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公開番号
2025009112
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-20
出願番号
2023111880
出願日
2023-07-07
発明の名称
濾水性向上を図る抄紙方法
出願人
ハイモ株式会社
代理人
主分類
D21H
21/10 20060101AFI20250110BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約
【課題】
抄紙工程における歩留濾水性向上システムを用いた製紙原料の抄紙方法に関するものであり、添加率を上げてもワイヤーでの製紙原料の歩留低下を招くことなく濾水性、搾水性の向上を達成する抄紙方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
特定の組成を有する、カチオン性あるいは両性水溶性高分子を抄紙前の製紙原料に添加後、有機酸を添加する抄紙方法を適用することで歩留を低下させることなく濾水性、搾水性向上を達成することができる。有機酸が、カルボキシ基、スルホン酸基、フェノール性水酸基から選択される同種あるいは異種の基を複数有することが好ましい。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
製紙工程における抄紙前の製紙原料に、下記一般式(1)で表されるカチオン性単量体5~100モル%、下記一般式(2)で表されるアニオン性単量体0~30モル%、非イオン性単量体0~95モル%を構成単位とするカチオン性あるいは両性水溶性高分子を添加後、有機酸を添加することを特徴とする抄紙方法。
JPEG
2025009112000009.jpg
24
60
一般式(1)
R
1
は水素又はメチル基、R
2
、R
3
は炭素数1~3のアルキル基あるいはアルコキシ基、R
4
は炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、7~20のアルキル基あるいはアリール基、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2~4のアルキレン基を表わす、X
1
-
は陰イオンをそれぞれ表わす。
JPEG
2025009112000010.jpg
26
71
一般式(2)
R
5
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO
3
-
、C
6
H
4
SO
3
-
、CONHC(CH
3
)
2
CH
2
SO
3
-
、C
6
H
4
COO
-
あるいはCOO
-
、R
6
は水素またはCOOY
2
、Y
1
あるいはY
2
は水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
続きを表示(約 330 文字)
【請求項2】
前記有機酸が、カルボキシ基、スルホン酸基、フェノール性水酸基から選択される同種あるいは異種の基を複数有することを特徴とする請求項1に記載の抄紙方法。
【請求項3】
前記有機酸の0.2質量%水溶液粘度(25℃)が5~300mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の抄紙方法。
【請求項4】
前記カチオン性あるいは両性水溶性高分子の25℃で測定した1規定食塩水溶液中の固有粘度が15~30dl/gであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の抄紙方法。
【請求項5】
前記有機酸の製紙工程における添加場所がスクリーン出口であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の抄紙方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙工程において歩留濾水性向上剤を使用する抄紙方法に関するものであり、詳しくは、抄紙工程において歩留濾水性向上剤を用いた歩留濾水性向上システムにより製紙原料のワイヤー上での歩留向上及び濾水性向上を図る抄紙方法に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
塗工原紙、PPC用紙、上質紙、板紙及び新聞用紙等の抄紙工程において、原料パルプ、微細繊維、填料、製紙用薬剤等のワイヤー上での歩留率向上を図るために歩留向上剤、あるいは歩留と同時に濾水改善の機能を重視した濾水性向上剤(あるいは歩留濾水性向上剤)が使用されている。これら薬剤として一般的にポリアクリルアミド系(PAM系)ポリマーが汎用されるが、近年の抄造条件の多様化により、有効な歩留濾水性向上剤や歩留濾水性向上システムがそれぞれ異なる。
二液以上使用する歩留濾水性向上システムとして、抄紙条件や製紙原料の性状に合わせてPAM系ポリマーを中心にイオンバランスを考慮したシステムが種々考案されている。例えば、カチオン性あるいは両性PAMを添加後、アニオン性PAMを添加する処方(特許文献1)や、高い固有粘度の陽イオン性合成重合体添加後、3dl/gを超える固有粘度、及び0.5以上の0.005Hzでのtanδを有する分枝鎖陰イオン性水溶性重合体を添加する処方(特許文献2)が挙げられる。しかし、これら処方では製紙原料の歩留率向上は得られるが、二液目に添加するアニオン性PAMにより形成したフロック内に過多に水分が取り込まれる結果、濾水性や搾水性が低下し生産性が低下する場合が多い。そこで、濾水性や搾水性を低下させない歩留濾水性向上処方が種々提案されている。
例えば、カチオン性ポリマー添加後、アニオン性無機物質のベントナイトを添加する処方(特許文献3)、陽イオン性基を有するアクリルアミド系ポリマーとコロイド状硅酸とを添加する処方(特許文献4)等が挙げられる。
しかし、これら処方では濾水性や搾水性の改善傾向は得られるものの歩留効果が十分ではない場合が多い。そこで、特に生産効率を上げるために製紙原料のワイヤーパートでの歩留効果を維持し濾水性搾水性が改善できる歩留濾水性向上システムが要望されている。
【0003】
特開2001-254290号公報
特表2002-509587号公報
特開昭62-191598号公報
特開昭62-15391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、抄紙工程における歩留濾水性向上剤を用いた製紙原料の抄紙方法に関するものであり、ワイヤー上での製紙原料の歩留率を低下させることなく濾水性や搾水性を改善できる抄紙方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため鋭意検討を行なった結果、抄紙前の製紙原料に、特定の組成を有するカチオン性あるいは両性水溶性高分子を添加後、有機酸を添加することでワイヤー上での製紙原料の歩留効果を維持あるいは向上し、濾水搾水性の改善を達成できることを見出したものである。
【発明の効果】
【0006】
抄紙前の製紙原料に、本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子を添加後、有機酸を添加することで添加率を上げても歩留率の低下を招くことなく濾水性や搾水性向上効果を発揮し、生産性の向上や紙品質の向上を達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明におけるカチオン性あるいは両性水溶性高分子は、下記一般式(1)で表されるカチオン性単量体5~100モル%、下記一般式(2)で表されるアニオン性単量体0~30モル%、非イオン性単量体0~95モル%を含有する単量体混合物水溶液を重合して製造したものである。一般式(1)で表わされるカチオン性単量体は5~50モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましい。これは、カチオン性単量体がこの範囲にあると高分子量のものが得られやすいためである。
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2025009112000001.jpg
24
60
一般式(1)
R
1
は水素又はメチル基、R
2
、R
3
は炭素数1~3のアルキル基あるいはアルコキシ基、R
4
は炭素数1~3のアルキルあるいはアルコキシ基、7~20のアルキル基あるいはアリール基、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2~4のアルキレン基を表わす、X
1
-
は陰イオンをそれぞれ表わす。
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2025009112000002.jpg
26
71
一般式(2)
R
5
は水素、メチル基またはカルボキシメチル基、QはSO
3
-
、C
6
H
4
SO
3
-
、CONHC(CH
3
)
2
CH
2
SO
3
-
、C
6
H
4
COO
-
あるいはCOO
-
、R
6
は水素またはCOOY
2
、Y
1
あるいはY
2
は水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
【0008】
一般式(1)で表わされるカチオン性単量体としては、以下の様なものがある。即ち、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の塩化メチルや塩化ベンジルによる四級化物である。その例として、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物である。これら二種以上組み合わせることも可能である。
【0009】
一般式(2)で表されるアニオン性単量体としては、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸あるいはp-カルボキシスチレン酸、あるいはそれらの塩、等が挙げられる。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。
【0010】
本発明で使用する非イオン性単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらを二種以上、組み合わせても差し支えない。
(【0011】以降は省略されています)
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