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公開番号2024102880
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-01
出願番号2023006947
出願日2023-01-20
発明の名称粉末担持紙及び粉末担持紙の製造方法
出願人大福製紙株式会社
代理人個人,個人
主分類D21H 17/00 20060101AFI20240725BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】ゲル複合体スラリーの濾水性が良く、抄紙量産性に優れ、粉末歩留りが高く、地合いの均一な粉末担持紙及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄、アルギン酸アルミニウム、アルギン酸亜鉛の何れかと、繊維と、累積中位径0.1μm以上、500μm以下である粉末を含むゲル複合体からなり、質量変動係数が8.0%未満であることを特徴とする粉末担持紙。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄、アルギン酸アルミニウム、アルギン酸亜鉛の何れかと、繊維と、累積中位径0.1μm以上、500μm以下である粉末を含むゲル複合体からなり、質量変動係数が8.0%未満であることを特徴とする粉末担持紙。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
粉末が、花、茎、葉、根、果実、果皮、麦芽、ホップ、海藻類、キノコ類、これらの残渣、木粉から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載の粉末担持紙。
【請求項3】
アルギン酸塩水溶液と、カルシウムイオン、鉄(III)イオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオンの何れかを含む多価陽イオン水溶液と、繊維と、粉末を混合、攪拌してアルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄、アルギン酸アルミニウム、アルギン酸亜鉛の何れかと繊維と粉末を含むゲル複合体スラリーを形成させ、これを抄紙する粉末担持紙の製造方法であって、
アルギン酸塩水溶液の20℃のときのB型粘度が1mPa・s以上、20mPa・s以下であり、原料スラリーに混合するアルギン酸塩の固形分量が繊維固形分に対して0.035倍以上、0.300倍以下であり、アルギン酸塩水溶液を混合した時点での原料スラリー中のアルギン酸塩の固形分濃度が0.007質量%以上、0.100質量%以下であることを特徴とする粉末担持紙の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末担持紙及び粉末担持紙の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、粉末担持紙としては炭酸カルシウムや二酸化チタンなどの無機粉末と各種パルプとの混合スラリーに硫酸バンドや高分子凝集剤、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどを添加して抄紙して得られる紙が知られている。硫酸バンドと無機粉末の凝集体は基本的には小さく、弱く、攪拌によって壊れやすく抄紙条件によっては無機粉末の歩留りが低くなる場合があるため、高分子凝集剤を併用することも一般的に行われている。高分子凝集剤やナトリウムカルボキシメチルセルロースは、無機粉末とパルプの強い凝集体が形成される場合があり、紙の地合い斑が大きくなる場合があった。硫酸バンドや高分子凝集剤は有機粉末に対しては凝集効果が弱く、粉末の大半が排水へ流出してしまう場合があった。
【0003】
特許文献1には、機能性粉体を水溶性アルギン酸塩水溶液中に混合して混合液としこの混合液を多価金属イオンとなり得る金属塩水溶液、酸あるいはアルコールのいずれかに連続的にまたは非連続的に分散して得られる少なくとも表面が不溶化した中間生成物を乾燥して機能性粒剤としこの機能性粒剤をシート状の基材に担持させた機能性シートが開示されている。しかし、この中間生成物の製法は著しく量産性に劣る問題があった。すなわち、機能性粉体を一気に大量に不溶化させることが難しく、さらにそれらを回収して乾燥させる手間がかかるからである。中間生成物の作製において混合液を連続的または非連続的に分散して不溶化する場合には不溶化の程度を均一に制御することが難しい問題があった。すなわち、機能性粉体の表面にアルギン酸成分が過剰に被覆してしまう場合や不溶化された機能性粉体同士が結合して非常に大きなゲル状物を形成してしまい単離できない場合があった。アルギン酸成分が過剰に被覆した中間生成物は乾燥効率が著しく悪い問題と機能性粉体の機能性が十分には発揮されない問題があった。乾燥した中間生成物はアルギン酸成分が固化することにより非常に硬く、数mm以上の大きなものもできやすい。大きく硬い中間生成物を繊維スラリーに混合して抄紙すると、紙から脱落しやすく、その部分に大きな穴が空く場合や破断する場合があり、抄紙量産性に問題があった。
【0004】
特許文献2には、アルギン酸類を抄紙用填料に混合することにより該填料を前処理する、填料の前処理方法、アルギン酸類により前処理された填料を紙料に添加して抄紙することを含む紙の製造方法、アルギン酸類により前処理された填料を紙料に添加して抄紙して得られる紙が開示されている。この特許文献における填料の前処理の目的は、填料をアルギン酸類で被覆することにより、紙力剤が填料に吸着することを防ぎ、パルプ同士を結合させやすくし、填料の歩留りが高く、紙力の優れる紙を得ることにある。すなわち、アルギン酸類がパルプを被覆してしまうと紙力剤がパルプに定着せず、紙力の向上効果が発現しないため、アルギン酸類は填料をある程度被覆するが、パルプは被覆しない量しか添加されない。従って、填料とアルギン酸類とパルプを積極的にゲル複合化するものではなく、本発明のゲル複合体からなる粉末担持紙及びその製造方法とは異なる。
【0005】
特許文献3には、アルギン酸、アルギン酸の塩、アルギン酸エステル、およびこれらの混合物からなる群より選択されるアルギン酸類を、再生パルプを含有するパルプスラリーに混合する工程を含む再生パルプの処理方法、ならびに当該方法で処理された再生パルプを含有するパルプスラリーを抄紙する紙の製造方法および当該製造方法により得られる紙が開示されている。この特許文献における再生パルプの前処理の目的は、再生パルプに含まれる填料をアルギン酸類で被覆することにより、紙力剤が填料に定着することを防ぎ、パルプ同士を結合させやすくすることにより優れた紙力の紙を得ることにある。すなわち、アルギン酸類がパルプを被覆してしまうと紙力剤がパルプに定着せず、紙力の向上効果が発現しないため、アルギン酸類は填料をある程度被覆するが、パルプはほとんど被覆しない量しか添加されない。従って、填料とアルギン酸類とパルプを積極的にゲル複合化するものではなく、本発明のゲル複合体からなる粉末担持紙及びその製造方法とは異なる。特許文献3には、アルギン酸類の添加量は再生パルプ固形分を基準として0.05~3.0質量%が好ましく、0.1~1.0質量%がより好ましく、0.15~0.5質量%がさらに好ましいことが明記されている。この範囲のアルギン酸類の添加量ではアルギン酸類の量が非常に少なく、再生パルプと填料とアルギン酸類とのゲル複合化は起こりにくい。それ故、再生パルプを含む紙料にさらに填料を内添した場合に填料の歩留りは低くなりやすく、特に未叩解パルプや叩解度の低いパルプ、合成繊維などを紙料とする場合には、填料の歩留まりが著しく低くなる。
【0006】
特許文献4には、アルギン酸と、繊維及びカチオン性物質の少なくとも1種とを混合した混合物にカルシウム塩を添加して凝集させたことを特徴とする模様紙用フロック、該フロックを紙基材に含有させて形成してなる模様紙が開示されている。これはアルギン酸と繊維またはカチオン性物質との凝集が強く、模様のように形成されることによるもので、繊維またはカチオン性物質に対するアルギン酸の量が過剰であることを意味する。アルギン酸の量が過剰になるとゲル成分が過剰となり、模様紙用フロックを含むスラリーの濾水性が悪化し、抄紙性に支障を来す問題や、抄紙網にゲル成分が目詰まりしやすく、抄紙用フェルトの汚れがひどくなることや、ドライヤー面にゲル成分が固着し、その部分の紙に穴が空くなど安定した品質の紙を連続抄紙できない問題があった。特許文献4の模様紙は、模様紙用フロックを紙基材に含有させて製造される。すなわち、模様紙用フロックをそのまま抄紙して紙層全てを模様紙用フロックで形成して模様紙とすることは当該文献の製造方法及び模様紙の範疇に含まれておらず、本発明の粉末担持紙及びその製造方法とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平3-227917号公報
特開2011-106075号公報
特開2011-202319号公報
特開2013-133553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題は、ゲル複合体スラリーの濾水性が良く、抄紙量産性に優れ、粉末の歩留まりが高く、地合いが均一な粉末担持紙及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する粉末担持紙は、アルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄、アルギン酸アルミニウム、アルギン酸亜鉛の何れかと、繊維と、累積中位径0.1μm以上、500μm以下である粉末を含むゲル複合体からなり、質量変動係数が8.0%未満である。これにより、粉末の歩留りが高く、地合いが均一となる。
【0010】
また、粉末が、花、茎、葉、根、果実、果皮、麦芽、ホップ、海藻類、キノコ類、これらの残渣、木粉から選ばれる1種以上である。
さらに、アルギン酸塩水溶液と、カルシウムイオン、鉄(III)イオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオンの何れかを含む多価陽イオン水溶液と、繊維と、粉末を混合、攪拌してアルギン酸カルシウム、アルギン酸鉄、アルギン酸アルミニウム、アルギン酸亜鉛の何れかと繊維と粉末を含むゲル複合体スラリーを形成させ、これを抄紙する粉末担持紙の製造方法であって、アルギン酸塩水溶液の20℃のときのB型粘度が1mPa・s以上、20mPa・s以下であり、原料スラリーに混合するアルギン酸塩の固形分量が繊維固形分に対して0.035倍以上、0.300倍以下であり、アルギン酸塩水溶液を混合した時点での原料スラリー中のアルギン酸塩の固形分濃度が0.007質量%以上、0.100質量%以下である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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