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公開番号2024117642
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-29
出願番号2023023851
出願日2023-02-17
発明の名称AlN単結晶の製造方法およびAlN単結晶
出願人国立大学法人東北大学,DOWAホールディングス株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C30B 29/38 20060101AFI20240822BHJP(結晶成長)
要約【課題】安価かつ高い成長速度でAlN単結晶を製造することができるAlN単結晶の製造方法およびAlN単結晶を提供する。
【解決手段】窒素含有ガス雰囲気下において、Alを含む合金の融液を、窒化ホウ素に接触させた状態で、前記融液中でAlN結晶が分解される温度範囲のうちの最低温度より高い温度に加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後、前記融液の一部または全部を、前記合金の液相線温度以上かつ前記最低温度よりも低い温度まで低下させることにより、前記融液中でAlN結晶を析出させる析出工程と、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
窒素含有ガス雰囲気下において、Alを含む合金の融液を、窒化ホウ素に接触させた状態で、前記融液中でAlN結晶が分解される温度範囲のうちの最低温度より高い温度に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程の後、前記融液の一部または全部を、前記合金の液相線温度以上かつ前記最低温度よりも低い温度まで低下させることにより、前記融液中でAlN結晶を析出させる析出工程と、を含むAlN単結晶の製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
下記式(A)で表される前記AlN単結晶の形成の反応が平衡しているときの前記融液中のAlの活量をa
eq.
Al
、前記式(A)の平衡定数をK、ボルツマン定数をk、絶対温度をTとし、析出時の前記窒素含有ガスのN

の分圧をpN

とすると、
下記式(B)で表される前記AlN単結晶の成長の駆動力Δμの値が0となるときの温度(T

)を前記最低温度とし、前記加熱工程の温度をT

よりも高くし、前記析出工程の温度を前記合金の液相線の温度以上かつT

よりも低くする、請求項1に記載のAlN単結晶の製造方法。
2Al(l)+N

(g)→2AlN(s) (A)
TIFF
2024117642000005.tif
13
160
【請求項3】
前記加熱工程では、T

+30K以上の温度に加熱する、請求項2に記載のAlN単結晶の製造方法。
【請求項4】
前記析出工程では、前記融液の温度を前記合金の液相線温度以上かつ前記最低温度よりも低い温度まで低下させた状態で、前記融液中に、少なくとも表面にAlNを有する成長用の基板を浸漬させることにより、前記成長用の基板の表面に前記AlN結晶を析出させる、請求項1に記載のAlN単結晶の製造方法。
【請求項5】
前記析出工程の後、成長用の基板を前記融液から引き上げる回収工程を有し、
前記成長用の基板の表面に析出した前記AlN結晶の上に、繰り返しAlN結晶が析出して成長するよう、前記加熱工程と前記析出工程と前記回収工程とを複数回繰り返す、請求項1に記載のAlN単結晶の製造方法。
【請求項6】
前記成長用の基板が、C面サファイア単結晶上にC面AlN単結晶をエピタキシャル成長させたAlNテンプレート基板であり、前記C面AlN単結晶の(10-12)面のX線ロッキングカーブの半値幅が300arcsec以下である、請求項4に記載のAlN単結晶の製造方法。
【請求項7】
前記Alを含む合金がNi-Al合金である、請求項1に記載のAlN単結晶の製造方法。
【請求項8】
不純物としてFe、Ni、Cu、Co、Siのいずれか一種以上を1×10
16
/cm

以上含有し、ホウ素を1×10
16
~1×10
21
/cm

含有するAlN単結晶。
【請求項9】
不純物としてNiとホウ素とを共に1×10
16
~1×10
21
/cm

含有する、請求項8に記載のAlN単結晶。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、AlN単結晶の製造方法およびAlN単結晶に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
紫外発光素子は、殺菌光源や蛍光体と組み合わせた高輝度白色光源、高密度情報記録光源、樹脂硬化光源など、幅広い用途での使用が期待される次世代光源である。この紫外発光素子は、AlGaN系窒化物半導体から成っている。
【0003】
このAlGaN系窒化物半導体の基板材料の候補に、AlGaNとの格子整合性の高さから、SiC、GaN、およびAlN(窒化アルミニウム)が挙げられる。しかし、SiCやGaNは、それぞれ波長380nm、365nmよりエネルギーの高い光を吸収するため、取り出せる波長領域が制限されてしまう。一方、AlNは、AlGaNよりも広いバンドギャップを有し、SiCやGaNのような波長領域の制限がないため、基板材料として最も優れていると考えられる。しかし、AlNは、高温において高い解離圧を示すため、常圧下では融液状態にはならない。このため、シリコン単結晶のように、自身の融液からAlN単結晶を作製することは、極めて困難である。
【0004】
そこで、従来、AlN単結晶を作製するために、ハイドライド気相成長(HVPE)法や液相成長法、昇華法などの製造方法が試みられている。例えば、高圧下でIII族元素とアルカリ金属とを含む融液に基板を接触させることにより、III族窒化物結晶を成長させる方法や、III族金属元素の融液に、窒素原子を含有するアンモニアガスを注入して、III族元素の融液内でIII族窒化物微結晶を製造する方法が提案されている。しかし、これらのAlN単結晶の製造方法では、高圧や高温が必要となり、サイズ、品質およびコストに対して、実用化に耐えうる結晶を製造することは困難であった。
【0005】
この問題を解決するために、本発明者らは、低温、常圧下で、安価かつ良質なAlN単結晶を得る方法として、Alを含む合金の融液の表面に、窒素を含む気体を接触させることにより、融液の表面に結晶を成長させるAlN単結晶の液相成長法を開発し(特許文献1参照)、さらに、AlNるつぼを用いての液相成長法を見出した(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2019-194133号公報
特開2022-37713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のAlN単結晶の液相成長法は、融液の表面を被覆するように結晶成長が進むため、AlN結晶が形成された液面からは窒素の供給が遮断される。特許文献2では、融液の温度を高くして窒素を取り込む工程と、融液の温度を低くすると共に種結晶を融液に浸漬してAlN単結晶の成長を行う工程を繰り返すことで、窒素供給の遮断は回避することができるようになったが、結晶の成長速度に改善の余地があった。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、安価かつ高い成長速度でAlN単結晶を製造することができるAlN単結晶の製造方法およびAlN単結晶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るAlN単結晶の製造方法では、るつぼとして窒化ホウ素を用いる。すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
【0010】
(1)窒素含有ガス雰囲気下において、Alを含む合金の融液を、窒化ホウ素に接触させた状態で、前記融液中でAlN結晶が分解される温度範囲のうちの最低温度より高い温度に加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後、前記融液の一部または全部を、前記合金の液相線温度以上かつ前記最低温度よりも低い温度まで低下させることにより、前記融液中でAlN結晶を析出させる析出工程と、を含むAlN単結晶の製造方法。
(【0011】以降は省略されています)

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