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公開番号
2025057111
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-09
出願番号
2023166781
出願日
2023-09-28
発明の名称
高強度せん断補強筋用の鋼材
出願人
個人
代理人
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20250402BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】 高強度せん断補強筋に適用可能な熱延鋼材(棒鋼D785相当)の製造に際して焼入性合金の添加量を節減する。
【解決手段】 当該製品は2方法により製造されている。一つは適切な鋼種と線材圧延+制御冷却によって必要な強度と延靭性を得る、他は普通鉄筋の製造設備を使用し、鉄筋と同等の作業条件によって同様の機械的性質を確保する。後者は冷却能不足のためレアメタルの焼入性合金が多量に添加されている。棒鋼断面形状を円から端部半円の長方形に変更することにより厚さの減少と比表面積の増加により、空冷であるにも関わらず冷却速度が増加し、制御冷却と同様の効果が発現する。焼入性合金の必要量が半減する。適切な断面アスペクト比は3以上10以下である。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
高強度せん断補強筋用の鋼材であって、成分が質量%で、
C;0.10~0.20%、
(Si+Mn+Cr);2.0~3.5%、
(V+Nb+Mo);0.10~0.50%、
残部がFe及び不可避不純物から成る鋼種から熱間圧延によって製造され、
ミクロ金属組織がフェライト+パーライト+ベイナイトの混合から成り、
機械的性質が、降伏強度785MPa以上、抗張力930MPa以上、伸び8%以上、曲げ;180℃/3D、直径が10~16mmである高強度せん断補強筋用棒鋼と同等の機械的性質を持ち、断面形状が端部で半円状であり、断面アスペクト比が3以上10以下の平鋼状であることを特徴とする高強度せん断補強筋用の熱延鋼材。
続きを表示(約 77 文字)
【請求項2】
幅中央部の厚さが両端部の直径の0.6倍以上0.9倍以下であることを特徴とする請求項1に記載した高強度せん断補強筋用の鋼材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄筋コンクリート構造の高層化や耐震化を補助する高強度せん断補強筋に関している。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
せん断補強筋は鉄筋コンクリート構造においてせん断破壊を防止するため、林立する主筋の周りに多段に設けたフープ状の補助用鉄筋である。
コンクリート構造の高層化や耐震化には、せん断補強筋の強化が必要、それには補強筋の密集巻きが有効であるが、コンクリートの流入性が阻害され実用不能である。高強度のせん断補強筋の組込は補強筋間隔が従来通りに維持され問題軽減に効果的である。
補強筋に適用される鋼材は、降伏応力が従来の300MPaから800MPa以上へと強化される。強度だけでなく、曲げ加工性、溶接性、コンクリートとの付着性も従来同様に求められる。
【0003】
当該鋼材は、建築用の新規製品であるので、製造だけではなく使用に関しても強固な技術的裏付けを要し、有力鉄鋼メーカーの線材部門を中核とした産学協同プロジェクトで開発が進められ、技術的には成功したものの需要が伸び悩んだ。今日では中小の電炉メーカーの棒鋼ミルにより類似品が製造されるようになり、着実に成長している。
【0004】
当初、高強度化には製造プロセスとして熱延制御冷却が不可欠であると想定されたので、従来の棒鋼ミルでは当該設備の付設が無く製造不能であり、線材工場の制御冷却が適用された。鋼種と冷却条件の適切な組み合わせにより必要充分な性能が得られるようになったものの、その後冷却条件が単なる空冷でも合金次第で同様の品質が得られることが判明し、それを応用したのが上記類似品である。棒鋼ミルへの制御冷却設備の開発と設備投資が不要になり、容易に製造することができるが、問題は高価なレアメタルであるヴァナジウムVの合金量が線材の場合よりも0.2~0.4%多く、コスト問題を引きずっていることにある。
【0005】
特許文献1には、当該製品の先行製品である降伏応力700MPa級の線材の製造方法が開示されている。それによると熱間圧延後沸騰水中への浸漬による制御冷却の適用により、高価なVの添加量が0.1%以下に抑制されていることが解る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
公開特許公報2001-181781
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今日において高強度せん断補強筋用棒鋼は通常の棒鋼ミルによって容易に製造可能となっているが、熱間圧延後は空冷であるため高価な焼入性合金Vの多量の添加が必要となる。本願発明はVの添加量を節減することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の第1は、高強度せん断補強筋用の鋼材であって、成分が質量%で、
C;0.10~0.20%、
(Si+Mn+Cr);2.0~3.5%、
(V+Nb+Mo);0.10~0.50%、
残部がFe及び不可避不純物から成る鋼種から熱間圧延によって製造され、
ミクロ金属組織がフェライト+パーライト+ベイナイトの混合から成り、
機械的性質が、降伏強度785MPa以上、抗張力930MPa以上、伸び8%以上、曲げ;180℃/3D、直径が10~16mmである高強度せん断補強筋用棒鋼と同等の機械的性質を持ち、断面形状が端部で半円状であり、断面アスペクト比が3以上10以下の平鋼状であることを特徴とする高強度せん断補強筋用の熱延鋼材である。
【0009】
第2の発明は、幅中央部の厚さが両端部の直径の0.6倍以上0.9倍以下であることを特徴とする第1発明に記載した高強度せん断補強筋用の鋼材である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は以下である。
熱間圧延後空冷される熱延鋼材において、従来の円断面棒鋼と同一断面積即ち同一強度を維持しつつ断面形状を偏平化すると周長が増加し、表面積/体積(=周長/断面積)比が増加して冷却速度が大きくなり、線材制御冷却で常用される衝風冷却に相当する冶金的効果が得られ、高価な焼入性合金元素Vの添加量を節減することが可能になる。
(【0011】以降は省略されています)
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