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公開番号2024124869
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-13
出願番号2023032824
出願日2023-03-03
発明の名称紙の製造方法及び薬剤
出願人栗田工業株式会社
代理人個人,個人
主分類D21H 21/08 20060101AFI20240906BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】本発明の目的は、製紙工程で排出された低質原料の一部を、紙原料として再利用することによって調製したパルプスラリーを用いて紙を製造する方法及び当該紙の製造方法に用いるパルプスラリーの紙原料として再利用される低質原料を処理して改質原料とする特定の薬剤を提供すること。
【解決手段】製紙工程で排出された低質原料の一部を、紙原料として再利用することによって調製したパルプスラリーを用いて紙を製造する方法であって、紙原料として再利用される低質原料が、特定の薬剤を用いて処理された改質原料であり、前記改質原料を含有するパルプスラリーは、前記特定の薬剤で処理されていない無処理の低質原料を含有するパルプスラリーに比べて、優れた濾水性及び濁度の特性を有する、紙の製造方法、及び、その薬剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
製紙工程で排出された低質原料の一部を、紙原料として再利用することによって調製したパルプスラリーを用いて紙を製造する方法であって、
紙原料として再利用される低質原料が、特定の薬剤を用いて処理された改質原料であり、
前記改質原料を含有するパルプスラリーは、前記特定の薬剤で処理されていない無処理の低質原料を含有するパルプスラリーに比べて、優れた濾水性及び濁度の特性を有する、紙の製造方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記改質原料を含有するパルプスラリーは、前記低質原料を再利用しないパルプスラリーに比べて、同等以上の濾水性及び濁度の特性を有する、請求項1に記載の紙の製造方法。
【請求項3】
前記特定の薬剤が、下記の(1)~(3)のいずれかに記載する薬剤である、請求項1又は2に記載の紙の製造方法。
(1)アクリルアミド系ポリマーをホフマン分解反応に付して得られた反応物。
(2)(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリルアミドと、ジメチルアミノエチルアクリレート4級付加物との共重合物であって、固有粘度が8.0~28.0dl/g、カチオン化度が0.6~2.0meq/g、アニオン化度が0.20meq/g以下、及びカチオン電荷密度/アニオン電荷密度の比が5~20である共重合物。
(3)(メタ)アクリルアミドと、下記の化学式(I)で表される化合物との共重合物であって、固有粘度が8.0~28.0dl/g、カチオン化度が0.6~3.0meq/gである共重合物。
化学式(I):R

-COO-C



-N(CH



-R

但し、R

は、CH

=CH-又はCH

=C(CH

)-であり、R

は、炭素数1~3のアルキル基又はベンジル基であり、同種でも異種でもよい。
【請求項4】
前記薬剤(3)は、ベンジル基団部分のカチオン化度が0.1~1.2meq/gであり、R

がベンジル基である、請求項3に記載の紙の製造方法。
【請求項5】
前記紙原料が、古紙、板紙又はクラフト紙であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紙の製造方法。
【請求項6】
前記低質原料を前記特定の薬剤で処理して得られた前記改質原料を、前記パルプスラリーに混合する、請求項1又は2に記載の紙の製造方法。
【請求項7】
前記改質原料を前記パルプスラリーに混合した後も、前記特定の薬剤を前記パルプスラリーにさらに添加する、請求項6に記載の紙の製造方法。
【請求項8】
パルプスラリーの紙原料として再利用される低質原料を処理する薬剤であって、
前記パルプスラリーの濾水性及び濁度の特性を改善するように、再利用される前記低質原料を処理して改質原料にする、薬剤。
【請求項9】
前記薬剤が、下記の(1)~(3)のいずれかに記載する薬剤である、請求項8に記載の薬剤。
(1)アクリルアミド系ポリマーをホフマン分解反応に付して得られた反応物。
(2)(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリルアミドと、ジメチルアミノエチルアクリレート4級付加物との共重合物であって、固有粘度が8.0~28.0dl/g、カチオン化度が0.6~2.0meq/g、アニオン化度が0.20meq/g以下、及びカチオン電荷密度/アニオン電荷密度の比が5~20である共重合物。
(3)(メタ)アクリルアミドと、下記の化学式(I)で表される化合物との共重合物であって、固有粘度が8.0~28.0dl/g、カチオン化度が0.6~3.0meq/gである共重合物。
化学式(I):R

-COO-C



-N(CH



-R

但し、R

は、CH

=CH-又はCH

=C(CH

)-であり、R

は、炭素数1~3のアルキル基又はベンジル基であり、同種でも異種でもよい。
【請求項10】
前記薬剤(3)は、ベンジル基団部分のカチオン化度が0.1~1.2meq/gであり、R

がベンジル基である、請求項9に記載の薬剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、紙の製造方法及び薬剤に関し、より詳細には、製紙工程で排出された低質原料の一部を、紙原料として再利用する技術に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、段ボールなどの紙質包装材料の需要は、電子商取引の増加と共に増加している。これらの包装材料は、環境保全、資源有効利用の観点から、なるべく再資源化して紙として再利用される。しかし、これらの包装材料の再資源化が進むと、原料である繊維が劣化し、製造時に生産性(例えば濾水性)が低下するとともに、白水濃度(濁度)が高くなるという問題が生じる傾向がある。さらに、従来の製紙工程で排出された廃棄物を、そのままの状態で製紙工程に戻して利用したとしても、同様の障害が生じる。
【0003】
例えば、特許文献1には、製紙汚泥に対し、特定の酸化剤群より選択される一種以上の無機系酸化剤により消臭処理及び改質処理を施した後、アクリルアミドを主体とした非イオン性水溶性高分子、ビニル重合系カチオン性水溶性及び/又はビニル重合系両性水溶性高分子をこの順に逐次添加し凝集処理し、その後脱水機により脱水することを特徴とする製紙汚泥の処理方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、製紙スラッジに対して生石灰又は消石灰を添加して、該スラッジのpH値が9.5を超え、11.0以下となるように調整することにより、硫化水素及びメルカプタン類の発生を長期間にわたって抑制でき、セメント工場での焼成において、問題なく使用できる方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの方法は、その製紙汚泥及び製紙スラッジを紙として再利用することが全く触れていないため、本発明とは全く異なる技術である。そのため、これまで、従来の製紙工程で排出された廃棄物を製造上問題なく使用する紙の製造方法は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2010-149033号公報
特開2005-161165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、製紙工程で排出された低質原料のうち、紙原料として再利用する低質原料の適正化を図ることによって、パルプスラリーの特性を維持し、または改善することができる紙の製造方法、及び、再利用する低質原料の適正化を図るために用いる薬剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、製紙工程で排出された低質原料の一部を、紙原料として再利用することによって調製したパルプスラリーを用いて紙を製造する方法であって、紙原料として再利用される低質原料を、特定の薬剤を用いて処理して改質原料とし、この改質原料をパルプスラリー中に含有させることによって、この改質原料を含有するパルプスラリーは、特定の薬剤で処理されていない無処理の低質原料を含有するパルプスラリーに比べて、優れた濾水性及び濁度の特性を有し、良好な品質の紙の製造を安定して行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は、以下のものを提供する。
【0009】
(1)本発明の第1の発明は、製紙工程で排出された低質原料の一部を、紙原料として再利用することによって調製したパルプスラリーを用いて紙を製造する方法であって、紙原料として再利用される低質原料が、特定の薬剤を用いて処理された改質原料であり、前記改質原料を含有するパルプスラリーは、前記特定の薬剤で処理されていない無処理の低質原料を含有するパルプスラリーに比べて、優れた濾水性及び濁度の特性を有する、紙の製造方法である。
【0010】
(2)本発明の第2の発明は、前記改質原料を含有するパルプスラリーは、前記低質原料を再利用しないパルプスラリーに比べて、同等以上の濾水性及び濁度の特性を有する、(1)に記載の紙の製造方法である。
(【0011】以降は省略されています)

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