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公開番号2025061638
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-11
出願番号2024143374
出願日2024-08-23
発明の名称EVグレード硫化リチウムとその調製方法
出願人ティアンキ リチウム コーポレーション
代理人個人
主分類C01B 17/36 20060101AFI20250404BHJP(無機化学)
要約【課題】EVグレード硫化リチウムを調製するための新たな方法およびEVグレード硫化リチウムを提供する。
【解決手段】本発明に係るEVグレード硫化リチウムの調製方法は、硫黄粉末、金属リチウムおよびリチウム含有添加剤を混合・反応させて硫化リチウム粗生成物を得て、これを粉砕・焼成して残留硫黄粉末を除去してから、EVグレード硫化リチウムを得るという手順を備える。前記リチウム含有添加剤は、水素化リチウム、窒化リチウム、および炭化リチウムの少なくとも1つであり、前記硫黄粉末、金属リチウム、およびリチウム含有添加剤のモル比は1:2:0.1~0.3である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
硫黄粉末、金属リチウムおよびリチウム含有添加剤を混合・反応させて硫化リチウム粗生成物を得て、前記硫化リチウム粗生成物を粉砕・焼成して残留硫黄粉末を除去してから、EVグレード硫化リチウムを得る工程を有し、
前記リチウム含有添加剤は、水素化リチウム、窒化リチウム、および炭化リチウムの少なくとも1つであり、
前記硫黄粉末、金属リチウム、およびリチウム含有添加剤のモル比は1:2:0.1~0.3であることを特徴とするEVグレード硫化リチウムの調製方法。
続きを表示(約 890 文字)【請求項2】
前記硫黄粉末の粒子径範囲は70ミクロン~80ミクロンであり、前記リチウム含有添加剤の粒子径範囲は80ミクロン~90ミクロンであることを特徴とする請求項1に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
【請求項3】
前記反応の温度は100℃~180℃であることを特徴とする請求項1に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
【請求項4】
前記反応は撹拌も含み、前記撹拌の時間が4~8h、前記撹拌の回転数が20~40rpmであることを特徴とする請求項1に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
【請求項5】
前記反応は撹拌も含み、前記反応の温度は140℃、前記撹拌の時間は6h、前記撹拌の回転数は20rpmであることを特徴とする請求項1に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
【請求項6】
前記方法は、前記硫化リチウム粗生成物をふるい分けする工程と、前記ふるい分け後に20メッシュ未満の粒子径の前記硫化リチウム粗生成物を粉砕する工程と、20メッシュ以上の粒子径の前記硫化リチウム粗生成物を原料として反応に戻す工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
【請求項7】
前記粉砕は、回転数が20,000~25,000rpm、粉砕時間が1~3minであることを特徴とする請求項1に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
【請求項8】
前記焼成前の前記硫化リチウム粗生成物の粒子径範囲は20ミクロン~50ミクロンであることを特徴とする請求項1に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
【請求項9】
前記焼成は、400~600℃で3~5h行うことを特徴とする請求項1に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
【請求項10】
前記焼成は、焼成温度が600℃、焼成時間が4hであることを特徴とする請求項9に記載のEVグレード硫化リチウムの調製方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、EVグレード硫化リチウムとその調製方法に関し、リチウムイオン電池材料の技術分野に属する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、重要な再生可能エネルギー貯蔵装置として、その性能とサイクル寿命がEV自動車とエネルギー貯蔵システムの信頼性の高い動作にとって極めて重要である。全固体リチウムイオン電池は、その高い安全性、高いエネルギー密度、長いサイクル寿命、優れた抗分極能力および環境への優しさなどの利点により、EV自動車、エネルギー貯蔵システム、モバイル機器などの分野で幅広く使用されている。全固体リチウムイオン電池は、従来の液体電解質の代わりに固体電解質を使用しているため、より安全である。硫化リチウムは、固体電解質のリチウム源材料として、その品質がリチウムイオン電池の性能に大きな影響を与える。しかしながら、従来の硫化リチウムの合成方法には、不純物含有量が高く、生成物の白色度が低く、コストが高いなどの問題があり、全固体リチウムイオン電池の発展を大きく制限している。
【0003】
高純度硫化リチウムを調製するための従来の方法は、主に以下の方法がある。(1)特許文献1では、高温炭素還元法で硫化リチウムを調製する。この調製方法によって得られる硫化リチウム生成物は、灰色で白色度が低い。 (2) 特許文献2、特許文献3では、リチウム源と硫化水素の反応により硫化リチウムを調製する。この調製方法では毒性の高い硫化水素ガスを使用する必要があるため、工程の安全性についての要求が比較的厳しい。 (3) 特許文献4では、リチウム源と硫黄源を混合し、ヒドラジン水和物を加えることにより硫化リチウムを調製する。生成物の白色度が高いが、純度が95%と低い。(4)特許文献5では、電池グレード金属リチウムと硫黄粉末の反応により硫化リチウムを調製するが、電池グレード金属リチウムを使用する必要があるため、原料の純度についての要求が厳しい。(5)特許文献6では、リチウム含有物質と硫黄の単体を不活性雰囲気下で均一に混合し、反応器に移送し、真空ポンプで反応器を真空にした後、一定量の水素を導入し、混合物を一定の速度で設定温度まで加熱してから、一定時間保温し、反応器の温度が下がったら、反応器内のガスを収集して真空にし、反応器を不活性雰囲気下で開放し、硫化リチウム粉末を得る硫化リチウムのグリーンな調製方法を開示した。前記リチウム含有物質は、リチウムアミド、リチウムイミド、窒化リチウムのいずれか、またはそれらの混合物である。しなしながら、特許文献6では可燃性ガスH

の使用が必要であり、反応は発熱反応であるため、実験装置についての要求が厳しく、安全性のリスクが高い。(6)特許文献7では、不活性雰囲気の存在下または真空下で安価な窒素と金属リチウムを反応させ、窒化リチウムを調製し、窒化リチウムにある金属リチウムの残存量を予め設定された安全閾値の範囲内にし、調製された窒化リチウムと硫黄の単体を一定の割合で混合して反応させて硫化リチウムを得る特徴のある硫化リチウムの調製方法を開示した。しかしながら、この方法の調製プロセスは原料パラメータについての要求が厳しく、反応プロセスの制御が難しく、大量生産が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
中国特許出願公開第112678780号明細書
中国特許出願公開第113415812号明細書
特許第I366554号公報
中国特許出願公開第112678781号明細書
中国特許出願公開第116040587号明細書
中国特許出願公開第112520703号明細書
中国特許出願公開第116216652号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、EVグレード硫化リチウムを調製するための新たな方法を提供することを1番目の目的とする。また、本発明は、新しいEVグレード硫化リチウムを提供することを2番目の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1番目の目的を達成するために、上記のEVグレード硫化リチウムの調製方法は、
硫黄粉末、金属リチウムおよびリチウム含有添加剤を混合・反応させて硫化リチウム粗生成物を得て、これを粉砕・焼成して残留硫黄粉末を除去してから、EVグレード硫化リチウムを得るという手順を備える。
本発明は、原料についての要求が低く、原料の金属リチウムは純度が99%以上の工業グレードの金属リチウムであってもよい。
1つの実施形態では、前記硫黄粉末、金属リチウム、およびリチウム含有添加剤のモル比は、1:2:0.1~0.3である。
1つの実施形態では、前記硫黄粉末の粒子径範囲は70ミクロン~80ミクロンであり、前記リチウム含有添加剤の粒子径範囲は80ミクロン~90ミクロンである。
1つの実施形態では、前記反応の温度が100℃~180℃である。
1つの実施形態では、前記リチウム含有添加剤は、水素化リチウム、窒化リチウム、および炭化リチウムの少なくとも1つである。
1つの実施形態では、前記反応は撹拌も含み、前記撹拌の時間が4~8h、前記撹拌の回転数が20~40rpmであり、好ましくは、前記反応の温度が140℃、撹拌時間が6h、撹拌の回転数が20rpmである。
1つの実施形態では、前記方法は、前記硫化リチウム粗生成物をふるい分けする工程と、前記ふるい分け後に20メッシュ未満の粒子径の前記硫化リチウム粗生成物を粉砕する工程と、20メッシュ以上の粒子径の前記硫化リチウム粗生成物を原料として反応に戻す工程をさらに備える。
1つの実施形態では、前記粉砕は回転数が20,000~25,000rpm、粉砕時間が1~3minである。
1つの実施形態では、前記焼成前の前記硫化リチウム粗生成物の粒子径範囲は20ミクロン~50ミクロンである。
1つの実施形態では、前記焼成は、400~600℃で3~5h行い、好ましくは、焼成温度が600℃、焼成時間が4hである。
1つの実施形態では、前記方法は湿式ボールミリングをさらに含み、すなわち、前記焼成された前記硫化リチウム粗生成物を湿式ボールミリングする工程を有し、前記湿式ボールミリングの溶媒はイソプロピルアルコールおよびノルマルプロピルアルコールの少なくとも1つであり、ボールミリングパラメータはボールミリング回転数が300~500rpm、ボールミリング時間が8~12h、前記ボールミリング用ボールと前記硫化リチウム粗生成物と溶媒の質量比が4~1:1:1~0.1である。
1つの実施形態では、前記湿式ボールミリングは前記溶媒がイソプロピルアルコール、ボールミリング回転数が400rpm、ボールミリング時間が8hである。
1つの実施形態では、前記ボールミリング用ボールと前記硫化リチウム粗生成物と前記溶媒の質量比は1:1:0.8である。
1つの実施形態では、前記方法は、洗浄および乾燥をさらに含み、すなわち、前記ボールミリングされた硫化リチウムを、n-ヘキサン、n-ペンタン、およびシクロヘキサンの少なくとも1つで洗浄し、撹拌・加熱・乾燥により高純度EVグレード硫化リチウムを得る。好ましくは、前記洗浄はn-ヘキサンで2~3回撹拌洗浄することにより行う。
1つの実施形態では、前記反応および前記洗浄・乾燥は保護雰囲気下で行われ、前記保護雰囲気は窒素、アルゴン、およびヘリウムの少なくとも1つであることが好ましい。
1つの実施形態では、前記乾燥の温度が80~100℃、前記撹拌の回転数が30~60rpm、前記乾燥の時間が4~8hである。
1つの実施形態では、前記反応はチタン製装置内で行われ、前記乾燥はチタン製TA2装置内で行われる。
【0007】
本発明の2番目の目的を達成するために、前記EVグレード硫化リチウムは、上記のEVグレード硫化リチウムの調製方法で調製され、EVグレード硫化リチウムの純度が99.9%以上、白色度が80以上であり、好ましくは、EVグレード硫化リチウムの純度が99.95%以上、白色度が80以上、D50粒子径が15ミクロン以下である。
【発明の効果】
【0008】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明による生成物は白色度が80以上に達することができる。
硫化リチウムを調製するための金属リチウムと硫黄粉末の反応において、特定の割合の添加剤が添加され、特定の割合のリチウム含有添加剤の存在により、金属リチウムの反応における凝集により反応が不十分になる現象が大幅に改善され、生成物の純度が99.9%を超え、また、添加剤の添加により、固結した硫化リチウム粗生成物が緩い骨格構造を形成し、生成物が粉砕しやすくなり、粉砕プロセスにおいて再度激しく反応するリスクが軽減され、調製プロセス中に真空環境が必要なくなる。
【0009】
この方法で硫化リチウムを調製するには、工程が簡単で、運用可能性が高く、大規模生産が可能で、有毒ガスや二次汚染がなく、安全な取り扱いやEVグレード硫化リチウムについての要求を満たすことができるという利点がある。
本発明は、工業グレードリチウムを使用して、低コストで高純度硫化リチウムを調製することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のプロセスフローの一例を示す図である。
実施例1のXRD図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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