発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、カラーセンターを含むダイヤモンド結晶によって形成される所望形状のダイヤモンド構造体を所望の基板上に集積する方法に関し、特に、微細なダイヤモンド構造体を集積するための加工方法に関するものである。 続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】 【0002】 ダイヤモンド単結晶中の炭素原子が他の原子に置換され、また炭素原子が存在しない空孔が形成される点欠陥(カラーセンター)を含むダイヤモンド結晶は、量子センシング、量子通信、または量子計算などの多様な量子技術に適用されることが研究されている(非特許文献1~3参照)。特に、炭素原子を置換した窒素(N)と、それに隣接する空孔(V)との複合体(NVセンター)は、室温において長いコヒーレンス時間を持つ電子スピンに優れている特性を有しており、量子ビットとして作用させることができ、量子センサとして使用するときには、磁場、電場、ひずみ、または温度などの様々な環境パラメータを検出するために利用されている(非特許文献4~8)。 【0003】 一方で、ダイヤモンド単結晶中のNVセンターは、1量子ビットとして作用するものとなるが、近時、3量子ビットとして作用するNVセンターを有するダイヤモンド単結晶も製造されるようになっている(特許文献1参照)。また、NVセンターを有するダイヤモンド層を製造する方法についても改良されており、NVセンターを高密度に製造する方法が提案されている(特許文献2参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 特開2020-029386号公報 特開2020-183332号公報 【非特許文献】 【0005】 J. M. Taylor, P. Cappellaro, L. Childress, L. Jiang, D. Budker, P. R. Hemmer, A. Yacoby, R. Walsworth, and M. D. Lukin, Nat. Phys. 4, 810 (2008) J. F. Barry, J. M. Schloss, E. Bauch, M. J. Turner, C. A. Hart, L. M. Pham, and R. L. Walsworth, Rev. Mod. Phys. 92, 015004 (2020) M. Ruf, N. H. Wan, H. Choi, D. Englund, and R. Hanson, J. Appl. Phys. 130, 070901 (2021) Y. Wu, F. Jelezko, M. B. Plenio, and T. Weil, Angew Chem Int Ed Engl 55, 6586 (2016) R. Schirhagl, K. Chang, M. Loretz, and C. L. Degen, Annu Rev Phys Chem 65, 83 (2014) A. Kuwahata, T. Kitaizumi, K. Saichi, T. Sato, R. Igarashi, T. Ohshima, Y. Masuyama, T. Iwasaki, M. Hatano, F. Jelezko, M. Kusakabe, T. Yatsui, and M. Sekino, Sci. Rep. 10, 2483 (2020) K.-M. C. Fu, G. Z. Iwata, A. Wickenbrock, and D. Budker, AVS Quantum Science 2, 044702 (2020) T. Yanagi, K. Kaminaga, M. Suzuki, H. Abe, H. Yamamoto, T. Ohshima, A. Kuwahata, M. Sekino, T. Imaoka, S. Kakinuma, T. Sugi, W. Kada, O. Hanaizumi, and R. Igarashi, ACS Nano 15, 12869 (2021) N. H. Wan, T. J. Lu, K. C. Chen, M. P. Walsh, M. E. Trusheim, L. De Santis, E. A. Bersin, I. B. Harris, S. L. Mouradian, I. R. Christen, E. S. Bielejec, and D. Englund, Nature 583, 226 (2020) 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ダイヤモンドを用いた量子技術の進歩を加速させるためには、マイクロレベルまたはナノレベルの微細な構造をダイヤモンドに実装することが重要となり、各種の加工法も提案されつつあるのが現状である。特に、スケーラブルな量子フォトニクスへの応用は、ダイヤモンドカラーセンター(NVセンター)を所望のチップ上に集積することが要求され、特に、Si、SiN、LiNbO 3 およびAlNなどの基板上に集積できることが極めて重要となるものである。 【0007】 しかし、異種エピタキシャル成長によって、異種材料上に高品質の単結晶ダイヤモンド薄膜を形成させることは困難であり、結果的には、別途形成した単結晶ダイヤモンド構造体を異種材料に貼着する手法(ピックアンドプレース技術)によるハイブリッド集積が現実的なところであるとされている。 【0008】 ところで、ピックアンドプレース技術を利用して基板上にダイヤモンド構造体を貼着するために、例えば、マイクロマニピュレータを使用して、単結晶ダイヤモンドのカラーセンターを基板上に集積させることが考えられる。しかし、ダイヤモンドフォトニクスの分野におけるナノファブリケーション技術は、既存技術におけるハイブリッド集積の手法を直ちに転用することはできない。例えば、角度エッチングによって形成されたダイヤモンド構造体は、三角形底面を有することとなるから、ハイブリッド集積には不向きである。近時において、準等方性エッチングによって作製されたGeVセンターおよびSiVセンターを含むダイヤモンドウエーブガイドアレーをAlNフォトニックチップに集積するハイブリッド集積に関する技術が報告されている(非特許文献9参照)が、準等方性エッチングを用いる場合であってもダイヤモンド構造体の底部は平坦ではなく、実用化できるまでに至っていないのが現状である。 【0009】 本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、所望の材料による基板上に微細なダイヤモンド構造物を確実に集積し得る方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0010】 そこで、本発明は、カラーセンターを含むダイヤモンド結晶によって形成されるダイヤモンド基板の表面に、ダイヤモンドエッチングに対して堅牢な材料によって所望形状に形成されたマスクをプリントするマスクプリント工程と、前記マスクがプリントされた前記ダイヤモンド基板の表面に対して垂直方向への異方性エッチングによりマスクパターンを転写する転写工程と、前記転写工程により転写された転写領域に対し、斜状方向に異方性エッチングする準等方性エッチングにより前記転写領域の底部を斜状に除去し、該転写領域を断面略三角形に分離してダイヤモンド構造体を形成するアンダーカット工程と、前記ダイヤモンド構造体の表面側に第1の貼着力を有する第1の貼着フィルムを貼着して、該ダイヤモンド構造体をピックアップするピックアップ工程と、前記ダイヤモンド構造体の底部側に前記第1の貼着力よりも大きい貼着力となる第2の貼着力を有する第2の貼着フィルムを貼着するとともに、前記第1の貼着フィルムを前記ダイヤモンド構造体の表面側から剥離することにより該ダイヤモンド構造体の貼着状態を反転させる反転工程と、前記ダイヤモンド構造体の表面側を所定基板に接着させ、前記第2のフィルムを該ダイヤモンド構造体の底部側から剥離させるプレース工程とを含むことを特徴とする。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する