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公開番号
2024158935
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023074578
出願日
2023-04-28
発明の名称
シリコン単結晶の製造方法、および、シリコン単結晶製造装置
出願人
株式会社SUMCO
代理人
弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類
C30B
29/06 20060101AFI20241031BHJP(結晶成長)
要約
【課題】従来の装置構成を大きく変更することなく、酸素濃度が安定したシリコン単結晶を製造することができるシリコン単結晶の製造方法を提供すること。
【解決手段】シリコン単結晶の製造方法は、坩堝を囲む円筒状のヒータと、ヒータを支持する第1~第4支持電極とを備え、ヒータは、第1~第4発熱部を備え、第1支持電極は、第1,第2発熱部を電源の正極に接続し、第2支持電極は、第2,第3発熱部を電源の負極に接続し、第3支持電極は、第3,第4発熱部を正極に接続し、第4支持電極は、第4,第1発熱部を負極に接続し、第1~第4支持電極のうち少なくとも1本の支持電極は、少なくとも一部の太さが残りの支持電極よりも細い細径支持電極により構成されたシリコン単結晶製造装置を用い、回転している坩堝をヒータの発熱分布が不均一の状態で加熱してシリコン融液を生成し、シリコン融液への水平磁場の印加を開始し、シリコン単結晶を育成する。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
シリコン単結晶製造装置を用いてシリコン融液に水平磁場を印加しながらシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、
前記シリコン単結晶製造装置は、
前記シリコン融液を収容する坩堝と、
前記坩堝を囲む円筒状に形成され、前記円筒状の中心軸が前記坩堝の中心軸と同一軸上に位置するように配置されたヒータと、
導電性を有する材料により棒状に形成され、前記ヒータを支持する第1支持電極、第2支持電極、第3支持電極および第4支持電極と、を備え、
前記ヒータは、互いに同じ発熱特性を有し、前記坩堝の外周方向に並ぶ第1発熱部、第2発熱部、第3発熱部および第4発熱部を備え、
前記第1支持電極は、前記第1発熱部と前記第2発熱部を電源の正極に接続し、
前記第2支持電極は、前記第2発熱部と前記第3発熱部を前記電源の負極またはアースに接続し、
前記第3支持電極は、前記第3発熱部と前記第4発熱部を前記正極に接続し、
前記第4支持電極は、前記第4発熱部と前記第1発熱部を前記負極または前記アースに接続し、
前記第1支持電極、前記第2支持電極、前記第3支持電極および前記第4支持電極のうち少なくとも1本の支持電極は、少なくとも一部の太さが残りの支持電極よりも細い細径支持電極により構成され、
前記シリコン単結晶の製造方法は、
回転している前記坩堝内のシリコン原料を前記ヒータの発熱分布が不均一の状態で加熱して前記シリコン融液を生成するシリコン融液生成工程と、
前記シリコン融液への前記水平磁場の印加を開始する磁場印加工程と、
前記水平磁場の中心磁力線に直交する仮想平面における前記シリコン融液の対流の方向が一方向に固定されたら、前記シリコン融液に着液させた種結晶を引き上げることにより、前記シリコン単結晶を育成する育成工程と、を備える、シリコン単結晶の製造方法。
続きを表示(約 2,200 文字)
【請求項2】
請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記シリコン単結晶製造装置は、前記ヒータを囲む円筒状に形成され、前記ヒータに対する抜熱分布が不均一になるように構成された断熱材を備える、シリコン単結晶の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記断熱材は、全体の熱伝導率が均一になるように構成され、前記断熱材の中心軸が前記坩堝の前記中心軸と同一軸上に位置しないように配置されている、シリコン単結晶の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記断熱材は、一部分の熱伝導率が他部分の熱伝導率と異なるように構成され、前記断熱材の中心軸が前記坩堝の前記中心軸と同一軸上に位置するように配置されている、シリコン単結晶の製造方法。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法において、
前記第1支持電極、前記第2支持電極、前記第3支持電極、前記第4支持電極および前記断熱材は、
前記シリコン融液に前記水平磁場が印加されるときの前記坩堝の回転速度をR(rpm)、
前記水平磁場の印加を開始してから、前記対流の方向が固定される磁場強度の前記水平磁場が前記シリコン融液に作用するまでの時間をT(分)とした場合、
平面視における前記坩堝に対する加熱温度が最も高い最高加熱温度位置が、前記中心磁力線に直交しかつ前記坩堝の前記中心軸を含む第1水平仮想線に対して前記坩堝の回転方向の反対方向側に位置し、かつ、前記坩堝の前記中心軸と前記最高加熱温度位置とを結ぶ第2水平仮想線と前記第1水平仮想線とのなす角度θ(°)が、以下の式(1)を満たすように構成されている、シリコン単結晶の製造方法。
θ=360×R×T … (1)
【請求項6】
シリコン融液に水平磁場を印加しながらシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶製造装置であって、
前記シリコン融液を収容する坩堝と、
前記坩堝を囲む円筒状に形成され、前記円筒状の中心軸が前記坩堝の中心軸と同一軸上に位置するように配置されたヒータと、
導電性を有する材料により棒状に形成され、前記ヒータを支持する第1支持電極、第2支持電極、第3支持電極および第4支持電極と、を備え、
前記ヒータは、互いに同じ発熱特性を有し、前記坩堝の外周方向に並ぶ第1発熱部、第2発熱部、第3発熱部および第4発熱部を備え、
前記第1支持電極は、前記第1発熱部と前記第2発熱部を電源の正極に接続し、
前記第2支持電極は、前記第2発熱部と前記第3発熱部を前記電源の負極またはアースに接続し、
前記第3支持電極は、前記第3発熱部と前記第4発熱部を前記正極に接続し、
前記第4支持電極は、前記第4発熱部と前記第1発熱部を前記負極または前記アースに接続し、
前記第1支持電極、前記第2支持電極、前記第3支持電極および前記第4支持電極のうち少なくとも1本の支持電極は、少なくとも一部の太さが残りの支持電極よりも細い細径支持電極により構成されている、シリコン単結晶製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載のシリコン単結晶製造装置において、
前記ヒータを囲む円筒状に形成され、前記ヒータに対する抜熱分布が不均一になるように構成された断熱材を備える、シリコン単結晶製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載のシリコン単結晶製造装置において、
前記断熱材は、全体の熱伝導率が均一になるように構成され、前記断熱材の中心軸が前記坩堝の前記中心軸と同一軸上に位置しないように配置されている、シリコン単結晶製造装置。
【請求項9】
請求項7に記載のシリコン単結晶製造装置において、
前記断熱材は、一部分の熱伝導率が他部分の熱伝導率と異なるように構成され、前記断熱材の中心軸が前記坩堝の前記中心軸と同一軸上に位置するように配置されている、シリコン単結晶製造装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のシリコン単結晶製造装置において、
前記第1支持電極、前記第2支持電極、前記第3支持電極、前記第4支持電極および前記断熱材は、
前記シリコン融液に前記水平磁場が印加されるときの前記坩堝の回転速度をR(rpm)、
前記水平磁場の印加を開始してから、前記対流の方向が固定される磁場強度の前記水平磁場が前記シリコン融液に作用するまでの時間をT(分)とした場合、
平面視における前記坩堝に対する加熱温度が最も高い最高加熱温度位置が、前記水平磁場の中心磁力線に直交しかつ前記坩堝の前記中心軸を含む第1水平仮想線に対して前記坩堝の回転方向の反対方向側に位置し、かつ、前記坩堝の前記中心軸と前記最高加熱温度位置とを結ぶ第2水平仮想線と前記第1水平仮想線とのなす角度θ(°)が、以下の式(2)を満たすように構成されている、シリコン単結晶製造装置。
θ=360×R×T … (2)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン単結晶の製造方法、および、シリコン単結晶製造装置に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
シリコン単結晶の製造方法として、シリコン融液に水平磁場を印加するMCZ(磁場印加チョクラルスキー)法が用いられる場合がある。MCZ法を用いてシリコン融液に水平磁場を印加した場合、シリコン融液内の水平磁場の印加方向に直交する仮想平面における対流の方向が、右回り(以下、「右渦モード」と言う場合がある)になる場合と左回り(以下、「左渦モード」と言う場合がある)になる場合がある。
【0003】
対流モードが右渦モードとなるか左渦モードとなるかはランダムであり、対流モードと炉内環境によってシリコン単結晶に取り込まれる酸素の濃度がばらついてしまう。安定した酸素濃度を有するシリコン単結晶を得るためには、引き上げ中のシリコン融液の対流モードを制御することが重要となる。このため、坩堝内のシリコン融液の対流モードを制御する手法について様々な検討が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、製造装置の炉内の熱環境を、坩堝の中心軸に対して非軸対称とすることによって、対流モードを右渦モードおよび左渦モードのうち一方に固定し、対流モードに起因する酸素濃度のばらつきを排除する方法が開示されている。その具体的な方法として、特許文献1には、シリコン融液内の水平磁場の印加方向に直交する仮想平面における左右方向一方側の第1加熱領域の発熱量と、他方側の第2加熱領域の発熱量とが異なる値に設定された加熱部を用いる方法が開示されている。
【0005】
特許文献1には、第1加熱領域と第2加熱領域の発熱量を異ならせる1つの方法として、第1,第2加熱領域のそれぞれの発熱部に電力を供給する電力供給部の接触抵抗値を異ならせる方法が開示されている。
そして、接触抵抗値を異ならせる方法として、第1,第2加熱領域のそれぞれの発熱部に接続される端子と電極との間に介挿される電気抵抗調整部材の合計枚数を異ならせる方法と、第1,第2加熱領域のそれぞれの発熱部に接続される端子と電極とを締結する締結手段の締結力を異ならせる方法と、第1,第2加熱領域のそれぞれの発熱部に接続される端子と電極とを接合する接着層の材質または厚さを異ならせる方法とが開示されている。
【0006】
また、特許文献1には、第1加熱領域と第2加熱領域の発熱量を異ならせる別の方法として、第1,第2加熱領域に設けられたスリットの長さおよび総数のうち少なくとも一方を異ならせる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2022-102247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された接触抵抗値を異ならせる方法では、接触抵抗値を所望の値にするに際し、作業バラツキや部材の劣化などの影響で、シリコン融液の対流モードが所望の状態から変化する可能性がある。また、特許文献1に開示されたスリットの長さおよび総数のうち少なくとも一方を異ならせる方法では、特別な形状の加熱部が必要となってしまう。
【0009】
本発明は、従来の装置構成を大きく変更することなく、酸素濃度が安定したシリコン単結晶を製造することができるシリコン単結晶の製造方法、および、シリコン単結晶製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶製造装置を用いてシリコン融液に水平磁場を印加しながらシリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、前記シリコン単結晶製造装置は、前記シリコン融液を収容する坩堝と、前記坩堝を囲む円筒状に形成され、前記円筒状の中心軸が前記坩堝の中心軸と同一軸上に位置するように配置されたヒータと、導電性を有する材料により棒状に形成され、前記ヒータを支持する第1支持電極、第2支持電極、第3支持電極および第4支持電極と、を備え、前記ヒータは、互いに同じ発熱特性を有し、前記坩堝の外周方向に並ぶ第1発熱部、第2発熱部、第3発熱部および第4発熱部を備え、前記第1支持電極は、前記第1発熱部と前記第2発熱部を電源の正極に接続し、前記第2支持電極は、前記第2発熱部と前記第3発熱部を前記電源の負極またはアースに接続し、前記第3支持電極は、前記第3発熱部と前記第4発熱部を前記正極に接続し、前記第4支持電極は、前記第4発熱部と前記第1発熱部を前記負極または前記アースに接続し、前記第1支持電極、前記第2支持電極、前記第3支持電極および前記第4支持電極のうち少なくとも1本の支持電極は、少なくとも一部の太さが残りの支持電極よりも細い細径支持電極により構成され、前記シリコン単結晶の製造方法は、回転している前記坩堝内のシリコン原料を前記ヒータの発熱分布が不均一の状態で加熱して前記シリコン融液を生成するシリコン融液生成工程と、前記シリコン融液への前記水平磁場の印加を開始する磁場印加工程と、前記水平磁場の中心磁力線に直交する仮想平面における前記シリコン融液の対流の方向が一方向に固定されたら、前記シリコン融液に着液させた種結晶を引き上げることにより、前記シリコン単結晶を育成する育成工程と、を備える。
(【0011】以降は省略されています)
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