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公開番号2024101305
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-29
出願番号2023005210
出願日2023-01-17
発明の名称芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法
出願人三井化学株式会社
代理人弁理士法人エスエス国際特許事務所
主分類C07C 37/60 20060101AFI20240722BHJP(有機化学)
要約【課題】従来の製造方法に比べて高い選択率および高い収率で芳香族ヒドロキシ化合物を製造する方法を提供すること。
【解決手段】周期表の3~5族および13~15族からなる群より選ばれる金属元素を含むシリケート(A)と、過酸化水素(B)と、含炭素置換基を含有する芳香族炭化水素化合物(C)と、25℃水溶液でのpKaが0.5~4.2の範囲内である化合物(D)とを接触させて、かつ、下記(α)および(β)の要件を満たす条件で反応させる工程を含む芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法;
(α)前記シリケート化合物(A)中の金属元素に対する前記化合物(D)の質量比((D)/(A))が0.1~25質量%である;
(β)前記芳香族炭化水素化合物(C)に対する前記過酸化水素(B)のモル比((B)/(C))が1/150~10/1である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
周期表の3~5族および13~15族からなる群より選ばれる金属元素を含むシリケート(A)と、
過酸化水素(B)と、
含炭素置換基を含有する芳香族炭化水素化合物(C)と、
25℃水溶液でのpKaが0.5~4.2の範囲内である化合物(D)と、を接触させて、かつ、下記(α)および(β)の要件を満たす条件で反応させる工程を含む、芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法;
(α)前記シリケート(A)中の金属元素に対する前記化合物(D)の質量比((D)/(A))が0.1~25質量%である;
(β)前記芳香族炭化水素化合物(C)に対する前記過酸化水素(B)のモル比((B)/(C))が1/150~10/1である。
続きを表示(約 370 文字)【請求項2】
前記化合物(D)が無機酸である、請求項1に記載の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項3】
前記化合物(D)がリン酸である、請求項1に記載の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項4】
前記芳香族炭化水素化合物(C)が、一分子中、2個以上の含炭素置換基を含む芳香族炭化水素化合物である、請求項1に記載の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項5】
前記(α)および前記(β)に加え、下記(γ)の要件をさらに満たす、請求項1に記載の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法;
(γ)前記シリケート(A)、前記過酸化水素(B)、前記芳香族炭化水素化合物(C)および前記化合物(D)の総質量に対する前記シリケート(A)の質量比が0.1~30質量%である。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は炭化水素基などの含炭素置換基を有する芳香族炭化水素化合物と過酸化水素とを反応させることにより、芳香族ヒドロキシ化合物を製造する方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
クレゾールなどの含炭素置換基を有する芳香族ヒドロキシ化合物は、医薬品、食品、サプリメント、飼料などの用途において種々の有機合成中間体または原料物質として重要である。そのため、このような芳香族ヒドロキシ化合物を製造する方法は、多様な構造の化合物を効率的に製造できる方法提供するための開発が継続的になされている分野である。
芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法としては、フェノール類に置換基を導入させる方法と、置換基を含有する芳香族炭化水素化合物にヒドロキシ基を導入する方法とに大別することができる。前者の方法としては例えば、フェノールやクレゾールとプロピレンなどのオレフィンとを反応させる方法が知られている。また、後者の他の方法として、置換基を有する芳香族化合物と過酸化水素とを酸触媒存在下に反応させる方法が知られている。
例えば、特許文献1には、キシレンなどの置換基含有芳香族化合物と過酸化水素とを、トリフルオロ酢酸およびフッ化水素の存在下で反応させる方法が開示されている。特許文献1に開示された方法では、過酸化水素ベースの収率、目的とする芳香族モノヒドロキシ化合物の選択率も高いことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特公昭52-17015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェノール類に置換基を導入させて芳香族ヒドロキシ化合物を合成する方法は、複数種の異性体や副生成物が発生することが多い。置換基を含有する芳香族炭化水素化合物にヒドロキシ基を導入して芳香族ヒドロキシ化合物を合成する方法としては、置換基含有芳香族ハロゲン化物の加水分解法が知られている。この加水分解法は、適用できる化合物の範囲が狭い傾向があるとされている。置換基を有する芳香族化合物と過酸化水素とを酸触媒存在下に反応させる方法でも複数種の化合物が生成し、選択性に目的とする化合物を効率的に製造し難い傾向があると言われている。このように、従来の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法には、過酸化水素ベースでの収率の改善が必要な場合も含め、高収率および高選択率を両立できる芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法は少ない。
【0005】
また、特許文献1に記載の芳香族モノヒドロキシ化合物の製造方法は原料であるフッ化物が高価であることや、反応器の使用に制約が生じるなどの課題がある。また、特許文献1に記載の製造方法は反応性が高過ぎるため、低温(例えば、0℃以下)での反応が必要とされており、工業化の面では不利である。このような事情を鑑み、本発明の一実施形態は、従来の製造方法に比べて高い選択率および高い収率で芳香族ヒドロキシ化合物を工業的に好適な条件でも製造できる方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために検討した結果、特定の金属元素を含むシリケートと特定の範囲のpKa値を示す化合物との存在下において、置換基を含有する芳香族炭化水素化合物と過酸化水素とを反応させることで、従来の製造方法に比べて高い収率および選択率で芳香族ヒドロキシ化合物を製造できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、固体酸触媒を用いて工業化に好適な温度(例えば、100℃前後の温度範囲)でも反応することができ、目的とする芳香族ヒドロキシ化合物を高い選択性で製造できる方法である。
【0007】
即ち、本発明は、下記の要件によって特定される。
<1> 周期表の3~5族および13~15族からなる群より選ばれる金属元素を含むシリケート(A)と、
過酸化水素(B)と、
含炭素置換基を含有する芳香族炭化水素化合物(C)と、
25℃水溶液でのpKaが0.5~4.2の範囲内である化合物(D)と、を接触させて、かつ、下記(α)および(β)の要件を満たす条件で反応させる工程を含む、芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法;
(α)前記シリケート(A)中の金属元素に対する前記化合物(D)の質量比((D)/(A))が0.1~25質量%である;
(β)前記芳香族炭化水素化合物(C)に対する前記過酸化水素(B)のモル比((B)/(C))が1/150~10/1である。
<2> 前記化合物(D)が無機酸である、<1>に記載の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
<3> 前記化合物(D)がリン酸である、<1>または<2>に記載の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
<4> 前記芳香族炭化水素化合物(C)が、一分子中、2個以上の含炭素置換基を含む芳香族炭化水素化合物である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法。
<5> 前記(α)および前記(β)に加え、下記(γ)の要件をさらに満たす、<1>~<4>のいずれか1つに記載の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法;
(γ)前記シリケート(A)、前記過酸化水素(B)、前記芳香族炭化水素化合物(C)および前記化合物(D)の総質量に対する前記シリケート(A)の質量比が0.1~30質量%である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、従来の製造方法に比べて高い選択率および高い収率で芳香族ヒドロキシ化合物を工業的に好適な条件でも製造する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の内容の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されることはない。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後いずれか一方に記載される単位は、特に断りがない限り同じ単位を示すことを意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0010】
本発明の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう場合がある。)は、前記の通り、周期表の3~5族、および、13~15族元素からなる群より選ばれる金属元素を含むシリケート(A)と、過酸化水素(B)と、含炭素置換基を含む芳香族化合物(C)と25℃水溶液でのpKaが0.5~4.2の範囲である化合物(D)とを接触させて、後述する(α)および(β)の要件を満たす条件で反応する工程(以下、単に「反応工程」ともいう場合がある。)を含む芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法である。本発明の芳香族ヒドロキシ化合物の製造方法は、特定のpKaの範囲の化合物を用いることによって、前記のような工業化に有利な条件下で高い収率および高い選択率で芳香族ヒドロキシ化合物を製造することができる。このため、本発明の製造方法は工業的に効率よく芳香族ヒドロキシ化合物を製造するのに重要な意味を持つ。
以下、反応工程で用いられる各成分について説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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