階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体。
【請求項3】
以下の工程:
カルサイト型炭酸カルシウム粒子と、ゼラチンと、水とを混合し、加熱攪拌し、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAを得る工程:
界面活性剤を、油に溶解させ、攪拌し、溶液Bを得る工程:
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAを溶液Bに加え、攪拌し、エマルジョン乳状液Cを得る工程:
エマルジョン乳状液Cに、架橋剤を添加し、攪拌し、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を含む乳状液Dを得る工程:
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を含む乳状液Dを遠心分離して、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を得る工程:
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子を基材の表面に配置して、ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子の集合体を得る工程:
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム複合粒子の集合体を焼成し、カルサイト型炭酸カルシウム緻密粒子の集合体からなるペレットを得る工程:
カルサイト型炭酸カルシウム緻密粒子の集合体からなるペレットを、少なくとも二酸化炭素を含む雰囲気下に置き、炭酸カルシウム緻密粒子の集合体からなるペレットの表面に、筒状、針状または柱状の細長構造を有する炭酸カルシウムが配列した炭酸カルシウムを得る工程:および
炭酸カルシウム緻密粒子の集合体からなるペレットの表面に、筒状、針状または柱状の細長構造を有する炭酸カルシウムが配列した炭酸カルシウムを、加熱下で、リン酸塩溶液に浸漬し、筒状、針状又は柱状の細長構造を有する炭酸カルシウムとリン酸塩とを反応させて、炭酸カルシウム緻密粒子の集合体からなるペレットの表面にアパタイト層を有し、さらにアパタイト層の表面に、筒状、針状または柱状の細長構造を有するアパタイトから構成される層を有する、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体を得る工程
を含む、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
【請求項4】
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAにおいて、ゼラチンと、カルサイト型炭酸カルシウム粒子との質量比が、5:10-20:10の範囲である、請求項3に記載の階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
【請求項5】
溶液Bにおいて、界面活性剤と、油との体積比が、1:100-5:100の範囲である、請求項4に記載の階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
【請求項6】
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAと、溶液Bとの体積比が、1:10-10:10の範囲である、請求項4に記載の階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
【請求項7】
ゼラチン/カルサイト型炭酸カルシウム粒子混合スラリーAと、溶液Bとの体積比が、1:10-10:10の範囲である、請求項5に記載の階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
【請求項8】
ゼラチンと、架橋剤の質量比が、1:1-1:20の範囲となるように、エマルジョン乳状液Cに、架橋剤を添加する、請求項4に記載の階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
【請求項9】
ゼラチンと、架橋剤の質量比が、1:1-1:20の範囲となるように、エマルジョン乳状液Cに、架橋剤を添加する、請求項5に記載の階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
【請求項10】
ゼラチンと、架橋剤の質量比が、1:1-1:20の範囲となるように、エマルジョン乳状液Cに、架橋剤を添加する、請求項6に記載の階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体および、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
階層構造を有する階層材料は、高度に秩序化された構造を有し、複数種類のナノスケール成分で構成された材料のことを言う。階層材料は、単一のナノスケール構造材料と比較すると、様々な物性を有するコンポーネントを組み合わせているため、より優れた物性を備えていることが多い。そこで、階層材料は触媒担体やエネルギー貯蔵デバイス、薬物送達担体、化粧品添加剤等の種々の分野で使用されている。
炭酸カルシウムは、ゴム、プラスチック、紙、シーラント、塗料・インキ等の補強充填剤、食品、飼料等のカルシウム強化剤、肥料等におけるアルカリ剤などとして広く用いられている。炭酸カルシウムは良好な生体適合性と生分解性とを示すが、人体の不可欠な成分ではないため、生体材料としての応用には依然として課題がある。炭酸カルシウムは中性ではなく弱アルカリ性を示すため、化粧品添加剤として使用すると、ヒトの皮膚を含む人体に刺激を与える可能性がある。また、炭酸カルシウムの表面には活性の官能基が存在しないため、他の物質との相互作用に制限があり、吸着剤や添加剤としての使用には難がある。さらに、最も安定した構造を有するカルサイト型炭酸カルシウムは、緻密で安定した立方体や菱面体形状をしていることから、表面構造や表面形状を調製して物性をコントロールすることが非常に難しい。
【0003】
一方、アパタイトは、骨や歯等の硬組織を構成する無機成分である。アパタイトは、生体適合性に優れ、強い骨伝導性を有している。生物医学の分野では、水酸アパタイトと炭酸アパタイトの2種類のアパタイトがよく使用されている。特に水酸アパタイトは、優れた生体適合性と骨伝導性を有し、薬物送達系や骨組織再生材料として広く使用されている。水酸アパタイトを用いた材料は、焼結後の機械的強度が著しく向上することが知られており、近年は骨インプラントとして利用されている。近年の研究では、水酸アパタイトは体内に埋め込まれた後に骨吸収されにくい、すなわち体内環境へのなじみがあまり良くないという欠点があることが指摘されている。一方、炭酸アパタイトは炭酸基を有するアパタイトである。炭酸アパタイトは、炭酸基を含まない水酸アパタイトに比べて生分解性が高く、骨吸収されやすい。このようにアパタイトはその特性を活かした分野において、特に生体活性コーティング材料として活用されている。近年は、炭酸カルシウムをリン酸化処理することにより、炭酸アパタイトを作製する方法が知られている(非特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、化学合成法により、リン酸を含む水溶液又は懸濁液と、カルシウム化合物を含む水溶液又は懸濁液とを反応させることにより、管状リン酸カルシウムを合成する製造方法が記載されている。しかし、通常のリン酸カルシウム粒子の形成を回避して、チューブ状のリン酸カルシウムを高収率で得るには、カルシウム原料とリン酸の反応を精密に制御する必要がある。特許文献1の方法により得られたチューブ状リン酸カルシウムは、中空の空洞と薄い殻からなり、単純なモノリシック構造の特徴を示しているが、より高次の階層構造を持つチューブ状アパタイトを合成することは難しいと考えられる。なお、特許文献1の方法で得られた管状リン酸カルシウムは、炭酸アパタイトではなく、水酸アパタイトである。
一方、特許文献2には、アルカリ土類金属化またはハロゲン化アパタイト単結晶を水蒸気雰囲気に1100~1200℃の範囲で6~24時間の範囲で加熱して、チューブ状アパタイト単結晶を合成する方法が開示されている。しかし、特許文献2の方法は、チューブ状アパタイトを合成するために高い温度が必要であることから、設備やコストなどが課題となりうるし、製造工程における安全性も問題となる。なお、特許文献2の方法で得られたチューブ状アパタイト単結晶は、炭酸アパタイトではなく、アルカリ土類金属化またはハロゲン化アパタイトである。
非特許文献2では、テンプレートとして孔径0.02μmのアルミニウム陽極酸化膜に硝酸カルシウム四水和物とリン酸トリエチルを反応させて、水酸アパタイト粒子を生成した。そして、水酸化ナトリウムを用いて、アルミニウム陽極酸化膜を除去し、500℃~900℃で焼成し、水酸アパタイトナノチューブを合成する方法を提供している。しかしながら、この方法により水酸アパタイトナノチューブを合成するには、アルミニウム陽極酸化膜とアパタイトとの相互作用、アルミニウム陽極酸化膜の除去、及び焼成プロセスのそれぞれを精密に制御することが重要である。非特許文献2の方法で得られたチューブ状リン酸カルシウムは、中空の空洞と薄い殻からなり、単純なモノリシック構造の特徴を示しているが、より高次の階層構造を持つチューブ状アパタイトを合成することは難しいと考えられる。なお、得られた管状リン酸カルシウムは炭酸アパタイトではなく、水酸アパタイトである。
【0005】
特許文献1、特許文献2及び非特許文献2において製造されたチューブ状アパタイトは、いずれも炭酸アパタイトのチューブではなく、またアパタイトチューブが配列してアレイ状になったものでもない。また、これらの文献に提案された方法で製造されたアパタイトを含む構造から、さらに高次の階層構造を有する物質を得ることは困難である。より安定で、かつこれまでには合成できなかったより複雑な階層構造を有する、炭酸カルシウム/アパタイト複合体を製造することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2011- 11971号公報
特開2017- 222539号公報
【非特許文献】
【0007】
Science and Technology of Advanced Materials,2021,22,683-694
Materials Science and Engineering:C,2013,33,2981-2986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、新規な階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体、好ましくはカルサイト型炭酸カルシウム/アパタイト複合体を提供することを目的とする。さらに本発明は、新規な階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体、好ましくはカルサイト型炭酸カルシウム/アパタイト複合体を提供する新規な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、炭酸カルシウム緻密粒子の集合体からなるペレットの表面に、アパタイト層と、筒状、針状または柱状の細長構造を有するアパタイトから構成される層と、を有する、階層構造を有する炭酸カルシウム/アパタイト複合体である。
【0010】
ここで、炭酸カルシウム緻密粒子の直径が、10-200μmであり、アパタイト層の厚さが0.1-30μmの範囲であり、細長構造を有するアパタイトの断面直径が0.1-5.0μmの範囲であり、細長構造を有するアパタイトの長さが0.1-30μmの範囲であることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
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