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公開番号
2024152879
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-25
出願番号
2024139137,2020020412
出願日
2024-08-20,2020-02-10
発明の名称
SiCバルク単結晶の製造方法及びその成長装置
出願人
エスアイクリスタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
代理人
弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C30B
29/36 20060101AFI20241018BHJP(結晶成長)
要約
【課題】昇華成長によって少なくとも1つのSiCバルク単結晶を製造するための装置。
【解決手段】SiCバルク単結晶製造のための成長坩堝の加熱装置において、坩堝を回転対称に取囲む断熱材が少なくとも2つの同心配置断熱部分円筒からなり、該部分円筒を、全壁厚に亘って測定された平均断熱リングセグメント密度を有する軸方向断熱リングセグメントに仮想的に分割し、更に、これらの各々を接線方向に並ぶ体積要素に仮想的に分割したとき、それぞれ部分領域において密度偏差を有する少なくとも2つの断熱部分円筒が、関連する断熱リングセグメントの各体積要素が関連する断熱リングセグメントの前記平均断熱リングセグメント密度から10%を超えて逸脱しない体積要素密度を持つように、選択され互いに位置決めされる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
昇華成長によって少なくとも1つのSiCバルク単結晶(2;33)を製造するための成長装置であって、
a) それぞれSiC種結晶(8;37)を収納するように定められた少なくとも1つの結晶成長領域(5;36)と、SiC原料(6)を収納するように定められたSiC貯蔵領域(4;35)とを、備えた成長坩堝(3;34)、及び
b) 成長中に前記SiC原料(6)が昇華され前記昇華された気体成分が前記少なくとも1つの結晶成長領域(5;36)へ輸送され、そこでSiC成長気相(9;38)が生成され、その結果、前記SiC成長気相(9;38)から前記SiC種結晶(8;37)上に堆積することにより、中央中心縦軸(14)を有する少なくとも1つのSiCバルク単結晶(2;33)が成長するように、前記成長坩堝(3;34)を加熱するための加熱装置(12;40)を有し、
c) 前記成長坩堝(3;34)が、前記中央中心縦軸(14)の方向において回転対称に且つ軸方向に延在する断熱材であって少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)を有する断熱材(10;41)によって、取り囲まれている成長装置において、
c1) 前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)が交互に同心配置されており、前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)の各々が半径方向に測定された壁厚(D1,D2;D1,D2,D3)を有し、
c2) 前記断熱材(10;41)を、前記中央中心縦軸(14)の方向において軸方向に連続して配置された複数の断熱リングセグメント(29)であって、それぞれ、前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)の全ての前記壁厚(D1、D2;D1,D2,D3)に亘って測定された平均断熱リングセグメント密度(ρM)を有する断熱リングセグメント(29)に、仮想的に分割し、更に、これらの断熱リングセグメント(29)の各々を、順番に接線方向に並べて配置された複数の体積要素(31)に、仮想的に分割したとき、これら複数の各体積要素(31)が、軸方向では前記断熱リングセグメント(29)の軸方向のセグメント長に等しく50mm以下である軸方向の要素長さ(H)に亘って延在し、周方向では50mm以下の外側の接線方向の要素長さ(L)に亘って延在し、半径方向では前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)の全ての壁厚(D1、D2;D1,D2,D3)を合計した長さに亘って延在し、
c3) それぞれ部分領域において密度偏差を有する前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)が、関連する断熱リングセグメント(29)の各体積要素(31)が関連する断熱リングセグメント(29)の前記平均断熱リングセグメント密度(ρM)から10%を超えて逸脱しない体積要素密度(ρV)を持つように、選択され互いに位置決めされている、
ことを特徴とする成長装置。
続きを表示(約 860 文字)
【請求項2】
前記断熱材(10;41)が、0.05g/cm
3
~0.5g/cm
3
の材料密度を持った断熱材料を有することを特徴とする請求項1に記載の成長装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)が、関連する断熱リングセグメント(29)の各体積要素(31)が関連する断熱リングセグメント(29)の前記平均断熱リングセグメント密度(ρM)から5%を超えて逸脱しない体積要素密度(ρV)を有するように、選択されて互いに位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載の成長装置。
【請求項4】
前記体積要素(31)の軸方向の要素長さ(H)が20mmであり、前記体積要素(31)の外側接線方向の要素長さ(L)が20mmであることを特徴とする請求項1に記載の成長装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)の各々の半径方向壁厚(D1、D2;D1,D2,D3)が5mm~50mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の成長装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)の半径方向壁厚(D1、D2;D1,D2,D3)のうちの任意の2つの商(中心により近いものを分母とする)が、0.5~2の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の成長装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)のうちの2つの互いに隣接するもの同士が、それぞれ、0.1mm~5mmの範囲の半径方向間隔を有することを特徴とする請求項1に記載の成長装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの断熱部分円筒(19,20;42,43,44)の各々について、成長開始前に行なわれたX線測定により、その密度分布が、完全に決定されていることを特徴とする請求項1に記載の成長装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本出願は、ヨーロッパ特許出願第19158315.2に基づく優先権を主張し、参照により、その内容をここに導入する。
本発明は、昇華成長によって少なくとも1つのSiCバルク単結晶を製造する方法及びSiCバルク単結晶を製造するための成長装置に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
半導体材料である炭化ケイ素(SiC)は、その優れた物理的、化学的、電気的及び光学的特性に基づき、取り分け、パワーエレクトロニクス半導体デバイス、高周波デバイス及び特殊な発光半導体デバイスの出発材料として利用されている。このようなデバイスのためには、できる限り大きい基板直径とできる限り高い品質とを有するSiC基板(=SiCウェハ)が必要である。
【0003】
SiC基板のベースとなるのは、高品質のSiCバルク単結晶であり、これは、通常、物理的気相堆積法(PVT)によって、特に、例えば特許文献1に記載されている方法(昇華法)によって、製造される。このようなSiCバルク単結晶から円板状の単結晶SiC基板が切り出され、特にいくつかの研磨ステップによってそれらの表面を多段階処理した後、デバイス製造の一環として、この基板に、例えばSiC又はGaN(窒化ガリウム)からなる少なくとも1つの単結晶エピタキシャル層が設けられる。このエピタキシャル層の特性、ひいてはエピタキシャル層から製造されるデバイスの特性、は、SiC基板又は該基板のベースとなるSiCバルク単結晶の品質に大きく依存する。
【0004】
最適な歩留まりのためには、結晶成長中に理想的な結晶形状からの逸脱によって生じ得る結晶欠陥(例えば、エッジ欠陥=変態欠陥、局所的な転位増殖等)をできる限り回避すべきである。更に、PVTプロセスを用いたSiCバルク単結晶の製造は、非常に費用が掛かり、時間が掛かる。従って、例えば熱的に引き起こされる非対称結晶構造によって後続のデバイス製造に使用することができない材料は、大幅に歩留まりを低下させ、コスト増大を招く。
【0005】
SiCバルク単結晶の製造において、グラファイト又は高融点金属からなる成長坩堝は、通常、誘導加熱又は抵抗加熱によって加熱される。成長坩堝内では、SiC原料が昇華されて、SiC種結晶上に堆積する。このようにして成長中のSiCバルク単結晶の回転対称性の故に、回転対称な成長配置が使用される。
【0006】
しかしながら、熱場の偏移、従って理想的な回転対称性からの結晶形状の偏移に影響を及ぼす様々なパラメータが存在する。例えば、使用される加熱は、理想的には回転対称に行なうことができない。特に、電気的接続部、保持部等は、回転対称性からの僅かな逸脱につながる可能性がある。
【0007】
特許文献2及び特許文献3には、それぞれ、結晶成長中に成長坩堝が加熱ユニット及び断熱材内で連続的に回転させられる製造方法及び成長配置が記載されている。このようにして、加熱ユニットの不完全な回転対称性に起因する成長SiCバルク単結晶への影響を、成長期間に亘って平均化することができる。しかしながら、成長坩堝の回転運動によって引き起こされる振動は、壁材料からの炭素包含のような結晶欠陥につながる可能性がある。更に、回転非対称の温度場における回転によって引き起こされる局所的な温度変動は、結晶品質、特に転位密度、に悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
米国特許第8865324号明細書
中国特許出願公開第105442038号明細書
中国特許出願公開第105568370号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、より良好なSiCバルク単結晶を製造することができる、冒頭に述べた製造方法及び成長配置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
方法に関する課題は、請求項1記載の特徴事項による方法に従って解決される。本発明による方法では、成長開始前に、成長坩堝の少なくとも1つの結晶成長領域に少なくとも1つのSiC種結晶が配置され、前記成長坩堝のSiC貯蔵領域に、SiC原料、特に粉末状のSiC原料、が導入される。成長中に、前記SiC原料が昇華され、その昇華された気体成分が前記少なくとも1つの結晶成長領域へ輸送されることにより、そこでSiC成長気相が生成され、前記SiC成長気相からの前記少なくとも1つのSiC種結晶上への堆積により、中央中心縦軸を有する少なくとも1つのSiCバルク単結晶が成長する。成長開始前に、前記成長坩堝が、回転対称に中央中心縦軸の方向において軸方向に延在し少なくとも2つの断熱部分円筒を有する絶縁材、特に断熱材、によって取り囲まれる。更に、前記少なくとも2つの断熱部分円筒が交互に同心配置され、前記少なくとも2つの断熱部分円筒の各々が、半径方向に測定される壁厚を有する。前記断熱材が、連続して前記中央中心縦軸の方向において軸方向に配置された複数の断熱リングセグメントに、仮想的に分割される。これらの断熱リングセグメントの各々が、順番に、接線方向に並べて配置された複数の体積要素に仮想的に分割され、かつ、各々が前記少なくとも2つの断熱部分円筒の全ての壁厚に亘って測定された平均断熱リングセグメント密度を有する。部分領域において、それぞれ、密度偏差を有する前記少なくとも2つの断熱部分円筒が、該当する断熱リングセグメントの各体積要素が該当する断熱リングセグメントの平均断熱リングセグメント密度から10%を超えない偏差を有する体積要素密度を持つように、選択されて互いに位置決めされ、このとき、各体積要素が、軸方向では、前記断熱リングセグメントの軸方向のセグメント長に等しく50mm以下の軸方向の要素長さに亘って延在し、周方向では、50mm以下の外側接線方向の要素長さに亘って延在し、半径方向では、前記少なくとも2つの断熱部分円筒の全壁厚を加えた長さに亘って延在する。
(【0011】以降は省略されています)
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