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公開番号2024122907
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-09
出願番号2024026073
出願日2024-02-23
発明の名称葦繊維の製造方法
出願人株式会社アトリエMay
代理人個人
主分類D21C 3/02 20060101AFI20240902BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】植物の葦が本来有している抗菌作用を失うことなく、葦茎から繊維を得る葦繊維の製造方法を提供すること。
【解決手段】葦繊維を製造する方法の工程において、葦の茎をカットして所定長さの葦茎片とするカッティング工程と、カットした前記葦茎片を濃度0.8wt%以上の水酸化ナトリウム溶液に、水温20~30℃で12~72時間浸漬させて前記葦茎片中のリグニンを分離するケミカルレッチングを行うレッチング工程とを含む製造方法とすること。
【選択図】なし

特許請求の範囲【請求項1】
植物の葦から繊維を得る葦繊維の製造方法であって、前記製造方法の工程として、
葦の茎をカットして葦茎片とするカッティング工程と、
カットした前記葦茎片を濃度0.8wt%以上の水酸化ナトリウム溶液に、水温20~30℃で12~72時間浸漬させて前記葦茎片中のリグニンを分離するレッチング工程とを含む
製造方法。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
前記カッティング工程において、葦茎片の長さを10~100mmの範囲内にカットする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記カッティング工程で得られた複数の葦茎片を、液体透過性を有し、かつ耐アルカリ性を有する袋に所定本数詰めてから、前記レッチング工程に付する、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
パルプ化工程、原料調整工程、抄紙工程の順に工程を経る紙製品の製造方法において、
前記原料調整工程後かつ前記抄紙工程前の段階で、他の木材から得られたパルプと請求項1記載の製造方法で得られる葦繊維とを混合して、その後の前記抄紙工程を経るものであり、
かつ前記混合において、製紙原料の全体に対して30wt%以上を前記葦繊維となるように加えることで
葦繊維含有紙であるヨシ紙を得る紙製品の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の製造方法で得られた葦繊維を30~80wt%含む混紡繊維原料を紡績して得られる混紡糸。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の葦を原料にして葦繊維を製造する方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
葦は、沼岸や河川岸に自生するイネ科の植物である。多年草であるが、半年で成長する地表の茎は冬には枯れる。一方、地下茎は枯れずに、翌年茎が成長する。葦は世界的に豊富な再生産可能天然資源である。葦は河川敷に自生して葦原をつくるが、河川の整備のために定期的に刈り取られる。定期的な刈取りによって、河川敷などに広がる葦原は健全に維持される。
【0003】
葦は、刈り取った葦茎をそのまま屋根材や葦簀として利用したり、木管楽器のリードの材料などとして一部利用されてたりしてはいるものの経済効率性の観点から、刈り取られた葦のほとんどは焼却等により処分される。このように葦原は経済的な活用用途に乏しいため、その保護という観点が重要視されることなく、河川改修工事が行われた結果、冠水が不十分となり、葦原が絶滅する危機を迎えた時期もあった。
【0004】
しかしながら、近年の持続可能な社会を目指す風潮から、これまで処分されていただけの葦にも経済合理性のある活用手段がなにかないか模索されている。葦から植物繊維を取り出して、紙、糸、布などの原料として工業的、経済的な利用できるかの観点からの研究もなされている。例えば特許文献1では、竹から竹繊維を分離する方法に倣って、自生する葦から葦繊維であるセルロース成分を分離して、混紡糸にして不織布を製造する技術が開示されている。加えて、得られた葦繊維を竹抗菌エキスやヒノキチオール水溶液に浸漬して抗菌性を付与する技術が開示されている。しかし、葦から紙、糸あるいは布などを製造する工程は、既に工業的に確立されている手法に比べるとその製造コストから経済合理性が低く、訴求力のある製品にすることが困難であった。
【0005】
抗菌性を有する没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)を基本骨格とする加水分解性タンニンは、マンサク科の植物ハマメリス、茶の葉、オークの樹皮など、多くの植物に含まれていることが知られており、その抗菌性については多くの研究がされている。例えば非特許文献1では、ユーカリの一種であるEucalyptus salignaの葉の熱水抽出液等を想定した、没食子酸等の抗菌剤としての利用の検討が開示されている。ここで原生の葦にもこのような抗菌性を有する加水分解性タンニンが含まれているとされている。
【0006】
ところが特許文献1をはじめとする、従来の原生の葦から葦繊維を取り出して紙製品、糸あるいは布地などに製品化する技術では、この葦由来の成分が発揮する抗菌性が、製品化の段階では失われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2022-102994号公報
【非特許文献】
【0008】
東京大学農学部演習林報告, 137,41-51 (2017) 稲垣ら「Eucalyptus saligna 葉の主成分である没食子酸類の活用に向けた抗菌スペクトルの検討」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記状況を鑑み、本発明者は、原生葦を有効利用して製品化するにあたって、葦由来の抗菌成分を製品に残すことによって、その抗菌性を特徴にした製品を作ることができないかの検討を重ねて、その工程の見直しを続けた結果、本発明に至った。
【0010】
上記事情に鑑みて、本発明では、葦が本来有している抗菌作用を失うことなく葦繊維を取り出して繊維化する製造手段およびその手段によって得られる抗菌性を有する葦繊維、ひいてはこれを原料とする、抗菌性を有する紙製品や混紡糸を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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