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公開番号
2024139656
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-09
出願番号
2023139721
出願日
2023-08-30
発明の名称
ダイヤモンド砥粒の製造方法
出願人
ノリタケ株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C01B
32/28 20170101AFI20241002BHJP(無機化学)
要約
【課題】ダイヤモンド砥粒の形状変化や粉砕を抑制しつつ、当該ダイヤモンド砥粒に安定的にクラックを導入する。
【解決手段】ここに開示される製造方法は、ダイヤモンド砥粒を加熱する熱処理工程と、加熱後のダイヤモンド砥粒に超音波を印加する超音波印加工程とを含む。かかる構成の製造方法では、熱処理工程においてダイヤモンド砥粒に強い内部応力を導入し、当該内部応力を超音波印加工程で開放する。これによって、ダイヤモンド砥粒に安定的にクラックを導入できる。また、この製造方法は、ダイヤモンド砥粒に大きな外力を加えるものではないため、ダイヤモンド砥粒の形状変化や粉砕を抑制することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ダイヤモンド砥粒を加熱する熱処理工程と、
加熱後の前記ダイヤモンド砥粒に超音波を印加する超音波印加工程と
を含む、ダイヤモンド砥粒の製造方法。
続きを表示(約 470 文字)
【請求項2】
前記熱処理工程は、前記ダイヤモンド砥粒に内部応力を導入する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記内部応力は、引張応力である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記超音波印加工程は、前記ダイヤモンド砥粒に導入された内部応力を開放する、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記熱処理工程後の前記ダイヤモンド砥粒は、ラマン分光法に基づいたラマンスペクトルの1325cm
-1
から1334cm
-1
の範囲にラマンピーク位置が存在するラマンピークのピーク位置の平均値が1329cm
-1
以下である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ダイヤモンド砥粒の総重量に対する不純物の含有量は、0.1wt%以上である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記不純物の熱膨張率は、前記ダイヤモンド砥粒の熱膨張率よりも高い、請求項6に記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、ダイヤモンド砥粒の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、ダイヤモンド砥粒は、様々な材料の研削・研磨に広く使用されている。このダイヤモンド砥粒には、加工対象に応じた適切な微小破砕性が要求される。例えば、加工中に微小なスケールで高頻度に破砕する(微小破砕性が高い)ダイヤモンド砥粒は、切れ刃が鋭い状態を維持できるため、優れた加工効率を有している。
【0003】
ダイヤモンド砥粒は、内部応力(引張応力)が大きくなるにつれて破砕しやすくなることが知られている。ここで、ダイヤモンド砥粒の内部応力は、ラマン分光法に基づいて評価できる。具体的には、ダイヤモンド砥粒のラマンスペクトルを取得すると、ダイヤモンド結晶の格子振動に由来するピークが1333cm
-1
付近に確認される。そして、このダイヤモンド砥粒は、内部応力の導入や結晶中への不純物の混入などによって、上記ラマンピーク位置が低波数側にシフトする。非特許文献1では、加熱処理によって内部応力が導入されたダイヤモンド砥粒では、ラマンピーク位置が低波数側にシフトして微小破砕性が向上することが報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
角谷均,他5名,”切削工具用各種単結晶ダイヤモンドの内部歪み分布と微小破壊挙動”,精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,2019年,P644-P645
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ダイヤモンド砥粒の微小破砕性を向上させるには、微小なクラックを砥粒中に導入することが有効である。これによって、クラックを起点とした破砕が適宜生じるため、ダイヤモンド砥粒の切れ刃を鋭い状態に維持できる。この種のクラック導入方法の一例として、加圧機器を用いてダイヤモンド砥粒に大きな外力を加えるという方法が考えられる。しかし、この加圧法では、砥粒の形状変化や粉砕が生じる可能性があるため、クラックのみを安定的に導入することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々の実験と検討を行った結果、ダイヤモンド砥粒に超音波を印加すると、驚くべきことに、当該ダイヤモンド砥粒の内部応力が変化することを発見した。例えば、強い内部応力が導入されたダイヤモンド砥粒に超音波を印加すると、内部応力が開放されてラマンピーク位置が高波数側にシフトする。一方、内部応力が弱いダイヤモンド砥粒に超音波を印加すると、内部応力が導入されてピーク位置が低波数側にシフトする。そして、本発明者は、さらに検討を重ねた結果、熱処理後のダイヤモンド砥粒に超音波を印加すると、熱処理で導入された非常に強い内部応力が開放されることによって、クラックが導入されることを発見した。
【0007】
ここに開示される製造方法は、上述の知見に基づいてなされたものである。このダイヤモンド砥粒の製造方法は、ダイヤモンド砥粒を加熱する熱処理工程と、加熱後のダイヤモンド砥粒に超音波を印加する超音波印加工程とを含む。上述した通り、かかる構成の製造方法によると、クラックが導入されたダイヤモンド砥粒を安定的に製造することができる。また、ここに開示される製造方法は、ダイヤモンド砥粒に大きな外力を加えるものではないため、製造中の砥粒に形状変化や粉砕が生じることを抑制できる。
【0008】
ここに開示される製造方法の一態様では、熱処理工程は、ダイヤモンド砥粒に内部応力を導入する。これによって、超音波印加工程において、ダイヤモンド砥粒にクラックを適切に導入できる。なお、砥粒に導入される内部応力は、引張応力であることが好ましい。
【0009】
ここに開示される製造方法の一態様では、超音波印加工程は、ダイヤモンド砥粒に導入された内部応力を開放する。これによって、ダイヤモンド砥粒にクラックを適切に導入できる。
【0010】
ここに開示される製造方法の一態様では、熱処理工程後のダイヤモンド砥粒は、ラマン分光法に基づいたラマンスペクトルの1325cm
-1
から1334cm
-1
の範囲にラマンピーク位置が存在するラマンピークのピーク位置の平均値が1329cm
-1
以下である。これによって、超音波印加工程において、ダイヤモンド砥粒にクラックを容易に導入できる。
(【0011】以降は省略されています)
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