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公開番号2025014348
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023116835
出願日2023-07-18
発明の名称SiC単結晶製造装置
出願人SECカーボン株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類C30B 29/36 20060101AFI20250123BHJP(結晶成長)
要約【課題】坩堝が大型化した場合であっても、坩堝の位置に応じた温度ばらつきを抑制することのできる、SiC単結晶製造装置を提供する。
【解決手段】SiC単結晶製造装置は、発熱源と、発熱源よりも上方に配置された均熱板と、鉛直方向から見て均熱板の外縁よりも内側に位置し均熱板の上方に配置された加熱容器と、鉛直方向から見て加熱容器の最も外側に位置する側面を覆うように配置された第一筒状体と、鉛直方向から見て離間部を有した状態で第一筒状体を覆うように配置された第二筒状体を備え、第一筒状体は、少なくとも第二筒状体に対向する側面が、赤外線を一部吸収し、且つ一部反射する材料で構成され、第二筒状体は、第一筒状体に対向する側面である第二面が、少なくとも一部の赤外線を反射する材料で構成されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
発熱源と、
鉛直方向から見て前記発熱源を覆うように、前記発熱源よりも上方に配置された均熱板と、
前記鉛直方向から見て前記均熱板の外縁よりも内側に位置し、前記均熱板の上方に配置された、SiCからなる固体原料を収容する原料収容領域と、前記原料収容領域よりも前記鉛直方向に離間した位置にSiCの種結晶を配置する種結晶取付部とを含む加熱容器と、
前記鉛直方向から見て、前記加熱容器の最も外側に位置する側面を覆うように配置された、第一筒状体と、
前記鉛直方向から見て、離間部を有した状態で前記第一筒状体を覆い、且つ、前記均熱板及び前記発熱源を覆うように配置された、第二筒状体と、
前記第二筒状体の上面の一部を閉塞するように配置された、蓋体とを備え、
前記第一筒状体は、少なくとも前記第二筒状体に対向する側面である第一面が、赤外線を一部吸収し、且つ一部反射する材料で構成され、
前記第二筒状体は、前記第一筒状体に対向する側面である第二面が、少なくとも一部の赤外線を反射する材料で構成され、
前記蓋体の底面が、少なくとも一部の赤外線を反射する材料で構成されていることを特徴とする、SiC単結晶製造装置。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
前記第一筒状体と前記第二筒状体との間に位置する前記離間部が、前記第一面と前記第二面との間で反射された赤外線を、鉛直上方に導光する伝播経路を形成することを特徴とする、請求項1に記載のSiC単結晶製造装置。
【請求項3】
前記第二筒状体の前記第二面は、前記第一筒状体の前記第一面よりも赤外線に対する反射率が高いことを特徴とする、請求項1に記載のSiC単結晶製造装置。
【請求項4】
前記第二筒状体は、断熱性を有する主材料からなり、前記第二面上に前記主材料よりも赤外線に対する反射率の高いコーティング材又はシート材が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載のSiC単結晶製造装置。
【請求項5】
前記第二筒状体と前記蓋体は、同一部材で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のSiC単結晶製造装置。
【請求項6】
前記蓋体は、前記鉛直方向から見て前記加熱容器の頂部に対向する領域の少なくとも一部に、抜熱用の開口部を有することを特徴とする、請求項1に記載のSiC単結晶製造装置。
【請求項7】
前記加熱容器を複数備え、
複数の前記加熱容器の全てが、前記鉛直方向から見て前記均熱板の外縁よりも内側に位置するように配置されており、
前記第一筒状体は、前記鉛直方向から見て、最も外側に位置する複数の前記加熱容器を覆うように配置されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のSiC単結晶製造装置。
【請求項8】
それぞれの前記加熱容器は、断熱性を有する部材で覆われておらず、隣接する前記加熱容器同士の間で輻射による熱の伝搬が可能に構成されていることを特徴とする、請求項7に記載のSiC単結晶製造装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC単結晶製造装置に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、電気的な優れた特性として、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊の電界強度の数値が1桁程度大きく、バンドギャップの数値が約3倍大きい特性を有する。また、SiCは、熱的な優れた特性として、Siに比べて熱伝導率が約3倍高い特性を有する。これらの優れた特性を有することから、SiCは、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等の各種デバイスへの応用が期待されている。これらのデバイスは、SiC単結晶インゴットから加工して得られるSiC単結晶基板に、化学的気相成長法(CVD)等を用いて、デバイスの活性領域となるエピタキシャル層を形成することで作製される。
【0003】
SiC単結晶は、昇華法で製造されるのが現在の主流である。この方法は、黒鉛製の坩堝(加熱容器)内において、固体原料となるSiC粉末を、2000℃を超える高温で加熱して昇華させ、この昇華ガスを、比較的低温の位置に配置された種結晶に供給することで、種結晶上に再結晶化させて単結晶インゴットを得る技術である。
【0004】
昇華法は、液相を利用した融液成長法とは異なり、ガスによる成長を利用しているため、高速で成長させた場合には欠陥が生じやすいという原理的な問題を有している。つまり、単一の単結晶インゴットを成長させるためにはある程度の加熱時間を必要とする。かかる観点から、本出願人は、炉一式に対して複数の坩堝及び種結晶を配置して、複数の単結晶インゴットを並列的に成長させる技術を過去に提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-055282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パワー半導体として注目されているSiCデバイスは、さらなる大電流化に対応することが要求され始めている。大電流に対応可能なSiCデバイスを実現するためには、大型のSiCウェハが必要となり、大型SiCウェハを製造するためには、大型の単結晶インゴットが必要となる。大型の単結晶インゴットを製造するためには、従来よりも坩堝のサイズを大型化する必要がある。
【0007】
しかし、大型の坩堝を複数配置して単一の炉で加熱した場合には、坩堝の配置位置によって温度にばらつきが生じやすくなる。このような温度のばらつきは、各坩堝で製造されるそれぞれの単結晶インゴットの結晶成長の速度のばらつきに繋がり、ひいては、性能のばらつきが生じる可能性がある。
【0008】
また、特許文献1の技術は、坩堝の底面と側面にそれぞれ別途の発熱源を配置し、各発熱源から供給される加熱エネルギーの比率を所定の範囲内に調整するというものである。しかし、坩堝が大型化すると装置自体も大型化するため、側面に配置された発熱源と炉内に配置された坩堝との距離が離れ、前記側面側の発熱源からの熱エネルギーが坩堝に届きにくくなる。よって、側面側の発熱源の出力を調整したタイミングと、出力が調整された後の側面側の発熱源からの熱エネルギーが坩堝に届くタイミングとの間には、時間差が生まれる。このような事情により、底面の発熱源からの加熱エネルギーと、側面の発熱源からの加熱エネルギーとの比率を、所定の範囲内に調整する制御が難しくなる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑み、坩堝が大型化した場合であっても、坩堝の位置に応じた温度ばらつきを抑制することのできる、SiC単結晶製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るSiC単結晶製造装置は、
発熱源と、
鉛直方向から見て前記発熱源を覆うように、前記発熱源よりも上方に配置された均熱板と、
前記鉛直方向から見て前記均熱板の外縁よりも内側に位置し、前記均熱板の上方に配置された、SiCからなる固体原料を収容する原料収容領域と、前記原料収容領域よりも前記鉛直方向に離間した位置にSiCの種結晶を配置する種結晶取付部とを含む加熱容器と、
前記鉛直方向から見て、前記加熱容器の最も外側に位置する側面を覆うように配置された、第一筒状体と、
前記鉛直方向から見て、離間部を有した状態で前記第一筒状体を覆い、且つ、前記均熱板及び前記発熱源を覆うように配置された、第二筒状体と、
前記第二筒状体の上面の一部を閉塞するように配置された、蓋体とを備え、
前記第一筒状体は、少なくとも前記第二筒状体に対向する側面である第一面が、赤外線を一部吸収し、且つ一部反射する材料で構成され、
前記第二筒状体は、前記第一筒状体に対向する側面である第二面が、少なくとも一部の赤外線を反射する材料で構成され、
前記蓋体の底面が、少なくとも一部の赤外線を反射する材料で構成されていることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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