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公開番号2025032481
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-12
出願番号2023137764
出願日2023-08-28
発明の名称温熱治療用磁性体及びその製造方法
出願人国立大学法人 東京医科歯科大学,国立大学法人東北大学
代理人個人,個人,個人
主分類C01B 21/06 20060101AFI20250305BHJP(無機化学)
要約【課題】 本発明は、優れた発熱特性を示す温熱治療用磁性体を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、窒化鉄を含む、温熱治療用磁性体であって、EDSマッピングにより測定される前記窒化鉄における窒素の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、35%~5%である、温熱治療用磁性体を提供する。また、本発明は、窒化鉄を含む、温熱治療用磁性体であって、前記窒化鉄についてのX線回折測定により、42°~44°において2θのピークが測定される、温熱治療用磁性体を提供する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
窒化鉄を含む、温熱治療用磁性体であって、EDSマッピングにより測定される前記窒化鉄における窒素の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、35%~5%である、温熱治療用磁性体。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記窒化鉄における窒素の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、27%~7%である、請求項1に記載の温熱治療用磁性体。
【請求項3】
前記窒化鉄における窒素の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、25%~9%である、請求項1に記載の温熱治療用磁性体。
【請求項4】
前記窒化鉄における窒素の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、24%~10%である、請求項1に記載の温熱治療用磁性体。
【請求項5】
前記窒化鉄における鉄の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、20%~80%である、請求項1に記載の温熱治療用磁性体。
【請求項6】
前記窒化鉄における鉄の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、30%~75%である、請求項1に記載の温熱治療用磁性体。
【請求項7】
前記窒化鉄における鉄の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、40%~70%である、請求項1に記載の温熱治療用磁性体。
【請求項8】
前記窒化鉄における鉄の原子数が、前記窒化鉄における全ての原子数に対して、50%~65%である、請求項1に記載の温熱治療用磁性体。
【請求項9】
窒化鉄を含む、温熱治療用磁性体であって、前記窒化鉄についてのX線回折測定により、42°~44°において2θのピークが測定される、温熱治療用磁性体。
【請求項10】
前記窒化鉄についてのX線回折測定により、42.5°~44.0°において2θのピークが測定される、請求項9に記載の温熱治療用磁性体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、温熱治療用磁性体及びその製造方法に関し、より具体的には、窒化鉄を含む、温熱治療用磁性体及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
がん細胞は熱に弱く43℃以上になると死滅するが、正常細胞は48℃程度まで生存できる。マグネタイトなどの磁性体は交流磁場の下におかれると発熱する。従って、患部に磁性体を送り込み、患部を交流磁場の下におけば、熱によってがん細胞を死滅させることができる(温熱療法)。欧州では、マグネタイトナノ粒子を分散させた磁性流体(非特許文献4)が温熱治療用磁性体として開発され、悪性脳腫瘍の治療に用いられている。
【0003】
温熱治療用磁性体として主に研究されてきたのはマグネタイトである。これまでに数十年に亘って研究開発が進められてきて、ようやく上述のように、欧州での実用化に至った。一方、磁性体の発熱効率をさらに向上させることができれば、温熱治療効果を更に高められる、患者への投与量を減らせるといった、臨床上の大きなメリットがある。すなわち、がん治療法の一種である温熱療法において、マグネタイト(Fe
3
O
4
)を温熱種として使用する磁気温熱療法がある。しかし、がんに対して十分な治療効果を示すほどFe
3
O
4
の発熱特性が高いとはいえない。そのため、Fe
3
O
4
と比較して優れた発熱特性を示す温熱種の探索は重要な課題である。これまでにFe
x
N
y
ナノ粒子を温熱療法に用いる試みがなされており、その有用性が示唆された(非特許文献1~2)。一方で、Fe
x
N
y
ナノ粒子の合成には、窒素源として有毒なアンモニアガスを必要とするという問題がある。
【0004】
欧州では、表面をアミノシランで修飾したマグネタイトナノ粒子を油中に分散させた磁性流体(商品名:NanoTherm(登録商標)liquid)が開発され、悪性脳腫瘍の治療に用いられている。また、膵臓がん、前立腺がん、乳がん、食道がんに対する臨床研究が進められている。また、本発明者らは、主にFe
16
N
2
からなる窒化鉄微粒子を報告している(非特許文献1~2)が、その発熱特性は明らかでない。
【0005】
温熱治療効果を上げるには磁性体の発熱特性をさらに向上させる必要があるが、マグネタイトについては、過去数十年に亘って研究開発がなされてきたため、その発熱特性は既に限界に達している可能性が高い。直径約25ミクロンの磁性微小球は、患部の近傍の毛細血管に導入され、毛細血管を塞いでがんへの栄養補給を経つと同時にそこからがんを加温して治療できる可能性がある(血管内温熱療法)。しかし、そのような磁性微小球は、本発明者らが2005年に報告したマグネタイト微小球(非特許文献5)以外には提案されていない。その他、窒化鉄に関連する特許文献として、特許文献1~2があり、Fe
3
O
4
微小球に関連する特許文献として、特許文献3~4がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2013-80922号公報
特開2013-69926号公報
特開2004-105722号公報
特願2005-505691号公報
【非特許文献】
【0007】
M. Shibata et al., Ceram. Int., 45 (2019) 23707-23714.
M. Shibata et al., J. Biomed. Mater. Res., 109 (2021) 1784-1791.
A. Miura et al., Inorg. Chem., 52 (2013) 11787-11791.
B. Thiesen et al., Hyperthermia, 24 (2008) 467-74.
M. Kawashita et al., Biomaterials, 26 (2005) 2231-8.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、優れた発熱特性を示す温熱治療用磁性体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
磁性体の発熱特性は磁気特性と関係しているため、本発明者らは、マグネタイトよりも優れた磁気特性を示す窒化鉄微粒子に着目し、強磁性かつ高い飽和磁化を示す窒化鉄に着目した。本発明者らは、アンモニアガスを必要としない簡便なε-Fe
2-3
Nの合成方法(上記の非特許文献3)をもとに材料を合成し、合成条件の相違が発熱特性に与える影響を調べることで、ε-Fe
2-3
Nナノ粒子の温熱種の応用可能性を探索した。
【0010】
本発明者らは鋭意検討したところ、比較対象としたマグネタイトに比べて優れた発熱特性を示す、主にFe
2-3
Nからなる窒化鉄微粒子を得た。具体的には、ヘマタイトとナトリウムアミドを高圧用反応分解容器に封入し、これを恒温器内において250℃で12時間加熱した場合などに、優れた発熱特性を示す窒化鉄微粒子が得られた。
(【0011】以降は省略されています)

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