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公開番号2025031298
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023137434
出願日2023-08-25
発明の名称ハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法、時空間解析システム、および時空間解析プログラム
出願人国立大学法人東北大学,株式会社ElevationSpace
代理人個人
主分類F02K 9/72 20060101AFI20250228BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】時空間解像された燃料後退速度を容易に得ることができるハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法、時空間解析システム、および時空間解析プログラムを提供する。
【解決手段】ハイブリッドロケットエンジンの燃焼試験での試験データを取得し、その各試験データに基づいて、燃焼試験中の固体燃料の任意の燃焼時間tにおける燃料消費量Mf(t)を求める。燃焼試験の開始前の固体燃料の形状R(x,0)と、燃焼試験の終了後の固体燃料の形状R(x,tf)とを計測し、そのR(x,0)およびR(x,tf)と、求められたMf(t)とに基づいて、燃焼試験中の固体燃料の形状R(x,t)を求める。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
ハイブリッドロケットエンジンの燃焼試験での試験データを取得する時間解像データ取得ステップと、
前記ハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の任意の空間位置をx、前記燃焼試験の任意の燃焼時間をt、前記燃焼試験の終了時間をt

、前記燃焼試験中の前記固体燃料の形状をR(x,t)としたとき、前記燃焼試験の開始前の前記固体燃料の形状R(x,0)と、前記燃焼試験の終了後の前記固体燃料の形状R(x,t

)とを取得する空間解像データ取得ステップと、
前記時間解像データ取得ステップで取得された前記試験データに基づいて、前記燃焼試験中の前記固体燃料の前記任意の燃焼時間tにおける燃料消費量M

(t)を求める燃料消費量計算ステップと、
前記空間解像データ取得ステップで取得されたR(x,0)およびR(x,t

)と、前記燃料消費量計算ステップで求められたM

(t)とに基づいて、R(x,t)を求める時空間形状計算ステップとを
有することを特徴とするハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法。
続きを表示(約 2,500 文字)【請求項2】
前記時空間形状計算ステップは、(1)式により、R(x,t)を求めることを
TIFF
2025031298000007.tif
39
166
特徴とする請求項1記載のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法。
【請求項3】
前記試験データは、前記燃焼試験での燃焼室圧力P

の時間変化と、ノズルスロート断面積A

と、酸化剤質量流量dm

/dtの時間変化と、燃料消費量データM
f,ex
とを含み、
前記燃料消費量計算ステップは、化学平衡計算を利用して、酸化剤と燃料との質量流量比O/Fと、特性排気速度効率η
c*
とを求めることにより、M

(t)を求めるよう構成されていることを
特徴とする請求項1または2記載のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法。
【請求項4】
時空間解像データ取得ステップを有し、
前記時間解像データ取得ステップは、1回の燃焼試験での前記試験データを取得し、
前記時空間解像データ取得ステップは、前記時空間形状計算ステップにより求められた前記固体燃料の形状R(x,t)および前記試験データに基づいて、燃料後退速度と推進剤質量流束G

とを求めると共に、求められた前記推進剤質量流束G

および前記固体燃料の任意の空間位置xの2つのパラメータの無数の組み合わせに対し、前記燃料後退速度を推定可能に構成されていることを
特徴とする請求項3記載のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法。
【請求項5】
前記時空間解像データ取得ステップは、得られた前記燃料後退速度を、時間領域および/もしくは空間領域に外挿することにより、前記固体燃料の燃焼が継続したときの燃料後退速度を求める、または、前記燃料消費量データM
f,ex
と前記燃焼試験の終了時間の燃料消費量M

(t

)との比率に基づいて、前記固体燃料の形状R(x,t)を時間領域および/もしくは空間領域に外挿することにより、前記固体燃料の燃焼が継続したときの前記固体燃料の形状を求めるよう構成されていることを
特徴とする請求項4記載のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法。
【請求項6】
前記固体燃料は、所定の軸に沿って伸びた形状を成し、
前記固体燃料の任意の空間位置xは、前記軸に沿った位置を表していることを
特徴とする請求項1記載のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法。
【請求項7】
ハイブリッドロケットエンジンの燃焼試験での試験データを取得する時間解像データ取得手段と、
前記ハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の任意の空間位置をx、前記燃焼試験の任意の燃焼時間をt、前記燃焼試験の終了時間をt

、前記燃焼試験中の前記固体燃料の形状をR(x,t)としたとき、前記燃焼試験の開始前の前記固体燃料の形状R(x,0)と、前記燃焼試験の終了後の前記固体燃料の形状R(x,t

)とを取得する空間解像データ取得手段と、
前記時間解像データ取得手段で取得された前記試験データに基づいて、前記燃焼試験中の前記固体燃料の前記任意の燃焼時間tにおける燃料消費量M

(t)を求める燃料消費量計算手段と、
前記空間解像データ取得手段で取得されたR(x,0)およびR(x,t

)と、前記燃料消費量計算手段で求められたM

(t)とに基づいて、R(x,t)を求める時空間形状計算手段とを
有することを特徴とするハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析システム。
【請求項8】
前記時空間形状計算手段は、(1)式により、R(x,t)を求めることを
TIFF
2025031298000008.tif
39
166
特徴とする請求項7記載のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析システム。
【請求項9】
前記試験データは、前記燃焼試験での燃焼室圧力P

の時間変化と、ノズルスロート断面積A

と、酸化剤質量流量dm

/dtの時間変化と、燃料消費量データM
f,ex
とを含み、
前記燃料消費量計算手段は、化学平衡計算を利用して、酸化剤と燃料との質量流量比O/Fと、特性排気速度効率η
c*
とを求めることにより、M

(t)を求めるよう構成されていることを
特徴とする請求項7または8記載のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析システム。
【請求項10】
時空間解像データ取得手段を有し、
前記時間解像データ取得手段は、1回の燃焼試験での前記試験データを取得し、
前記時空間解像データ取得手段は、前記時空間形状計算手段により求められた前記固体燃料の形状R(x,t)および前記試験データに基づいて、燃料後退速度と推進剤質量流束G

とを求めると共に、求められた前記推進剤質量流束G

および前記固体燃料の任意の空間位置xの2つのパラメータの無数の組み合わせに対し、前記燃料後退速度を推定可能に構成されていることを
特徴とする請求項9記載のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の時空間解析方法、時空間解析システム、および時空間解析プログラムに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
ロケットエンジンには、主に固体推進剤ロケットエンジン、液体推進剤ロケットエンジン、ハイブリッドロケットエンジンがある。固体推進剤ロケットエンジンは、構造が比較的単純で、小型化しやすく、燃料の保存も容易であるが、燃焼の制御が難しい。液体燃料ロケットエンジンは、固体推進剤ロケットに比べて燃焼の制御は容易であるが、燃料の保存が難しく、爆発時の危険性が高く、打ち上げプロセスも複雑である。ハイブリッドロケットエンジンは、これら両者の利点を併せ持っており、特に、燃料を固相に貯蔵しつつ、酸化剤を個々に貯蔵できるため、安全性が高いという特徴を有している。
【0003】
これらのうちハイブリッドロケットエンジンは、固体燃料を使用することにより、推力や推進力を取得するものであるが、ハイブリッドロケットエンジンの性能を正しく評価するためには、固体燃料の後退/ガス化速度(燃料後退速度)を把握することが重要である。
【0004】
従来、ハイブリッドロケットエンジンの燃料後退速度を求めるために、境界層燃焼理論が提案されており、円筒状の固体燃料の内径をr[m]、推進剤質量流束をG

[kg/m
2
-s]とすると、下記の(a)式に示すように、左辺の燃料後退速度dr/dtは、右辺のG

の指数乗(理論的には0.8乗)および、固体燃料の一方の端面からの距離x[m]の指数乗(理論的には-0.2乗)に比例するものとされている(例えば、非特許文献1参照)。なお、燃料の種類および燃焼状態によって比例定数の値が異なる。
【0005】
TIFF
2025031298000002.tif
14
162
【0006】
ここで、境界層燃焼理論により示されるように、実際のハイブリッドロケットエンジンの固体燃料の燃焼では、燃料後退速度は空間で一様ではない。さらに、推進剤質量流束が固体燃料の内径断面積で決定されるため、燃焼中の燃料後退速度は時空間で一様ではない。
【0007】
このように、燃料後退速度が時空間で非一様であるにもかかわらず、燃焼前後の質量変化をもとに時間平均ポート径を推算するのが簡便であることから、一般的には、燃料後退速度を時空間平均で評価することが広く行われてきた(例えば、非特許文献2参照)。しかし、この方法では、燃焼時間が長いときや、燃料長さが長いときには誤差が大きくなってしまうため、時空間平均された燃料後退速度を脱却するための方法が提案されている。
【0008】
その方法として、例えば、燃焼中に燃料が後退する様子をカメラで撮影して、時空間解像した燃料後退速度を取得する方法(例えば、非特許文献3参照)や、ロケット燃焼器に搭載した超音波センサにより、燃料厚さを計測することにより、ロケット燃焼器内の時間解像での燃料後退速度を取得する方法(例えば、非特許文献4参照)、使用できる燃料の種類に制限があるが、3次元プリンタ造形により、非導電性材料である固体燃料に、導電性材料を配合して電極ネットワークが形成された燃料を製造し、その電極ネットワークの物理量を計測することにより、時間解像および一部空間解像での燃料後退速度を取得する方法(例えば、特許文献1参照)、管状固体燃料に対してX線計測を行うことにより、固体燃料の時間解像および一部空間解像での計測を行う方法(例えば、非特許文献5)、が開発されている。
【0009】
また、燃焼試験データから、各時間での燃料質量流量dm

/dt[kg/s](時間解像された燃料後退速度;以下、「m

」の上にドットを付したものも同じである)を取得する方法も開発されている(例えば、非特許文献6参照)。この方法では、特性排気速度効率をη
c*
、理論特性排気速度をc

th
、燃焼室圧力をP

、ノズルスロート断面積をA

、酸化剤質量をm

、酸化剤質量流量をdm

/dt(以下、「m

」の上にドットを付したものも同じである)、推進剤に含まれる酸化剤と燃料との質量流量比をO/Fとすると、まず、特性排気速度効率η
c*
の値を仮定し、例えば、化学平衡計算プログラムのNASA-CEA(例えば、非特許文献7参照)などを使用して、化学平衡計算により、下記の(b)式を収束させてO/Fを求める。このとき、(b)式の代わりに、推力効率η

の値を仮定して、下記の(c)式で表される推力式を用いて、O/Fを求めてもよい。
【0010】
TIFF
2025031298000003.tif
34
163
ここで、(c)式のFは推力、V
e,th
は理論ノズル排出速度、P
e,th
はノズル出口圧力、εはノズル開口比である。
(【0011】以降は省略されています)

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