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公開番号2025107092
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-17
出願番号2024000861
出願日2024-01-05
発明の名称健康寿命を予測するための予測方法、及びバイオマーカー
出願人個人,国立大学法人東北大学
代理人個人,個人
主分類C12Q 1/6827 20180101AFI20250710BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】健康寿命を予測することができる、予測方法、及び、バイオマーカーの提供。
【解決手段】健康寿命を予測するための予測方法であって、百寿者に対するゲノムワイド関連解析によるP値0.01未満で百寿者に関連する53,760個の一塩基多型(SNV)に基づき、下記式により、対象の多遺伝子スコアを算出する工程と、算出した前記対象の多遺伝子スコアに基づき健康寿命を評価する工程と、を含み、多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数nが、100個以上である予測方法である。
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前記式中、iは1~nの正数であり、nは多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数であり、SNViはi番目のSNVにおける遺伝子型を示し、βiはi番目のSNVの前記ゲノムワイド関連解析によるβ値である。
【選択図】図21
特許請求の範囲【請求項1】
健康寿命を予測するための予測方法であって、
百寿者に対するゲノムワイド関連解析によるP値0.01未満で百寿者に関連する53,760個の一塩基多型(SNV)に基づき、下記式(1)により、対象の多遺伝子スコアを算出する工程と、
TIFF
2025107092000456.tif
32
169
前記式(1)中、iは1~nの正数であり、nは多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数であり、SNV
i
はi番目のSNVにおける遺伝子型を示し、β
i
はi番目の前記ゲノムワイド関連解析によるSNVのβ値である。
算出した前記対象の多遺伝子スコアに基づき健康寿命を評価する工程と、を含み、
前記53,760個のSNVが、本明細書の表4~表451に示すSNVであり、
多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数nが、100個以上であることを特徴とする予測方法。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数nが、1,000個以上である請求項1に記載の予測方法。
【請求項3】
前記多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数nが、10,000個以上である請求項1に記載の予測方法。
【請求項4】
前記多遺伝子スコア算出に用いるSNVが、rs429358で表されるAPOE4、rs7412で表されるAPOE2、rs73116078で表されるGRM7、およびrs75571981で表されるEYSの少なくともいずれかを含む請求項1に記載の予測方法。
【請求項5】
前記対象が、アジア系の人である請求項1に記載の予測方法。
【請求項6】
前記対象が、日本人である請求項1に記載の予測方法。
【請求項7】
前記対象について、表現型データ、バイオマーカー、多層オミクス、生体試料の少なくともいずれかの解析結果を評価する工程を更に含む請求項1に記載の予測方法。
【請求項8】
前記対象について、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の多遺伝子リスクスコア(PRS)、およびフィブリノゲン(Fbg)の多遺伝子リスクスコア(PRS)の少なくともいずれかの解析結果を評価する工程を更に含む請求項7に記載の予測方法。
【請求項9】
健康寿命を予測するためのバイオマーカーであって、
百寿者のゲノムワイド関連解析によるβ値が0.21以上であり、百寿者と正の相関を示す一塩基多型(SNV)であることを特徴とするバイオマーカー。
【請求項10】
健康寿命を予測するためのバイオマーカーであって、
百寿者のゲノムワイド関連解析によるβ値が-0.20以下であり、百寿者と負の相関を示す一塩基多型(SNV)であることを特徴とするバイオマーカー。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、健康寿命を予測するための予測方法、及びバイオマーカーに関する。
続きを表示(約 5,100 文字)【背景技術】
【0002】
ヒトの長寿と健康な老化は、病気がないことだけでなく、遺伝的要因、ライフスタイル、社会環境など複数の要因によって形成される複雑な表現型である。百寿者(センテナリアン、100歳以上の長寿者)やスーパー百寿者(スーパーセンテナリアン、110歳以上の高齢者)は、一般的に加齢に関連した疾患の発症を免れたり遅らせたりしており、極端な高齢になっても身体的および認知的自立を維持し、心臓、腎臓、肝臓などの臓器機能を保ち、遺伝的要素を有していることから、健康長寿を研究するための優れたモデルである。その遺伝的要素を解明することは、ヒトの老化メカニズムを理解する上で重要である。また、スーパー百寿者の遺伝子表現型の根底にある生物学的メカニズムを理解することで、この特徴を一般集団に拡大することができるかもしれない。
【0003】
ゲノムワイド関連研究(genome-wide association study:GWAS)は、ヒトの複雑な形質に関連する重要な遺伝子や分子シグネチャーを同定するための強力なツールであり、老化についても同様である。多くのGWAS、メタGWAS、多変量GWASが、集団の90%または99%生存する長寿、健康寿命、親の寿命、これらの老化因子の多変量解析など、複数の加齢関連形質について報告されている。これらのうち、健康寿命、両親の寿命などを対象にした多変量GWASによりいくつかの遺伝子座が同定されている。しかし、長寿GWASについては、共通してGWAS有意水準を超えるのはAPOE遺伝子座のみであり、これらの加齢関連形質は遺伝的構造を共有しているが同一ではないことを示唆している(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Deelen, J. et al. A meta-analysis of genome-wide association studies identifies multiple longevity genes. Nat Commun 10, 3669 (2019).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、健康寿命を予測することができる、予測方法、及びバイオマーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 健康寿命を予測するための予測方法であって、
百寿者に対するゲノムワイド関連解析によるP値0.01未満で百寿者に関連する53,760個の一塩基多型(SNV)に基づき、下記式(1)により、対象の多遺伝子スコアを算出する工程と、
TIFF
2025107092000002.tif
32
169
前記式(1)中、iは1~nの正数であり、nは多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数であり、SNV
i
はi番目のSNVにおける遺伝子型を示し、β
i
はi番目のSNVの前記ゲノムワイド関連解析によるβ値である。
算出した前記対象の多遺伝子スコアに基づき健康寿命を評価する工程と、を含み、
前記53,760個のSNVが、本明細書の表4~表451に示すSNVであり、
多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数nが、100個以上であることを特徴とする予測方法である。
<2> 前記多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数nが、1,000個以上である前記<1>に記載の予測方法である。
<3> 前記多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数nが、10,000個以上である前記<1>に記載の予測方法である。
<4> 前記多遺伝子スコア算出に用いるSNVが、rs429358で表されるAPOE4、rs7412で表されるAPOE2、rs73116078で表されるGRM7、およびrs75571981で表されるEYSの少なくともいずれかを含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の予測方法である。
<5> 前記対象が、アジア系の人である前記<1>から<4>のいずれかに記載の予測方法である。
<6> 前記対象が、日本人である前記<1>から<5>のいずれかに記載の予測方法である。
<7> 前記対象について、表現型データ、バイオマーカー、多層オミクス、生体試料の少なくともいずれかの解析結果を評価する工程を更に含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の予測方法である。
<8> 前記対象について、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の多遺伝子リスクスコア(PRS)、およびフィブリノゲン(Fbg)の多遺伝子リスクスコア(PRS)の少なくともいずれかの解析結果を評価する工程を更に含む前記<7>に記載の予測方法である。
<9> 健康寿命を予測するためのバイオマーカーであって、
百寿者に対するゲノムワイド関連解析によるβ値が0.21以上であり、百寿者と正の相関を示す一塩基多型(SNV)であることを特徴とするバイオマーカーである。
<10> 健康寿命を予測するためのバイオマーカーであって、
百寿者に対するゲノムワイド関連解析によるβ値が-0.20以下であり、百寿者と負の相関を示す一塩基多型(SNV)であることを特徴とするバイオマーカーである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、健康寿命を予測することができる、予測方法、及びバイオマーカーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、日本人百寿者964人と日本人対照者7,306人のメタGWASの結果を示す図である。
図2は、図1に示す百寿者GWASにおけるAPOE遺伝子の拡大図である。
図3は、図1に示す百寿者GWASにおけるGRM遺伝子の拡大図である。
図4は、図1に示す百寿者GWASにおけるEYS遺伝子の拡大図である。
図5は、APOE4のマイナーアレル頻度(MAF)を示す図である。
図6は、APOE2のマイナーアレル頻度(MAF)を示す図である。
図7は、EYSのrs75571981のマイナーアレル頻度(MAF)を示す図である。
図8は、GRM7のrs73116078のマイナーアレル頻度(MAF)を示す図である。
図9は、長寿関連GWASの要約統計量を用いて算出したSNPベースの遺伝率(SNPh2)を示す図である。
図10は、長寿関連GWASの要約統計量を用いて計算したλ
GC
を示す図である。
図11は、LDスコア回帰を用いた長寿関連GWAS、日本人疾患GWAS、日本人量的GWAS間の遺伝的相関解析を示す図である。
図12は、多遺伝子リスクスコア(PRS)の性調整Zスコアである最小二乗平均(lsmeans)の分布を、PRSの日本人対照者(Cont(PRS))、健常高齢者(HA)、百寿者(Cent)のGWAS要約統計量を用いて計算した結果を示す図である。
図13は、健常高齢者(HA)と百寿者(Cent)におけるPRSの平均値をプロットした図である。
図14は、62個のPRSと4個のSNVの遺伝子型を用いた、PRSとCont(PRS)の間の多重ロジスティック回帰分析を示す図である。
図15は、12個のPRSと3個のSNVの遺伝子型を用いたROC曲線解析の結果を示す図である。
図16は、3個のSNVの遺伝子型のみ、12個のPRSのみ、3個のSNVの遺伝子型と12個のPRSの遺伝子型の両方で計算したAUCを示す図である。
図17は、Cent.PGSの分布を示す図である。
図18は、Cent.PGS、62個のPRSおよび4個のSNVの遺伝子型を用いたHAとCont(PRS)の間の多重ロジスティック回帰分析を示す図である。
図19は、健常高齢者(HA)男性における寿命のKaplan-Meier生存解析を示す図である。
図20は、健常高齢者(HA)女性における寿命のKaplan-Meier生存解析を示す図である。
図21は、健常高齢者(HA)男性における健康寿命のKaplan-Meier生存解析を示す図である。
図22は、健常高齢者(HA)女性における健康寿命のKaplan-Meier生存解析を示す図である。
図23は、寿命について、Cent.PGS、4つのSNVの遺伝子型、性、教育歴を含む遺伝因子を用いた正則化多重Cox回帰を用いた生存解析を示す図である。
図23~24は、健康寿命について、Cent.PGS、4つのSNVの遺伝子型、性、教育歴を含む遺伝因子を用いた正則化多重Cox回帰を用いた生存解析を示す図である。
図25は、寿命-健康寿命ギャップについてのKaplan-Meier生存解析を示す図である。
図26は、寿命-健康寿命ギャップについての正則化多重Cox回帰分析を用いた生存解析を示す図である。
図27は、遺伝因子と標準化観察可能得点との間の関連解析を示す図である。
図28は、日本人百寿者の寿命に関するKaplan-Meier生存解析を示す図である。
図29は、日本人百寿者の寿命に関するKaplan-Meier生存解析を示す図である。
図30は、日本人百寿者の寿命について、Cent.PGS、4つのSNVの遺伝子型、性別を含む遺伝因子を用いた正則化多重Cox回帰を用いた生存解析を示す図である。
図31は、日本の百寿者の死亡年と死亡時の年齢の分布を示す図である。
図32は、日本人GWAS要約統計量を用いて計算したPRS lsmeans分布を示す図である。
図33は、nCentおよびHHAにおけるPRSの平均値を示す図である。
図34は、62個のPRSと4個のSNVの遺伝子型を用いた、PRSとCont(PRS)の間の多重ロジスティック回帰分析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(予測方法)
本実施形態の予測方法は、健康寿命を予測するための予測方法であって、百寿者に対するゲノムワイド関連解析によるP値0.01未満で百寿者に関連する53,760個の一塩基多型(SNV)に基づき、下記式(1)により、対象の多遺伝子スコアを算出する工程と、算出した前記対象の多遺伝子スコアに基づき健康寿命を評価する工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
TIFF
2025107092000003.tif
32
169
前記式(1)中、iは1~nの正数であり、nは多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数であり、SNV
i
はi番目のSNVにおける遺伝子型を示し、β
i
はi番目のSNVの前記ゲノムワイド関連解析によるβ値である。
前記53,760個のSNVが、本明細書の表4~表451に示すSNVであり、多遺伝子スコア算出に用いるSNVの個数nが、100個以上である。
【0010】
(バイオマーカー)
本実施形態のバイオマーカーは、健康寿命を予測するためのバイオマーカーであって、
(1)百寿者に対するゲノムワイド関連解析によるβ値が0.21以上であり、百寿者と正の相関を示す一塩基多型(SNV)である;または
(2)百寿者に対するゲノムワイド関連解析によるβ値が-0.20以下であり、百寿者と負の相関を示す一塩基多型(SNV)である。
前記バイオマーカーは、1種単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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