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公開番号2025031060
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023137028
出願日2023-08-25
発明の名称シリカ粉末
出願人デンカ株式会社
代理人個人
主分類C01B 33/18 20060101AFI20250228BHJP(無機化学)
要約【課題】樹脂に配合したときの低誘電正接および充填性に優れたシリカ粉末を提供する。
【解決手段】本発明のシリカ粉末は、共振法により測定される樹脂シートサンプルの40GHz時の誘電正接が2.0×10-3以下であり、窒素ガス吸着によるBET1点法により測定される比表面積が0.2m2/g以上5.0m2/g以下、湿式でのレーザー回折散乱法で測定される粒子径頻度分布における最大ピークの頻度が5.5%以上、粒子径頻度分布における20.7μm以上の粒子径の粒子の頻度が6.0%以下、および粒子径頻度分布における最頻径の値をDm(μm)、前記比表面積の値をS(m2/g)としたとき、Dm/Sが1.50以上を満たすものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記の手順に従って測定される樹脂シートサンプルの40GHz時の誘電正接が2.0×10
-3
以下であるシリカ粉末であって、
湿式でのレーザー回折散乱法で測定される粒子径頻度分布における最大ピークの頻度が5.5%以上、
前記粒子径頻度分布における20.7μm以上の粒子径の粒子の頻度が6.0%以下、
窒素ガス吸着によるBET1点法により測定される比表面積が0.2m

/g以上5.0m

/g以下、および
前記粒子径頻度分布における最頻径の値をDm(μm)、前記比表面積の値をS(m

/g)としたとき、Dm/Sが1.50以上である、
シリカ粉末。
(手順)
当該シリカ粉末を充填量が40体積%となるようにポリエチレン粉末と混合し、得られた混合粉末を用いて前記樹脂シートサンプルを成形する。得られた前記樹脂シートサンプルを用いて、共振法により、40GHz時の誘電正接を測定する。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
請求項1に記載のシリカ粉末であって、
前記最頻径が1.0μm以上15.0μm以下である、シリカ粉末。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシリカ粉末であって、
前記粒子径頻度分布における2.01μm以下の粒子径の粒子の頻度が2.0%以下である、シリカ粉末。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のシリカ粉末であって、
湿式でのレーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布における小粒子側からの累積体積が90%となる点の粒子径をD
90
としたとき、D
90
が3.0μm以上25.0μm以下である、シリカ粉末。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のシリカ粉末であって、
湿式でのレーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布における小粒子側からの累積体積が10%、50%、100%となるそれぞれの点の粒子径をD
10
、D
50
、D
100
としたとき、(D
100
-D
10
)/D
50
が5.0以下である、シリカ粉末。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のシリカ粉末であって、
カールフィッシャー法により測定される、200℃になるまでに発生した水分量が700ppm以下である、シリカ粉末。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のシリカ粉末であって、
平均球形度が0.85以上である、シリカ粉末。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のシリカ粉末であって、
非晶質率が95.0%以上である、シリカ粉末。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のシリカ粉末であって、
ウラン元素およびトリウム元素の含有率が20ppb以下である、シリカ粉末。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ粉末に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、通信分野における情報通信量の増加に伴い、電子機器や通信機器等において高周波数帯の活用が広がっている。高周波は、広帯域性、直進性、透過性等の特徴があり、特に、周波数が10

以上であるGHz帯の使用が盛んに行われている。
【0003】
高周波帯の適用に伴い、回路信号の伝送損失が大きくなる問題が生じている。伝送損失は、大別して、配線の表皮効果による導体損失と、基板等の電気電子部品を構成する絶縁体の誘電体材質の特性による誘電体損失からなる。誘電体損失は、周波数の1乗、絶縁体の誘電率の1/2乗および誘電正接の1乗に比例するため、高周波帯用のデバイスに用いられる材料に関して、誘電率および誘電正接が共に低いことが求められている。
【0004】
シリカ(SiO

)は、誘電率が小さく(3.7)、品質係数指標Qf(誘電正接の逆数と測定周波数を掛けた値)が約12万であり、低誘電率かつ誘電正接を有するフィラーの材料として有望である。
しかしながら、シリカの粒子の表面には、吸着水やシラノール基といった極性官能基等が多く存在し、特に、誘電正接が焼結された基板としての特性よりも悪化するという問題点がある。
【0005】
これに対して、非特許文献1では、フィラー粒子の表面の吸着水や極性官能基の低減方法として、シランカップリング剤により表面処理する方法が検討されているが、1~10MHzでは誘電正接はほとんど低減しておらず、効果は不十分であり、GHz帯の効果は明記されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation Vol. 17、No. 6(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記非特許文献1に記載のシリカ粉末において、樹脂に配合したときの低誘電正接および充填性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者はさらに検討したところ、所定の「比表面積」を有するシリカ粉末の中から、粒子径頻度分布における「最大ピークの頻度」、「20.7μm以上の粒子径の粒子の頻度」、および「最頻径/比表面積」の粒度特性を適切に調整することにより、シリカ粉末において、樹脂に配合したときの誘電正接を低くしつつ、樹脂への充填性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の一態様によれば、以下のシリカ粉末が提供される。
1. 下記の手順に従って測定される樹脂シートサンプルの40GHz時の誘電正接が2.0×10
-3
以下であるシリカ粉末であって、
窒素ガス吸着によるBET1点法により測定される比表面積が0.2m

/g以上5.0m

/g以下、
湿式でのレーザー回折散乱法で測定される粒子径頻度分布における最大ピークの頻度が5.5%以上、
前記粒子径頻度分布における20.7μm以上の粒子径の粒子の頻度が6.0%以下、
および
前記粒子径頻度分布における最頻径の値をDm(μm)、前記比表面積の値をS(m

/g)としたとき、Dm/Sが1.50以上である、
シリカ粉末。
(手順)
当該シリカ粉末を充填量が40体積%となるようにポリエチレン粉末と混合し、得られた混合粉末を用いて前記樹脂シートサンプルを成形する。得られた前記樹脂シートサンプルを用いて、共振法により、40GHz時の誘電正接を測定する。
2. 1.に記載のシリカ粉末であって、
前記最頻径が1.0μm以上15.0μm以下である、シリカ粉末。
3. 1.又は2.に記載のシリカ粉末であって、
前記粒子径頻度分布における2.01μm以下の粒子径の粒子の頻度が2.0%以下である、シリカ粉末。
4. 1.~3.のいずれか一つに記載のシリカ粉末であって、
湿式でのレーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布における小粒子側からの累積体積が90%となる点の粒子径をD
90
としたとき、D
90
が3.0μm以上25.0μm以下である、シリカ粉末。
5. 1.~4.のいずれか一つに記載のシリカ粉末であって、
湿式でのレーザー回折散乱法で測定される体積頻度粒度分布における小粒子側からの累積体積が10%、50%、100%となるそれぞれの点の粒子径をD
10
、D
50
、D
100
としたとき、(D
100
-D
10
)/D
50
が5.0以下である、シリカ粉末。
6. 1.~5.のいずれか一つに記載のシリカ粉末であって、
1.又は2.に記載のシリカ粉末であって、
カールフィッシャー法により想定される測定される、200℃になるまでに発生した水分量が700ppm以下である、シリカ粉末。
7. 1.~6.のいずれか一つに記載のシリカ粉末であって、
平均球形度が0.85以上である、シリカ粉末。
8. 1.~7.のいずれか一つに記載のシリカ粉末であって、
非晶質率が95.0%以上である、シリカ粉末。
9. 1.~8.のいずれか一つに記載のシリカ粉末であって、
ウラン元素およびトリウム元素の含有率が20ppb以下である、シリカ粉末。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、樹脂に配合したときの低誘電正接および充填性に優れたシリカ粉末が提供される。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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