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公開番号2024139568
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-09
出願番号2023050568
出願日2023-03-27
発明の名称製紙用フェルト及びその製造方法
出願人日本フエルト株式会社
代理人弁理士法人大島特許事務所
主分類D21F 7/08 20060101AFI20241002BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】使用初期から搾水性が非常に良好で、防汚性を損なうことなく、優れた搾水性を維持できる製紙用フェルト及びその製造方法を提供する。
【解決手段】製紙用フェルト1は、基布2と、バット層3と、不織布層4とを備える。不織布層4は、レーヨン100%の不織布をニードルパンチングすることによって形成される。不織布層4のレーヨン繊維は、5~35mmの繊維長を有する。レーヨン100%の不織布は、15~60g/m2の目付を有することが好ましく、不織布層4は、基布2の直上若しくは直下、又はバット層3の表内層8aと表外層8bとの間に配置されることが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基布と、
前記基布の走行面側に配置された裏層及び前記基布の製紙面側に配置された表層を含むバット層と、
前記基布と前記裏層若しくは前記表層との間、又は前記バット層内に配置されたレーヨン繊維100%から構成される不織布をニードルパンチングによって形成された不織布層とを備え、
前記バット層及び前記不織布層は、前記ニードルパンチングにより、前記レーヨン繊維が、前記バット層の内部及び前記基布の内部に分散するように、前記基布に一体化されており、
前記レーヨン繊維は、5~35mmの繊維長を有する、製紙用フェルト。
続きを表示(約 480 文字)【請求項2】
前記不織布層は、前記基布に隣接している、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項3】
前記レーヨン繊維は、捲縮しており、前記不織布においてランダムに配列されている、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項4】
前記不織布は、15~60g/m

の目付を有する、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項5】
前記レーヨン繊維は、5~15mmの繊維長を有する、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項6】
前記レーヨン繊維は、前記バット層を構成するステープルファイバーよりも細い、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項7】
基布に、レーヨン繊維100%から構成される不織布とバット層の少なくとも一部となるべきステープルファイバーシートとを重ね、これらを重ね合わせたものに対してニードルパンチングを行うことにより、これらを一体化する工程を備え、
前記レーヨン繊維は、5~35mmの繊維長を有する、製紙用フェルトの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙用フェルト及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
製紙用フェルトは、製紙マシンのプレスパートで使用され、搾水される湿紙を運搬する。湿紙を載せた製紙用フェルトが1対のプレスロールに加圧され、湿紙に含まれる水分が製紙用フェルトに移行することにより、湿紙が搾水される。製紙用フェルトは、経糸及び緯糸が互いに織り込まれた基布と、ニードルパンチングによって基布に一体化されたバット層とを備える。搾水性を向上させるため、製紙用フェルトに他の層を追加することや、バット層の組成を変更することが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、親水性不織布の「繊度(太さ)」と「坪量」に着目し、基布より製紙面側(湿紙側)のバット層の中にナイロン製の親水性不織布の層を配置し、親水性不織布の繊維を、親水性不織布よりも製紙面側に位置する部分のバット層の繊維よりも細くするとともに、それらの坪量比を8:1~3:1とすることが提案されている。親水性不織布への毛細管現象による水分移行作用、移行された水分の保持作用が発揮されるため、プレスロールの加圧から解放された後に製紙用フェルトに吸収されていた水分が湿紙に戻る再湿現象が抑制される。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、バット層の「弾性」に着目し、バット層を構成するステープルファイバーとして、6ナイロンの25%未満の弾性を有する「低弾性」なビスコースレーヨン等の再生セルロース繊維とナイロン等のポリマー繊維との混合物を用いることが提案されている。とりわけ湿紙側表面のバット層を構成する繊維としてこのような「低弾性」な再生セルロース繊維を混ぜることにより、製紙用フェルトが加圧後の圧縮された状態から元の厚さに戻るまでの時間が長くなる。このため、湿紙を製紙用フェルトからより早く分離することができ、湿紙の再湿潤を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004-143627号公報
特表2007-516365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の製紙用フェルトのように、不織布層がナイロンのような合成繊維のスパンボンド不織布によって構成される場合、合成繊維のスパンボンド不織布は、繊維間接着力が強いため、ニードルパンチングで崩れずスパンボンド不織布を構成する合成繊維が分散し難く、層として分布する。層として不織布繊維が分布すると、製紙用フェルトは、使用末期でも繊維が脱落しにくいため密度が上昇し、通気度が下がって汚れが蓄積しやすくなる。
【0007】
また、製紙用フェルトの表面は、プレスパートにおいて、洗浄等のシャワーにより毛羽立ちやすく、サクションボックスにより吸引されることから、損傷を受けやすい。このため、特許文献2のように、製紙用フェルトの製紙面側(湿紙側)表面に親水性繊維が配置されると、親水性繊維が使用初期に脱落しやすい。また、バット繊維(バット層を構成するステープルファイバー)として再生セルロース繊維のような親水性繊維を使用すると、製紙面側表面のバット層や内部のバット層などの位置に配置した場合でも、バット繊維がフェルト全体に分散し、親水性繊維同士が密着していないため、水和力が働きにくく水分移行に寄与しにくい。また、1~5dtex程度の微細な親水性繊維同士が接着されていないため、製紙用フェルトが搾水に最適な密度になる前、つまり使用初期に親水性繊維が脱落しやすくなり、使用初期から脱水性能の効果が低減する。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑み、使用初期から搾水性が非常に良好で、防汚性を損なうことなく、優れた搾水性を維持できる製紙用フェルト及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明のある態様に係る製紙用フェルト(1,11,21)は、基布2と、前記基布の走行面側に配置された裏層(7)及び前記基布の製紙面側に配置された表層(8)を含むバット層(3)と、前記基布と前記裏層若しくは前記表層との間、又は前記バット層内に配置されたレーヨン繊維(セルロース)100%から構成される不織布をニードルパンチングによって形成された不織布層(4)とを備え、前記バット層及び前記不織布層は、前記ニードルパンチングにより、前記レーヨン繊維が、前記バット層の内部及び前記基布の内部に分散するように、前記基布に一体化されており、前記不織布を構成するレーヨン繊維は、5~35mmの繊維長を有する。なお、図7に示すように、バット層及び不織布層の繊維はニードルパンチングによって複雑に交絡し、基布とも複雑に交絡しているため、構造又は特性によりバット層及び不織布層を直接特定することはおよそ実際的でない。このため、「ニードルパンチング」という繊維を交絡させる方法によりバット層及び不織布層を特定した。
【0010】
この態様によれば、レーヨン繊維100%から構成される不織布層に水分が移行しやすい。また、レーヨン100%の不織布の繊維長が5~35mmであるため、ニードルパンチングによりレーヨン繊維が適度に分散し、使用初期は不織布繊維が脱落しにくいものの、使用中に徐々に脱落していき、使用末期には脱落しているため密度上昇が抑えられ、汚れが蓄積されにくい。
(【0011】以降は省略されています)

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