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公開番号2025035124
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-13
出願番号2023141955
出願日2023-09-01
発明の名称アルミニウム合金形材およびその製造方法
出願人国立大学法人東北大学,YKK AP株式会社
代理人個人
主分類C22C 21/02 20060101AFI20250306BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】微細で緻密な組織を有し、高い強度および優れた延性を有するアルミニウム合金形材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】積層造形法によりアルミニウム合金ビレットを製造し、前記アルミニウム合金ビレットを押出加工することにより、アルミニウム合金形材を製造する。アルミニウム合金形材は、押出方向に垂直な断面で、結晶粒の平均結晶粒径が10μm以下であり、<001>方位の結晶粒が10%以上、<112>方位の結晶粒が50%以上である。
【選択図】図8

特許請求の範囲【請求項1】
押出加工により製造されたアルミニウム合金形材であって、
押出方向に垂直な断面で、結晶粒の平均結晶粒径が10μm以下であり、<001>方位の結晶粒が10%以上、<112>方位の結晶粒が50%以上であることを
特徴とするアルミニウム合金形材。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記結晶粒が前記押出方向に沿って細長い繊維状を成す組織を有し、前記結晶粒のアスペクト比を、前記結晶粒の前記押出方向の長さに対する前記押出方向に垂直な方向の長さとすると、そのアスペクト比の平均値が0.5以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金形材。
【請求項3】
前記押出方向に長い矩形板状を成し、板幅方向に垂直な断面で、前記アスペクト比が0.5以下の結晶粒の割合が50%以上、前記アスペクト比が0.65以下の結晶粒の割合が90%以上であることを特徴とする請求項2記載のアルミニウム合金形材。
【請求項4】
前記結晶粒の平均結晶粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金形材。
【請求項5】
結晶粒径が5μm以下の結晶粒の割合が70%以上、結晶粒径が10μm以下の結晶粒の割合が90%以上であることを特徴とする請求項4記載のアルミニウム合金形材。
【請求項6】
Mgを0.4 mass%乃至0.8 mass%、Siを0.2 mass%乃至0.9 mass%、Feを0.1 mass%乃至0.3 mass%含み、残部がAlと不可避不純物とから成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金形材。
【請求項7】
積層造形法によりアルミニウム合金ビレットを製造し、前記アルミニウム合金ビレットを押出加工することにより、押出方向に垂直な断面で、結晶粒の平均結晶粒径が10μm以下であり、<001>方位の結晶粒が10%以上、<112>方位の結晶粒が50%以上のアルミニウム合金形材を製造することを特徴とするアルミニウム合金形材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金形材およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金形材は、押し出し成形や圧延などの加工を施して複雑な製品形状に成形可能であり、特に、A6000系のアルミニウム合金形材は、押出加工性および成形性に優れ、建築材料や輸送材料に多く使用されている(例えば、特許文献1参照)。従来、アルミニウム合金形材は、まず、DC鋳造法(半連続鋳造法)やホットトップ鋳造法などの鋳造法によりアルミニウム合金のビレットを製造し、そのビレットに対して押出加工等を施して製造されている(例えば、特許文献2乃至4参照)。
【0003】
しかし、押出加工は熱間動的加工方法であり、再結晶が進行しやすいため、押出加工後のアルミニウム合金形材が再結晶組織となってしまい、粒界析出物の影響で伸びが悪化しやすく、加工中の割れや破断につながることが多いという問題があった。そこで、ビレットの原料に微細化剤を添加することが行われている(例えば、特許文献5または6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開WO2007/111002号
特開2023-72081号公報
特開2015-25193号公報
特許第5830006号公報
特表2022-554163号公報
特開2021-134923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献5および6記載のように微細化剤を添加しても、鋳造時にビレットの組織を微細化することができず、アルミニウム合金形材の組織として微細結晶を得ることは困難であるという課題があった。また、微細化剤を添加することにより、アルミニウム合金形材の組成に介在物を巻き込みやすく、空孔が残りやすいため、アルミニウム合金形材の強度や延性が低下してしまうという課題もあった。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、微細で緻密な組織を有し、高い強度および優れた延性を有するアルミニウム合金形材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るアルミニウム合金形材は、押出加工により製造されたアルミニウム合金形材であって、押出方向に垂直な断面で、結晶粒の平均結晶粒径が10μm以下であり、<001>方位の結晶粒が10%以上、<112>方位の結晶粒が50%以上であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るアルミニウム合金形材は、押出方向に垂直な断面で、結晶粒の平均結晶粒径が10μm以下であり、微細で緻密な組織を有している。本発明に係るアルミニウム合金形材は、鋳造法により製造されたビレットを使用した従来の押出形材よりも、強度を20~30%程度、延性を40%以上向上させることができ、高い強度および優れた延性を有している。ここで、延性は、引張試験における破断伸びで表すものとする(以下同じ)。本発明に係るアルミニウム合金形材は、例えば、建材サッシ、自動車のバンパー、アルミ箔などに使用することができる。
【0009】
本発明に係るアルミニウム合金形材は、前記結晶粒が前記押出方向に沿って細長い繊維状を成す組織を有し、前記結晶粒のアスペクト比を、前記結晶粒の前記押出方向の長さに対する前記押出方向に垂直な方向の長さとすると、そのアスペクト比の平均値が0.5以下であることが好ましい。また、この場合、前記押出方向に長い矩形板状を成し、板幅方向に垂直な断面で、前記アスペクト比が0.5以下の結晶粒の割合が50%以上、前記アスペクト比が0.65以下の結晶粒の割合が90%以上であることが好ましい。これらの場合、結晶粒が細長い繊維状を成し、微細な組織を有しているため、等軸晶系の組織を有する鋳造法による従来の押出形材と比べて、高い強度および優れた延性を得ることができる。
【0010】
本発明に係るアルミニウム合金形材は、前記結晶粒の平均結晶粒径が5μm以下であることが好ましい。また、この場合、結晶粒径が5μm以下の結晶粒の割合が70%以上、結晶粒径が10μm以下の結晶粒の割合が90%以上であることが好ましい。これらの場合、より微細な組織を有しているため、より高い強度および優れた延性を得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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