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公開番号
2024178782
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-25
出願番号
2023097194
出願日
2023-06-13
発明の名称
塗工紙
出願人
日本製紙株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
D21H
19/28 20060101AFI20241218BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約
【課題】良好な耐温水性を保ち、ふやけにくいPHBH塗工層を有する塗工紙を提供すること。
【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))と無機顔料と接着剤を含むアンダー塗工層と、PHBHを含むトップ塗工層とを有し、
前記接着剤が、ケン化度90%以上のポリビニルアルコール系樹脂を含み、
接触時間30分における90℃温水のCobb吸水度が、25g/m
2
以下である塗工紙。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))と無機顔料と接着剤を含むアンダー塗工層と、PHBHを含むトップ塗工層とを有し、
前記接着剤が、ケン化度90%以上のポリビニルアルコール系樹脂を含み、
接触時間30分における90℃温水のCobb吸水度が、25g/m
2
以下であることを特徴とする塗工紙。
続きを表示(約 230 文字)
【請求項2】
前記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が、250以上3000以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗工紙。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコール系樹脂が、疎水性基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の塗工紙。
【請求項4】
前記アンダー塗工層において、前記PHBHと前記無機顔料との合計100重量部に対して、前記接着剤を0.1重量部以上60重量部以下含むことを特徴とする請求項3に記載の塗工紙。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、PHBHを含む塗工液を塗工した塗工紙に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックごみによる環境破壊を防ぐための動きが始まっており、プラスチック製使い捨て製品を、環境への負荷の小さな材料で代替することが求められている。プラスチックの代替材料としては、生分解性プラスチック、木材、紙等が挙げられる。
紙に樹脂を塗工した塗工紙は、塗工された樹脂に応じて様々な機能を発揮することができる。しかし、塗工される樹脂が、化石資源由来や非生分解性であると、紙を用いたことによる環境負荷低減効果を損ねてしまう。そのため、紙基材に、生分解性プラスチックの水性分散液を塗工した塗工紙が求められている。
生分解性プラスチックとして、ポリ乳酸やポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルが知られている。しかし、脂肪族ポリエステルは、温度が低いと生分解に時間がかかり、海洋などの自然環境での分解速度が遅いという問題がある。
【0003】
一方、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂は、好気性、嫌気性下での分解性に優れた、微生物産生の熱可塑性プラスチックであり、海洋中などの水中でも微生物により短期間で分解されるという特筆すべき性能を有している。
特許文献1には、3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体であるPHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))を含む生分解性ポリエステル水性分散液が、成膜性に優れ、かつ、塗料、接着剤、繊維加工、シート・フィルム加工、紙加工等に適用する際、柔軟で伸びがよく、折り曲げに対して強い樹脂塗膜を与えることが記載されている。しかし、PHBHの水分散液を塗工した塗工層は、クラック、ピンホール等の塗工欠陥が生じやすい。そのため、特許文献2には、PHBHと接着剤とを、固形分重量比99.9/0.1~60.0/40.0で混合して塗工することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2004/041936号
特開2021-195717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、従来技術を参考に、アンダー塗工層にPHBHとPVAを、トップ塗工層にPHBHを用いた紙コップ用原紙について耐水性を検討した。その結果、塗工面である接液側について、冷たい液体や常温の液体に対する耐水性に問題ないことを確認した。一方、紙コップは、茶、コーヒー等の熱い飲料等を入れる場合もあるため、発明者らは、塗工層面である接液側に対して温水を接触させ評価したところ、温水に接触する面から温水が徐々に浸透して紙が湿ることを発見した。
紙コップは、茶、コーヒー、スープ等の加温された飲料を内部に保持することも多く、湿りは把持性にも大きく影響するため、紙コップ用原紙には耐温水性が求められる。
本発明は、このような背景に基づいて検討されたものであり、良好な耐温水性を保ち、ふやけにくいPHBH塗工層を有する塗工紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))と無機顔料と接着剤を含むアンダー塗工層と、PHBHを含むトップ塗工層とを有し、
前記接着剤が、ケン化度90%以上のポリビニルアルコール系樹脂を含み、
接触時間30分における90℃温水のCobb吸水度が、25g/m
2
以下であることを特徴とする塗工紙。
2.前記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が、250以上3000以下であることを特徴とする1.に記載の塗工紙。
3.前記ポリビニルアルコール系樹脂が、疎水性基を有することを特徴とする1.または2.に記載の塗工紙。
4.前記アンダー塗工層において、前記PHBHと前記無機顔料との合計100重量部に対して、前記接着剤を0.1重量部以上60重量部以下含むことを特徴とする3.に記載の塗工紙。
【発明の効果】
【0007】
本発明の塗工紙は、低温~高温の水に対する耐水性に優れている。本発明の塗工紙は、低温~高温の水と接触しても強度を維持することができるため、特に高温の水を入れたときの安全性に優れている。
本発明の塗工紙は、塗工紙全体に対する生分解性材料の比率が高く、仮に環境中に流出しても、迅速に分解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の塗工紙は、紙基材の少なくとも一方の面上に、PHBH(ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート))と無機顔料と接着剤を含むアンダー塗工層と、PHBHを含むトップ塗工層とを有し、
接着剤が、ケン化度90%以上のポリビニルアルコール系樹脂を含み、
接触時間30分における90℃温水のCobb吸水度が、25g/m
2
以下である。
なお、本明細書において「A~B」(A、Bは数値)との記載は、A、Bを含む数値範囲、すなわち「A以上B以下」を意味する。
【0009】
(紙基材)
紙基材は、主としてパルプからなるシート(以下、「基紙」ともいう。)であり、さらに填料、各種助剤等を含む紙料を抄紙して得られる。
パルプとしては、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未漂白パルプ(NUKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、脱墨パルプ、古紙パルプなどの木材繊維、ケナフ、竹、麻などから得られた非木材繊維などが挙げられ、これらの1種または2種以上を適宜配合して用いることができる。これらの中でも、紙基材中への異物混入が発生し難いこと、古紙原料としてリサイクル使用する際に経時変色が発生し難いこと、高い白色度を有するため印刷時の面感が良好となり、特に包装材として使用した場合の使用価値が高くなることなどの理由から、木材繊維の化学パルプ、木材繊維の機械パルプを用いることが好ましく、木材繊維の化学パルプを用いることがより好ましい。具体的には、全パルプに対するLBKP、NBKP等の木材繊維の化学パルプの配合量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましく、100重量%が最も好ましい。
【0010】
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール系樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。なお、填料は、必須材料ではなく、使用しなくてもよい。
(【0011】以降は省略されています)
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