公開番号2025062667 公報種別公開特許公報(A) 公開日2025-04-15 出願番号2023171838 出願日2023-10-03 発明の名称時間領域モード多重伝送方法および時間領域モード多重伝送装置 出願人国立大学法人東北大学 代理人個人 主分類H04B 10/508 20130101AFI20250408BHJP(電気通信技術) 要約【課題】時間領域でモード多重が可能な時間領域モード多重伝送方法および時間領域モード多重伝送装置を提供する。 【解決手段】時間領域モード多重伝送装置において、パルス光源1は、振幅がエルミートガウス関数で与えられる0~N-1次のN個のコヒーレントエルミートガウスパルスを生成し、これを信号光として用いて多重化し、モード多重を時間領域で実現して伝送する。また、90度光ハイブリッド回路6、平衡光検出器7、デジタル信号処理回路8は、多重信号光に対して、コヒーレントエルミートガウスパルスを局発光として用いて、検波、分離、復調を行う。 【選択図】図3 特許請求の範囲【請求項1】 振幅がエルミートガウス関数で与えられるコヒーレントエルミートガウスパルスを信号光および局発光として用いることを特徴とする時間領域モード多重伝送方法。 続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】 前記コヒーレントエルミートガウスパルスとして、1シンボル分の時間スロットで0~N-1次のN個のコヒーレントエルミートガウスパルスを生成し、同時に伝送することを特徴とする請求項1記載の時間領域モード多重伝送方法。 【請求項3】 前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスを時間領域で互いに同期させることを特徴とする請求項2記載の時間領域モード多重伝送方法。 【請求項4】 前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスのうちのm次のコヒーレントエルミートガウスパルスを前記局発光として用いて、前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスが多重された信号光をホモダインコヒーレント検波し、検波後の検出信号を1シンボル分の時間スロットにわたって積分することにより、前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスから前記m次のコヒーレントエルミートガウスパルスを多重分離することを特徴とする請求項2記載の時間領域モード多重伝送方法。 【請求項5】 前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスを同じ平均パワーで多重して伝送することを特徴とする請求項2記載の時間領域モード多重伝送方法。 【請求項6】 前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスを同じピークパワーで多重して伝送することを特徴とする請求項2記載の時間領域モード多重伝送方法。 【請求項7】 振幅がエルミートガウス関数で与えられるコヒーレントエルミートガウスパルスを生成するコヒーレントエルミートガウスパルス発生手段と、 前記コヒーレントエルミートガウスパルスを信号光とする信号光生成手段と、 前記コヒーレントエルミートガウスパルスを局発光とする局発光生成手段と、 前記信号光と前記局発光とを用いて、検波、分離し、復調する検波分離復調手段とを、 有することを特徴とする時間領域モード多重伝送装置。 【請求項8】 前記コヒーレントエルミートガウスパルス発生手段は、1シンボル分の時間スロットで0~N-1次のN個のコヒーレントエルミートガウスパルスを生成し、同時に伝送するよう構成されていることを特徴とする請求項7記載の時間領域モード多重伝送装置。 【請求項9】 前記コヒーレントエルミートガウスパルス発生手段は、前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスを時間領域で互いに同期させるよう構成されていることを特徴とする請求項8記載の時間領域モード多重伝送装置。 【請求項10】 前記信号光生成手段は、前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスを多重した信号を前記信号光とし、 前記局発光生成手段は、前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスのうちのm次のコヒーレントエルミートガウスパルスを前記局発光とし、 前記検波分離復調手段は、前記信号光と前記局発光とをホモダインコヒーレント検波し、検波後の検出信号を1シンボル分の時間スロットにわたって積分することにより、前記N個のコヒーレントエルミートガウスパルスから前記m次のコヒーレントエルミートガウスパルスを多重分離するよう構成されていることを 特徴とする請求項8記載の時間領域モード多重伝送装置。 (【請求項11】以降は省略されています) 発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、振幅がエルミートガウス関数で与えられるエルミートガウスパルスを用いた時間領域モード多重伝送方法および時間領域モード多重伝送装置に関するものである。 続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】 【0002】 光通信インフラは、過去40年の間に多くの技術革新によって10,000倍以上の飛躍的な大容量化を成し遂げてきた。これらの大容量化は、主に時分割多重(TDM: Time Division Multiplexing)および波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)によって実現されてきた。その一方で、インターネットトラフィックは、年率40%以上で指数関数的に増大を続けており、基幹光伝送網にはさらなる大容量化が必要とされている。そこで、最近では、3Mと呼ばれる3つの新たな大容量化技術(Multi技術)として、多値(Multi-level)伝送、マルチコア(Multi-core)ファイバを用いた空間分割多重(SDM: Space Division Multiplexing)伝送、およびマルチモード(Multi-mode)ファイバを用いたモード多重(MDM: Mode Division Multiplexing)伝送の研究開発が精力的に進められている(例えば、非特許文献1参照)。 【0003】 モード多重伝送は、光ファイバの基本伝搬モードであるLP 01 モードに加え、LP 11 、LP 21 、LP 02 といった高次モードにも情報を乗せて、同時に伝送する方式である。モード多重は、ファイバを標準外径125μmに保ったまま、Nモード伝送により伝送容量をN倍にできることから、高密度な空間多重技術として有用である。しかしながら、モード間の結合によるクロストークが不可避であることから、伝送後にMIMO(Multi-Input Multi-Output)と呼ばれる信号処理によってモード分離を行う必要があり、その実現が課題となっている(例えば、非特許文献2参照)。 【0004】 このように、光通信で通常モードと呼ばれているのは、ファイバ中を伝搬する空間モードであり、時間領域で動作する光パルスにモードという概念を導入し、モード多重を時間領域で実現する伝送技術は、これまで存在しなかった。 【0005】 従来の光通信で用いられている光パルスは、RZ(Return-to-Zero)パルス、即ち、ガウスパルスまたはSechパルスを用いた波形が一般的であった。これらのパルスは、時間軸上でインタリーブすることにより、TDMによる高速化が可能である。最近、RZパルスに代わる新たなTDM用光パルスとして、発明者により、コヒーレント光ナイキストパルスが考案されている(例えば、特許文献1参照)。ナイキストパルスは、Sinc関数的な形状を有し、周期的に強度がゼロとなることが特徴である。その周期に合わせてパルスをインタリーブすると、信号判定点では、隣のパルスは常に強度がゼロであるため、隣のパルスと重なり合った状態でも干渉を受けることなく信号の判定が可能である。その結果、ナイキストパルスは、従来のRZパルスより高密度・高効率なTDMが可能であり、単一波長で従来のRZパルスでは困難であった15 Tbit/sの超高速伝送が実現されている(例えば、非特許文献3参照)。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0006】 M. Nakazawa, M. Suzuki, Y. Awaji, and T. Morioka, “Space-Division Multiplexing in Optical Communication Systems: Extremely Advanced Optical Transmission with 3M Technologies”, Springer, 2022 R. Ryf, S. Randel, A. H. Gnauck, C. Bolle, A. Sierra, S. Mumtaz, M. Esmaeelpour, E. C. Burrows, R.-J. Essiambre, P. J. Winzer, D. W. Peckham, A. H. McCurdy, and R. Lingle Jr, “Mode-Division Multiplexing Over 96 km of Few-Mode Fiber Using Coherent 6x6 MIMO Processing”, J. Lightwave Technol., February 2012, vol. 30, no. 4, p. 521-531 M. Yoshida, K. Kimura, T. Iwaya, K. Kasai, T. Hirooka, and M. Nakazawa, “Single-channel 15.3 Tbit/s, 64 QAM coherent Nyquist pulse transmission over 150 km with a spectral efficiency of 8.3 bit/s/Hz”, Opt. Express, September 2019, vol. 27, no. 20, p. 28952-28967 【特許文献】 【0007】 特許第5634296号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 TDMに用いる光パルスは、1シンボルの時間スロットでパルスを1個ずつしか伝送できないため、TDMによる超高速化にはシンボルレートの高速化、即ち、時間スロット幅の狭窄化、およびそれに伴う超短パルス化が必要である。しかしながら、超短パルスは、一般にスペクトル幅が広いため、限られた周波数帯域幅の中でWDMにより多重可能な波長数が少なくなってしまう。即ち、TDMによる高速化とWDMによる多チャネル化とはトレードオフの関係にあり、TDMおよびWDMだけでは伝送容量の拡大に限界があるという課題があった。 【0009】 最近のデジタルコヒーレント伝送では、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)と呼ばれる多値伝送技術により、単位周波数あたり伝送可能な容量(周波数利用効率)の拡大を図っている。しかしながら、周波数利用効率にはシャノン限界と呼ばれる理論限界が存在し、QAM多値度の増大だけではその限界打破は困難である。そこで、上述したように、マルチコアファイバならびに空間モードを用いたSDM伝送技術が精力的に研究されているが、単一コア・単一空間モードで伝送可能な容量を、TDM、WDM、多値変調以外の方法で拡大することは困難であるという課題があった。 【0010】 本発明は、このような課題を解決するためのものであり、時間領域でモード多重が可能な時間領域モード多重伝送方法および時間領域モード多重伝送装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 (【0011】以降は省略されています)
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